【獣医師監修】猫にも鼻くそができるって本当?きっかけとなる3つの原因とは?

2022.05.13

【獣医師監修】猫にも鼻くそができるって本当?きっかけとなる3つの原因とは?

常日頃から清潔を意識してグルーミングを怠らない猫ではありますが、ティッシュや綿棒を自ら使用するわけではないので、鼻のお手入れもちゃんとできているのか、少し心配になってしまいますよね。 とくに猫は鼻呼吸をする動物なので、もし鼻くそが詰まってしまったら、息ができないのではと不安になってしまう飼い主さんは多いことでしょう。 果たして猫も人間と同じように鼻くそが出るのか、そして鼻くそができていたらどのように対処すべきなのかを考えてみました。

猫に鼻くそができる原因

寝ている猫

「鼻くそ」と聞くとその可愛げがない響きに、言葉にすることをためらう方も多いと思いますが、人間の体の構造上、鼻くそができるのは自然な生理現象と言えるでしょう。

猫にも鼻といった器官があるので、鼻くそができても不思議ではありませんが、猫には鼻毛がなく鼻くそをキャッチできないので、鼻くそのようなものが鼻の穴から覗いているのを発見した際には、心配になってしまう飼い主さんも多いはずです。

猫に鼻くそができていた場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

◆体質によるもの

猫の鼻の穴はとても小さいので、穴の中の構造(鼻腔)がどのようになっているのかを知らない方も多いとは思いますが、呼吸器となる猫の鼻の中は複雑な形をしており、全体を薄い粘膜が覆っています。

鼻粘膜には「繊毛(せんもう)」と呼ばれる細かい毛状のものが生えており、この繊毛に鼻水や鼻の奥から出る膿汁などの粘液が、鼻の穴付近で水分が抜けることにより、固まったものが鼻くそとして姿を現すようです。

猫ちゃんの中には体質的に鼻くそができやすい子も居ますので、もともと分泌物の量が多い体質の子や、アレルギー体質の子などは鼻水が出やすいはずですので、猫自身のセルフケア任せにするのではなく、飼い主さんの手助けが必要と言えるでしょう。

◆生活環境

鼻の外からの要因によってできる鼻くそは主に、空気中のハウスダストやほこり、ウイルスや細菌などといった異物が、鼻水と混ざり合って固まったものとなります。

こちらも基本的には鼻粘膜の働きにより、異物を体内に取り込まないようにはしますが、何かしらの要因が重なることによって鼻の穴付近で固まり、鼻くそとなるようです。

人間よりも床や地面との距離が近い猫は、そこに溜まったゴミを吸い込みやすいですし、外と家の中を行き来するような生活をする猫ちゃんも、さまざまな異物を吸い込んでくる可能性がありますので、注意が必要となりますよね。

とくに空気が乾燥しやすい冬場は鼻粘膜の働きも弱まり、加湿器などを利用して部屋の中の湿度を保つなどの工夫が重要となりますので、愛猫に鼻くそができていたときは、生活環境の見直しをしてみるのもおすすめです。

◆病気のため

猫が何かしらの病気を患っている場合にも、鼻くそが出ることがあるようです。

病気の症状として鼻くそが出ているのであれば、以下のような病気を疑って見た方が良いでしょう。

・鼻炎
・猫風邪(上部気道感染症)
・副鼻腔炎
・ポリープや腫瘍

鼻粘膜に炎症を起こす鼻炎や、鼻水が多くでる猫風邪を患っている猫ちゃんの場合は、病気が原因となって鼻くそができることがよくあります。

鼻炎が慢性化して引き起こされる副鼻腔炎や、鼻腔内にポリープや腫瘍ができている場合には、鼻水が溜まり呼吸が苦しく鼻詰まりを起こして、鼻の穴に異物が溜まることによって鼻くそとなっていくのが一般的です。

これらの病気が原因となって鼻くそができている場合、大量の鼻水やくしゃみ、鼻血や口呼吸などの別症状も一緒に出ているはずなので、それらのサインを見逃さないようにしましょう。


猫に鼻くそができていたらどうすればいい?

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猫に鼻くそができる原因を理解した上で、愛猫に鼻くそができていることを見つけてしまった場合、飼い主さんはきっと不安な気持ちになってしまうはずです。

そのとき飼い主さんは、どのような行動をとるべきなのでしょうか?

