猫は体調不良を隠す!

猫はもともと野生時代の習性が根強く残っている動物でもあり、体調が悪いときにはその様子を隠そうとします。
天敵に体調不良を悟られてしまえば攻撃される恐れがありますし、不調を表に出してしまえば仲間から順位を落とされて見放されたり、自らが獲物として外敵に狙われたりする危険性が高くなるため、できる限り体力を温存して体調回復に努めることが多いようです。
現代では室内で暮らしている猫のほとんどは、飼い主さんの目が届く範囲が生活圏内となりますが、体調不良のときにはお気に入りの場所で眠るようなことはせず、敢えて飼い主さんの目が届かない場所に身を隠す子も少なくありません。
言葉で「具合が悪い」と伝えることができないからこそ、飼い主さんは愛猫の些細なサインを見逃さないようにするべきではないでしょうか。
猫が病気の時に見せるサインは?

猫が病気を患っている場合には体内で何かしらの異常が起きているため、気持ち悪さや痛みがある場合が多く、その症状を悟られないように隠す子も居れば、我慢できずに何かしらのサインを出してくる子も居ます。
大切なのはその辛いといったメッセージを、飼い主さんが見逃さないことです。
一般的に病気を患っている猫は以下のようなサインを見せることが多いため、愛猫の様子がいつもと違うと感じた際には、しっかりと異常があるかないかを見極めるように努めましょう。
②寝ている時間が極端に増えた
③毛づくろいの時間が増えた
④呼吸に異常がある
⑤身体が熱っぽい
⑥目やにやよだれが多い
⑦下痢や嘔吐などの消化器症状
⑧歩き方がおかしい
⑨トイレに頻繁に入る・まったく行かない
⑩鳴き続ける・飼い主さんのそばから離れない
◆食事を摂らない
病気に限らず体調が悪いときには、食欲が低下して食事が摂れなくなることがありますよね。
猫の場合も一緒で身体に何かしらの異変を感じた際には、食べて栄養を摂取しようとするよりも、じっとしてエネルギーを消費しないようにする猫ちゃんは多いようです。
愛猫が丸1日以上フードも水も口にしない場合には、すぐにでも獣医師さんに診てもらう必要があるため、絶対に見逃すべきではないサインとも言えるでしょう。
◆寝ている時間が極端に増えた
普段よりも明らかに眠る時間が増えたと感じた場合も、愛猫からの不調のサインと受け取ってOKです。
猫は自分の身体に異常を感じると身を隠して動かないようになり、徐々に体力が回復するのを待つといった習性を持ち合わせています。
「猫は死ぬ間際に居なくなる」といった迷信がありますが、これは単純に静かな場所で体調が回復するのを待つ過程で命を落としてしまうケースが多いため、死期を悟って自ら姿を消しているわけではないのです。
このような習性があるからこそ、極端に眠る時間が増えたと感じたときは、猫なりに体調を回復させようと必死なのかもしれません。
◆毛づくろいの時間が増えた
体内に何かしらの違和感を覚えているときに猫は、過剰なグルーミングを行うことによって、そのわずらわしさを拭い去ろうとします。
執拗に同じ箇所を舐め続けている場合には、その箇所に痛みや痒みを感じているサインとなるため、放っておくと被毛が抜けていき、自らの舌で皮膚を傷つけてしまうようになってしまいます。
毛づくろいが増える原因として考えられるのは、皮膚疾患、膀胱炎、関節炎などの病気やストレスなどが多いようです。
◆呼吸に異常がある
鼻呼吸を主とする猫は呼吸音もとても静かなので、呼吸が速かったり開口呼吸をしたりといった症状が見られるときは、猫風邪や肺の疾患を起こしている可能性があります。
呼吸に乱れが生じているときは、病状が進行している場合が多いため、早めの処置が必要と言えるでしょう。
◆身体が熱っぽい
基礎体温の高い猫ではありますが愛猫の身体に触れた際に、明らかに熱っぽさを感じたときには、発熱や熱中症といった病気を引き起こしている可能性があります。
とくに発熱はウイルスや細菌感染による猫風邪だけでなく、毒素、炎症などの影響によって熱が出ることもあるため注意が必要です。
また、てんかんが原因となる中枢神経障害を起こした際には、身体から熱が喪失できなくなってしまうため、高体温の状態が続く場合もあります。
◆目やにやよだれが多い
免疫力が落ちると目やにが多くなることがありますが、ウイルス感染などでも多くなる傾向が強いため、結膜炎や角膜炎などの病気に注意しておきましょう。
そして、もともと唾液量の少ない猫ですが分泌量が増えてよだれを垂らしている場合には、口腔内のトラブル、危険物の誤飲、熱中症などが挙げられますが、さまざまな臓器のトラブル(胃腸・腎臓・肝臓など)を抱えている場合には、よだれを拭き取ってあげてもすぐにまた垂らすことがあるように、複数の要因が考えられるため、動物病院での原因追及が必要となってきます。
◆下痢や嘔吐などの消化器症状
下痢や嘔吐といった消化器症状が現れているときも、さまざまな病気が隠されている場合があります。
体調不良の代表的な症状と言えますが、下痢や嘔吐が長期間続く場合には、急性(慢性)胃腸炎、ウイルス感染症、細菌性腸炎などを患っている可能性があるようです。
◆歩き方がおかしい
元気だった猫が突然歩き方がおかしくなった際には、捻挫や骨折などの事故が原因となることが多いですが、病気でも歩行異常といった症状が現れるケースがあります。
歩き方の様子によっても要因は異なりますが、脳や神経の病気、関節炎、熱中症、尿毒症などを発症している可能性があるため、明らかに普段と異なる歩き方をしている場合には、様子をみるようなことはせずに、早急に動物病院を受診するようにしましょう。
◆トイレに頻繁に入る・まったく行かない
排尿・排便のチェックは猫の健康のバロメーターとなるため、トイレの回数が増えたり減ったりした際も病気が隠れている可能性が高くなります。
頻尿だけでなくトイレにまったく行かなくなった場合は、膀胱炎や尿路結石などの泌尿器系の病気を患っているケースがあります。
また、多尿といった症状が見られる場合には、腎臓病(急性腎不全)を患っているケースもあるため注意が必要です。
◆鳴き続ける・飼い主さんのそばから離れない
飼い主さんに依存している猫ちゃんの中には、体調不良からの不安によって鳴き続け、自分の辛さを飼い主さんに気付いてもらおうとする子も居ます。
そして、不安定な気持ちから飼い主さんのそばを離れようとせず、飼い主さんの行く先々について行ってひとりになることを嫌がる子も居るため、愛猫の不安サインを見逃さないようにしましょう。
猫が心配な行動をしていた場合

