よだれとは?
トイプードルくんが病気かどうか考える前に、まずはよだれについて。だ液が口の外に出たものをよだれと呼びます。だ液は「だ液腺」から分泌されています。常に分泌され続けているほか、必要な時に必要な量だけ増加します。これが多すぎると口からあふれてしまい、よだれになります。
よだれは役に立たず見かけも良くないですが、だ液には大切な働きがあります。
- 口の中の保護 –
口の中は、柔らかく吸収率の高い粘膜でできています。毒物や固く鋭いものが入ってくると、傷がつきやすく有害物質も吸収しやすいです。だ液は、異物が直接粘膜に触れないように、バリアの役割をしています。
– 消毒 –
だ液は、バクテリアやウイルスの増殖を抑える成分を含んでいます。口にウイルスが入ってきたら、攻撃して病気を防ぎます。また、体にできた傷をなめると、だ液の働きで、バクテリアの増殖を抑えるので、傷口が早く治ります。
– 体温調節 –
犬は暑い時、口をあけて呼吸しますが、このときだ液が気化して熱を奪うので、体温を下げるのに役立っています。汗腺の少ない犬にとっては、重要な機能です。
– 食べ物を飲み込む補助 –
人は食事中に水を飲みますが、犬は代わりにだ液を出します。のどにドライフードがつまっても、水を飲もうとしないのは、だ液で飲み込めるからです。
だ液は、こんなに重要な働きをする、犬にとってなくてはならないものなんですね。こんなに役立っているだ液を、大量のよだれとして無駄使いして、大丈夫なんでしょうか?ますます心配になります。
よだれが大量に出る病気
よだれが増える症状がみられる病気は、たくさんあります。歯周病・口内炎など口の中の異常、咽頭炎・気管虚脱・肺気腫・肺水腫・気胸など呼吸器系の病気、食道炎・胃捻転・胃拡張など消化器系の病気、筋ジストフィー・てんかん・顔面麻痺など神経性の病気、イヌヘルペス・ジステンパーなどの感染症など。
これらの病気では、よだれの量が増えます。臭いよだれ・血が混ざったよだれ・泡状のよだれは病気の症状かもしれません。食欲不振・下痢など、よだれ以外の症状が見られて、元気がない時は、動物病院の診察を受けてください。
誤飲・誤食
さて、冒頭のトイプードルくんは、病気ではありませんでした。では、なぜ散歩中に急によだれの症状が出たのでしょう?病気以外でも急に大量のよだれが出る原因は、たくさんあります。とくに散歩中は、いろいろな有害物質を拾って食べる可能性があります。ここでは、中毒症状の一部として、よだれが出るものの例をあげてみます。
– 植物 –
花壇や野生の植物の葉・花・球根は、見慣れたものも食べれば毒性があるものがあります。よく見かけるのは、キキョウ・クリスマスローズ・カラー・サツキ・シャクナゲ・スイセン・ジンチョウゲ・ツツジ・フジなど。草花の匂いをかいでいるだけ、と目を離して放置せず、間違って食べないように注意してください。
– 人の食べ物 –
人が食べるものの中には、犬が食べてはいけないものもありますが、その中で食べるとよだれが出る可能性があるのは、キノコ類・イチジク・サトイモ(生)です。生ごみの中に混ざっていることがあるので注意してください。
– 化学薬品など –
タバコ、トイレ用洗剤・排水口用の洗浄剤・食器洗浄器用洗剤などの酸やアルカリ、プロ用の絵の具・中国製のおもちゃ・釣りで使うおもりなどに含まれる鉛は、体内に入ると有害でよだれの症状も併発します。
犬にとって有害なものを口に入れたり、鼻から吸ったりした場合は、よだれのほか、腹痛・嘔吐・下痢・口内炎などの症状もみられることがあります。大量に摂取してしまうとけいれんや、最悪、命にかかわるケースもあります。日頃から拾い食いをしないように、しつけを徹底していきましょう。
その他の要因
ご紹介した以外にも、よだれが多くなるケースがあり、主なものは次の通りです。
– 熱中症 –
犬は体温調節が下手で、暑い日の散歩や、車や家での留守番で熱中症になることがあります。炎天下にアスファルトの道を歩かせたり、エアコンもかけずに留守番させたりした後のよだれは、熱中症の症状の一つかもしれません。
– 乗り物酔い –
乗り物が苦手な犬もいて、ちょっとしたドライブでも車酔いをします。よだれを流したら、酔い始めの症状で、もうすぐ吐いてしまうかもしれません。乗り物酔いをする犬と一緒の時は、長時間のドライブを避け、犬のために車を止めて休憩をとりましょう。
まとめ
さて、散歩中に突然よだれを流したトイプードルくんですが、よだれを出す直前に、下水の臭いをかいでいたそうです。下水はちょっと泡立って湯気が出ていたとか。獣医さんの診断は「洗剤による軽い中毒の疑い」でした。その後、すぐに回復して元気にお散歩を楽しんでいます。
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