知っておきたいワクチン接種

2015.11.19

知っておきたいワクチン接種

大切な家族。 少しでも長く健康にそばにいて欲しいと思うのは飼い主の共通の願いです。 恐ろしい感染症が存在しそれの影響を最小限に防ぐものにワクチンがあります。 犬を飼うにあたり、まず市町村に犬の登録とともに、年に1回の狂犬病の予防ワクチンの接種が義務付けられています。 狂犬病は日本国内においては1957年以降、発生していませんが、現在でも世界のあちこちに存在している人畜共通感染症です。 今回は、そのほかの感染症の予防ワクチンについてお話します。 まずは愛犬が代表的な感染症に感染するとどうなるのかを知っておきましょう。

代表的な感染症

○犬ジステンパー(犬ジステンパーウィルス)
犬の病気としては良く知られており、死亡率も高い感染症です。
発熱、元気がなくなり、嘔吐、下痢など消化器系の症状があらわれ、
咳、鼻汁、くしゃみ、目やに等、呼吸器系の症状、痙攣発作なども現れる事があります。

○犬パルボ(犬パルボウィルス)
発熱、激しい嘔吐や出血性の下痢などが見られ死亡率の高い感染症です。
糞や嘔吐物の中に排泄されたウィルスは一般的な消毒薬に対して抵抗力が強く、長期にわたり生存します。
1970年後半に発見されたウィルスで、急速に広がった比較的新しいウィルスです。

○犬アデノウィルス1型(犬伝染性肝炎)
子犬、老齢犬が感染すると、1~3日程度で死亡することもあります。
重症の場合は、発熱、鼻汁、角膜の充血、嘔吐、下痢などの症状がみられます。

○犬アデノウィルス2型(犬伝染性咽頭気管炎、伝染性気管気管支炎)
ペットショップや繁殖犬舎などで時折見られることから別名、ケンネル・コフと呼ばれています。
犬アデノウィルス2型の他に犬パラインフルエンザウィルス、細菌、マイコプラズマなどか関係して発症します。
症状としては咳が特徴的で鼻汁,痰など風邪の様な症状が現れます。

○犬パラインフルエンザ
咳や鼻汁など呼吸器系の症状が見られ、ほかのウィルスや細菌と混合感染することが多く、ケンネル・コフの原因の一つです。
伝染力が強く、混合感染すると重症化することがあります。

○犬コロナウィルス
感染すると激しい下痢や嘔吐など消化器系の症状が見られます。子犬が感染した場合、脱水症状を起こし、急速に死に至ることがあります。
症状がパルボウィルス感染症に似ていますが、発熱することはありません。
犬パルボウィルスと混合感染を起こすと、重症化して、最悪の場合死に至ります。

○犬レプトスピラ
症状は食欲低下、嘔吐下痢、血便、発熱などの他、黄疸痙攣なども見られることがあります。
レプトスピラという細菌によって引き起こされますが、人畜共通感染症の一つです。
感染した動物の尿に汚染された水や土壌から、口から又は傷や粘膜など皮膚を通して感染します。
感染した動物は長期間にわたって尿とともに菌を排出するので、消毒など衛生面に気を配る必要があります。

では症状を知っていただいたところで免疫とワクチンのお話をします。
動物、もちろん人間にも免疫力が備わっていて、自分の体に入ってきたウィルスや細菌を異物(敵)と判断するとそれを排除しようとする力が働きます。
敵を食べて殺したり、感染した細胞を破壊したりします。
それでも、敵が思った以上に手ごわいと第2段階に入ります。
キラーT細胞が敵と戦うように命じられ、感染した細胞を破壊させるのと同時に、B細胞といういわば兵隊に敵に対抗できる抗体を大量に作るように命じます。
この時に敵の情報は記憶され、再度同じ敵が来ても戦い方を知っているので対処できるようになっているというわけです。これが〝免疫ができた“という状態です。

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ワクチンとは感染予防薬?と考える方もいますが、そうではありません。
毒性を無くしたか、弱めた病原体を取り入れ体内に抗体を作り、以後の感染症にかかりにくくするものです。
簡単に言うと少しの異物を接種させ、その敵(ウィルスや細菌)との戦い方を免疫細胞に教えるものです。
ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがあります。
不活化ワクチンは死滅した病原体を使用しているので、その病原体による疾患の症状が現れる事が殆どありませんが免疫の持続性が短く、年に1度の接種が必須です。
生ワクチンは、生きた病原体の毒素を弱くしたものを使用しています。
ただし、弱くなっているとはいえ、その毒素の持つ本来の症状があらわれることがあり
まれにですが、アナフィラキシー反応と言われる接種後急激に起こる、呼吸困難、嘔吐、虚脱、粘膜が青白くなる、脱糞、痙攣、昏睡などが起きた時は命にかかわるので早急に治療が必要です。
心臓疾患のある子や老齢の子などはワクチン接種が負担になってしまうこともあります。

混合ワクチンには3種、5種~9種混合とありますがワクチンのメーカーによって同じ病気に対して
不活化ワクチンを使用していたり生ワクチンを使用していたりします。
5種混合ワクチンは、現在はほとんどのメーカーでは生ワクチンが主流です。

生ワクチンは免疫力の持続期間も長く3~5年効力が見られるものもあります。
欧米では、生ワクチン接種で、毎年接種と3年ごとの接種で効果の違いがないという調査報告があります。
もちろん、1年で有効性の切れてしまうものや、個体差もありますし
住んでいる地域や活動範囲などによっても感染症のリスクも変わってきます。
毎回、抗体の残量を調べる血液検査をして、切れたものだけを追加接種するのが理想的なのですが
実はこの方法で接種してくれる病院は少ないので、あくまで理想です。
でも、いつものやつ。なんて言う前に次回の接種はワクチンについて気になったことを相談してみる事をお勧めします。


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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!

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