先住猫と子猫の初対面のポイント
猫と一緒に暮らしていると、どうしてもひとりでお留守番の時間が発生してしまうため、ほとんどの飼い主さんは「寂しい思いをさせていないか」「お友達がいたら寂しい思いをしなくても済むのでは」などと考えたことがあるのではないでしょうか。
しかし、猫はもともと単独行動を好む動物となるため、たとえ一匹であっても環境に順応して暮らしていけますし、飼い主さんと一緒に暮らせるだけで満足している子も少なくありません。
もちろん猫ちゃんの育ってきた環境や性格、飼い主さんへの依存度などによって寂しい気持ちを抱く感情は異なりますが、2匹目をお迎えする際には必ず先住猫の性格を尊重して、お迎えするかどうかを考える必要があると言えるでしょう。
とくにお迎えをするのが子猫の場合、子猫と接触したことのない猫ちゃんであれば敵として認識してしまう可能性もあるため、より慎重に初対面を果たさなくてはいけません。
先住猫の性格によっては、多頭飼いに向いている子、向いていない子に分類可能となりますが、どのような性格の猫ちゃんであっても、子猫を迎え入れる際には突然対面をさせてしまうことはNGです。
子猫は新しい環境に順応できていないタイミングで新しい猫と出会ってしまえば、パニックを起こして環境に慣れるまで長い時間を費やしてしまう可能性が出てきますし、先住猫は自分の縄張り(テリトリー)に侵入してきた敵として見なし、攻撃して傷を負わせてしまう危険性があります。
また、別の環境で暮らしていた猫同士なので感染症なども懸念されるため、子猫をお迎えする前には双方の健康診断やワクチン接種を済ませるようにし、病気感染の心配が残らなくなる2週間後ぐらいを目安にして、子猫と先住猫を対面させるようにしましょう。
初対面当日まではある程度の日数があるため、お互いの匂い交換で徐々に存在に慣れてもらうことも大切です。
猫にとって「ニオイ」はさまざまな意味を持ち、情報収集のためにも匂いを嗅ぐことは重要なツールとなります。
とくに知らない猫同士の場合は挨拶や自分に敵対心がないかなどの情報を読み取るため、お互いが使用しているタオルなどを交互に嗅がせる、使っている猫砂の匂いを嗅がせるなどをして、仲間意識を芽生えさせてあげてください。
子猫はさまざまなニオイを徐々に覚えていくため、先住猫の匂いに対して敵対心を抱きにくいと考えられますが、先住猫にとっては子猫との相性を見極めるための重要な情報源となるため、ストレスを与えないように落ち着いているときなどに、匂い交換を行うようにしましょう。
先住猫と子猫の同居ステップ
飼い主さん以上に先住猫が気をつかう子猫の迎え入れですが、飼い主さん自身は同居にあたってのステップの中で、先住猫を優先するように心掛けてください。
同居をしていく上では以下のことに気を付けながら、徐々に先住猫と子猫との距離を縮めていきましょう。
先住猫と子猫が適度な距離を保って生活できるように、子猫が過ごす部屋やスペースをどこに設けるかを、飼い主さんはまず考えるようにしてください。
先住猫があまり使用していない部屋があるようであれば、そこに子猫を隔離することが一番ですが、そのような部屋が用意できない際にはケージを用意して、お互いが慣れるまでは子猫にはケージで過ごしてもらうようにします。
先住猫は自分の縄張りに信頼関係が築かれていない子猫が侵入してくれば、不安や不満を強く抱くようになってしまうため、室内のほとんどのスペースは先住猫が使えるようにし、子猫には先住猫に攻撃されないような安全で落ち着ける場所を設けるようにしてください。
子猫の安全なスペースを設けることにより、先住猫の縄張りはある程度守ってあげられますが、ストレスを最小限にするためにも、子猫がケージを利用する際には先住猫に姿が見えないような工夫も必要となってきます。
猫同士の性格や飼育環境にもよりますが、基本的には子猫と先住猫が仲良くなるまでに2週間から2ヶ月ほどの時間がかかると言われています。
ケージをタオルなどで覆う、間仕切り(パーテーション)を使うなどをして、姿が見えなくても相手の存在を認識できるような工夫をするようにしてください。
