猫が一日に飲む水の適正量は?
◆猫の飲み水の適正量
猫が一日に飲む水の適正量は、成猫であれば、体重1kgにつき50mlという目安があります。
猫が一日に飲むべき水の量については様々な計算方法がありますが、この目安だと簡単に必要な飲水量が把握できます。
例えば、この数値で考えると、体重4kgの猫であれば、一日の飲水量は4×50=200mlとなります。
また、別の計算式では、1.2×70×(体重)の0.75乗が猫の必要な一日の飲み水の量であるというものがあります。
◆ウェットフードを与えている場合
ただし、ウェットフードを食べている猫の場合、フードからも水分をとっているため、上記の量よりも適正な飲水量は減ったものとなります。
ウェットフードを食べた分に水分比率をかけて水分量を計算し、それを一日の適正水分量から引いたものが、猫の飲み水の適正量になります。
水分比率はフードによって違いますので、計算は少し面倒かも知れませんね。
ウェットフードを食べている猫の飲水量を簡易的に計算するには、猫の体重×10~20mlで出た数字が目安の飲水量となりますので、それ以上飲んでいると飲み過ぎと考えて良いでしょう。
猫の一日に飲む水の適正量は、猫の食べているものや体格によっても多少ですが変化します。
◆水の飲みすぎや飲まない場合は注意
猫の身体の60%~70%ほどは水が占めていますから、水はとても大切なものです。
水は、食事の栄養素を吸収しやすいように分解したり、血液やリンパ液を運んだり、尿として老廃物を排出したり、体温調節をしたりと、とても重要な働きをしています。
猫の祖先はリビアヤマネコだとされていますが、砂漠に住んでいたため水を飲むことが少なく、さらに体外に水分をあまり出さないような体になっています。
そのため、猫が水を飲まないことで心配する方が、猫が水を飲みすぎるよりも多いと言えるでしょう。
だからこそ、猫が水を飲みすぎている、と飼い主さんが思った時には、何か身体に異常があるサインかも知れませんので、放っておかない方が良いと言えます。
猫が水を飲みすぎる原因は?
それでは、猫が水を飲みすぎる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
◆餌を変えたため
ウェットフードからドライフードに変えたり、餌の種類を変えたりすると、猫が水を飲みすぎてしまうことがあります。
また、猫用のおやつをあげるようになることでも、水を飲む量が増える場合があります。
猫の餌を変えるときには急激に変えず、少しずつ混ぜながら与えていくようにしましょう。
◆刺激物などを食べたため
猫が普段のフードとは別に、落ちていたものや人間の食事など、味の濃いものや刺激のあるものを食べた時に、水を飲みすぎることがあります。
ただしこれは一時的なものなので、猫がずっと水を飲み続けるようであれば他のことが原因かも知れません。
◆気温が高いため
室温が高いと、暑さで喉が乾くので水を飲む量も増えます。夏場には、室温に気をつけて、猫が熱中症にならないように気をつけてあげてください。
また、室内が乾燥している時にも水を飲みたがりますので、部屋の気温や湿度を確認してみましょう。
◆ストレスを感じているため
猫が何かのストレスを感じている時に、水を飲んで気を紛らわしているということもあります。
水はいつでも飲めるように置いてあるところがほとんどだと考えられますので、目についた水を猫が飲んでしまうことが考えられます。
猫が暇を感じて、つまらないので飲み水で遊んでいるうちに、飲む行為をしているという場合もあります。
◆病気のため
猫が何らかの病気にかかっていると、水をよく飲み、おしっこをよくするようになることがあります。
これを病院では多飲多尿と言い、獣医さんにも、水を飲みすぎていないか、おしっこが増えていないかといったことはよく聞かれます。
猫が水を飲みすぎる時に考えられる病気には、次のようなものがあります。
・腎不全
腎不全は、猫が水を飲みすぎるようになり、おしっこの量も増えることで気づきます。
慢性腎不全と急性腎不全の2種類がありますが、水を多く飲むようになるのは慢性腎不全の疑いがあります。
慢性腎不全は、猫の腎臓の機能が徐々に低下して、機能不全となってしまう状態です。
症状が進むと、毛艶が悪くなり、下痢や嘔吐をします。体の老廃物やミネラル類を尿中に排泄することができなくなり、尿毒症になることもあります。
また、水を飲みすぎているのに、おしっこも多く出るので、脱水も引き起こします。
一度、腎臓の機能が失われてしまうと、その後は回復することがありません。
・糖尿病
猫が糖尿病になった時にも、水を飲みすぎて、おしっこもたくさん出るという症状が初期に現れます。
