猫の「スプレー」とは。猫のマーキングの意味や対策方法をご紹介

2024.07.09

猫の「スプレー」とは。猫のマーキングの意味や対策方法をご紹介

猫には、自分のなわばりや所有物にニオイをつけて「マーキング」を行う習性があります。 特に、おしっこでアピールするマーキングが「スプレー」。 猫だけでなく飼い主さんやお客さんにも分かる程の強烈なニオイを発するので、猫のスプレーで困っている飼い主さんも多いことでしょう。 今回は、猫のスプレーについて、その行為の理由から改善方法まで解説していきます。

【掲載:2022.12.03  更新:2024.07.09】

猫のスプレー行為とは

猫のスプレー

『猫のマーキング』と一口に言っても方法は様々で、気持ちや行動の目的によって色々な行動を起こします。

猫のスプレー行為とは、猫が自分の存在をアピールするために行うマーキングの一つで、通常よりも濃いおしっこを縄張り周囲にかける行為のことです。
家の中では、壁や家具にスプレー行為をすることが多いでしょう。

スプレー行為の際、猫は立ったままで直立のものや柱にお尻を向けて尾を上げ、尿を吹き付けます。

猫がスプレー行為を行ったあとは、尾の先を少し曲げて震わせて、後ろ足で足踏みする様子が見られます。

1回に排出される尿量は普通のおしっこと比較すると少量ですが、独特で強烈なニオイが特徴的です。
特に、雄の成猫では種に特異的な物質を含んでいるため、尿スプレーには強い臭気があります。

スプレー行為と決められた場所以外でおしっこしてしまう排泄問題とでは、行動もその意味も異なるので注意しましょう。

◆猫がスプレー行為をする理由

一般的に家猫のスプレー行為は、不安や不満を表していると言われており、生活環境に不満があったりストレスを抱えていたりする場合があると考えられます。

猫本来の習性としてのスプレー行為としては、「なわばり性行動」「性行動」「闘争」などにおけるコミュニケーション手段としての機能を持つと言われています。

自分のなわばりをアピールする意思表示、発情中の雌をひきつけるための行動、他の猫に対する自分の存在アピールなどです。

室内で暮らす猫の場合、一緒に住む同居猫や窓などから見える野良猫の存在によって起こる場合があります。

◆雌猫もスプレー行為をするのか

室内における猫のスプレー行為は、雄猫に多く見られる問題行動ですが、雌猫でも見られます。

実は、スプレー行為は外で暮らす野生の猫において雌雄のどちらでも見られる行動で。雄猫ではもちろんですが、雌猫もなわばりや自分の存在をアピールするため、またより良い雄を見つけるためにスプレーします。

スプレー行為の抑制において、雄猫での去勢手術が有効であることはよく知られていますが、雌猫においても避妊手術が有効です。


猫のスプレー行為はいつからいつまで続く?

猫のスプレー行為と関係しているのが「発情期」。
スプレー行為には、自分の存在をアピールする意味がありますが、発情期にはよりその意思が強くなります。
そのため、発情期にともなってスプレー行為を行うことが多くみられるでしょう。

猫の発情期は、具体的にいつからいつまで続くのでしょうか?
猫は春から夏にかけて、暖かくなってくると繁殖期を迎えます。

具体的には、昼間の長さが延び始めた1月頃に繁殖期が始まり、9月頃まで続くことがあります
。特に、2月から4月と6月から8月に繁殖期のピークを迎え、その頃には屋外で子猫を見かけることもあるでしょう。

雌猫の発情は日照時間と関係しており、日照時間が14時間を越えると反応して発情期を迎えるといわれています。
理由は、寒くて食べ物の少ない冬よりも、食べ物が豊かな暖かい季節に出産したほうが子猫の生存率が高まることによると考えられています。

このメカニズムは、太陽の光だけでなく人工の照明でも引き起こされます。

日照時間に関係して発情するのは、雌猫だけ。
雄猫は、発情している雌猫の鳴き声やフェロモンに刺激されて発情が誘発されます。

つまり、発情期にともなった猫のスプレー行為は、春から夏にかけての長期間にわたって続くと考えられます。

猫がスプレー行為をするのは、性行動だけでなく、他の猫に対するアピールでもあるので、発情期だけに起こるとは限りません。

猫のスプレー行為は発情期に多く見られるものの、基本的には常に行う可能性があると考えられるでしょう。


猫のスプレー行為をやめさせる方法は?

