1.猫が水を飲まない原因は?
2.猫が水を飲まないとどうなる?
2-1.尿路結石
2-2.膀胱炎
2-3.慢性腎臓病
3.猫が水を飲まない時の対策は?
3-1.食欲不振・体調不良が原因の場合
3-2.ウェットフードが主食の場合
3-3.容器が気に入らない場合
3-4.水飲み場が気に入らない場合
3-5.老齢化が原因の場合
3-6.水が気に入らない場合
4.それでも水を飲んでくれない時の対処法
5.猫が飲んではいけない水について
5-1.人間用の飲料
5-2.硬水
6.まとめ
猫が水を飲まない原因は?
猫の祖先は砂漠で暮らしていたリビアヤマネコといわれています。水が少ない場所で生まれたため、水をゴクゴク飲むという習慣がありません。水を飲まなくても大丈夫な体になり、食べ物から少量の水分を摂取していました。貴重な水分を体外に出さないため、猫のおしっこはかなり濃くて、臭いも強烈です。
それでも普段は一定量の水を飲んでいたのに、急に飲まなくなった、というのならば何か原因があると思ってよいでしょう。
猫が水を飲まない原因をあげてみます。
2.ウェットフードが主食
3.器が気に入らない
4.水飲み場が気に入らない。
5.老齢化
6.水が気に入らない
体調不良や老齢化の場合を除き、水を飲まない原因の大部分は猫のこだわりのようです。
ところでご自分の愛猫の1日に必要な水分量をご存知ですか?
猫にとって1日に必要な水の摂取量は以下の計算式で求めることができます。
簡単な指標として体重1kgあたり約50mlという覚え方もあります。ただしこれは猫が水として飲む量ではなく、食事などから摂取する量も含まれています。
猫が水を飲まないとどうなる?
水は栄養分ではないとしても、生きて行くのに絶対必要なものです。体のうち70%は水分で構成されていて、特に血液の成分として重要なので、水を飲まないようになって体内の水分量が少なくなると、血液の量も少なくなり体の各部分に血液を十分に行き渡らせることができなくなります。血液が行き渡らなくなれば組織や細胞で酸素不足が起こり、老廃物を運び去ることもできなくなります。
もともと尿として捨てる水分が少ない猫が更に水を飲まない状態になると、泌尿器系の病気になりやすくなるのはこのためです。
猫がかかりやすい泌尿器系疾患は次のようなものがあります。
◆尿路結石
尿の中にマグネシウム、リン、カルシウム分などのミネラル成分が増えたり、尿のpHバランスが崩れたりすることで尿路結石ができやすくなります。
猫がもともとあまり水を飲まずに濃度の濃いおしっこをすることも原因の一つです。
膀胱内の尿石は膀胱や尿道を傷つけるため、血尿が出たり、排泄の時に痛みをともなうこともあるので注意が必要です。
◆膀胱炎
膀胱炎は、膀胱内に侵入したブドウ球菌や大腸菌などの細菌、あるいは真菌が増殖して炎症が起こることが原因で発症します。また、膀胱内の尿結晶や尿結石によって膀胱粘膜が傷つけられ、膀胱炎になる場合もあります。
症状は血尿、大声を出して排尿しようとするなど、明らかに苦しそうな様子が見られます。適切な処置をしないと尿道閉塞となって、死につながる恐れもあります。
◆慢性腎臓病
濃いおしっこを作るため酷使しているうちに、猫の腎臓はあっという間に壊れてしまいます。
血液中の老廃物をろ過し、尿として排出する役割を果たしているネフロンという組織が少しずつ壊れていき、腎臓全体のろ過機能が低下してしまうのが慢性腎臓病です。腎臓の組織はいったん壊れると元に戻す方法はありません。
腎臓病が進行してしまうと、腎不全によって命を落としてしまいます。
予防のためにも普段から出来るだけ水を飲ませて尿を薄めておかなければなりません。
猫が水を飲まない時の対策は?