糖尿病は、膵臓から分泌されるホルモンが減るなどの理由で、必要な糖分を細胞内に取り込めなくなって、血液中の糖分=血糖値が高くなることが原因です。
症状が進むと神経系に異常が生じて、歩き方がおかしくなることもあり、また色々な感染症にもかかりやすくなります。
・甲状腺機能亢進症
猫の甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが以上に分泌されるようになる病気です。落ち着きがなくなり、攻撃性が増したりします。
水を飲みすぎておしっこの量も増え、よく食べますが体重が減るという症状が現れます。症状が進行すると、食欲もなくなり、心臓をはじめとした内臓の機能が衰えてくることがあります。
・猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルスに感染することによって起こる病気です。
水を飲む量が増え、おしっこの量も増えます。初期には発熱し、全身のリンパ節が腫れたり貧血を起こしたりします。
感染後、初期症状のみでその後はなんの症状も出ない猫もいれば、数年してリンパ腫や白血病などの腫瘍性疾患の症状が現れる猫もいます。
免疫力が落ちるので、日和見感染にかかりやすくなり、下痢や口内炎、皮膚炎などの症状が見られることもあります。
・子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は、メス猫の子宮に細菌が感染して炎症が起こり、子宮内に膿がたまってしまう病気です。
水をたくさん飲むようになり、おしっこの量も増え、お腹が膨れ、発熱や嘔吐、下痢も見られることがあります。
子宮に膿が溜まってくると、ショック症状を起こしたり、急性腎不全になったりすることもあります。
どの病気も、症状が悪化すると命にかかわるようなものばかりなので、できるだけ早く動物病院で診てもらう必要があります。
早期発見し、早期に治療を行えば、普通に過ごせる場合もあります。水を飲みすぎるな、と気づいた時点で診察してもらうと安心でしょう。
猫が水を飲みすぎる時の対処法は?
◆普段の飲水量を知っておこう
猫が水を飲みすぎるからといって、水を与えないといった行為はしてはいけません。排尿したぶんだけしっかり水を飲み、補うことはとても大切です。猫が水を飲まないと、脱水のほか、膀胱炎や尿結石になる可能性もあります。
また、猫が水を飲みすぎだと判断するためには、猫の飲水量を測る必要があります。水を入れる器に目盛りがついているものがありますので、最初に入れて置いた量を記録しておけば、一日でどのくらい減ったかがわかります。
一日の飲水量を正しく測るためには、半日ごとに測ると、微妙な減り方がわかりやすいでしょう。
◆猫の飲水量の測り方
いつも使っているお皿に水を入れます。同じ器で同じ量の水の皿をもう一つ用意して、ザルなどを被せて飲めないようにしておき、水の蒸発量の目安にします。
半日(12時間)後に、飲めないようにしておいた皿の水の減った量(気化した分)と、飲んだお皿の水の量を、最初に入れた水の量から引くことで、半日で猫の飲んだ水の量がわかります。
これをもう半日ぶん測ることで、猫の一日に飲んだ水の量がわかります。
猫はその日によって飲水量が変わることもあるので、数日測ることができるとより正確な飲水量がわかるでしょう。少し面倒ではありますが、猫のおしっこの量を測るよりもずっと簡単だと言えるでしょう。
猫の飲水量は、特に高齢になるほど気にした方が良いと言えます。高齢になるほど病気になる可能性も高く、なりやすい病気の症状には水を飲みすぎるということがよくあるからです。
くれぐれも、見た目や印象だけで、猫の飲み水を減らすことのないようにしてください。
猫が水を飲みすぎることについてのまとめ
猫が水を飲みすぎる場合には、何らかの体の異常や病気が原因の場合もあります。
元気がない、食欲に変化があるなど、水を飲みすぎる以外にも症状があれば、早めに動物病院で健康診断を受けた方が良いでしょう。
猫が水を飲みすぎかどうかは、飲水量を測ることではっきりと把握することができます。
猫は水を飲みすぎても、あまり飲まなくても、よい状態とは言えません。
もし猫が水を飲みすぎで心配な場合は、猫の飲み水を減らすことはせずに、他に何も症状がなくても、動物病院に連れていって診てもらうようにしてください。
– おすすめ記事 –
・猫はどうして水を飲まないの?水の飲ませ方と飲まないことでかかる病気。 |
・猫の水飲みおすすめ5選!飲みやすいポイントとこぼす時の対策は? |
・猫におすすめの自動給水器4選!気になる電気代や留守番時に自動給水器を使うメリットとは? |
・猫の色々な水の飲み方。正しい飲み方はあるの?水を飲まない時の対処法は? |