【獣医師監修】猫の喘息の原因・症状・治療法は?

2018.11.16

【獣医師監修】猫の喘息の原因・症状・治療法は?

猫の喘息は、気管支が炎症を起こし突然狭くなることで、気道閉塞を引き起こしてしまう呼吸器の病気です。猫が喘息になると、発作的に咳やくしゃみ、嘔吐、呼吸困難などの症状がみられ、呼吸がしにくくなり、とても苦しい状態になります。喘息は「アレルギー性気管支炎」「慢性閉塞性肺疾患」など、様々な病気の名前で呼ばれることもあるようです。 もし、猫が喘息になった場合は、どのような治療方法があるのでしょうか。

猫の喘息とは?

猫の喘息は、気管支の炎症によって気管支が狭くなることで、気道閉塞を引き起こしてしまい、咳や「ゼーゼー」という呼吸、呼吸困難などの呼吸器症状が起こる病気です。

「アレルギー性気管支炎」「好酸球性気管支炎」「気管支肺疾患」「慢性閉塞性肺疾患」など、様々な病気の名前で呼ばれています。

◆喘息は完治が難しい病気

猫の喘息は特異的な病気です。猫の喘息を疑うのは比較的に簡単ですが、確定診断と持続的な治療がとても重要になってくるために、治療は症状によって難しいものになります。

気管支に炎症が起こっている場合は、気管支はとても敏感になっています。そのため、ホコリやストレスなどのわずかな刺激でも狭くなります。

猫の喘息は、完治することは難しく、長期的な治療が必要になります。

◆重症化するとさらに危険な状態に…

動物病院での適切な治療によって、喘息の症状を抑えることができます。
しかし、適切な治療が行われずに重症化してしまうと、気管支が狭くなったままになってしまい、正常に戻らなくなります。

気管支が正常に戻らなくなると、肺が膨らみ過ぎてしまい、通常の肺の動きができなくなり、呼吸がうまくできなくなります。

最悪の場合、肺気腫のような治療不可能な病気になってしまうこともあるので、猫の喘息にはとても注意が必要になります。


猫の喘息の原因は?

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◆喘息の原因の多くは様々なアレルギー

猫の喘息の明確な原因はわかっていませんが、ほとんどがアレルギー性によるものだと考えられています。

猫の喘息のアレルギー性の原因としては、食べ物などのアレルギー、ダニやフケ、花粉やホコリなど季節によるものが考えられます。体内に入ってきたアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対する免疫系の過剰反応が、アレルギーの要因になることが多いです。

非アレルギー性は、冷たい空気や感染症、ストレスや不安、薬物などの非アレルゲン物質が原因となることがあります。

これらが喉の粘膜を刺激することで、気管支が収縮して狭くなり、気管支に炎症を起こしてしまうことがあります。

◆食べ物のアレルギーによる喘息

食べ物のアレルギーは、魚・鶏肉・豚肉・牛肉・乳製品・穀物(小麦・大豆)など、様々な食べ物が考えられます。

もちろん、全ての猫にアレルギーが現れるわけではありません。また、どの食べ物にアレルギー反応を起こすかには個体差もあります。

統計的には、ややシャム猫が喘息になりやすい傾向があるといわれています。

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◆食べ物以外のアレルギーによる喘息

食べ物以外のアレルギーでは、ダニやフケ、殺虫剤、掃除機からのホコリ、また殺虫剤や肥料、花粉などがあります。

その他に季節が関係している喘息もあります。
例えば、冬であれば、暖房によりハウスダストが部屋に舞うために喘息になる場合があります。春であれば、花粉などの何かしらのアレルギーで喘息がなる可能性が高いといえます。

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◆ストレスによる喘息

猫がストレスや不安を感じた時、運動した時に喘息を起こすことがあります。

◆冷たい空気を吸うことによる喘息

猫の喘息は、アレルギー反応以外で考えられる要因があります。冷たい空気を吸うことで喘息になることがあります。

他には、何かしらの粉末、煙などを吸うことや感染症によって喘息になる可能性があります。

◆喘息の原因の特定は難しい

猫が喘息になる原因はいろいろ考えられます。しかし、喘息の原因がアレルギーだとわかっていても、アレルゲンを特定するのは難しいです。

例えば、季節の変わり目に喘息が出る猫でも、暖房によるハウスダストが原因なのか、冷たい空気を吸うことが原因なのか、その他の原因なのか、簡単には猫のアレルギーの特定はできません。

原因の特定には、身の回りにあるアレルゲンになりそうなものを排除していくことが大切になります。


猫の喘息の症状は?

