【獣医師監修】猫のお腹のしこりから考えられる病気とは?こんな症状には要注意!

2018.07.24

【獣医師監修】猫のお腹のしこりから考えられる病気とは?こんな症状には要注意!

愛猫の身体を触っていると、お腹にしこりみたいなものがある。これってもしかして重大な病気!?愛する猫の体にしこりがあったら飼い主さんはとても心配ですよね。しこりといっても、全てが腫瘍や癌というわけではありませんが、早期発見が重要となる病気の可能性もあります。 この記事では猫のお腹に見られるしこりの原因や、しこりから考えられる病気、それぞれの病気の症状や原因、治療法についてご紹介します。

しこりとは?腫瘍とのちがいは?

愛猫のお腹など体を触っていてしこりを見つけてしまうと、「腫瘍なのでは?」「重大な病気なのでは?」と不安になる方も多いかと思います。ただ、しこりの全てが腫瘍であるわけではありません。

そもそもしこりという言葉は、筋肉や皮下組織などの一部にかたまりやコリがあるような状態を指し、「しこり=腫瘍」ではないのです。

しかし、癌などの重大な病気では腫瘍が出来たり、しこりから癌の発見に繋がる事もあるので、愛猫のしこりには注意したいですね。


猫のお腹のしこりで考えられる病気4つ

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猫のお腹にあるしこりは、腹筋や腹膜に内臓が覆われているため、軽く触った程度では分かりにくいそうです。ただ、中には見た目でわかるものや触って確認出来るしこりもあります。

ここではお腹に出来たしこりから考えられる病気についてご説明いたします。

◆お腹のしこりの病気①乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は、乳腺に出来る腫瘍を意味します。乳腺腫瘍には良性と悪性があり、猫で乳腺腫瘍が出来た場合はほぼ悪性と言われています。悪性の場合は癌ということになります。

乳腺腫瘍をそのままにしておくと、癌が進行してしこりが増えていき、命の危険もあります。

乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍の原因は、今のところは不明だそうです。10歳前後の猫に見られる事が多く、老化によるものではないかと考えられています。

また、メス猫の場合は女性ホルモンの関係の可能性もあります。ホルモンの中でもプロゲステロンと乳腺腫瘍との関係性が深く、避妊手術を行っていない猫の場合は、避妊手術を行っている猫と比べ約7倍の発生率があるそうです。

乳腺腫瘍の症状

乳腺腫瘍の症状としては、乳頭付近にしこりが見られたり、乳頭から分泌液が出たり、腫瘍からの出血(自壊)、転移による足の付け根の晴れ、食欲不振や体重減少などが見られます。

しこりは、猫の乳付近に固いコリコリしたしこりが一つ、あるいは複数発生します。乳頭が赤く腫れることや黄色を帯びた分泌液が出ることもあります。

腫瘍を放置すると、自壊を起こすことがあります。自壊してしまうと傷口から出血や体液が流出し、悪臭を放ちます。この匂いでハエなどの虫が産卵してしまうこともあるそうです。

乳腺腫瘍の治療法

乳頭付近へのしこりが見られたら、他の場所にもしこりがないかチェックをして、動物病院を受診しましょう。

乳腺腫瘍の場合、治療は外科手術が主となります。外科手術では乳腺を全て切除して、再発を防止します。
症状や癌の進行によって全摘出~部分切除など摘出する範囲も変わり、治療費も変わりますが、全摘出の場合には10万~25万の手術代がかかります。

メス猫の場合は1歳未満の避妊手術で発生率を下げることが出来ると言われているため、メスの子猫を飼う場合には避妊手術をしましょう。猫の命に関わる病気なので、早期発見と早めの治療が重要です。

◆お腹のしこりの病気②肥満細胞腫

肥満細胞腫は、肥満細胞に発生する癌のことです。日本では皮膚に出来る腫瘍としては2番目に多い病気と言われています。

肥満という言葉が入っていますが、太った猫に出来る病気ではありません。

肥満細胞腫の種類

肥満細胞腫には「皮ふ型」「内蔵型」の2種類があり、皮ふ型の場合は色々な見た目があり特徴が少ないこともあります。
内蔵型の場合は小腸に出来ることが多く、放置すると他の臓器に移転してしまうこともあります。内蔵型ではお腹のあたりに大きなしこりが出来ていることがあります。

この病気にも良性と悪性の2種類があり、悪性の場合は癌となります。

肥満細胞腫の症状

見た目で異常を発見するのが難しい肥満細胞腫ですが、症状が進行すると食欲不振、体重減少、胃腸障害や体重が低下しているのにお腹が膨らんでいるなどの症状が見られます。

ただし初期症状はほとんどないため、発見が遅れやすい病気です。

肥満細胞腫の治療法

肥満細胞腫の治療は、乳腺腫瘍と同じく外科手術が主となります。見た目で良性か悪性かを判断出来ないため、腫瘍の一部を針でとり顕微鏡で検査をします。
他にも生体検査や血液検査、レントゲンなどの画像検査も行われます。

悪性である可能性が高いものは外科手術を行います。癌の範囲や進行度、悪性度などで薬物療法を行うこともあるようです。

肥満細胞腫は発見が難しく予防法も今のところはないと言われています。日々愛猫とスキンシップを行いお腹などの状態をチェックしてあげましょう。少しでも違和感を感じる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

