【獣医師監修】猫の鼻炎の原因、症状は?効果的な対策法6つ!

2020.01.09

【獣医師監修】猫の鼻炎の原因、症状は?効果的な対策法6つ!

猫も人間と同じように、鼻炎になることがあります。猫の鼻炎は、猫の鼻の粘膜に炎症が起きた状態で、鼻水が出たりくしゃみをしたりするのが主な症状で、しっかり治療すれば治る病気です。しかし、鼻炎といっても重症化すると猫の命にかかわることもまれにあります。 猫の鼻炎について、いくつかの原因と、猫に現れる症状、さらに鼻炎の治療法についてご紹介します。また鼻炎にならないための効果的な対策法についてもお伝えします。

【目次】

猫が鼻炎になる原因は?

猫の鼻

猫も、人間と同じように鼻炎になることがあります。猫が鼻炎になる原因としては、次のようなものが主に考えられます。

◆鼻炎の原因①ウイルス、真菌、細菌

猫の鼻粘膜は、呼吸により外の空気に直接さらされているので、ウイルスや細菌などの病原体に冒されやすい場所です。

ウイルス感染症では、ヘルペスウイルスによる「猫ウイルス性鼻気管炎」、カリシウイルスによる「猫カリシウイルス感染症」があります。猫の鼻炎の9割近くが、この感染症が原因だとされています。

真菌が原因だと、クラミジア、クリプトコッカス、アオカビ、アスペルギルス、ライノスポリジウム、ブラストマイセスデルマチチジスがあげられます。

細菌では、ボルデテラやパスツレラがあげられます。

◆鼻炎の原因②寄生虫

線状の寄生虫やダニが鼻に寄生することで、猫が鼻炎になることがあります。

◆鼻炎の原因③先天性のもの

猫に口蓋裂や繊毛運動障害といった先天的な障害があると、鼻炎を発症しやすくなります。

口蓋裂とは、口中の空間と鼻の穴とを隔てている口蓋という部分に、亀裂や穴ができてしまい、口と鼻とが繋がってしまっている状態のことをいいます。

餌を飲み込みにくいため、栄養失調や脱水症状を起こしやすくなりますし、慢性の鼻炎や気管支炎になったり、誤嚥性の肺炎を引き起こしたりすることもあります。

また、気道の上皮細胞の表面には多数の細い毛のような線毛という組織があり、これが波打って動くことで粘液が流れて、気道の中を清浄に保つようになっています。

繊毛運動障害とは、先天的な異常によって線毛の運動がうまくいかないため、耳、鼻、副鼻腔、咽頭など呼吸器系に感染症を引き起こす病気です。

◆鼻炎の原因④腫瘍

猫の鼻の中にできもの(腫瘍)が出来たことが原因で、鼻炎になることがあります。具体的には、良性のポリープ、または軟骨肉腫や骨肉腫、リンパ腫などがあげられます。

鼻腔のどちらかに出来ることが多いので、片方の鼻から鼻水や鼻血が出ていると、腫瘍の可能性が考えられます。

腫瘍が鼻の中にできると、顔が腫れたようになって鼻の形が変形してしまうこともあります。

◆鼻炎の原因⑤アレルギー

体内に入ってくる異物に対して、体の免疫系が過剰に反応することを「アレルギー」と言い、アレルギーにより起こる鼻炎のことを「アレルギー性鼻炎」と言います。

アレルギーを起こす原因となる物質は、猫によって異なります。
ホコリや花粉、煙などがありますが、猫の場合には、植物の種子などが鼻から入ることでアレルギーになることが多いようです。

また、イエダニが原因でアレルギーを起こして鼻炎になることもあります。

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◆鼻炎の原因⑥元々の疾患がある猫

病気になっている猫は、免疫力が落ちているので、鼻炎を起こしやすくなります。原因となる病気には、猫風邪や猫白血病ウイルス感染症猫エイズウイルス感染症などがあげられます。


猫の鼻炎の症状は?

鼻を舐める猫

猫が鼻炎になると、次のような症状が見られます。

・鼻水がでる
・くしゃみをする
・鼻を気にする
・呼吸しにくそうにしている
・涙を流す
・目やにが出る

猫が鼻炎になると、鼻水が出ます。最初はさらさらとした粘りの少ない鼻水ですが、悪化すると、どろどろとして膿が混ざったり、血が混ざったりします。

鼻水が出るため、くしゃみをよくするようになり、目やにが増えて、涙も増えます。

さらに、鼻水が出たり、鼻の中に異常があったりすることにより、鼻呼吸がしにくくなるため、鼻をグズグズと鳴らしたり、口を開けて息をしたりすることが増えます。

鼻に違和感があるために、鼻周りを気にするようになります。顔を洗う時に鼻水がついて、顔中に鼻水や目やにがついてしまうこともあります。

呼吸がしにくいことにより、餌をうまく食べることができず、食欲低下が見られます。

鼻炎が悪化すると、鼻の形が盛り上がったり、変形したりすることもあります。

重症化すると、猫の命にかかわってくる場合もあるので、軽度なうちに適切な治療を始めることが大切です。


鼻炎によって引き起こされる病気

さらに鼻炎になることによって、次のような病気になることがあります。

◆副鼻腔炎

猫の副鼻腔炎とは、鼻の奥にある副鼻腔という空洞の部分に炎症が起きた状態です。
鼻腔と副鼻腔はつながっているので、鼻腔に炎症が起きると、副鼻腔にも影響が出ることがあります。

鼻水が出たり、膿や血の混ざったものが鼻から出たり、くしゃみや涙が増えたりします。鼻が膿や鼻水で詰まると、呼吸がつらそうになり、鼻筋が盛り上がってくることもあります。

◆結膜炎

猫の結膜炎とは、白目からまぶたの裏側を覆っている結膜という膜に炎症が起きた状態のことです。
副鼻腔炎になることで、結膜炎や角膜炎が引き起こされることがあります。

結膜炎になると、鼻だけでなく目のまわりも気にするようになって、こする仕草がよく見られるようになります。目の縁が赤くなり、涙や目やにの量が増え、目が腫れたように見えることもあります。

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猫の鼻炎の治療法は?