リビング

猫のスプレー行為は、猫が本来もつ習性ですが、去勢などにより減少させることができます。また、環境中のストレスによって引き起こされている場合は、その原因を特定して取り除いてあげることが大切です。猫のスプレーに対する具体的な対策方法を見ていきましょう。

◆発情期前の去勢

雄猫のスプレー行為は、性ホルモンであるアンドロジェンに影響されるため、去勢手術が効果的です。また、雌猫においても避妊手術はスプレー行為の改善に効果があります。去勢手術および避妊手術をすることにより、猫のスプレー行為は雄で90%、雌で95%減少することも分かっています。さらに、発情期の鳴き声や一部の不安行動も改善します。雄猫の場合、攻撃性の改善にも役立つことが分かっています。
スプレー行為などに効果的な去勢手術や避妊手術は、行うべきタイミングが決まっているのでしょうか?北米の大学では、生後8~14週齢での早期手術が推奨されているようです。少なくとも、初回発情前に手術しておくのが良いでしょう。猫の性成熟は、生後6~9ヶ月。できるだけ性成熟を迎える前に、手術を行うのがポイントです。今では、去勢手術や避妊手術をするのが一般的ですが、手術にはリスクもあるため、獣医師とよく相談して行ってもらいましょう。

◆ストレスを除去する

環境中のストレスにより引き起こされるスプレー行為は、その原因を特定して、除去してあげることが大切です。例えば、室内外を自由に出入りできる環境下では、野良猫が家に侵入して来られるために、お家の猫は不安が高まってしまうことがあります。この場合は、出入り口をふさいで野良猫が入れないようにして安心させてあげる必要があります。また、多頭飼いにより、それぞれの猫に必要な距離が確保できていない場合は、猫の社会的ストレスが高まって一部の猫でスプレー行為が始まることがあります。この場合は、環境を根本的に変えてあげないと、スプレー行為を改善するのは難しいでしょう。猫の生活空間を完全に分けるために、部屋を移動させるか、または別の家庭で飼ってもらう必要があるかもしれません。

◆市販の対策グッズを利用する

スプレー行為の原因となる猫のストレスを特定することはなかなか難しいもの。去勢手術や避妊手術をした後も、度々スプレー行為をしてしまうようなら、獣医師に相談してみるのがおすすめです。

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スプレー行為の解決策として、猫のフェイシャルフェロモンを使用するのも有効的です。猫は、マーキングの際に顔をこすりつけてフェロモンを付着させます。これは、スプレーによるマーキングと同様の動機から起こるものです。フェイシャルフェロモンがすでに付着している場所に、あえてその上にマーキングを行わないため、スプレーが抑制されるのです。

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フェイシャルフェロモンF3は猫の頬から分泌され、猫の生活内にある物、人、他の動物などに慣れ親しんでいることを示すためにこすりつけるものです。

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フェイシャルフェロモンの効果を商品化した「フェリウェイスプレー」を活用してみることをおすすめします。

ただ、フェロモンによる抑制は、「ここにはすでにマーキングしてある」という認識によるものであるため、不安や社会的ストレスのような原因そのものを除去できているわけではないことに注意しましょう。ただ、スプレーの原因が些細なものや一過性のものである場合は、フェロモンを活用した抑制によって一時的に止めている間に改善されて消失する可能性もあります。


まとめ

猫のスプレー行為は、マーキングの一つとして「なわばりアピール」「性行動」「自分アピール」のような意味を持っています。特に発情期にともなってスプレー行為が増加するため、スプレーの抑制としては猫の性成熟前に去勢および避妊手術をしておくことが重要です。スプレー行為と発情は、雌雄ともに関係しているため、獣医師と相談しながら行いましょう。また、猫のスプレーは、環境中の不安や不満、社会的ストレスによっても起こります。特に、外の野良猫や同居猫の存在には注意しましょう。スプレー行為の解決策として、フェイシャルフェロモンを活用した商品もあるので、上手に活用するとよいですね。



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ゆき

ゆき

小さい頃から動物が好きで、特に猫が好きです。 実家の猫とは20年以上一緒に暮らしており、妹のような存在。 大学では獣医学を専攻し、動物行動学に興味をもって勉強しています。


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