1.そもそも、なぜブラッシングが必要なの?
2.猫の毛の構造は?
3.猫用のブラシの種類
4.猫のブラシを使う頻度と選び方
5.猫のブラシを使うときの注意点
6.ブラッシングで出た抜け毛の活用方法
7.まとめ
そもそも、なぜブラッシングが必要なの?
猫は自分で「毛づくろい」(グルーミング)をするから、ブラッシングは不要…なんて思っていませんか?実はブラッシングは、猫の健康管理にとても大切なものです。長毛猫はもちろん、短毛猫でもブラッシングが必要です。
◆毛並みを整える&毛玉の予防
ブラッシングをすることで、被毛についたゴミや汚れ、ホコリを落として、毛並みを美しく整えることができ、毛玉の予防にもなります。
◆皮膚病の早期発見や毛球症の予防
ブラッシングにより皮膚がマッサージされ、新陳代謝が促進されます。また、飼い主さんは、猫の被毛や皮膚の状態を間近でチェックできます。もしも何らかの異常(例:怪我やノミ、ダニの寄生など)があった場合に、それを早期発見する機会にもなるのではないでしょうか。
また、猫は「毛づくろい」(グルーミング)で抜け毛を舐めとって体内に飲み込みます。その抜け毛が、体外に排出されずに残ると、胃や腸で固まって様々な症状を起こしてしまうことがあります。いわゆる「毛球症」(もうきゅうしょう)と呼ばれるものです。
猫が体内に飲み込む抜け毛の量を少なくするためにも、日頃の適切なブラッシングが大切です。
◆猫とのコミュニケーション
気持ち良いブラッシングには、猫をリラックスさせる効果もあります。飼い主さんと猫とのコミュニケーションを、より一層深めることにも繋がるでしょう。
猫の毛の構造は?
ブラシの紹介をする前に、猫の被毛の構造について知っておきましょう。
猫の被毛は、その生え方によって、二つのタイプに分類されます。
一重構造の「シングルコート」と、二重構造の「ダブルコート」です。
このうち、二重構造のダブルコートは「オーバーコート」と「アンダーコート」の2種類の被毛から形成されています。
・オーバーコート(上毛):体の表面にある、硬くて張りがある被毛。
・アンダーコート(下毛):オーバーコートの下に生えている、密度が高く、細くて柔らかい被毛。
シングルコートの猫は、一年を通じて、比較的、抜け毛の量が少ないです。
一方、ダブルコートの猫では、換毛期(夏と冬の前)には、普段の数倍以上の多くの被毛が抜けます。これは、周囲の気温の変化に対応して体温調節を行っているためと言われています。
猫用のブラシの種類
ブラッシングに使う猫用ブラシには様々な種類があります。
価格帯も、1000円前後の安価なものから、ちょっと高級なものまで、幅広くあります。
猫の体の大きさに合わせて、S、M、Lなど複数のサイズで展開されているものも多いです。迷った場合には、ブラシに詳しい店員さんなどに相談してもよいでしょう。
猫に合っていないブラシを使うと、ブラッシングの効果が十分に得られないこともあります。使用目的や猫の毛の長さ、体の大きさなどに応じて、適切なブラシを使い分けるのがおすすめです。
以下で代表的なブラシの種類をご紹介します。
◆コーム
ステンレスなどの金属性です。人間の髪の毛に使う「くし」と似た形をしています。全体の仕上げや、部分的な毛玉ほぐしに使われます。
◆ピンブラシ
金属製のピンが付いており、先端が丸くなっています。皮膚を傷つけずにブラッシングができます。全体的なお手入れや、毛の「もつれ」をほどくのにも使われます。
◆ラバーブラシ
シリコンや熱可塑性エラストマーなど、ゴムのような弾性のある素材からできています。
体の表面の抜け毛取りに使われます。肌触りがよく、ブラッシングが苦手な猫でも比較的、嫌がらない傾向があるようです。
◆獣毛ブラシ(天然毛ブラシ)
動物(豚やイノシシなど)の毛でできています。全体的に毛流れを整え「毛づや」を出すのに使われます。水分や油分を含んでおり、静電気が起こりにくいという特徴があります。
◆アンダーコート用ブラシ
特殊なコームが、トップコートの下にあるアンダーコートを取り除きます。抜け毛がたくさん取れるので、使いすぎに注意しましょう。「ファーミネーター」という商品が有名です。
◆スリッカーブラシ
金属製の細いピンが付いています。主に長毛猫で、被毛のもつれや毛玉をほぐすのに使われます。先端が鋭いため、猫の皮膚に直接当てないように注意しましょう。
◆手袋型ブラシ
飼い主さんの手にはめて使う、ミトンのような形をした商品です。