猫からの病気のサインはさまざまなものがあることが分かりましたが、愛猫が心配になるような行動をとっていた場合には、飼い主さんも気が休まらず不安な気持ちになってしまいますよね。
愛猫がそのような行動をとっていた際には、飼い主さん自身はどのような行動をとるべきなのでしょうか。
◆まずは猫の状態を観察する
体調不良や病気のサインは明らかにわかりやすいもの、しっかり見極めないと分からないものなどさまざまなため、愛猫の現状をよく観察することが大切です。
もちろん異変に気付いてあげるためには、普段の愛猫の様子を知っておく必要もあるため、日常的に愛猫の様子をよく観察しておくようにし、異変に気付きやすい環境を整えておくようにしましょう。
◆動物病院に相談する
飼い主さんが愛猫の異変に気付いてあげられたとしても、適切な処置や治療を行うことは難しいため、飼い主さんがするべき行動は愛猫を早急に動物病院へ連れていき、どんな病気が隠されているかを獣医師さんに特定してもらう必要があります。
愛猫が心配な行動をとっているということは、じっとして体調の回復を待てないほど辛い症状が出ている証拠となるため、できる限り痛みや苦痛を取り除いてあげられるように努めるべきですよね。
それぐらい明らかなサインを愛猫が出してくれているのであれば、自宅で様子をみるようなことはせず、動物病院で適切な治療を受けさせてあげてください。
まとめ
どんなに普段から愛猫とコミュニケーションを図り、スキンシップをとっていたとしても体調不良のサインには気付きにくいものですよね。
猫が病気を患った際には、極力動かなくなって体調の回復を待つ習性を持ち合わせていますが、さすがに隠し切れない苦痛を感じているときには、目に見えるサインを見せてくれることもあります。
飼い主さんは愛猫の健康を守るためにも、些細なサインを日常的に見逃さないようにし、気付いたときには迅速に行動する必要がありますよね。
猫がサインを出しているときは、すでに症状が進行している可能性が高いため、早急に動物病院を受診するようにし、適切な治療を開始するように努めましょう。