僧房弁閉鎖不全症とは?

2016.11.24

僧房弁閉鎖不全症とは?

加齢とともにどんな内臓でも衰えは生じるものですが、特に衰えが生じる可能性がある器官としても考えられるのが心臓です。 そんな心臓で起こる僧帽弁閉鎖不全症という病気をご存知ですか? 今回はこの病気についてお話させていただけたらと思います。

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どんな病気?

僧房弁閉鎖不全症とはどんな病気?

この病気についてお話するにあたり、まず大切なのが心臓はどんな器官でどんな役割を果たしているかということです
心臓は全身への血液のポンプの役割を果たしていて、まずは肺から酸素を含んだ血液を受け取り、全身へとその血液を送り出します。
そのためにおおまかに心臓は4つの部屋に分かれていて、肺や全身からの血液を受けるお部屋の「心房」と血液を送り出すお部屋の「心室」が存在します。
そのお部屋を区切っているのが今回問題となる弁なのです。
効率よくかつ力強く血液を送る、もしくは受けるために、それぞれのお部屋は完全に区切られているわけではなく、血液の拍動とともに閉じたり開いたりしてポンプ機能がしっかりと働くようになっています。
この病気になると便の部分に異常が生じ、きちんと閉じることが出来なくなってしまうのです。

症状は?

僧房弁閉鎖不全症の犬

心臓の構造異常により弁が閉じなくなる病気だというお話をさせて頂きましたが、僧帽弁とは左側の心室と心房を仕切るための弁になります。
このお部屋はどんなお部屋かというと、左側心室は全身に血液を送り出すお部屋、左側心房は肺からの血液を受け取るお部屋になります。
この弁が上手に閉じないせいで、心室から心房へと血液が逆流することになるため全身に上手に血液が送れなくなります。
そのため、心臓から直接血液を受け取っていた腎臓や肝臓への血液の供給が出来なくなるので、それぞれの臓器で障害がでる可能性が高まります。
また、血液の循環はスムーズでなくなり、うっ滞するようになってしまうため腹水や胸水、また肺にも水がたまるようになってしまいます。
そして肺からの酸素を含んだ血液の全身への送り出しもスムーズにいかないため、少しの運動でも息苦しくなったり、酸欠状態に陥ってしまうようになります。

どんな検査が必要?

僧房弁閉鎖不全症の検査とは

こう聞くととても怖い病気に感じますが、どのようにしたらこの病気だと判明するのでしょうか。
まずは聴診での雑音の聴取が一般的だと思います。
ただしかなり初期段階だと聞き取りにくい場合もあるため、軽度の雑音の場合、そこから断定とはならず、その後の経過観察や定期的な通院により聴診をするよう勧められる場合もあります。
そしてそこからレントゲン検査で心臓の肥大具合を見たり血液のうっ滞による胸水や腹水、肺の様子などをチェックすることや、エコーでの弁の動きや逆流の有無を見たり、心電図での波形のチェックなどを行なっていきます。
最近では心臓のバイオマーカーと呼ばれるうっ血の度合いを見る血液検査の項目もあるのでそういったすべての検査により、心臓の状況を把握していくことになるでしょう。

治療方法は?

僧房弁閉鎖不全症の治療は内科

まずは一般的なものは内科治療でしょう。
ケースによって使うお薬は様々ですが、全身へ血液を送りにくくなった心臓が頑張り過ぎないよう負荷を軽減させるお薬や、働きが弱くなってきたときに少し頑張らせてあげるお薬、お水がうっ滞により溜まり過ぎた時におしっこで排出しやすくしてあげるお薬、などが存在します。
これらは定期的に検査をして心臓の状態を把握したうえで、状況にぴったりのお薬を飲んでいくことになります。
そしてかなり高額になり得ることと、難しい手術でもあるので一般的ではありませんが、弁を付け替える手術をするという外科的な治療も存在します。

僧帽弁閉鎖不全とわかったらどうしたらいい?

僧房弁閉鎖不全症とわかったら

もしお家のワンちゃんが僧帽弁閉鎖不全とわかったら、お家でできることがいくつかあります。
まず、当たり前のことですがお薬をしっかり飲ませることです。
心臓のお薬は基本的には頓服でなくずっと半永久的に飲ませるお薬になるため、毎日しっかりと絶やさずに飲ませていくことがとても大切になります。
そして、運動制限や肥満防止の体重管理などを日常生活でしっかりと行なうことです。
一見何の関係も無いように見えますが、過度の運動は心臓をもっと頑張らせてしまうことになり、酸素の供給もうまくいかず発作を起こしてしまう可能性も高めます。
肥満も心臓へ大きな負担をかけますので、体重管理はしっかりとする必要があります。
また、そのためにも心臓に負担をかけにくい組成になっていたり、体重管理もしやすくなっている心臓病の子用の療法食を食生活に取り入れることはおすすめです。

このように難しい病気ではありますが、お家で管理していく方法もあることから、しっかりと病気を理解して治療を進めて行けば、そのせいで寿命を縮めてしまう可能性も低くできるのではないでしょうか。

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りなぎ

りなぎ

動物病院での勤務の傍ら、家では6匹の犬(ダックスフント5匹、パピヨン1匹)と一緒に生活しています。 もちろん猫も大好き!です。 私生活では犬だけでなく、子供もいるため、常にいろいろな世代の人と動物が仲良く、よりよい生活をできるようにするためにはどんな知識があるといいのか、どんな生活が理想か、考えることがよくあります。 少しでも皆さんのお役に立てる知識や情報を発信できたらと思います。

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