ラバーブラシと同様に、体の表面の抜け毛取りに使われます。ブラッシングの苦手な猫にもおすすめです。
猫のブラシを使う頻度と選び方
◆短毛種
短毛種の猫は、一般的には、毛玉ができることが多くはありません。週に1~2回のブラッシングで十分です。
◆長毛種
長毛種は、毛に汚れが付きやすく、毛の絡まりやもつれ、毛玉が発生しやすいです。
できれば毎日のブラッシングが望ましいでしょう。
◆換毛期
換毛期は、特に抜け毛の量が多いです。普段よりも念入りなブラッシングがおすすめです。
◆子猫
子猫は、ブラッシングに不慣れです。ブラッシング嫌いにならないように、ブラッシングを「良いこと」と印象付けるのが大切です。可能であれば生後2~3カ月頃から、まずは毛を整える意識でコームなどを使い始めると良いようです。なるべくブラッシングの好きな猫になってくれると良いですね。
◆シニア猫
シニア猫は、徐々に「毛づくろい」(グルーミング)をしなくなるものです。若い頃に比べて「毛づや」がなくなり、毛玉ができやすくなる傾向にあります。一般的な老化現象であり、やむを得ないことです。猫に代わって、飼い主さんがブラッシングを丁寧に行ってあげましょう。
猫のブラシを使うときの注意点
◆愛猫のご機嫌を見ながら
ブラッシングをする際は、猫のご機嫌を伺いながら行いましょう。比較的、嫌がりにくい部位である首~背中から始め、優しく声を掛けて、褒めながら行うとよいでしょう。お腹などの柔らかい部位は、特に優しく行いましょう。
ブラッシングが好きな猫であれば、うっとりして喉をゴロゴロ鳴らし、甘える表情を見せてくれるかもしれません。とはいえ、ブラッシングをする時間は、長くても数分程度が目安です。猫が嫌がる様子を見せたら、それ以上、無理に行うことはやめましょう。
◆ブラシをかけすぎない
たくさんの抜け毛が取れると、ついつい、達成感を感じてしまうものです。しかし、ブラシをかけすぎると、必要な被毛まで取ってしまう可能性がありますので、かけすぎには注意しましょう。
◆使った後は必ず片付ける
ブラッシングの後は、集めた抜け毛や、使用後のブラシを放置しないように、気を付けましょう。いずれも猫自身のにおいが付いていますので、猫が興味を示して寄ってくる可能性が高いです。せっかく集めた抜け毛を飲み込む、ブラシをおもちゃだと思って遊んでしまうなどで、思わぬ怪我をする危険もあります。使用後は、速やかに片づけをしたいものですね。
ブラッシングで出た抜け毛の活用方法
ブラッシングで出た抜け毛は、もちろん、そのまま捨ててもよいのですが、抜け毛を集めて、アート作品として楽しむこともできます。愛猫の毛で作ったアート作品は、世界にひとつだけのオリジナルです。お時間のできた時に、是非一度、挑戦してみてはいかがでしょうか。
ただし、抜け毛には猫自身のにおいがついているため、猫が誤食してしまう危険があります。また、虫が付いてしまった場合は捨てましょう。
◆毛玉ボールを作る
集めた抜け毛を、石鹸(衣料用洗剤)を溶かしたお湯に浸しながら、ボール状に丸めていきます。石鹸をよく洗い流した後、乾燥させます。
◆猫毛フェルトとして使う
集めた抜け毛の形を整えた後、石鹸(衣料用洗剤)を溶かしたお湯に浸して、よく洗い流した後、乾燥させます。形を整える際には、手で整える他に、牛乳パックで作った型紙などを使用する方法もあるようです。
まとめ
猫のブラッシングには、被毛を美しく整えるだけではなく、皮膚の病気の早期発見や毛球症の予防などの効果があります。飼い主さんと猫とのコミュニケーションを深めるのにも役立ちます。
ブラシには様々な種類があり、猫の体型や被毛の長さ、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。猫に合っていないブラシでは、十分な効果が得られないことがあります。あなたの猫にぴったりなブラシを選んで、適切な頻度でブラッシングを行いましょう。
集めた猫の抜け毛を使って、毛玉ボールやフェルトを作って楽しむこともできます。世界に一つだけのアート作品を楽しんでみて下さい。
この記事が、猫のブラシ選びで迷っている方の参考になれば嬉しいです。
– おすすめ記事 –
・猫に必要なお手入れ総まとめ!手順と頻度を詳細に |
・【トリマー監修】猫の耳掃除の正しい方法、頻度は?こんな耳垢には要注意! |
・【獣医師監修】猫にも鼻くそができるって本当?きっかけとなる3つの原因とは? |
・猫の目やにの取り方を徹底解説!気をつけたい目やにの状態や注意点について |