猫は少食になる?
愛猫にご飯をあげるといった行為は、猫との生活の中で欠かすことのできないお世話の一環となりますが、キレイに全部食べてくれることなく、容器にいつもフードが残っていたとしたら、愛猫の体調が悪いのかと飼い主さんは不安な気持ちになってしまうことでしょう。
飼い主さんの中には食事の時間を決め食事量を分散させつつ、1日数回に分けて与えている方は多くいらっしゃいますが、少ない分量でも毎回少量残されてしまう際には、少食になる原因を突き止めて、改善に向けて対策したいものですよね。
そもそも猫の祖先は単独で生活していたことからも、自分で獲物を狩って捕食する必要がある上に、狩りができないときや獲物を敵に横取りされる危険性と常に隣り合わせなため、毎回食事にありつけるといった確証がありません。
そのため、捕獲した獲物は一度に食べきろうとはせず、数回に分けて食べるといった「ちょこちょこ食い」の習性を持っており、この名残りが現代を生きる猫たちにも引き継がれていることは明確です。
特にイエネコの場合は外敵からご飯を横取りされる心配もないですし、フードを少し残しておいても、またお腹が空けば残ったご飯を食べることができます。
このような習性を持ち合わせている猫だからこそ、多少少食になっていたとしても心配ないことがほとんどではありますが、猫ちゃんによっては習性に関係なく、明らかに別の理由が隠されていることもあるため、飼い主さんはその線引きをしっかりと見極めなくてはいけません。
猫が少食になる際に考えられる理由は、以下の通りになります。
猫が少食になる理由
習性以外に考えられる、猫が少食になる理由については、次のようなことが考えられています。
◆飽きている
猫が少食になる理由についてまず考えられるのは、そのご飯の味に飽きているということです。
猫は好き嫌いがはっきりしていることもあり、同じキャットフードの味に飽きてしまえば自然と残すようになっていき、その様子を見て心配した飼い主さんが新しいフードや嗜好性の高いおやつを与えることによって、一時は食べてくれるようになっても、また飽きてしまえば少食になるといった行為を繰り返します。
フードに飽きたまま放っておくと、1日に必要な栄養素やカロリーを摂取できないため、早急の対策が必要と言えるでしょう。
◆ごはんが嫌い
キャットフードの味に飽きているのではなく、そのフードそのものが嫌いな場合でも、猫は少食になることがよくあります。
特に新しいキャットフードに切り替えるタイミングで、少食になったようであれば、新しいフードへの抵抗感が強く出ていることもあり、無理にでもそのフードを与え続けてしまえば、まったく口をつけてくれなくなることも否めません。
フードの切り替え時には一度に全部切り替えるようなことはせずに、1週間程度時間をかけて徐々にフードの切り替えを行ってください。
◆口内炎
口内炎のような口腔トラブルを抱えている場合にも、猫は少食になることがよくあります。
口内炎は私たちが患った際にも煩わしさを覚えますし、猫からしたら原因が分からないため、その煩わしさは人間以上に敏感になっているはずです。
痛みを伴う口内炎や歯肉炎は、食欲よりも口に食べ物を含んだ際の辛さが勝ってしまい、少食になる傾向が強くなるため、まったく食事を摂らなくなる前に対処をするようにしましょう。
◆体調不良
猫は体調が悪くなるとじっとして自然治癒を心掛ける動物でもあり、大好きな食事も摂らないで体調が回復するのを待つ子が多いようです。
ケガや病気を患っている場合も同じで、猫も体調が思わしくないと感じれば食欲が落ち、自然と少食になってしまうのは仕方のないことですよね。
また、高齢の猫の場合も臓器の機能低下や、噛む力の衰えなどにより、自然と少食になっていくため、年齢や体調に合ったフード選びも大切です。
◆季節の変化
日本には四季がありますが、特に梅雨から夏といった季節には湿度や気温が高くなり、人間と同じで猫も食欲が落ちることがよくあります。
そして食欲が落ちるだけではなく、暑い季節にはちょこっと残したフードを長時間放置しておくと酸化し、鼻の利く猫はニオイを嗅いだだけで、フード自体に嫌悪感を抱くようになることがあるそうです。
ほかにもウェットフードが基本の猫ちゃんであれば、寒い冬の季節は冷たく感じて、口をつけなくなってしまうこともよくあります。
このように温度で食欲が変化することもあるため、室温は1年を通して一定に保つ工夫も必要と言えるでしょう。
◆ストレス
デリケートな一面を持ち合わせている猫は、少しの環境の変化によっても食欲が落ち、少食になってしまうケースも少なくありません。
留守番の時間が長く飼い主さんがあまり構ってくれない、引っ越し、新しい家族が増える(人間の赤ちゃんや新しいペットの迎え入れ)などは、猫にとって多大なストレスとなってしまうことでしょう。
さらにデリケートな猫ちゃんの場合は、ご飯を食べるスペースの移動や、器が変わっただけでも少食になってしまうこともあるため、普段から愛猫の性格を見極めて、ストレスのかからないような環境づくりを心掛けてあげてください。
子猫の少食は良くない?