目に見えなくても相手の存在を感覚的に意識することにより、実際に対面をしたときの不安や恐怖を和らげてくれます。
子猫と先住猫がお互いの存在に慣れてきたら、そのあとは直接対面のステップへ進みます。
最初の対面は直接触れ合えるような対面を避け、必ず子猫はケージに入れたままの状態で対面させてあげましょう。
このとき、必ず飼い主さんは傍に居るようにし、万が一先住猫が手を出す素振りを見せたときには、飼い主さんがしっかりと抑制してください。
その後双方の様子を観察しながら、子猫をケージの外に出すタイミングを見計らいつつ、徐々に対面する時間を増やしていきましょう。
先住猫のストレスサインに注意
子猫と先住猫の同居ステップは先住猫を最優先するように前述しましたが、先住猫の気持ちを優先すべき理由は以下の通りです。
子猫はとても可愛いですし、たくさんのお世話が必要なことからも、何かとかまう頻度が多くなりますが、子猫を優先してしまうと先住猫は飼い主さんに1番だと思ってもらえない嫉妬と、勝手に縄張りに侵入されたストレスで、さまざまな問題行動を起こすようになってしまいます。
子猫の受け入れは先住猫が望んで起きた環境の変化ではないため、理解してもらうためにも先住猫に寄り添いながら、時間をかけて同居を成功させることが一番です。
先住猫のストレスが溜まると性格が攻撃性を増す、拒食、トイレの失敗といったサインが見られるため、問題なく同居が行えるまでは常に先住猫の様子を気に掛けるようにしてください。
問題行動を起こした際にもしっかりと寄り添いながら対策をするようにし、ストレスが軽減できるように努めるようにしましょう。
先住猫にストレスを抱えている様子が見られるようでしたら、飼い主さんがストレスを軽減させてあげなければいけません。
軽減する方法としては、声をかける順番は優先する、食事の際も先に与えるようにする、先住猫のお気に入りの場所を子猫には使わせない、かまってあげる際には先住猫を先にして、子猫よりも長くかまうようにするなどが効果的です。
多頭飼いで気をつけること
子猫と先住猫の対面が無事に終わったとしても、同じ家で長く一緒に暮らしていく時間は続いていきます。
複数匹の猫を飼育する際には、どのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。
血のつながっていない猫同士の場合、ある程度の年齢になると環境に順応して社会性が確立します。
安全で食べ物が豊富にある場所であれば、猫同士間でコミュニケーションをとりつつ適切な距離をとりながら共存可能となるため、飼い主さんが無理に仲良くさせようと距離を縮めるような対策は不要です。
飼い主さんが無理に介入したからといって、子猫と先住猫の関係性が劇的に変化するようなことはないため、お互いの性格を尊重しつつ基本的には見守ってあげるだけにしておきましょう。
子猫と先住猫の距離がなかなか縮まらない、一方が攻撃的になっている、どちらかにストレスによる問題行動が見られる場合には、再度隔離するかどうかも視野に入れなくてはいけません。
お互いの社会性を尊重できないようであれば、ストレスの溜まるような生活環境での同居は負担になるだけですし、ストレスを抱え込んだまま同居を続けてしまえば、病気になってしまうリスクも高くなりますよね。
猫にとって過ごしやすい環境とは、ストレスを感じずに安心して生活できる場所となるため、飼い主さんがしっかりと先住猫と子猫の性格や社会性を理解し、心置きなく暮らせるような環境を整えてあげましょう。
まとめ
先住猫が居る状態で子猫のお迎えが決まった場合、何よりも大切なのは初対面までお互いが安心して過ごせるような環境づくりと、初対面までの精密なタイムスケジュールです。
そして何かと手のかかる子猫のお世話に時間を割きたいところですが、先住猫の気持ちを第一優先に考えて飼い主さんは行動しなくてはいけません。
子猫のお迎えはあくまで飼い主さん側の都合となるため、子猫と先住猫に仲良くなってほしいと思うなら、先住猫のストレスを軽減させてあげることが一番ですので、先住猫のケアを怠らないようにしつつ、子猫の成長への手助けをしてあげながら同居生活をスタートさせましょう。