1.猫にコーヒーは危険!その理由とは?
1-1.コーヒーに含まれる「カフェイン」が問題
1-2.カフェインが猫に及ぼす作用
1-3.カフェインが含まれる飲み物・食べ物
2.猫のカフェイン中毒の症状は?
2-1.猫のカフェイン中毒の症状の特徴
2-2.カフェイン中毒の症状が現れる時間
3.猫が摂取した場合のカフェインの致死量は?
4.猫がコーヒーを舐めた時の対処法は?
4-1.すぐに動物病院へ連れていく
4-2.どのような状況でコーヒーを舐めたか伝える
4-3.動物病での治療法
5.猫をコーヒー中毒にさせないためには?
5-1.飲み物や食べ物は片付けておく
5-2.コーヒーの飲み残しなどを放置しない
5-3.小さいころからしつけをする
6.猫がコーヒーを舐めた時のまとめ
猫にコーヒーは危険!その理由とは?
◆コーヒーに含まれる「カフェイン」が問題
コーヒーには、カフェインが含まれていることがよく知られていますね。このカフェインを猫が体内に取り入れると、中毒を起こしてしまいます。
カフェインは猫の中枢神経を刺激して、強い興奮作用があり、体調不良を起こします。もし舐めたり飲んだりした量が多ければ、命にかかわることもあります。
さらにカフェインには血管を拡大させる作用もあるため、冠動脈や肺動脈といった大切な血管はもちろんのこと、猫の全身の血管が拡張することで、命にかかわる状態になることもあります。
◆カフェインが猫に及ぼす作用
カフェインは、アデノシンという鎮静作用を持つ化合物と似た構造をしています。
アデノシンとは、生き物の体でとても重要な役割を担っている化合物です。体内のエネルギー輸送に関わったり、遺伝情報のコードに用いられたりしているものです。
猫がカフェインを舐めてしまうと、カフェインは細胞のアデノシンの受容体に取りつくことで、アデノシンの結合を阻害します。
このことから、本来はアデノシンが担っている鎮静作用が阻害されてしまうことになるため、覚醒が起こるというしくみです。
そのほかカフェインには解熱鎮痛作用もありますし、利尿作用もあります。
◆カフェインが含まれる飲み物・食べ物
カフェインが猫の体調に影響を及ぼすので、コーヒー以外でもカフェインを含む飲み物を舐めた場合にも、同じような症状が出る可能性があります。
カフェインを含む飲み物と、カップ1杯(約150ml)のカフェイン含有量の目安です。
・インスタントコーヒー 70mg
・紅茶 50~80mg
・緑茶(煎茶) 30mg
・緑茶(玉露) 180mg
・抹茶 50mg
・ウーロン茶 30mg
・ほうじ茶 30mg
・玄米茶 15mg
・番茶 15mg
・ココア 30mg
・缶コーヒー 90mg~120mg
また、最近のスポーツドリンクや栄養ドリンクにもカフェインが含まれているものがあります。
さらに、コーヒーゼリーといったコーヒーを含むお菓子にもカフェインが含まれており、カフェイン中毒と似た症状が出ることがあります。
もちろんコーヒー豆にもカフェインが数パーセントですが含まれるので、猫が誤って食べてしまわないように気をつけてください。
忘れがちなのが、ドリップコーヒーを入れたあとのコーヒーかすの処理です。砂のようなので、猫がイタズラして口に入る可能性もあるため、しっかり処分しましょう。
猫のカフェイン中毒の症状は?
猫がカフェイン中毒になると、次のような症状が見られます。
・息が荒くなる
・動悸が激しくなる
・嘔吐する
・不整脈が起こる
・ふらつく
・痙攣する
・おしっこに何度も行く
◆猫のカフェイン中毒の症状の特徴
カフェインには覚醒作用があるため、コーヒーを一定量舐めた猫は興奮状態になり、飛び回ったり鳴いたりします。息をはずませて、胸などを触ると動悸が早まっているのがわかることもあります。
見た目に猫の中毒の状態がわからなくても、コーヒーを舐めたあとにいつもよりおとなしくしていたり、元気がなかったりするようであれば、体調不良になっている可能性もあります。
中毒症状が重いと、嘔吐したり、痙攣したりすることもあります。
また、カフェインには利尿作用もあるため、猫がおしっこに何度も行くことがあります。
中毒を起こすと、失禁してしまうこともあるので、カフェインを口にした後の猫のトイレの様子についてもよく観察しておきましょう。
◆カフェイン中毒の症状が現れる時間
猫のカフェイン中毒の症状は、コーヒーなどを舐めてしまってから1時間から2時間後に出るとされていますが、猫によっては必ずしもそうなるとは限りません。
早く中毒症状が出ることもあれば、2時間以上過ぎてからでも体調不良になるようなことも考えられます。
猫が摂取した場合のカフェインの致死量は?