◆少量なら様子を見る

頻繁に鼻くそができていないのであれば、様子をみても構いません。

少量の鼻くそでしたら自然に取れることがほとんどですし、ほかに何かしらの症状が出るようなことがなく、愛猫が元気な様子であればそのまま経過をみてあげてください。

煩わしさを感じれば、グルーミング時に前足で鼻付近の手入れを念入りに行ったり、飼い主さんに鼻を擦り付けたりして取り除こうとしますので、心配しすぎず自然に任せるのが一番です。

◆飼い主さんが取ってあげる

少量であっても愛猫に鼻くそが付いていることが気になるようであれば、飼い主さんが優しく取ってあげるのもおすすめです。

どんなにキレイ好きな猫であっても、自分自身で鼻くそを取り除くことは難しいので、飼い主さんが手入れの手助けをすることにより、スキンシップにも繋がりますので一石二鳥ではないでしょうか。

◆動物病院で取ってもらう

猫の鼻はとても小さいので、無理矢理鼻くそを取って愛猫の鼻を傷付ける不安が残るようでしたら、動物病院で除去してもらうことも可能です。

鼻の表面にこびりついてしまったものや、鼻の奥で固まっているものは、さすがに素人では取りづらいので、プロの獣医師さんにお任せした方が安心できますよね。

猫ちゃんによっては信頼している飼い主さんに、顔付近を触られるだけで嫌がる子も居ますので、関係性を崩さないためにも動物病院を有効に活用してみましょう。

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◆突然大量に鼻くそができていたら

普段は健康な猫ちゃんに突然大量の鼻くそができた場合には、何かの病気が隠れているかもしれないので、動物病院で診察してもらうことをおすすめします。

猫は基本的に鼻呼吸をする動物ですので、鼻くそが鼻を塞いでしまえば上手に呼吸できない場合もありますし、一刻を争うこともあるので油断できません。

かかりつけの動物病院があるようでしたら、まずは獣医師さんに相談してみるのも良いですし、適切な指示を受けることによって、飼い主さん自身も焦らず対応できますので落ち着いて行動に移せますよね。

大量の鼻くそはたかが鼻くそと思って見過ごすようなことはせず、適切な方法で対処するように普段から心掛けておきましょう。


猫の鼻くその取り方

腕の中で眠る子猫

飼い主さん自身で愛猫の鼻くそを取ってあげたいと思った場合は、繊細な鼻を傷付けないように、細心の注意を払って除去する必要がありますよね。

とくに猫という動物は自分の意思とは関係なく、誰かに無理矢理何かをされることを嫌がりますので、愛猫に負担がかからないような方法で取ってあげなくてはいけません。

飼い主さんが愛猫の鼻くそを取る場合には、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

◆優しく猫に負担をかけないように

猫の鼻はとても繊細なので、粘膜を傷付けないためにも優しく取り除いてあげることが重要です。

無理矢理愛猫の頭を押さえつけ、飼い主さんの爪を使ってカリカリと鼻くそを剥がすようなことはせず、まずは愛猫をリラックスさせてあげましょう。

リラックスをしていない状態で取り除こうとすると、抵抗されることや攻撃(引っ掻いたり噛みついたり)されることもあるので、安全第一で行ってあげてください。

猫の鼻は皮膚も薄いので、皮膚に優しいガーゼやコットンなどを使用し、ぬるま湯である程度湿らしてから優しく拭き取ってあげましょう。

抱っこが苦手な子でなければ、仰向けに抱っこした状態で頭を片手で押さえ、もう片方の手で拭き取るのが理想的です。

ぬるま湯で湿らすことによって、固まった鼻くそがある程度ふやかされますので、負担と時間をかけずに取り除くことが可能となります。

また、強く擦りすぎてしまうと、皮膚の薄い鼻が炎症を起こしてしまうので、優しい力加減を心掛けて行うようにしましょう。

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◆無理やり行わない

もし猫ちゃんが嫌がる素振りを見せるようであれば、無理に鼻くそを取るのはストレスを与えることとなるので、一旦除去するのを諦めてください。

嫌がっているのに無理矢理取り除こうとすれば、飼い主さんへの不信感が募ってしまいますし、その後も鼻付近を触られるたびに抵抗を繰り返すようになります。

鼻くそが少量であればそこまで重要視する必要はありませんし、鼻くそが原因でほかに症状が出ているようであれば、プロに任せて除去してもらうことが一番ですよね。

信頼関係なくしては行えない作業となりますので、愛猫の気持ちを優先的に考え、最善の方法で対処を試みてはいかがでしょうか。


まとめ

猫の鼻は温度を測ることやニオイを嗅ぐことに必要な器官となりますので、鼻くそで鼻が詰まって嗅覚が鈍ることは、猫にとって致命的となりますよね。

鼻が十分な機能を発揮しなければ、さまざまな行動が制限されてしまうので、食欲不振や体調不良といった症状が出てしまうことも否めません。

鼻くそはどんなにキレイを心掛けている猫でも、目やにや耳垢と同じようにできてしまう生理現象となるので、出さないようにするのは不可能となりますが、毎日の観察や日頃のケアにより、でき難くするのは可能と言えるでしょう。

愛猫の健康を守る意味合いでも、鼻くそのケアは大切となりますので、日常的なお手入れを心掛けつつ、飼い主さんが対処しきれないときは、動物病院で除去してもらってみてはいかがでしょうか。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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