【獣医師監修】猫の歯が抜けるのは病気?原因と対策、注意するポイントを紹介

2024.05.19

【獣医師監修】猫の歯が抜けるのは病気?原因と対策、注意するポイントを紹介

子猫の場合、生え変わりで歯が抜けることがあります。ですがもし、生え変わり時期でもないのに、成猫になってから歯が抜けることがあったら、「これは大丈夫なの?」と心配になってしまいますよね。今回は、年齢別の猫の歯が抜ける原因や、可能性のある病気、病院に連れて行ったほうがいい場合のチェックポイントや家でできる猫のお口ケアなどについて紹介します。愛猫のお口の健康が気になる方はぜひ参考にしてみてください!

歯の構造

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猫の歯は、人間と同じく乳歯から永久歯に生え変わります。乳歯は26本、永久歯は30本あり、歯は生えている場所によって役割が異なります。牙のような「犬歯」は、大きくとがっていて、獲物を捕らえる武器のような役割を果たします。後方にある「臼歯」は、食べ物を嚙み切って飲み込むために使用します。人間は食べ物を咀嚼してすり潰しますが、猫は咀嚼しません。臼歯を使い、食べ物を食べられるサイズに嚙み切ってそのまま飲み込んでいます。最後に「切歯」は前歯の位置にある歯です。細かい歯が並んでいて、これはグルーミングの際、「くし」のように使われています。

また猫はほとんど虫歯になることはありません。その理由は、口腔内が虫歯菌の育ちにくいアルカリ性であること、猫の歯が食べカスが溜まりにくい形状であること、そして虫歯の原因となる糖分を摂取する機会がほとんどないことなどが挙げられます。ただ、絶対にならないというわけではありませんのでご注意ください。


猫の歯が抜ける原因

猫の歯が抜ける原因はさまざまです。成長の過程で自然に抜けることもあれば、中には、病気のサインであることも。ここでは、猫の歯が抜ける原因について年齢別に詳しく解説します。愛猫の歯の異変に気づくために、ぜひ参考にしてください。

◆子猫

子猫の歯は、生後2週間くらいから生え始め、だいたい3~6週間で生えそろいます。その後、生後3か月から6か月ごろの間に、乳歯から永久歯へと生え変わっていきます。この時期に歯が抜けた場合、少し出血することがあっても、これは自然な現象なのであまり心配する必要はありません。ですが、歯が途中で折れてしまっていたときや、出血が多いときなどは病院の受診をおすすめします。

実は猫の歯の生え変わりは、乳歯が生えている状態で永久歯が生えてきます。そのため見た目ではわかりにくく、抜けた乳歯をそのまま飲み込んでしまう猫ちゃんも多いので、生え変わりに気づかない飼い主さんも意外と多いのです。
生え変わりの時期には、子猫は口の中に違和感があり、おもちゃや飼い主さんの手などを噛んだり、よだれが多くなったりすることがあります。このような様子がみられたら、生え変わり時期のサインだと理解しておきましょう。

◆成猫

通常、一度永久歯に生え変わったら、永久歯は自然に抜けることはありません。そのため、成猫になってから歯が抜け落ちた場合は、なんらかの病気が原因である可能性があります。
歯が抜ける主な病気としては、歯周病や歯頚(しけい)部吸収病巣などがあります。こちらについてはのちほど詳しく解説します。
 

◆高齢猫

猫は、高齢になると歯が抜け落ちやすくなることがあります。これは、人間と同様、年齢とともに歯を支える土台が弱くなるためです。歯が抜けた際に、歯茎が腫れていたり、痛がっている様子だったりということがなければ、老化による自然な現象と考えられます。7歳以上の中高年期以降、特に10歳以降にこの症状がみられ始めます。愛猫が高齢になってきたら、猫ちゃんの歯にかかる負担を減らすため、シニア用のフードへの切り替えも検討してみましょう。

老化によって歯が抜けるのは心配ありませんが、高齢の猫の場合は成猫期と同じく、歯周病や口内炎などの病気によって歯が抜ける場合もあるので注意が必要です。口の中の様子はわかりにくいこともあるので、猫ちゃんの歯が抜けた場合は、念のため動物病院で口腔内診を受け、病気が原因ではないか確認してもらうことをおすすめします。


猫の歯が抜けるのは病気の可能性も?

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猫の歯が抜ける原因には、病気が潜んでいることがあります。ここでは、歯が抜ける可能性のある主な病気とその症状などを解説します。気になる症状と一致するものがないか、ぜひチェックしてみてください。
 

◆歯周病・歯肉炎

猫の口内病気の中でもっとも多いのが、歯周病です。これは、歯垢に潜む細菌が歯茎の溝で繁殖し、その細菌によって歯肉に炎症が起こる病気です。3歳以上の猫の多くが罹患すると言われ、高齢猫の場合は若い頃に発症した歯周病が進行し、最終的に歯が抜けてしまうことがあります。

歯周病の症状は、口臭、歯茎の腫れ・出血、ご飯を食べにくそうにする、よだれの増加、食欲低下などです。さらに進行した場合、歯肉と歯の間に隙間ができて歯が抜けてしまうことがあります。

また歯周病の初期症状として、歯肉炎という病気があります。歯肉炎になると歯茎の腫れや出血などが起こります。この病気は、口腔内が不衛生な状態でバクテリアが繁殖し、歯垢が蓄積することで起こる炎症です。

◆歯頚(しけい)部吸収病巣

歯頚(しけい)部吸収病巣は、何らかの原因で歯が溶けてしまう病気です。この病気も多くの猫にみられ、3歳以上の半数近くの猫が罹患するとも言われています。この病気の主な症状として、口臭、歯茎の腫れ、ご飯を食べにくそうにする、よだれの増加、痛みでの食欲低下などが挙げられます。

