【獣医師監修】猫が多飲多尿を繰り返して気になる!これって何かの病気なの?

2020.10.26

【獣医師監修】猫が多飲多尿を繰り返して気になる!これって何かの病気なの?

猫はあまりお水を飲まない動物として知られていますが、もし愛猫がお水をたくさん飲み、尿の量が増えて頻度も多くなっていたとしたら、不安な気持ちになってしまいますよね。 夏ならまだしも、冬の寒い時期にもそのような傾向が見られれば、心配で動物病院に連れていくべきか悩んでしまうことでしょう。 猫の多飲多尿には、なにか重篤な病気が隠されているのでしょうか? そして病気の場合には早期発見こそが鍵となりますので、愛猫のサインを見逃さないためにも、多飲多尿について理解を深めていきましょう。

猫の多飲多尿の原因

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愛猫にお水を十分に用意してあげていても、1日に消費している水分量はほんの少しとなりますので、普段からお水をたくさん飲まない動物としての特徴であるとも言えますよね。

その光景は毎日見ていれば当たり前に感じますが、このような体質になったのは、猫の先祖が生き抜いてきた環境が関係しています。

猫の先祖は砂漠で暮らしていた野生のヤマネコと言われており、水分が少なくても生き抜けるように、その環境に適した体に進化していきました。

そのため凝縮された尿を出し、体内の水分も過剰に排出しないといった、とても珍しい体の構造をしています。

このようなことからも猫は普段の飲水量が少なく、尿量もさほど多くならないことが分かりますよね。

何かしらの原因により、愛猫が多飲多尿を繰り返しているのであれば、飼い主さんのするべきことは、その原因の追究ではないでしょうか。

猫が多飲多尿を繰り返す場合には、以下のような原因が考えられます。

◆腎臓・ホルモン分泌・血液の異常

猫の多飲多尿は、何かしらの病気の初期症状として現れることが多いと言われています。

とも言えますよね。

このような症状が出るということは、猫の尿を凝縮するといった特徴的な体質を作り出す、腎臓機能に何かしらの異常が生じている証拠です。

正常な腎臓は血液をろ過する際に、不要な老廃物などを尿にして体外へ出し、体に必要な水分を体内に再吸収する働きをしています。

そのほかにも体内の水分バランスを整える働きや、ホルモンを産生(分泌)する働きも担っているので、猫にとって腎臓はとても大事な臓器であることが分かりますよね。

これらの機能が一つでも正常に働かなくなってしまえば、足りない水分を補うための飲水量は増え、必要な水分を体内にも戻すことができなくなり、尿量も増えるといった症状が出てくるようになります。

なので多飲多尿の原因は、腎臓、ホルモンの分泌、血液の異常などから来る病気の場合がほとんどです。

◆慢性腎不全

原因が病気の場合、もっとも多く見られると言われているのが慢性腎不全です。

腎不全は猫が発症する率が高く、死亡率も高い病気としても知られていますよね。

慢性腎不全はゆっくりと進行して、徐々に腎機能を衰えさせ、最終的には腎臓が機能しなくなるといった病気です。

この病名を動物病院で告げられてしまえば、そこから治療をスタートしても完治させることは難しく、獣医師の指示のもとで現状維持、または症状を悪化させない治療が行われていきます。

愛猫が慢性腎不全を患い食欲旺盛であっても、多飲多尿の症状が現れている場合には、腎臓の機能がすでに50%以上失われているとも言われています。

その後、食欲不振に陥り、体重が減少して痩せるなどの症状が現れ、口臭が酷くなり嘔吐を繰り返し、貧血を起こすなどの症状が現れ始めた場合、大変危険な状態と言えるでしょう。

そして多飲多尿の症状が出る病気は慢性腎不全だけではないので、以下のような病気にも注意が必要となってきます。

    ・腎臓病(急性腎不全・尿崩症・腎盂腎炎など)
    ・糖尿病
    ・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
    ・副腎皮質機能低下症(アジソン病)
    ・甲状腺機能亢進症
    ・子宮蓄膿症
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猫の多飲多尿の基準と確認の仕方