◆お腹のしこりの病気③基底細胞腫

基底細胞腫は、皮膚に出来る癌の一種です。猫の皮膚に出来る腫瘍として1番多く見られる腫瘍と言われています。

こちらも良性と悪性がありますが、悪性であることは稀で、基底細胞腫のほとんどが良性と言われています。

基底細胞腫の原因

基底細胞腫になる原因としては、日光を浴びたことでの皮膚のがん細胞化や遺伝子の変異などが考えられていますが、はっきりとは解明されていないようです。

特に中高齢の猫や被毛が白い猫など、紫外線を防ぎにくい猫に多く発症が見られています。

基底細胞腫の症状

症状としては、皮膚の表面にしこりやイボのような腫瘍が発生します。特に多いのが頭部や頸部や体幹です。

ほとんどは固いしこりのようなものですが、中には柔らかい嚢胞状のものも見られています。

基底細胞腫の治療法

治療としては発見次第、切除手術をします。危険性が低い病気とされていますが、悪性に移行することも稀にあるため、早めに切除することが望まれています。

この病気は紫外線の影響を受けると言われているため、高齢の猫や白い被毛の猫を飼っている場合は、猫の日光浴にも注意が必要となります。日頃からスキンシップを行い皮膚に異常がないかチェックしてあげてください。

◆お腹のしこりの病気④繊維肉腫

繊維肉腫は、繊維芽細胞というコラーゲンを作る細胞から発生する腫瘍です。多くはワクチン接種肉腫と呼ばれ、予防接種の後などにその箇所に肉腫ができます。ワクチン接種肉腫の場合は転移性が高いと言われています。

繊維肉腫の原因

繊維肉腫の原因は今のところはっきりと分かっていませんが、免疫力低下やストレスによるものではないかとも言われています。

ワクチン接種肉腫の場合には、ワクチンや注射が原因となります。

繊維肉腫の症状

症状は腫瘍が発生する部位により様々です。腫瘍の進行も様々で、部位としては体幹、四肢、顔、乳腺などに見られることが多いようです。

ワクチン接種肉腫の場合は注射をした箇所に見られることが多いため、肩甲骨のあたりや太ももあたりの皮下や筋肉にしこりが出来ます。ワクチンの接種から数週間、数ヶ月後に腫瘤が出来るそうです。

繊維肉腫の治療法

治療としては、繊維肉腫の場合も発見した場合には切除手術が行われます。肉腫の周囲を広範囲で切除します。
発生の部位によって手術ができない場合には化学療法や放射線療法が用いられることもあるようです。

定期的に猫にワクチンを接種する方は多いかと思います。接種後には注射部位や猫の体調などを気にしてあげましょう。少しでも違和感を感じた場合には早めに動物病院を受診しましょう。

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猫のお腹にしこりを見つけたら…

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病気であるか否かはわかりにくいしこりですが、いずれも発見した場合には獣医師に診てもらう事が大切です。受診前にお家で出来るチェックをしましょう 。

◆お腹のしこりのチェック項目

・しこりの数を確認する
お腹だけでなく、他の場所にもしこりがないかチェックしましょう

・しこりを発見した時期やしこりの変化をメモしておく
いつ発見し、最初の発見からどのようにしこりが変化しているかを獣医師に伝えましょう

・他の症状が出ていないか
食欲不振や嘔吐、体重減少や発熱など気になる症状がないかチェックしましょう

またお腹側のしこりでも下記の症状に当てはまる場合は、すぐに動物病院を受診することをお勧めします。

◆大きなしこりが見られる場合

お腹に大きなしこりがある場合、「肥満細胞腫」である可能性があります。良性と悪性があり、悪性の場合は癌となりますので治療が必要です。

悪性の場合はしこりの他にも、食欲不振や嘔吐、体重の減少なども見られます。元気そうに見えた場合も、お腹に大きなしこりを確認したら動物病院を受診しましょう。

◆乳腺の腫れが見られる場合

乳腺の腫れは出産前後のメス猫では普通のことですが、離乳した後のメス猫や避妊しているメス猫、去勢しているオス猫の場合は、腫瘍の可能性があります。すぐに動物病院を受診しましょう。

◆乳腺にしこりを発見した場合

乳腺のしこりは乳腺腫瘍と呼ばれるできものである事が多いです。このできものは腫瘍で良性と悪性があり、乳腺腫瘍のほとんどは悪性(癌)と言われています。

放っておくと癌の進行につながるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

◆しこりからの出血が見られる場合

腫瘍の中には急に大きくなってしまうものもあり、場合によっては皮膚が足りずに裂けて出血する事があります。これを自壊と呼びます。裂けた部分からは出血や腫瘍の膿が出て、そのままでは治りません。

こちらも発見した場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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yurie

yurie

兵庫県出身。イラストレーター。猫のオリジナルキャラクター「ネコぱん」を描き、作家として活動しています。愛猫は6歳の雄猫プーアル。猫とは思えない直球な愛情表現で毎日べったり。お腹を上に向けてガニ股で寝る姿には毎度笑わされています。

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