猫がカフェインを摂取することで死んでしまうとされる致死量は、体重1kgあたり150mgと考えられています。
しかし、猫に中毒症状が起こるのは体重1kgあたり15~20㎎摂取した頃からだとされます。致死量飲んだわけではなくても、中毒症状が現れることがあるということですね。
コーヒーを舐めたとしても、カップ一杯ぶんほど飲むと命にかかわるということになります。
猫がコーヒーを水のようにゴクゴクと飲むことはあまりないように思われますが、少量だからと行って安心はできません。猫によっても症状の出方に違いがあります。
子猫や老猫であれば少量でも中毒症状が現れるかも知れませんし、成猫でも代謝能力が低かったり、体調が悪かったりすれば、少しのカフェイン摂取でも中毒を起こす可能性があります。
猫がコーヒーを舐めた時の対処法は?
◆すぐに動物病院へ連れていく
猫がコーヒーを舐めた時には、できるだけ早く動物病院に連れていくことが一番の対処法です。
吐かせるという方法を推奨されることもあるようですが、素人が飲み込んだ液体を吐かせることは難しいと考えられます。
もし猫がコーヒーを舐めたことがわかれば、中毒症状が出ていなかったとしても、動物病院に連れて行った方が良いでしょう。コーヒーを舐めた直後でなくても、何か症状が出てくる可能性もあります。
◆どのような状況でコーヒーを舐めたか伝える
動物病院に連れていく前には、電話で猫の様子を伝えて、指示を仰いで、対処しながら動物病院に連れていくという方法もあります。
動物病院では、診察時に、できるだけ猫がどのような状況でコーヒーを舐めたのかを伝えましょう。
・どのくらいの量舐めたか
・いつ舐めたか
どんなコーヒーというのは、ドリップしたものか、インスタントか、またミルクが入ったものかといったことです。
舐めた量は、ほんの少し舐めた程度か、たくさん飲んだり食べてしまったりしたのかといったことです。ほんの少しの量でも、猫にとっては多い場合がありますから、人間の感覚で考えないほうが良いでしょう。
そして、いつ舐めたのか、舐めてからどのくらい時間が経ったのかということも伝えましょう。
もちろんコーヒーだけでなく、他のカフェイン入りの飲み物や食べ物を猫が口にした時には、情報を獣医さんに伝えられるようにしておいてください。
◆動物病での治療法
猫がコーヒーを飲んでしまった場合、次のような治療法が考えられます。
・胃洗浄を行う
・吸着剤を与える
・下剤を与える
・イオントラップ
●催吐剤
一般的にはトラネキサム酸が使われることが多いと言えます。催吐剤を与えることで猫にコーヒーを吐かせるということです。
●胃洗浄
猫の口や鼻からチューブを入れて、胃の中に生理食塩水を流し込んで吐き出させ、それを繰り返して胃の中を洗う治療法です。催吐剤で反応しなかった場合や、中毒症状で緊急性を要する場合に使われます。
●吸着剤・下剤
吸着剤である活性炭を投与して、腸から毒物を吸収するのを妨げます。その後、下剤によって毒物を吸着した活性炭を体外に出します。
●イオントラップ
飲み込んだ毒物が猫の腎臓の尿細管で再び吸収されるのを妨げるため、酸性かアルカリ性のどちらかに偏らせる方法です。カフェインを飲み込んだ場合には、酸性に偏らせることが有効です。
これらの治療法は、獣医さんが猫の様子を判断して行うものです。猫の状況によって、とられる方法は違ってきます。
猫をコーヒー中毒にさせないためには?
◆飲み物や食べ物は片付けておく
コーヒーだけでなく、カフェインが含まれるものは、飲み物や食べ物とたくさんあり、人間の食卓にあふれています。
できるだけ猫が触れられないような場所に、飲料や食べ物を片付けておくようにしましょう。
◆コーヒーの飲み残しなどを放置しない
カフェインが含まれる飲み物をコップなどに入れたままで放置しておくと、コップから舐めたり、コップを倒して舐めたりする可能性があります。
飼い主さんがコーヒーを飲んだ後には、飲み残しをテーブルやキッチンに置いたりしないように気をつけてくださいね。
◆小さいころからしつけをする
人間が食べたり飲んだりしているものは、基本的に猫の口には入らない、といったしつけを小さい頃からしておくのも良い方法です。
特にカフェインが多いのは、ドリップコーヒーはもちろんですが、缶コーヒーやエナジードリンクもカフェインが多く含まれています。
またココアやチョコレートドリンクも、同じように中毒を起こすことがありますので、猫には与えないようにしましょう。
猫がコーヒーを舐めた時のまとめ
コーヒーを始めとする、カフェインを含む飲料は、飼い主さんの生活では欠かせないものになっていて、猫が誤飲しやすい状況が多いと考えられます。
猫と暮らしている時には、コーヒーを猫が口にしないように気をつけておきましょう。
また、猫がコーヒーを舐めた場合、中毒症状が出た時はもちろん、特に変化が見られなくても、動物病院に連れていってください。
猫がコーヒーを舐めた量によっては、症状が重くなったり、命にかかわってきたりすることもあるので、ためらわずに診察してもらうと良いでしょう。
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