猫の喘息は、気管支が突発的に収縮することで、発作的に咳などが起こります。つい先ほどまで元気でいたのに、急に呼吸がつらそうになって、「ゼーゼー」と音を立てて息をします。

◆喘息の主な症状

猫が喘息になると、以下のような目に見える症状が現れます。

・咳
・くしゃみ
・吐き気(吐く仕草)
・チアノーゼ(酸欠状態で口腔粘膜が青紫色になる)
・呼吸困難

猫が喘息になると、咳やくしゃみ、「ゼーゼー」という呼吸、吐き気、チアノーゼ、呼吸困難などの症状がみられます。

喘息時に出る咳は、猫が普段よくする毛玉を吐く時の咳とは違うため、飼い主さんならこの咳の異常をすぐに気づけます。
咳をする時には、頭を下げ、前に突き出して「ケホケホ」と息を吐くような咳をします。その間に「ゼーゼー」と音がすれば喘息だと考えられます。

また、吐き気は吐く仕草をしますが、何も吐かないといったことも見られることもあります。重度になると咳の発作が長期間になる時があります。

喘息によって咳をした後は、何事もなかったようにしている状態ならば軽い症状です。ですが、毎日のように咳をして息をするのも苦しそうにする場合もあります。

普通のように呼吸ができなくなると、酸素が十分に供給できなくなり、酸素が足りなくなって口の中の粘膜が青紫色になるチアノーゼという症状がみられます。

さらにひどくなると、呼吸困難から呼吸不全になってしまい、命に関わることがあります。

また、喘息を患っている猫の中には咳があまり出ず、呼吸数が極端に増加することがあります。
猫の安静時の呼吸数は1分間に20回~40回ぐらいですが、喘息の症状が出ている時の呼吸数は、1分間に60回~80回ぐらいになります。


猫の喘息の治療方法は?

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猫の喘息の治療方法は、まずは喘息の症状の軽減を目的とした対症療法を行います。

咳を止めるために、気管支拡張剤や抗炎症剤、ステロイド剤の内服をします。ステロイドは内服薬のほか、ネブライザーという吸入器によって吸入する場合もあります。

◆喘息の発作で呼吸困難になっている場合

猫が喘息で呼吸困難になっていたら、すぐに動物病院に連れていってください。喘息の発作で猫が呼吸困難を起こしている場合は、緊急の酸素吸入や点滴の治療が行われます。

その後、咳止めの薬や気管支拡張薬の投与などの治療を行います。

◆薬物などによる喘息の治療方法

薬物が原因での喘息の場合も、すぐに動物病院に連れていってください。薬物の種類によって治療方法が変わる場合がありますので、薬物の名前を伝え、適切な処置をしてもらいます。

薬物の名前などを伝えるのが難しい時は、薬物を動物病院に持っていくとわかりやすく、治療をスムーズに進められることができます。

◆季節による喘息の治療方法

猫の喘息の原因が花粉やホコリなどだと考えられる場合には、部屋を換気することや、逆に花粉などが部屋に入らないように対策をしてください。

病院で治療をした後、同じ環境にいると喘息が再発してしまう可能性があります。喘息の治療にもつながるので、環境を変えて対策を取る必要があります。


愛猫が喘息を発症した時の注意点

◆原因の特定と対処が重要

喘息の発作が起きた時に使用する気管支拡張剤や抗炎症剤、ステロイド剤は、動物病院で獣医師さんによって処方されます。
ただし、毎回喘息の発作が起こる度に薬を使用すると、猫の体にも負担がかかってしまいます。

アレルギー性の喘息の場合は、発作を起こしているアレルゲンを特定することが大切です。しかし、アレルゲンを特定することはとても難しいので、可能な限りアレルゲンと思われるものの接触を避ける生活環境を作りましょう。

非アレルギー性の場合は、喘息の発作の引き金となったストレスや不安を取り除いてあげましょう。

喘息が起こらないかは、原因の除去ができているかどうかが大切になってきます。

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◆怪しい症状が現れたらすぐに動物病院へ

喘息は、動物病院に行けばすぐに治ると思って放置していると、命にかかわる状態になる可能性があります。

少しでも怪しい症状が現れたら、いつから症状が現れたか、どんな症状か分かるようにし、すぐに獣医師さんに相談するようにしましょう。

◆勝手に薬をやめたりしない

動物病院で薬を処方された場合は、喘息が起こらないようにきちんと飲ませるということも大切な治療です。喘息が起こらなくなったからといって、飼い主さんの勝手な判断で薬を途中で飲ませなくなるようなことはないようにしてください。


最後に…

喘息の症状はどれも苦しいものばかりです。喘息の症状がひどくなると呼吸困難になり、猫もとても苦しい思いをします。呼吸困難の症状が起こると、動物病院で気管支拡張剤や抗炎症剤、ステロイド剤などを投与しなければなりません。猫にとってはストレスになることもあります。

喘息の原因を特定するのはとても難しいですが、猫の喘息の発作が起こらないように飼い主さんができることはたくさんあります。

猫が喘息を起こした時に触っていたものや部屋の環境、何を食べたのかなどをメモとして記録しておくといいでしょう。根気よく観察し続けることが必要です。

また、目に見えない化学物質が喘息の原因になることもあるので、猫が咳をした時の状況も把握しておく必要があります。その他、部屋の生活環境を変えてあげることや、こまめに部屋の掃除をすることなどがあります。

喘息の予防方法はたくさんあるので、猫のためにもいろいろと試してみてください。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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猫を飼いはじめて20年。完全な猫派です。 今まで4匹の猫と過ごしてきました。現在は2匹の猫と楽しく過ごす毎日です。 ツンデレされて20年。猫の行動1つ1つが大好きで、ずっとツンデレにやられてしまっている人間です。

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