1. 食欲不振・体調不良が原因の場合
食事をしっかり摂らないと水分摂取量も減ってしまいます。食欲不振の原因が体調不良、ということは多くあります。もしかしたら口内炎で口の中が痛くて食べない、飲まないのかもしれません。元気が無くうずくまっている様子なら、熱や痛みがあると考えられます。
対処法は、まず食欲不振だけなのか、他の症状を伴うのかを確認し、熱や下痢、嘔吐、血尿などないか注意して観察すること。そしてもし気になる症状が見られるようであれば、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
病気が原因でない食欲不振の場合の水分不足の対処法として、
食事の回数を増やす方法があります。
食事の回数が増えると水分摂取量が増えたという研究報告があり、同じ食事量でも小分けにして与えてみると食欲不振にも効果があるかもしれません。ドライフードばかり与えている場合はウェットフードに変更する、または割合を増やす対処法もあります。一般的なウェットフードは75~80%が水分なので、食事と一緒に水分が摂る事ができます。
ウェットフードの他にも、おやつで水分補給もおすすめです。猫ちゃんに大人気の液状タイプのおやつなら水分の含有量も多く美味しく食べながら水分補給をすることができます。また、そのまま与えずにドライフードの上にトッピングしたり、お水に少し混ぜて与えるなどするとさらにお水を摂取できるのでおすすめです。
2. ウェットフードが主食の場合
ドライフードを全く食べずウェットフードばかり食べていると、どうしても見かけの水分摂取量は少なくなります。まずは先の測定方法で必要摂取量を計算してみましょう。
ウェットフードだけを食べている猫は体調不良などで食欲がなくなった場合、食事からの水分が取れなくなってしまうため、絶対に水分補給が必要です。呼吸が苦しくて口を開けて呼吸する、熱がある、下痢嘔吐などで失われる水の量も多くなるので、強制給水の対処法が必要になります。脱水症状が見られたらすぐに病院で治療を受けましょう。
3. 容器が気に入らない場合
器の材質に猫がこだわって水を飲まないことがあります。対処法としては、陶器やガラス、金属、プラスチックなど様々なタイプを試してみましょう。プラスチック製品は匂いが映りやすく、鼻が敏感な猫は匂いが気に入らないのかも。
また、器の形が原因のこともあります。ひげに物が触れると水を飲むことを止めてしまう猫がいます。ひげが当たらない表面積の大きい器を選びましょう。
多頭飼いの場合、他の猫と器を共有したくないことが原因になることも。水飲み用の器を増やしたり、水飲み場を多数に設置しましょう。
4. 水飲み場が気に入らない場合
水と食事は別々の場所に置いた方がいい場合があります。これは、猫が野生で狩りをしていた頃の名残です。獲物を食べるときに近くに水場があると、獲物の血や内臓などで汚れるため、猫は食べ物から離れた場所まで水を飲みに行っていました。そのため家猫となった現在でも、食べ物のそばではなく離れた場所まで水を飲みに行く習性が残っています。
水飲み場の場所が原因ならば、食事をとる場所から離れた場所にも何箇所か水飲み場を設置する対処法をとります。水のみ場は猫が落ち着ける場所である必要があります。寒暖差にも注意しましょう。トイレのそばもNGです。
5. 老齢化が原因の場合
老猫はいろんな期間が衰えてきて、「喉が渇いた」と感じにくくなって水を飲まない可能性があります。また、水飲み場が猫の寝床から離れている場合、足腰が弱ってきた猫にとって水飲み場まで移動することが億劫なのかもしれません。
寝床に近い場所に食事や水飲み場、トイレを揃えておいたほうが老猫にとっては過ごしやすい環境になるでしょう。
6. 水が気に入らない場合
新鮮でない、冷たい、臭いがするなど、水そのものが気に入らないことが水を飲まない原因なら、対処法としてペットボトルの水や浄水器を通した水、ただの水道水などいろんなタイプの水を試してみましょう。飲み水は常に新鮮な状態に保ち、冷たすぎる水は少し温めてから与えてみましょう。
水に味がしないと飲まない猫もいます。魚や鳥肉のゆで汁などを少し足してみると風味がついて気に入ってくれるかもしれません。牛乳やカツオ節をごく少量入れる方法がありますが、雑菌が繁殖するのでこまめに取り替える必要があります。
また、流水が好きな猫もいます。水道の蛇口を少しだけ開けてチョロチョロと水を流すと飲んでくれるかもしれません。循環式の飲水器を試してみるのも対処法の一つですが、こまめに掃除をして衛生面に注意してください。
それでも水を飲んでくれない時の対処法
色々手を尽くしても水を飲んでくれない場合、決して「放っておいても自分から飲むだろう」と考えて放置してはいけません。少しでも飲んでくれるような工夫することと同時に注射器やスポイト等で強制的に給水する必要があります。
強制的な給水を行っても十分な水分量が取れず、全く食事が取れないような時は脱水症状が心配されます。脱水は毛や皮膚の状態でわかります。毛並みが悪く、皮膚をつまんですぐに戻らなければ明らかに脱水しています。脱水が進むと目がくぼんでしまいます。
このような状況になったら迷わず病院で治療を受けましょう。病院では栄養のバランス、水の必要量などを計算して、口からの投与、静脈内への点滴、あるいは皮下注射で脱水症状の治療が行われます。
猫が飲んではいけない水について
猫が飲むと健康に害が出るものがあります。誤って飲んでしまわないように、飼い主さんはきちんと管理しなければなりません。
◆人間用の飲料
人間にとっては栄養的に優れていても、猫には害になる飲み物がたくさんあります。牛乳なら大丈夫、と与えてしまいがちですが、猫によっては牛乳に含まれる乳糖をうまく分解するラクターゼという酵素を十分に持っていないため、乳糖を消化できず下痢や軟便をおこしてしまいます。基本的に水以外の人間の飲み物は与えないようにしましょう。
◆硬水
ミネラルウォーターの中でも硬水にはマグネシウムやカルシウムなどのミネラル分が多く含まれているため、常用すると尿路結石の原因になります。ミネラルウォーターを与える場合は軟水を選びましょう。
まとめ
猫は自分の体調不良をギリギリまで隠そうとする動物です。普段から少しでも水を飲みやすくするような対処法を行なっていても、体調不良で水が飲めなくなればあっという間に重篤化してしまいます。他の症状がなくても、全く食べない、水を飲まないという状態が36時間続いた場合は早急に病院で治療を受けてください。
ほとんどの猫が老いていく内に泌尿器系の疾患にかかると言われています。少しでも健康でいてもらうために、しっかり愛猫に水を飲んでもらいましょう!
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