ヨーロピアンバーミーズってどんな猫?特徴や性格から、かかりやすい病気まで

2021.02.17

ヨーロピアンバーミーズってどんな猫?特徴や性格から、かかりやすい病気まで

近年、日本でも知名度が上がってきたバーミーズ。日本でバーミーズと言えば、アメリカンバーミーズです。ヨーロピアンバーミーズは、ペットショップではめったに会えない猫種のため、あまりなじみがないかもしれません。では、ヨーロピアンバーミーズとは、どんな猫なのでしょうか?アメリカンバーミーズとの違いをはじめ、その歴史や特徴、性格、かかりやすい病気まで、ヨーロピアンバーミーズについて、詳細にご紹介します。

ヨーロピアンバーミーズってどんな猫?


まずは、ヨーロピアンバーミーズの身体的特徴や性格について、ご紹介します。

◆身体的特徴

緩やかなV字型をした頭の形と丸みを帯びた鼻、やや釣り目で、シャープな印象の顔立ちをしています。
足がやや長く、スリムな体型をしていて、ボディタイプはセミフォーリンタイプです。
セミフォーリンタイプは、スマートな体型で長い脚と胴体を持つフォーリンタイプに比べて、より短く丸みを帯びた体型です。
体重はオスで4~6kg、メスで3~5kgと、見た目より筋肉質で重量感があります。
被毛は短毛のシングルコートで、艶めく光沢があり、非常になめらかなサテンのような手触りをしています。
毛色は、ブラウン、チョコレート、ブルー、レッド、ライラック、クリーム、ブラウントーティ、チョコレートトーティ、ブルートーティ、ライラックトーティの10色です。
目の色は、ゴールドとオレンジ、アンバーが認定されています。
ヨーロピアンバーミーズは、身体能力が高く、運動量が多めの猫種です。
特に、若猫時代は、しっかりと運動できるよう、キャットタワーを設置したり、たくさん遊んであげたりするとよいでしょう。
鳴き声は小さく、あまり鳴かないので、集合住宅でも飼いやすい猫です。

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◆性格

ヨーロピアンバーミーズは、陽気で遊び好きな一方で、甘えん坊のさびしがり屋という側面も持っています。
飼い主さんと一緒に居て、甘えて過ごすことが大好きです。
また、非常に穏やかで愛情深く、子供や他の動物とも仲良くできます。
寂しがり屋なので、長時間のお留守番はストレスになることがあります。
留守がちな飼い主さんであれば、多頭飼いをしたり、他のペットと一緒に暮らしたりするとよいでしょう。
観察力があり、知能が高いので、しつけのしやすい猫種です。
『犬のような猫』と言われることもあり、簡単な芸であれば覚えます。

◆平均寿命

ヨーロピアンバーミーズの平均寿命は、10~15歳です。
猫の平均寿命は約15歳なので、やや短命といえるかもしれません。

◆お手入れ

ヨーロピアンバーミーズは、とてもきれい好きでマメにグルーミングをします。
皮膚の健康を保つために、週2~3回のブラッシングをしてあげると良いでしょう。
特に汚れている場合を除いて、シャンプーの必要はありません。

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ヨーロピアンバーミーズの歴史

◆イギリスで育種されたヨーロッパスタイルのバーミーズ

ヨーロピアンバーミーズの原産国は、アメリカンバーミーズの基礎となった「ウォン・マウ」という猫の祖国であるミャンマー(旧ビルマ)です。
バーミーズの原種となったのは、ミャンマーなどの東南アジアにいた猫で、アユタヤ王朝時代のタイの高僧が作った詩の中にも登場しています。

ヨーロピアンバーミーズの育種の始まり

初期のヨーロピアンバーミーズの育種は、19世紀末ごろ、イギリスで行われていたシャムとバーマンの交配によって茶色の猫を作り出そうという試みでした。
しかし、この交配は育種としては実らず、次第にすたれていきました。