成猫が少食の場合は、その理由に合わせての対策が可能となりますが、子猫が少食の場合には注意が必要です。
子猫は成長していく過程の中で、健康的な骨や臓器を形成するためにも、十分な栄養素とカロリーを摂取しなくてはいけないですし、本来食べるべき量を食べられないようであれば、その原因(先天的な疾患など)を突き止めなければいけません。
単純に「この子は食の細い子なのかな?」と見過ごすのではなく、早急に動物病院の獣医師さんに相談して、フードの選び方や食欲が増進する方法などをレクチャーしてもらいましょう。
たくさん食べてたのに急に少食になったら
猫ちゃんは何かしらの理由によって少食になることがよくありますが、飼い主さん自身が急に少食になったと感じた場合は、注意が必要と言えるでしょう。
一時的なものですぐに普段通り食欲が戻れば、そこまで不安視する必要はありませんが、少食が進んでまったくご飯を食べない状態が数日続いてしまえば、体内の脂質が肝臓へ過剰に蓄積する「肝リピドーシス」を発症する恐れがあります。
肝リピドーシスは最悪の場合命を落とすこともある病気ですので、たかが少食と思って見過ごすようなことはせず、急激な変化を見逃さないように改めて食事の管理を徹底するようにしてください。
猫の少食対策はある?
猫が少食の場合には、高カロリーのキャットフードを与えれば、問題が解決するような気もしますが、そんなに単純なことではありません。
猫の年齢や体重などによって必要な栄養素やカロリーは異なりますし、高カロリーなフードを与えるだけでは栄養バランスが崩れ、カロリーを過剰摂取する結果となって、さまざまな病気を引き起こす原因となることがあるからです。
大切なのは現在与えているフードを見直し、栄養バランスがしっかりと摂れるフードに切り替え、食事の回数を増やすようにして、毎回食べきってもらえる工夫をすることも大切です。
ほかにも、ご飯の容器が食べにくそうであれば、食べやすそうな器に変えてみることや、ストレスが原因であれば生活環境を見直してみるのも良いですよね。
また、体調不良で食欲が低下しているようであれば、早急に動物病院を受診し、適切な治療を受けて美味しく食事ができるように手助けをしてあげましょう。
まとめ
ご飯を食べるということは生きることに繋がりますが、愛猫が少食になっている様子が見られると、なぜしっかりと食べてくれないのか、心配になってしまう飼い主さんは多いはずです。
もともと猫はちょこちょこ食いをする習性を持っていたとしても、毎日必要量をしっかり食べなければ、栄養も不十分になり体にさまざまな負担が出てくることも否めません。
飼い主さんはなぜ愛猫が少食になっているかの原因を探り、その原因に対しての対処法を用いて、食欲が戻るように手助けをする必要がありますよね。
猫は自分で不満を訴えられないからこそ、日々の観察やコミュニケーションは大切になってきますし、きちんとご飯を食べてもらって健康を維持させることも飼い主の責任となります。
愛猫と長く一緒に暮らすためにも、毎日の食事管理を徹底し、喜んでご飯を食べてくれるように心掛けていきましょう。
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