6年の歳月をかけた映画「犬ヶ島」ウェス・アンダーソン監督が来日し、映画への想いを語る

撮影期間合計日数445日、総勢670人のスタッフが関わり作られた映画「犬ヶ島」の公開が5月25日に迫り、公開記念スペシャル・ナイトイベントが東京都渋谷で行われた。13年ぶりの来日を果たしたウェス・アンダーソン監督、主人公アタリの声を担当したコーユー・ランキン、ヒーロー犬の一匹・デュークの声を担当したジェフ・ゴールドブラム、声の出演以外にも製作として携わった野村訓市の4名が登壇した。

久しぶりに念願の来日に興奮が収まらない様子のウェスは、「次は言葉をショートにして話すように頑張るね！」と言いながらも自分のトークになるとマシンガントークが炸裂！野村からは「全然答えが短くなってない（笑）」と突っ込みを入れられるなど、とにかく和やかなイベントとなった。

本作は、近未来の日本メガ崎市を舞台に“犬インフルエンザ”の流行によって“犬ヶ島”に追放された愛犬を探す少年アタリと島で出会った勇敢で心優しい5匹の犬たちの冒険を描くストップモーションアニメだ。

監督、キャストの登場をファンは大きな歓声と拍手で迎えられ、嬉しさのあまり涙を流す人が続出した程だった。

各人からの挨拶とコメント

ファンの熱烈な歓迎にアンダーソン監督は、
「このアイデアが浮かんだ日から、こういった舞台で日本の皆さんの前に立って、こうやってお話することをずっと楽しみにしていたんだ。この映画の日本は僕のイマジネーションで出来ていて、日本の文化や日本の方々、そして何より日本の映画にインスピレーションを受けている。日本人のみんなからすると慣れ親しまない部分もあるかもしれないけれど、とにかくみんなには楽しんで欲しいと思っているよ。今日は本当に来てくれてありがとう！」と大盛り上がりの会場に感極まった様子で挨拶。既に試写会で本作を観たファンからは「最高だった！」と声がかけれられ、監督と作品がどれほど愛されているのかが伝わってきた。

主人公アタリの声を担当したコーユーは、映画のプロモーションとしての来日が初めてだった。「みなさん初めまして。コーユーです。よろしくお願いします！この素晴らしい映画に出演することが出来て、映画のおかげで日本にも来ることができてとっても嬉しいです。」と挨拶。
今回主人公に大抜擢されたコーユーはアフレコ収録を振り返り「ウェス監督はとっても優しくて落ち着いている人。僕は本当に緊張していて、アフレコも難しかったけど、落ち着いたウェスと過ごすと、僕も落ち着いた気持ちでアフレコすることができました。」と、隣のウェスと目を合わせながらコメント。作品を観たコーユーは「2月のベルリンで初めて見たときは感動しました。ストップモーションと思えないくらい色や音もすごくて素晴らしいです。」と太鼓判を押した。

約2年ぶりの来日となったジェフ・ゴールドブラムは「すごく温かい歓迎ぶりで嬉しいよ！日本に来るのが本当に大好きだから、今日もこの素晴らしいチームと来日することができて最高の気分だよ！」と、コメント。ファン一人一人に笑顔で手を振りながら挨拶をしてくれた。
完成した映画を観たのがベルリン国際映画祭のオープニング時だったジェフは「僕はほかの犬たちとは一緒に収録ができなかったんだけど、映画を観たら、僕らの音やキャラクターがジグソーパズルのようにぴったりとはまっていて嬉しいショックを受けたんだ！細かいところまで作りこまれていて、魔法をかけられたような素晴らしい経験ができる映画だった。ウェス監督映画史上の出来栄えだよ！」と圧倒された様子を見せた。

声と製作に携わった野村は「今回の映画ではいろんな仕事を雪だるま式にやって気付けば3年費やしました。ウェスの映画はビジュアルも素晴らしいけど、それ以上に本当にいい物語も描かれています。僕は3年だけど、監督は6年もかけたので是非楽しんでご覧ください。」と挨拶した。さらに豪華日本ボイスキャストにまつわる意外な裏話として「（野田）洋次郎は、ウェスに声を聞かせたら“彼はニュースキャスターだ”って言うんで、“君はニュースキャスターになった”って洋次郎の声を録り直したりもして（笑）映画を観てもわかりにくいかもしれませんが、この声は誰かなって見つけながら観るのも楽しいかなって思います。」と制作秘話を語ってくれた。