バーミーズの育種の始まり

1930年代に、アメリカのジョセフ・トンプソンという人が、ミャンマーから1匹のメス猫を入手します。
この雌猫の個性的な茶色の被毛を、シャムとの交配で再現しようと育種を始めたことが、バーミーズの育種の始まりです。
1936年、CFA(北米の猫の血統登録団体)で猫種として公認されたバーミーズは、アメリカで人気が高まっていきます。

イギリスに渡ったバーミーズ

1948年に、バーミーズはイギリスに渡り、育種が始まりました。
アメリカでは、品種の固定化を進めて、多様性を認めませんでしたが、イギリスでは遺伝子プールを広げることを考慮した育種が行われました。
1952年ごろ、GCCF(イギリスの猫の血統登録団体)で新しい猫種として認められます。
イギリスでスタンダードが作られるようになり、1955年には、それまでブラウンの毛色しかなかったバーミーズに、ブルーの毛色を持つ個体が生まれました。
1960年以降には、さらに他の毛色やパターンが認められるようになります。

ヨーロピアンバーミーズの確立

1959年には、アメリカでもバーミーズのスタンダードが作られます。
アメリカとイギリスで、異なる育種によって生まれたバーミーズは、それぞれ異なる特徴を持つようになっていたため、GCCFはアメリカのバーミーズをイギリスのバーミーズとは異なる猫種であると考えました。
GCCFは、アメリカで育種されたバーミーズとイギリスのバーミーズを交配した場合には、ヨーロピアンバーミーズの純血種とは認めないと発表します。
こうして、ヨーロピアンバーミーズとアメリカンバーミーズが、異なる猫種として認められるようになりました。

◆アメリカンバーミーズとの違いは?

アメリカンバーミーズ

アメリカンバーミーズの顔は、V字型のヨーロピアンバーミーズとは異なり丸顔で、頬がふっくらしており、鼻は幅広です。
体型は、ほっそりしたセミフォーリンタイプのヨーロピアンバーミーズに対し、アメリカンバーミーズは体が全体的に短くずんぐりむっくりとしたコビータイプです。
10色が認められているヨーロピアンバーミーズと異なり、アメリカンバーミーズの毛色はセーブル、シャンパン、ゴールド、ブルーの4色のみです。
目の色も、3色が認められているヨーロピアンバーミーズに対し、アメリカンバーミーズはゴールドのみが認められています。


ヨーロピアンバーミーズのかかりやすい病気

ヨーロピアンバーミーズは、育種の過程でシャムの影響を強く受けています。
そのため、シャムに多い遺伝性の疾患になりやすいです。

◆緑内障

眼球の中の「房水」という透明な液体の流れが阻害されて、眼球内の圧力(眼圧)が高くなってしまうために様々な症状が引き起こされる病気です。
房水の流れを阻害する原因には、遺伝的な形態異常や外傷、腫瘍や水晶体の変位などの目の病気があります。
猫の場合、遺伝的に起こる「先天性緑内障」や、眼球に異常がなく、原因も不明な「原発性緑内障」の発症は稀ですが、ヨーロピアンバーミーズは遺伝性の緑内障になることがあります。
また、猫に多い「続発性緑内障」(他の目の病気が引き金となる緑内障)の原因には、猫伝染性腹膜炎(FIP)や猫白血病ウイルス(FeLV)感染症、トキソプラズマ症があります。

◆流涙症

涙腺で作られた涙は、目頭辺りにある「涙点」に入り、「鼻涙管」を通って鼻に出ていきます。
何らかの原因で涙が過剰に作られたり、涙がうまく鼻に排泄されなくなったりして、常に涙が出ている症状を、「流涙症」といいます。
涙が過剰に作られる原因は、結膜炎や角膜炎、ぶどう膜炎、緑内障といった目の病気によって炎症が起きたり、目に刺激を受けたりすることです。
鼻涙管が詰まったり、狭くなったりする「鼻涙管狭窄」という状態になると、涙が排泄されずに流涙症になります。
鼻涙管狭窄には、先天的に構造上の異常があるものと、後天的に異常が起きるものがあります。
先天的な異常が起きやすいのは短頭種ですが、ヨーロピアンバーミーズも好発品種の一つです。

