ベンガルヤマネコってどんな猫?日本ではペットとして飼えるの?

2022.07.09

ベンガルヤマネコってどんな猫?日本ではペットとして飼えるの?

「ヤマネコ」という言葉を聞くと、体格の大きい野性的な見た目のネコを想像する方は多いと思います。 日本ではイリオモテヤマネコやツシマヤマネコが有名ですが、イエネコのように小柄で美しい模様を持つ「ベンガルヤマネコ」をご存知でしょうか。 飼育可能なベンガルと同じ名前を持つベンガルヤマネコは、どのような特徴を持ち、会うためにはどんな手段があるのかなどを、ご紹介させていただきます。

ベンガルヤマネコってどんなネコ?


なかなか日本人にとって馴染みのない「ベンガルヤマネコ(Prionailurus bengalensis)」ですが、猫好きの方であればどんなヤマネコなのか、詳しく知りたいといった方も多いのではないでしょうか。

まずはベンガルヤマネコの特徴を、見ていきましょう。

◆体の特徴

ベンガルヤマネコはヤマネコの中でも小柄で、一見イエネコのようにも見えますが、足が長めで尾長は体長の半分ほどの長さがあるといった特徴を持っています。

英語で「leopard cat」と呼ばれる通り、黒や褐色をした豹(ヒョウ)のような斑模様を持ち、この斑点は必ず縦に並んだ状態となっているため、その美しさがより際立ちますよね。

そのほかにも黒い被毛で覆われた耳介の後方には白い斑点(虎耳状斑)が入り、額から首にかけて4~5本程度の縞模様や、頬にも2本の黒帯が見られます。

ベンガルヤマネコの分布域は広く、多くの亜種が知られていることからも、体長が80㎝超え、体重も7kg超えといった大きさのある亜種も存在するようです。

◆生息地

ベンガルヤマネコの生息地は、インドから中国にかけて、そのほかの東南アジアや朝鮮半島といった、広い地域で確認されています。

主に森林地帯や湿地帯を生活圏として活動していますが、多くの亜種が存在していると前述したように、生活している生息地によっては、体の大きさや毛色に差が出ることも特徴的です。

このようなことからもベンガルヤマネコは環境適応能力が高く、乾燥した地域は避け、10cm以上の積雪があるような地域では生息していません。

◆特性

生息地が広いベンガルヤマネコではありますが、行動範囲は2k㎡~10k㎡程度と考えられており、メスよりもオスの方が広い行動範囲を持っていると言われています。

繁殖期以外は単独行動を好み、昼間は岩穴や木の洞などに潜んで過ごし、夕暮れから明け方までの暗い時間帯に活動しつつ、鳥類や小動物、昆虫や爬虫類などを捕らえて暮らしているようです。

水がある場所を好んで生活していることもあり、ベンガルヤマネコの中には水の中に入って獲物を狩猟する個体も存在します。

◆ベンガルとの違いは?

ベンガル

ベンガルヤマネコと聞くと、猫の血統登録機関にも認定されている「ベンガル」を思い浮かべますが、ベンガルは人為的に交配されて誕生した猫種となります。

純血種の猫の中でも野性味あふれる美しい容姿はとても人気で、日本ではベンガル専門の猫カフェやブリーダーが存在し、人気の高い猫種であることがうかがえますよね。

1960年代には自然の中で生きる野生のベンガルヤマネコが激減し、1970年代に猫白血病のゲノム研究を行う際に、ベンガルヤマネコとイエネコを交配させたことがベンガルのルーツとなり、1980年代にはTICAにも認定され、比較的新しい猫種となっています。

ベンガルヤマネコの特徴を強く受け継いだベンガルも、人気がある中でまだまだ珍しい品種として認識されることも多く、これからも目が離すことのできない猫種であると言えるでしょう。


ベンガルヤマネコをペットとして飼える?

ベンガルはペットとしての飼育が可能となっていますが、ベンガルヤマネコの場合はどうなのでしょうか?

◆ベンガルヤマネコは飼うことができない

残念ながらベンガルヤマネコはベンガルのように、ペットとして飼育することはできません。

日本でベンガルヤマネコは「特定動物」に指定されており、特定動物は「動物愛護管理法」に基づいて、お住いの地域での許可が必要となってきます。

ルールが守られなければ罰則となる上に、性格は荒く日本ではヤマネコを飼育できるだけの環境が整っていないこともあり、野生のベンガルヤマネコを飼うことは難しいとされているようです。

また、それ以前に「ワシントン条約」により、絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引に関する条約が定められているため、一般の方は簡単に野生動物を輸入することができません。

◆絶滅危惧種となった理由は?