この病気は、進行を止める薬などがありません。そのため治療としては、全身麻酔で抜歯をすることで痛みの原因を取り除いてあげるという方法が一番効果的とされています。

◆口腔内腫瘍

口腔内腫瘍とは、その名の通り、猫の口の中にできる腫瘍を指します。腫瘍のサイズや位置はさまざまで、その腫瘍が原因となり歯が抜けることがあります。主な症状は、口臭、出血、できもの、食欲低下などが挙げられます。この病気は転移することもあるので、できものなど気になる症状があればすぐ、動物病院を受診しましょう。

◆怪我/固いものを噛んで歯が折れる

猫の歯が抜ける以外にも、歯が欠けたり折れたりすることがあります。高いところからの落下や喧嘩など、何らかの衝撃で折れてしまうことが原因です。特に折れやすいと言われるのは犬歯で、これは一番外部に触れる機会が多いためだとされています。
歯が損傷すると温度に敏感になったり、痛みを感じたりすることがあります。そのため、歯が欠けたり折れたりしていることに気がついたときは、早めに動物病院を受診しましょう。


動物病院に行くべき?判断するポイント

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愛猫の歯が抜けたことに気づいたら、飼い主さんとしてはとても心配になりますよね。念のため病院に行ければ安心ですが、すぐに行くのが難しいこともあります。ここでは、猫の歯が抜けたときに、動物病院に行くべきかどうか判断するポイントについて詳しく解説していきます。

◆自宅で様子をみても大丈夫な場合

自宅で様子をみても大丈夫なときは「自然な歯抜け」の場合です。自然な歯抜けとは、先述の子猫の歯の生え変わりや、高齢猫の自然な歯抜けを指します。
少しの出血をともなうことがありますが、出血がすぐ止まり食欲や元気に変化がない場合はご自宅で様子をみてみましょう。
ただし、出血が止まらない、口の中に腫れなどの異常がある、元気や食欲に変化がある、などの場合は病院を受診しましょう。
 

◆病院に連れて行ったほうがいい場合

病院に連れて行ったほうがいいのは、「自然な歯抜け」以外の場合です。
自然に抜ける以外の場合、何らかの病気やケガの可能性があります。病気の可能性がある場合の症状としては、口臭、歯茎の腫れ、ご飯を食べにくそうにする、よだれの増加、痛みでの食欲低下、などが挙げられます。

もし口の中に炎症などがある場合、程度にもよりますが痛みをともなうことがあります。そのため、気づいたらできるだけ早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。
 

◆歯の異常を放っておくとどうなる?

もし歯の異常を放っておいた場合、病気であればさまざまなトラブルにつながる危険があります。
歯周病は、歯が抜けるだけでなく顔や鼻の骨、内臓にも影響を及ぼす可能性がある病気です。口腔内腫瘍の場合、転移する可能性があり、進行すれば重篤な症状にもつながります。
また、歯の炎症は痛みをともなうことがあるので、猫ちゃんの負担を和らげてあげるためにも、口の中に異常があれば、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。


猫の歯のお口ケア

猫にとっても、人間と同じくお口のケアは大切です。ここでは、猫の歯のお口ケアについて詳しく解説します。
毎日の歯磨きをはじめ、デンタルケアグッズやフードなど、猫の歯の健康を守るためのさまざまな方法をご紹介します。愛猫の健康を守るために、ぜひ参考にしてください!

◆歯磨き

猫のお口ケアで一番効果的なのは歯磨きです。人間と同じく猫の歯垢も放置すると歯石に変化し、歯周病などの原因となります。歯石になってしまうと歯磨きでは取り除くことができなくなってしまうので注意が必要です。

猫の歯垢が歯石に変化するまでの期間は、一般的に1週間程度と言われています。できれば毎日、難しければ3日に1回程度の歯磨きが理想です。ですが、歯磨きを嫌がる猫ちゃんは大変多く、歯磨きは簡単ではありません。「チャレンジしてみたけど、無理だった」という飼い主さんも多いのではないでしょうか?その場合、無理に歯磨きはせず、だんだんと慣らしていくようにしましょう。最初は口周りを触るところから、徐々に歯ブラシに慣れていってもらいます。
ですがそれでも無理な猫ちゃんも多いです。その場合、歯磨きシートや歯磨きおやつなどのデンタルケアグッズもあります。可能であれば歯磨きできることが理想ですが、難しい場合は無理せず、愛猫ちゃんに合ったグッズでお口のケアをしていきましょう。

●おすすめ商品
ペットキッス 歯みがきシート

指に巻いてふきとることで歯垢をとる歯みがきシートです。シートは、2種類の網目が交互になった「ストライプ構造シート」。

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◆歯科検診

ご自宅でお口のケアをしていたとしても、見えないところに異変が隠れていることもあります。お口の異常になるべく早く気づけるよう、年に1回程度の歯科検診がおすすめです。
早期発見・早期治療は、猫ちゃんの負担を軽減してくれますし、治療期間や費用を抑えることにもつながります。健康診断とあわせて、歯の検診もするようにしましょう。


まとめ

今回は、年齢別の猫の歯が抜ける原因や、可能性のある病気、病院に連れて行ったほうがいい場合のチェックポイントや家でできる猫のお口ケアなどについて紹介しました。

日々ご自宅でできるケアや、病院での定期的な検診を受けることで、愛猫のお口の健康を守っていけるようにしたいですね。口の中の炎症は痛みをともなう可能性があるので、自然な歯抜けではない歯抜けや、口の中の異変に気づいたときは、すぐ病院を受診するようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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橘るい

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