1.猫の骨折の原因は?
2.猫の放し飼いの危険性に要注意!
2-1.外で事故に合うと帰ってこられる可能性は低い
2-2.室内飼いの猫も脱走に注意!
3.猫が骨折した時の症状は?
3-1.自然治癒の場合は骨の変形の危険性も
3-2.骨折のしているかどうかのチェック方法は?
猫の骨折の原因は?
猫は病気やケガなどで体に痛みがあってもあまり顔に出さずに、飼い主さんや周りの猫に隠してしまう傾向にあります。そのため、症状が悪化してから気が付くという場合が多いようです。
骨折にも種類があり、骨に何かしらの力が加わり起こる「圧迫骨折」、何度も同じ動作をすることからの「疲労骨折」、成長期の子猫特有の「成長板骨折」などがあります。
猫が骨折する原因はいろいろありますが、最も多いのが高い所からの落下や交通事故です。
<猫が骨折する主な原因>
・交通事故
・ドアや窓に挟まれる
・栄養が偏っており、栄養不足になっている
・老猫になって骨がもろくなっている
・過度の運動
・肥満
・骨の腫瘍
中でも、タンスや棚など高い所から降りて、着地するのに失敗してしまった場合の骨折が多くみられます。着地しようと思った場所にマットなどが敷いてあり、滑ってしまうことが原因です。カーテンなどに爪が引っ掛かり慌てて降りようとしたら体勢を崩して着地に失敗したなどの例もあります。
子猫や老猫は特に骨折しやすいといわれていますので、日頃から猫の仕草などに気をつけましょう。
猫の放し飼いの危険性に要注意!
今では、室内飼いが当たり前の時代になっていますが、昔は猫を放し飼いしていることが当たり前の時代がありました。放し飼いをしていると、トイレを他所の敷地でしてしまい近所などにも迷惑をかけてしまいます。そしてなにより、交通事故などに遭う可能性もとても高くなります。
◆外で事故に合うと帰ってこられる可能性は低い
猫を放し飼いにしている飼い主さんは特に注意が必要です。車で猫が轢かれた場合、骨折では済まない大ケガをしてしまう可能性が高いからです。最悪の場合は死亡してしまうこともありますので、猫のためには放し飼いはおすすめできません。
運よく一命をとりとめても、骨折している猫が無事に家にたどり着くとは限りません。また、骨折しているためにうまく歩けなくなり家に帰りたくても帰れない場合もあります。
◆室内飼いの猫も脱走に注意!
室内飼いの猫であっても、ベランダなどの高い所からの落下で骨折する危険性があります。
猫の落下事故で最も危険なのが3階~7階(約8m~20mほどの高さ)からの落下だといわれています。
猫が落ちてもケガをしない高さは、2階ほどの高さといわれていて、約6m~7mほどの高さです。それ以上の3階、約8m~10mほどの高さになると、ケガをする確率がとても高くなります。骨折はもちろん、死亡してしまうこともあります。
7階以上からの落下になると、逆に死亡する確率が少なくなるというデータがあります。これは、空気抵抗が起こることによって、猫がうまく着地をするための体制を整える時間があるためだと推測されています。
ですが、7階以上からの高さから落下すれば、重症の骨折は避けられません。また、2階からの高さから落下する場合でも、着地する場所がコンクリートや不安定な場所だと骨折してしまいます。
猫が高い所からの落下や交通事故に遭ってしまった場合、骨折以外にも内臓損傷が起こっている可能性が高いです。こうなると猫は気を失ってしまい、口や鼻から血を流すといった重篤な症状を見せることがあります。頭骨や脊髄が折れると、猫は足の麻痺が出たり、意識障害が起こる場合があります。
放し飼いは猫を危険にさらすだけです。猫を飼うのは完全室内飼いにし、しっかりと脱走対策等をするようにしましょう。
猫が骨折した時の症状は?
猫は軽い骨折ならあまり症状を見せないため、飼い主さんでも猫が骨折していることに気づかないことが多いようです。少しでも猫の体に異変を感じたら動物病院で獣医師さんに診てもらいましょう。
<猫が骨折した時の症状>
・食欲が落ちる
・部屋の隅に隠れるようになる
・高い所からジャンプをしなくなる
・トイレをする時に尻尾やお尻、足を汚すようになる
・触ろうとすると嫌がる
・腫れている箇所がある
猫は前足2本、後足2本の4足歩行の動物ですが、1本以上の足を完全に骨折してしまうと、その足を地面に着けることができなくなるので動けなくなってしまいます。
重症な骨折は血がでたり、骨が飛び出たりしてしまいます。折れた骨が筋肉や皮膚を突き破って体の外に出てしまうことを「開放骨折」といいます。開放骨折になると出血がひどくなり、猫がショック症状になることがあります。
◆自然治癒の場合は骨の変形の危険性も
大腿骨を不完全に骨折した場合は、周りの筋肉が骨折した部分を保護してくれる場合もあり、軽度の骨折ならば猫は足を守るように不自然に歩いたり、走れないという運動障害を起こすことがあります。時間が経つと自然治癒する場合もあるようです。
しかし、飼い主さんの知らないうちに骨折が治るというのは実はとても危険です。骨折が治る時に骨が変形してしまい、歩きにくくなる、関節に痛みが出ることがあるからです。
猫の年齢が若い時は何も症状が現れなくても、年齢をとるとともに症状が出てくる場合が多いです。老猫になってから、あまり歩かなくなった、足を引きずるようになるなどの症状が出てきたとしても、治療をすることができない場合があります。
◆骨折のしているかどうかのチェック方法は?