猫があまりお水を飲まない動物だったとしても、どれぐらい飲水量が増えれば、多飲として判断できるのかを知っておきたいところですよね。

尿量も同じで、基準を事前に知っておくことは大切です。

多飲多尿の基準を知った上で、どのようにして確認をしてあげれば良いのでしょうか。

◆多飲

猫の食事内容にもよりますが、猫が1日に必要な飲水量は体重1kgに対し、40ml程度が基準値となっています。

体重1kgに対して50ml以上お水を飲んでいるようであれば、多飲の傾向にあると言えるでしょう。

まずは数日程度、飲水の摂取量を確認する必要があるので、飲水を愛猫に与える際は、必ず計量カップなどで測ってから、普段使用している容器に入れてあげてください。

24時間経過した時点で残っているお水の量を測り、愛猫の体重に対してどれぐらいの飲水量が減っているかを確認し、5日前後の記録をとるようにしましょう。

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◆多尿

尿量は猫の体重1kgに対し、20~40ml程度が基準の目安となっています。

基準値よりも2倍近い50~60mlを超えてしまえば、多尿と判断することができます。

飲水量と同じで、尿量も食事などで多少基準値を超えることはありますが、こちらも数日間経過を観察し、どれぐらいの尿が出ているのかを確認するようにしましょう。

システムトイレを使用しているのであれば、愛猫が排泄したあとのペットシーツの重さを測り、尿量を導き出してください。

固まる砂を使用しているようでしたら、排泄後に固まった箇所を取り出して計測してみましょう。

多尿の確認はかなり難しいとは思いますが、数日間しっかりとチェックをして、愛猫の健康状態を見極めることが大切です。

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多飲多尿になりやすい猫の種類

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猫の多飲多尿は、何かしらの病気が原因となることが多いと言われていますが、中には遺伝が関係して多飲多尿を示す場合もあるようです。

腎臓に多くの嚢胞(のうほう)ができ、腎臓の機能が徐々に低下していく遺伝性の病気(多発性嚢胞腎)は、腎不全にも進行していくので、多飲多尿の症状が出るとも言われています。

ペルシャやヒマラヤンなどの猫種と血縁関係にある猫は、この病気を発症しやすい遺伝子を持っているとも言われているので、普段から多飲多尿には気を付けておかなければいけません。

ですが最近では、アメリカンショートヘアやスコティッシュホールド、そして私たちにも馴染みの深い雑種の猫にも、見られるようになっておりますので、やはりすべての猫にリスクの可能性があるといっても過言ではないでしょう。


猫の多飲多尿の予防法

歳をとるにつれて、どの猫も病気のリスクが上がっていきますので、普段の食事や生活環境を整えてあげることは、とても大切なことですよね。

その中で多飲多尿の症状が見られた場合には、すぐに動物病院に連れていき、獣医師に相談をして飼い主さんが何をすべきか明確にしなくてはいけません。

そのまま放置をしてしまえば、多飲多尿の裏に隠された病気を、進行させることになり、愛猫に負担をかけることにも繋がるので、普段から何かしらの方法を用いて予防をしてあげることが大切です。

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◆自宅でできること

愛猫に多飲多尿の症状が出ているときは、飲水の量を減らせば良いといった単純な理屈ではなく、猫自身は体に異変を感じ、お水を欲している状態となっています。

そこで飼い主さんが飲水量を制限してしまえば、脱水症状などのような別の異常を招いてしまうことに繋がりますよね。

なので、まず自宅でできることは、愛猫が常に新鮮なお水が飲めるような環境を整えてあげることです。

そして多尿については、トイレに行く回数が必然的に増えていきますので、トイレが汚れたらその都度掃除をしてあげるようにしてください。

トイレが汚れたままの状態が続くと、我慢してしまったり、別の場所で粗相したりなどの問題が生じますので、常に清潔な環境を整えるようにしましょう。

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◆早期発見するために

病気によって腎臓の機能が失われてしまえば、元の状態に回復させることは不可能です。

重篤な症状が出てからでは遅いですし、愛猫に負担をかけないためにも早期発見こそが肝心ですよね。

病気の早期発見をするためには、最低でも1年に1回は健康診断を受けさせてあげてください。

腎臓の検査は血液検査と尿検査を行うことによって、現在の数値を知ることができますので、健康体であっても毎年の健康診断は、習慣づけることをおすすめいたします。

診断結果が異常なしと出れば、飼い主さん自身も安心できますので、愛猫のためにも早期発見を心掛けた生活をしていきましょう。

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まとめ

普段からあまりお水を飲むことが少なく、おしっこの回数もさほど多くない猫が、多飲多尿を繰り返したら、飼い主さんは心配になってしまうことでしょう。

このような症状が出ているということは、腎臓をはじめとした体の中の機能に、何かしらの異常が生じている証拠です。

なので、普段から愛猫がどれぐらいのお水を飲み、どれぐらいの尿量が出ているかなどの観察が大切となってきます。

普段から意識していなければ、なかなか気づいてあげることができないので、愛猫の体からのサインを見逃さないようにしましょう。

もしそのサインを受け取ることができたのなら、症状を進行させないためにも、すぐに動物病院に連れていき、獣医師に相談の上、適切な治療を進めてあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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