ベッドで休む猫

猫の鼻炎の治療法には、原因によっていくつかの方法があります。原因に合わせて治療することも、早く鼻炎を治すことにつながります。

・抗生物質の投与
・炎症を抑える対処療法
・異物を取り除く

基本的には、猫に抗生物質を投与し、軽度なものであれば、数日で多くの鼻炎は治るとされています。

現れる症状を抑える目的で、炎症を止めるためにインターフェロンの注射をしたり、ステロイドなどを使用したりすることもあります。

もし鼻の中に腫瘍など異物がある場合には、手術をして取り除くこともあります。手術は主に内視鏡を使って行われます。

症状が長く続き、呼吸がつらそうな猫にはネブライザーが使われることもあります。ネブライザーとは、薬剤を霧状にして器官内に入れる機械で、鼻炎が慢性化している猫に使われます。

ダニなど寄生虫が原因の鼻炎の場合は、駆除剤を使用します。

獣医さんと一緒に、まず鼻炎の原因を探ることが大切になってきます。先天的な病気や障害を持った猫であれば、基礎疾患を治療することが鼻炎の治療にもつながります。


猫の鼻炎の対策法は?

猫の鼻炎を予防するには、次の方法があげられます。

◆鼻炎の対策法①ワクチンを接種する

ワクチン接種で、猫の鼻炎を予防することができます。獣医さんに相談して、必要なワクチンを定期的に打ってもらうようにしましょう。

猫の3種混合ワクチンは別名「コアワクチン」とも呼ばれており、猫にとって必要不可欠なワクチンが厳選されたものです。
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症に対するワクチンで、費用は病院によって違いますが、4,000円~6,000円ほどです。

ワクチンを打っておくことで、鼻炎が予防できるだけでなく、もし鼻炎になってしまったとしても、症状を軽く抑えることができます。

◆鼻炎の対策法②猫を室内飼いにする

猫を室内飼いにすることも、鼻炎の予防に効果的です。アレルギー物質に触れる機会が減るほか、他の猫との接触もないため、外に出ている猫よりも鼻炎になる可能性が下がります。

◆鼻炎の対策法③環境を清潔に保つ

アレルギー物質やダニなどは室内でも発生するため、普段から生活環境を清潔に保っておく必要があります。

どのようなもので猫がアレルギーを起こしているかは、根気よく原因を突き止めるしかありません。ハウスダストや香水、タバコなどが原因で鼻炎になっている場合もあるので、飼い主さんの生活環境もよく見直してみてください。

猫トイレや猫用の食器、猫用ベッドは常に清潔にして、定期的に洗剤で洗って乾燥させてから使用しましょう。

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◆鼻炎の対策法④乾燥を防ぐ

ウイルスや細菌による鼻炎は、乾燥することで感染することが増えます。特に冬場は、空気清浄機を設置したり、加湿器で湿度を適度に保ったりして、室内の温度や湿度に気を配りましょう。

◆鼻炎の対策法⑤多頭飼いの場合は隔離する

多頭飼いしている場合には、鼻炎になっている猫は、症状がおさまって治るまでは、他の猫と隔離しておく必要があります。

感染を広げないためにも、猫トイレや食器などの共用スペースに気をつけましょう。

◆鼻炎の対策法⑥猫が健康でいられるようにする

普段から猫にストレスがかからないような環境で過ごせるようにしておきましょう。十分に運動できる空間を作り、トイレや餌の場所を清潔にして、静かに過ごせる場所も作ってあげてください。


猫の鼻炎についてのまとめ

猫にとって匂いは大切な感覚のひとつですので、鼻炎になることで、猫の生活がとても不便でつらいものになります。

定期的なワクチン摂取や環境を清潔に保つことで、猫の鼻炎を予防するようにしましょう。また、ウイルスや細菌を繁殖させないように、部屋の温度や湿度に気をつけてください。

もし鼻炎になっても、放置せずに早めに動物病院へ連れていくことで、軽度のうちに治療をして治すことも可能です。
鼻水が増えたり、涙目になっていたり、呼吸がしづらそうにしていたりするなど、いつもと違う様子が見られたら、できるだけ早く獣医さんの診察を受けさせましょう。

猫の鼻炎は、猫風邪などの病気にかかることで、一緒に症状が出てくる場合もあります。猫の鼻水がまださらさらなうちに、適切な治療を受けさせて、悪化しないうちに治るようにしてあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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ネコ、犬、インコ、金魚などと暮らした経験を生かし、飼い主さんに役立つよ うな記事を作成しています。 ペット情報を日々チェックしながら、ペットについて勉強中です。かわいいペ ットをメインとしたイラスト作成もしています。

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