◆猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、「猫腸コロナウイルス」というウイルスが突然変異を起こして強毒化した、「猫伝染性腹膜炎ウイルス」を病原とし、非常に致死率が高い病気です。
猫腸コロナウイルスは、日本の猫の多くに存在するウイルスです。
下痢を起こすことはありますが、病原性は高くありません。
しかし、猫腸コロナウイルスに持続的に感染していると、猫の体内で変異を起こして強い病原性を持つようになることがあります。
猫伝染性腹膜炎ウイルスに変異する原因の一つは、ストレスと考えられています。
ヨーロピアンバーミーズは、遺伝的にこのウイルスに対する感受性の高い個体が多いとされています。
猫腸コロナウイルスは、感染した猫の排せつ物や唾液などの分泌物の中にウイルスが排出され、別の猫がこれを舐めたりすることで感染が成立すると考えられています(経口感染)。
猫伝染性腹膜炎は、確定診断が困難で、効果的な治療法が分かっておらず、予防法も確立されていません。
猫腸コロナウイルス自体は、消毒薬や台所洗剤などで失活しやすいウイルスなので、室内の衛生管理をしっかり行いましょう。
猫腸コロナウイルスは、「新型コロナウイルス」とは異なるもので、人間に感染することはありません。

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◆その他の遺伝性の病気

遺伝性の疾患として、瞬膜脱出などの眼病のほか、神経疾患や心臓疾患などを発症することがあります。

◆日ごろの健康管理が大事

ヨーロピアンバーミーズは、遺伝性の疾患になりやすく、また猫伝染性腹膜炎ウイルスに対する感受性が高いとされています。
どちらも、予防が難しいものなので、日ごろの健康管理が大切になります。
また、猫伝染性腹膜炎の原因の一つとしてストレスが挙げられるため、ストレスが溜まりにくい生活環境を整えてあげましょう。

◆健康診断も受けよう

遺伝性の疾患の治療をしたり、症状の進行を遅らせたりするには、早期発見が大切です。
定期的な健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めましょう。

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ヨーロピアンバーミーズはどこでお迎えできる?

◆ペットショップ

日本では、バーミーズ自体がまだ珍しい猫種です。
さらに、日本でバーミーズと言えば、主にアメリカンバーミーズです。
このため、ペットショップでヨーロピアンバーミーズに出会えることは、非常にまれでしょう。

◆ブリーダー

ペットショップではなかなか出会えないヨーロピアンバーミーズは、ブリーダーから子猫を迎えることになります。
しかし、ブリーダーも情報が少なく、現実的には、海外からお迎えすることになるでしょう。
ヨーロピアンバーミーズの価格相場は、約20万円です。
海外から迎える場合、輸入費や手続きにかかる費用を含めて、約30万円を用意しておきましょう。


まとめ


ヨーロピアンバーミーズは、アメリカンバーミーズから派生した猫種のため、よく似た特徴も持ち合わせていますが、一方、顔の形や体型は異なります。
さらに、ヨーロピアンバーミーズでは、毛色は10色、目の色は3色とバリエーションが豊かです。
性格は、甘えん坊で寂しがり屋なので、お留守番が苦手です。
しかし、平和主義者で我慢をしてしまうので、ストレスを溜めてしまうこともあります。
遺伝的に猫伝染性腹膜炎ウイルスに対する感受性が高いとされているので、ストレスを溜めない生活環境を整えてあげましょう。
飼い主さんと一緒に居ることを好むので、愛猫とまったり過ごしたい方におすすめの猫種です。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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