【掲載:2022.04.09 更新:2025.02.28】
猫の耳は熱い?冷たい?

猫はどこを見てもかわいらしい容姿をしていますが、ピクピクと小気味よく動く耳も、猫を語る上では欠かせない体の部位となりますよね。
そんなよく動く耳だからこそ、あまり執拗に触ったことがないという方も多いことでしょう。
猫の平熱は人間よりも高いと言われていますが、普段から耳も同じぐらい熱を持っているのでしょうか?
◆通常猫の耳は冷たい
猫の耳に触れてみると一瞬ヒヤッと感じるように、冷たい状態が正常となります。
全身を被毛で覆われている猫はもともと体温調節が苦手で、人間のように汗をかいて気化熱を発生させ、熱を放出させるといった調整ができません。
猫には肉球と鼻付近に汗腺があると言われており、体温を調節するためにはこれらの部位や、体の上部にある毛細血管のたくさん集まった薄い耳から、放熱が可能と言われているようです。
耳に生えている毛は短く薄いため、放熱に適した構造をしていることからも、猫の耳を触ると冷たいと感じられます。
◆猫の体温はどれくらい?
猫の体温は人間よりも高く、平熱が38度台と言われています。
もちろん個体差はありますが、愛猫の平熱が知りたいのであれば、元気なときに体温計で熱を測定しておくことによって、体調を崩した際に現状を把握する目安となるのでおすすめです。
猫は汗をかいて気化熱を発生することが苦手と前述しましたが、そのかわりにセルフグルーミングを行うことにより気化熱を発生させ、一年を通して体温を調節しています。
毎日の日課となる猫のグルーミングは、単に被毛を整えて清潔を保つだけではなく、熱い夏や寒い冬を乗り越えるためにも、必要不可欠であることがうかがえますよね。
体に熱が溜まって体温を調節する際には、被毛の少ない耳や肉球を利用して放熱させるので、このようなことからも猫の耳は冷たい状態が正常であると言えるでしょう。
もし愛猫の耳が熱い場合には、耳に集中している毛細血管が広がり、血流が良くなって余分な熱が溜まった状態となるので注意が必要です。
猫の耳が熱い時の原因は?
冷たいはずの愛猫の耳が熱いと感じたとき、きっと飼い主さんは心配になってその原因を追究することでしょう。
猫の耳が熱くなる理由として考えられる原因は、主に4つあります。
◆興奮している
聴覚の優れている猫の耳は飾りのようにかわいらしい形状をしていますが、たくさんの役割を担った重要な部分です。
人間にも聞こえないような音が聞き取れることからも、片耳ずつあらゆる方向に動かすことができ、音だけでなく猫特有のバランス感覚を発揮します。
そのため遊びに夢中になったときや、激しい運動をしたとき、ほかの猫と喧嘩をしたときなどは、気持ちが高鳴って興奮しているので、体温が同時に上がり耳も熱くなるようです。
体全体で物事に集中してしまえば、熱の放出口である耳や肉球から放熱するのに時間がかかりますので、一時的に耳が熱くなることにも納得ですよね。
興奮しているときは耳が熱いだけでなく、肉球にも汗をかくことがほとんどですので、その後熱さや汗が引けば問題がないので様子をみてあげてください。
◆眠い
一日の大半を眠って過ごしている猫は、眠気を感じるとリラックスモードに入るので耳が一時的に熱くなります。
リラックスすることにより全身の体温が下がり、蓄積されていた熱を放出するために耳が熱くなるといった仕組みです。
とくに子猫の場合は成長のために眠る時間が長いこともあり、成猫よりも日常的に耳が熱い場合が多いと言われています。
しかし、免疫力の低い子猫は風邪を引きやすく、眠いのか風邪の症状なのか、見極めるのは困難とも言えるでしょう。
ただ眠いだけなのか、風邪を引いて耳が熱いのか、しっかりと観察し、体調管理を徹底することも大切です。
◆熱がある
風邪で熱がある場合には耳だけでなく全身の体温も上がりますので、熱さだけでなく食欲はあるのか、くしゃみや鼻水が出ているかなど、ほかの症状が出ていないか、確認も必要ですよね。
猫風邪と呼ばれる猫が発症する風邪は、ウイルスによる感染症となりますが、様子を見ているだけでは回復に向かいませんので、原因となるウイルスへの対症療法を行わなくてはいけません。
また、前述してある通り子猫は風邪を引きやすく重症化しやすいので、発熱だけでなく下痢や嘔吐の症状が出てくれば命に関わってしまうこともあるので、早めに動物病院を受診し、獣医師さんの指示のもと適切な治療を受けることが理想的です。
