しっぽの構造
猫のしっぽは、尾椎と呼ばれるしっぽを支える骨と、その周りの12の筋肉から構成されています。これらの筋肉の動きを司っているのは尾骨神経と呼ばれる神経です。猫のしっぽが先端まで優美に動くのは、尾骨神経によって統制された筋肉のおかげなのです。
尾骨神経って?
尾骨神経は、一般的に18〜23個ある尾椎の第1〜第8の横から出て、しっぽ全体に分布しています。
尾骨神経は「骨盤神経」、「陰部神経」、「下腹神経」といった他の重要な神経と、骨盤に近い場所で部分的に連結しています。尾骨神経が何らかの外力を受けて障害を負ってしまうと、連結している他の神経にも影響を与え、猫にとって良くない症状が出てしまうことがあります。
馬尾!大事な神経の束
猫のしっぽを踏んだ時、猫は抗議の声を上げて怒りますよね。そのあとしばらく近寄ってくれなくなったり…。それだけ猫のしっぽは敏感で猫の弱点とも言える部分です。
上で述べた尾骨神経の上には「馬尾」と呼ばれる神経の束があります。猫の腰から下にあるこの神経は文字の通り馬の尾のように伸び、馬尾は「尾骨神経」、「骨盤神経」、「下腹神経」、「陰部神経」、「坐骨神経」といった末梢神経と複雑に連結しています。
知っていてほしい!「猫踏んじゃった症候群」
「猫のしっぽを引っ張ってはいけない」とよく聞きますね。ちゃんと医学的な理由があるのです。
「猫ふんじゃった症候群」は、猫のしっぽに外力が加わった時に現れるさまざまな症状のことを言います。正式には「仙尾部外傷」または「しっぽ引っ張り外傷」と呼ばれます。
猫を飼っている人なら一度は猫のしっぽを踏んでしまったことがあるのでは?
猫のしっぽを引っ張ったり踏んだりすると尾骨神経や馬尾が傷つきます。馬尾や尾骨神経が傷つくと、それらの神経が関連する他の部位にも障害が発生します。これが「猫踏んじゃった症候群」です。
「猫踏んじゃった症候群」はどの猫にも起こりうる可能性があるのです。
「猫踏んじゃった症候群」の症状
– しっぽを触ると痛がる –
– しっぽが動かない、感覚がない –
– 骨折や脱臼を起こし、しっぽが曲がっている –
– 自力でおしっこができない–
–排便のコントロールができず、垂れ流す –
– 後足の動きがおかしい –
– 動かない –
これらの症状が見られた時はすぐに病院へ行きましょう。「猫踏んじゃった症候群」は治療が早ければ回復する可能性も高まります。
「猫踏んじゃった症候群」の治療
傷ついた神経の機能が自然に回復するまで、しっぽや腰への負担を減らして安静を心がけます。
機能が回復するまでは、尿道カテーテルや膀胱カテーテルで膀胱内に溜まった尿を排出し、浣腸や軟便剤で直腸を空にするといった、排泄の補助が必要となります。膀胱に尿が残りやすくなるため、膀胱炎の発症にも注意が必要です。
発症から時間が経ってもしっぽを上げることができない場合、切断処置がとられることもあります。しっぽの付け根に糞便が付いて不衛生になり、しっぽを引きずることで馬尾に再度外力が加わってしまう可能性があるためです。
「猫踏んじゃった症候群」の原因と予防
– しっぽを引っ張る –
小さな子供がいるなら、猫と二人きりにしないようにするようにしましょう。子供に猫のしっぽが大切なものだということを教えることも大切。悪意のある人に虐待されないように外に出さないようにすることも重要です。
– しっぽを踏む–
飼い主さんは猫が近くに居ることに気付かずに、しっぽを踏んでしまうことがあるでしょう。「猫がいるかもしれない」と常に心に留めておきましょう。
– ドアにしっぽを挟む–
風で自然にドアが閉まってしまうこともあります。ドアストッパーを活用しましょう。
– 交通事故に遭う –
猫を外に出すことは危険が伴います。病気の感染や虐待の防止のためにも猫を外に出さないようにしましょう。
まとめ
実は私も我が家のニャンズのしっぽを踏んでしまうことがよくあるのです。幸いなことに大事には至っていませんが、この記事を書きながらひやひやしています。
「猫踏んじゃった症候群」は飼い主さんの注意力を高めることで発生を抑えることができると思います。室内を猫にとって安全な環境に整え、飼い主さんは猫の存在をいつも心に留め、悲しい事故を防ぎたいものですね。
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