ウェスは6年、ジェフは2時間

ウェス作品常連組の一人ともいえるジェフは「ウェスは6年、クン（野村訓市）は3年この映画に関わったっていうけど、僕は脚本が送られてきて、それを読んで彼と仕事するのはスリリングで大好きだからすぐOKして、そのあと2時間だけ、たった2時間だけレコーディングをしたんだ。しかも、監督はNYにいたからアフレコの演出も遠距離で演出されたんだよ（笑）」と、ユーモアたっぷりにコメントし、会場からは笑いが起きた。

ストップモーション・アニメーションの魅力

通常に比べ膨大な時間と手間のかかるストップモーション・アニメーションによって製作された本作、劇中で使用されたパペットはなんと総数1000体越え！100分の映画を作る為に144.000の静止画が撮られた。パペットを使用したストップモーション・アニメーションの魅力について問われると、ウェスは「僕がストップモーション・アニメーションで一番好きなのはパペットやセット、そして小道具を作るそれぞれの職人と仕事ができること。映像技術は日に日に進歩していくなかで、僕は長年続いているこの古風な撮影方法に携わることが夢だったから『ファンタスティック　Mr.FOX』で初めてストップモーション・アニメーションを撮った時に、夢が叶ったと思ったよ。特にアニメーターの仕事は素晴らしい。ボイスキャストによってパペット半分の命が吹き込まれるけれど、もう半分はアニメーターの手によるんだ。ただ物体のパペットを彼らが動かすことによって、パペットがモノを考えたり、モノを感じる、ひとつの生き物になるんだ。それぞれの職人の力がこのストップモーション成功の秘密だと思う」と目を輝かせました。

最後に…！

最後に映画の公開を心待ちにするファンへコメントをくれた。コーユーは「犬ヶ島は本当に素晴らしい映画なので是非見てください！」、ジェフは「今日は来てくれてありがとう！もう観た人もきてくれたようだね…観てない人は是非とも劇場で観てね！楽しかったよ！」、野村は「これから映画館で観る人は気に入ってくれたら最低10人には良かったと伝えてこの映画を広めてくれればくれればいいなと思います。」、そして最後にウェスが「正直言って、僕は今日この場を共有できただけで、それだけで嬉しいんだ。映画をたくさんの方に観て欲しいと思うけど、PRをすることはあんまり得意ではなくて…、でも日本が好きで作った映画だから皆さんがこの作品を観て楽しんでくれれば本当に嬉しいな。日本の文化や日本の人々への敬愛を感じ取ってもらえれば幸せです。今日は来てくれて本当にありがとう！」と、それぞれが思い思いの気持ちをたっぷりと語った。

ウェス・アンダーソン組特有のにぎやかな雰囲気に包まれていた本イベント。豪華キャスト陣によるここでしか聞くことの出来ないトークとたっぷりのファンサービスの数々に会場に集まった観客は大満足のなかイベントは幕を閉じた。映画「犬ヶ島」は5月25日（金）全国ロードショーとなる。世界中で注目をされ、絶賛された本作を是非劇場でお楽しみ頂きたい。

ボイスキャストに前代未聞の才能たちが世界から集結！ 消えた愛犬を捜して旅に出た少年と、犬たちの心を揺さぶる絆を描くワンダフル！！アドベンチャー！

『犬ヶ島』が、第68回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞（監督賞）を受賞！レッドカーペットには日本のボイスキャストを代表しRADWIMPS・野田洋次郎と夏木マリが参加しました。

ウェス・アンダーソン監督独特のこだわりとセンスが詰まった、モーションポスターを日本&アメリカ独占先行にて解禁！

豪華キャストと声優陣が大集結、ストップモーション・アニメーションで描かれた独特な世界観となっており、注目の一作となっています。

–　おすすめ記事　–