風邪以外の病気でも、耳ダニや耳血腫などを発症している場合に耳が熱くなることもありますので、風邪と同様ほかの症状が出ていないかを注意して見極めるようにしましょう。
ほかにも片耳だけ熱い場合や耳の一部が熱いといった場合には、怪我をしている可能性も否めません。
外傷があればそこから細菌が入り込み、炎症を起こして発熱することもあるので、色々な可能性を考慮しつつ、明確な原因を探るように心掛けてください。
◆熱中症
猫は体温調節が得意な動物ではないので、室内での熱中症は飼い主さんが普段から意識して対策をしておかなくてはいけません。
とくに夏のような気温の高い季節は、部屋の中が高温になる条件が多いので、飼い主さんが外出中だったとしてもエアコンを利用して室温を一定に保つ工夫や、日差しが入って温度が上昇しないような対策も必要と言えるでしょう。
日差しの強い昼間の時間帯でも、窓辺で日向ぼっこを楽しもうとする猫ちゃんは多いので、窓辺に日陰を作ってみたり、水飲み場や涼しい場所に寝床を増やしてみたりなど、事前に対策をしておくことによって熱中症は防げるはずです。
そして夏場だけでなく、寒い季節でもストーブやこたつ、電気カーペットなどを利用しているご家庭では、長時間それらの暖房器具を猫が使えば耳だけでなく全身が熱くなり、低温やけどといった症状が出てしまうこともあります。
猫は鼻先で温度を感じ取りますので、鼻先以外は温度に対して鈍感と言えるでしょう。
体が異常に温まったとしてもなかなか自分自身では気付けず、そのまま体調を崩してしまうこともあるので、猫と一緒に暮らすご家庭では猫の快適な室温を常にキープし、安全な状態での生活を心掛けてあげてください。
猫の耳が熱い時の対処法

猫の耳が熱いときには、飼い主さんがしっかりと状況を判断して、適切な対処法を用いて行動に移すことが何よりも大切です。
愛猫の耳に触れて熱さを感じた場合には、まずは何をしてあげるべきなのでしょうか。
◆生理的なものならそのままでOK
猫の耳が熱い原因が、眠気や興奮といった生理的現象であれば、そのまま様子をみるだけで構いません。
耳が熱い状態が一定の時間継続するだけで、いたって元気な姿を見せてくれるようでしたら、とくに心配する必要はないと言えるでしょう。
猫ちゃんの中には遊びに夢中になりすぎて呼吸が追いつかず、犬のようにパンティング(口呼吸)をするようであれば、一旦遊ぶことを中止し、水分補給を促すなどの工夫も大切です。
日頃から飼い主さんは愛猫の健康状態をチェックし、体調に変化が起きた場合にはすぐに気付いてあげられるようにしておくべきと言えますよね。
とくに猫は気温や体温に対して鈍感なので、猫と一緒に暮らす上での温度調節が重要であることを、しっかりと覚えておくようにしてください。
◆長く続くなら病院へ
なかなか耳の熱さが引かず、食事も摂れずに元気がない様子が見られるようであれば、素人では原因の追究が難しいので早めに動物病院へ愛猫を連れていき、獣医師さんに診察をしてもらうようにしましょう。
すぐに病院に連れて行けない事情がある場合(深夜や病院が休診日など)は、部屋の温度を見直し、暑いようであればエアコンの温度を下げるなどの対策を行ってください。
食欲があるようでしたら水分含有量の多いウェットフードを与えるなどをして、水分補給に努めてあげるのもおすすめです。
ある程度の対処は飼い主さんでもできますが、原因を追究して完治させることは難しいので、愛猫が辛い思いをする時間を減らしてあげるためにも、早急に動物病院で適切な治療を受けるようにしましょう。
まとめ
普段からそこまで触る機会が多いとは言えない猫の耳ですが、だからこそ熱いといった症状が出ているときには、すぐに気付いてあげられない場合も多いはずです。
そのようなことからも猫の耳は冷たいといった常識を再認識し、体調が悪そうな様子が見られるときには、発熱していないかの確認として、猫の耳に触れる癖をつけておくのも良いかもしれません。
もちろんいきなり強めに触ってしまえば嫌がる子も多いので、日常的にコミュニケーションの一環として頭を撫でる際に、耳に触れる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。
愛猫の異変に気付いてあげられるのは飼い主さんだけとなりますので、この記事を参考にし、生理的現象と体調不良の見分け方を知っていただけましたら幸いです。