現在ベンガルヤマネコはレッドリストに登録され、亜種によっては絶滅危惧種として知られています。

正確な頭数までは分かりませんが、ベンガルヤマネコが生息している地域では鉱山開発や森林の開発などが進み、ベンガルヤマネコのみならず野生動物の生息域が減少しているのです。

生息域が減少して狭まれば、自然の中で暮らす小動物や昆虫、植物も育たなくなるため、必然的に餌となる食料も狩猟できず、命を落としてしまうことも否めません。

そして鉱山や森林開発だけでなく、道路の建設などによって生息域が分断され、広かったはずの行動範囲が必然的に狭くなり、島状に点在化してしまうことも、生息数減少の理由となっているようです。


ベンガルヤマネコに会う方法は?

広い地域で生息しているのにも関わらず、生息数が減少しているベンガルヤマネコでありますが、希少なことからも是非実際に見てみたいという方も多いことでしょう。

ベンガルヤマネコに会うためには、どのような手段があるのでしょうか?

◆飼育している動物園に行く

日本でベンガルヤマネコに会いたい場合には、飼育している動物園に遊びに行ってみてください。

現在国内でベンガルヤマネコを飼育している動物園は、鹿児島県にある「平川動物公園」のみとなります。

鹿児島に行く予定がある場合には、希少なベンガルヤマネコを見に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

◆飼育している動物園のSNS

鹿児島まで行くことは難しいけれど、どうしても動いているベンガルヤマネコが見たいようであれば、動物園のSNSなどを活用してみましょう。

過去の画像や映像が多く紹介されてはいますが、臨場感のある貴重な動く姿を拝見できるはずです。

ベンガルヤマネコ以外にもベンガルヤマネコの亜種である、そのほかのヤマネコや動物といった映像も見られるため、お家に居ながらさまざまな動物に会うことができます。


ベンガルヤマネコの他にヤマネコはどんな種類がいる?

ヤマネコ

たくさんの亜種が存在するベンガルヤマネコですが、ベンガルヤマネコに似たヤマネコには、以下のような種類が挙げられます。

◆ツシマヤマネコ

日本で知名度の高いヤマネコといえば、長崎県の対馬にのみ分布している「ツシマヤマネコ」が有名ですよね。

哺乳綱食肉目ネコ科に属する、ベンガルヤマネコの極東亜種となりますが、かつては独立種であるとされていました。

現在では遺伝子の研究により、ベンガルヤマネコの亜種として扱われるようになりましたが、天然記念物に指定されるほど貴重なヤマネコにかわりはないため、日本でしっかりと守っていくべきヤマネコと言えるでしょう。

◆イリオモテヤマネコ

日本でもっとも認知度の高いヤマネコとして知られている「イリオモテヤマネコ」は、1965年に沖縄県の西表島で発見されたヤマネコです。

イリオモテヤマネコもツシマヤマネコと同じように、発見当時は独立種と考えられていましたが、現在ではアジア東部‎に生息するベンガルヤマネコの亜種として分類されています。

国の特別天然記念物に指定されていることからも希少性が高く、日本でイリオモテヤマネコが展示されている動物園は存在していません。

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◆アムールヤマネコ

ツシマヤマネコと同じ亜種となる「アムールヤマネコ」は、ベンガルヤマネコと同じように東南アジアを中心に分布するヤマネコとなります。

見た目もツシマヤマネコによく似ていますが、2022年5月には日本で16年ぶりの自然繁殖によって、4頭のヤマネコが新たに誕生したという嬉しいニュースも入ってきました。

希少種であるアムールヤマネコの赤ちゃんが見られる特別な機会となるため、公開時期に合わせて東京都の「井の頭自然文化園」へ足を運んでみることもおすすめです。

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まとめ

ヤマネコの中でもイエネコに近い容姿を持つベンガルヤマネコは、ネコ科の中でも一際美しく、独特の存在感を醸し出していますよね。

その特別な美しさから狩猟の対象になってしまった時代もあり、数が減少してきましたが、絶滅させないためにも地球の環境保存について、一人一人が改めて考える必要があるのではないでしょうか。

日本で実際にお目にかかるためには、鹿児島県まで足を運ぶ必要がありますが、SNSやネットを利用すれば、動く姿を誰でも拝見ができます。

そのほかのヤマネコを展示している動物園も多数あるため、動物園に行く際にはヤマネコが飼育されているかを調べてから、足を運んでみてください。

野性味溢れる美しさは、イエネコとはまた違う魅力を見せてくれますので、お気に入りの子を見つけに行きましょう!



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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