猫の骨折は軽度なのか、中度の骨折なのかは見た目ではわかりにくいことが多いです。
骨折しているかどうかを確認するには、猫の体をすみずみまで触ってみて、痛がるところがないかチェックすることです。普段から体を触ると怒る猫の場合は日頃の健康チェックが難しくなるので、できるだけ体に触られることに慣れさせておきましょう。
病院に行く前の応急処置方法は?
猫が骨折したとわかった時は動物病院で獣医師さんに診てもらうのが基本です。猫を動物病院に連れていくまでに、骨折した部分の応急処置をしてあげましょう。
人が骨折した場合は、添え木をして包帯や布で固定するという応急処置をします。添え木で固定することによって、骨折部分を安静に保つことができるからです。
猫の場合も、骨折の状況や病院に連れて行くまでの時間によってそういった応急処置が必要になる場合もあります。
◆すぐに病院に連れて行ける場合
骨折をしたら骨折した猫を数時間以内に動物病院に行くことができるのであれば、添え木をする必要はありません。できるだけ、動かさないように安静にして動物病院へ行きましょう。
添え木をする場合は、あまり強くしないように気をつけてください。きつく縛りつけると血流を妨げる原因になります。痛がっているようであれば、無理に添え木をするのは避けたほうがいいでしょう。嫌がって猫が暴れてしまい、悪化してしまう恐れがあります。
◆傷口から骨が出ている場合
骨が傷口から出ている時は、ガーゼなどを当てて圧迫して止血します。骨折している足全体にタオルや布を巻き、添え木をして包帯で固定します。新聞紙を丸めて添え木にすることもできます。
応急処置をしたら、速やかに安静にしながら動物病院で獣医師さんに診てもらいましょう。
骨折した時の治療法は?
猫の骨折の状態を把握するために、動物病院では一般的に2方向からⅩ線撮影をします。どんな骨折をしているか状態を診ながら、猫の年齢、持病はあるか、猫の品種や性別、猫の性格なども考えながら治療方法を計画していきます。
骨折の状態や症状によって、治療方法は異なり、症状に合わせていろいろな治療方法があります。
◆骨に亀裂が入っている場合
猫の足の骨に亀裂が入っている、骨盤が骨折してしまった時は、状態により外科的手術は行わない場合があり、約3週間~4週間ほどケージに入れて安静にします。そこで内科療法を行います。
◆骨折している場合
猫が骨折している状態ならば、基本的には患部の固定をします。代表的な治療法は、包帯やギブスを骨折している部分の外側から装着する『外固定法』を行います。
他に、外枠と骨折したところを特殊なピンで固定する『創外固定法』や、骨同士をワイヤーと金属板で直接固定する『内固定法』があります。
いろいろな治療方法がありますが、どの治療も折れた骨が完全に治るまでは最低でも1ヵ月はかかります。飼い主さんはできるだけ治療で固定した部分は動かさないようにしなければいけません。
手術が終わったとしても、骨折部分はまだ治っていないので、術後のケアは獣医師さんとよく話し合って猫の面倒をしっかりと見てあげることが重要になります。
骨折した時の治療費は?
猫の骨折の治療費は、骨折の状態や動物病院によって様々で高額になることが多いです。
動物病院での検査では、レントゲン、血液検査などいろいろな検査があります。他にも手術が必要な状態ならば、全身麻酔、手術代、入院代の費用がかかります。骨折の度合いによりますが、入院期間は1週間~1ヵ月ほどかかります。その後は、通院や薬代など様々なところで費用はかかります。
アイペット損害保険株式会社が公表する診察費用例では、診察から手術、検査、入院などの治療費で308,700円かかるといわれています。また、ペット&ファミリー少額短期保険株式会社調べによる骨折の治療費は、平均で93,062円、最高額で884,012円となっています。
治療法・治療費は、猫の骨折の状態や動物病院によって異なり、怪我の度合いによってはかなり高額の治療費がかかることもあります。治療費が気になる場合は、事前にどれぐらいの治療費がかかるのか確認しておいたほうがいいでしょう。
最後に…
まずは、猫の健康のためにケガをしないように予防をすることが大切です。
放し飼いは原則しないことはもちろん、猫が滑って転ばないように肉球からはみ出している毛をカットすることや、部屋の中は整理整頓しておき、猫がもし落下しても上手に着地できるような環境を作ってあげることです。他には遊ばせ過ぎにも注意が必要です。
子猫や老猫など骨折する危険性の高い猫がいる場合は、飼い主さんが留守をしている時のことも考えながら、高い所に登れないようにするために物を置いて高い所に登れないように工夫をするといいでしょう。猫が骨折しない環境を整えることも大事なことです。
<参考サイト>
・アイペット損害保険株式会社
・ペット&ファミリー少額短期保険株式会社
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