参考:ペットの保険金請求が多い傷病のランキング2021 ┃ アイペット損害保険株式会社
猫の保険金請求が多い病気のランキング(総合)
アイペット損害保険株式会社が発表した、2021年のペットの保険金請求が多い傷病のランキングです。
猫の傷病 総合のランキングでは、
2位 皮膚炎
3位 腎臓病
4位 胃腸炎
5位 結膜炎
6位 膀胱炎
7位 腫瘍
8位 異物誤飲
9位 心臓病
10位 尿石症
となっています。
下痢は様々な病気の症状の一つとして現れやすいため、ランキングも高くなり、猫がかかりやすい病気と言えるでしょう。
皮膚炎は、アレルギーが原因の物が多く、アレルギーを引き起こす物質は猫によって違っていて個体差があります。
膀胱炎や腎臓病といった病気は、猫が成猫になってくるとかかりやすい病気となっています。
異物誤飲は、猫が人と暮らしていることで起こりうることだと言えるでしょう。小さなものは猫の遊び道具になり、噛んだりなめたりしているうちに飲み込んでしまうことがあります。
子猫の保険金請求が多い病気のランキング
生後1歳未満の子猫の保険金請求が多い病気のランキングです。
◆1位 下痢
猫の下痢は、総合の傷病ランキングでも1位となっています。
特に子猫は新しい家で飼われるようになったりすると、環境の変化によるストレスによって下痢になることもあります。
また、まだ消化器官が発達過程で成熟していないために、下痢で体調を崩すということも考えられます。
他にも、寄生虫や感染症など、病気の初期の症状として下痢が見られることがあります。成猫であれば治るようなものでも、子猫の場合には命にかかわることも多いので、子猫が下痢をした時には注意が必要です。
◆2位 結膜炎
猫が結膜炎になると、結膜が充血して、目やにがたくさん出て、目のかゆみや痛みのためによく目をこするようになります。
涙もよく出るようになり、目をよく瞬きしてしょぼしょぼとさせることも増えます。ひどい時にはまぶたが目やにでくっついて開かなくなってしまうこともあります。
結膜炎は、猫風邪ウイルスの感染などの病気が原因のほか、目にゴミや異物が入って結膜に傷がつくことが原因になることもあります。
◆3位 胃腸炎
胃や腸の粘膜に炎症が起こり、嘔吐や食欲不振、下痢、血便などを引き起こします。
猫は暮らすおうちが変わったり、フードが変わったりすることで胃腸炎を引き起こすことも。
環境の変化があるときは特に注意したい病気です。
◆4位 猫カゼ
子猫は免疫がしっかりできていない場合もあるため、猫ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアといった細菌やウイルスによって感染症を引き起こすことも多くあります。
これらの感染症を猫風邪と呼び、子猫を拾ったらすでに猫風邪に感染していた…というケースもあるようです。
「風邪」というと私たち人間は軽いものだと思いがちですが、免疫の弱い子猫にとっては命の危機がある場合も。
猫風邪の症状は咳やくしゃみ、鼻水、目やになどです。
◆5位 皮膚炎
皮膚炎は、子猫、成猫、老猫すべての傷病ランキングに入っており、気をつけたい病気です。
子猫が注意したい皮膚炎としては、ダニやノミによる病気があげられます。特に外で暮らしていて保護された子猫などは、とても高い確率でノミやダニに寄生されています。
ノミやダニに寄生されると強い痒みを引き起こし、皮膚が赤みをおびたりフケが出たりといった様々な症状が現れます。
成猫の保険金請求が多い病気のランキング
1歳から6歳までの猫の保険金請求が多い病気のランキングです。
◆1位 皮膚炎
猫の皮膚炎には、アレルギー性皮膚炎が多く見られ、ノミが原因であったり、食べ物が原因であったりします。また、ハウスダストや花粉、プラスチックなど、部屋の様々なものが原因になりえます。
アレルギーは、体内に入っていきた異物のせいで過剰に反応することで起こる病気です。症状としては、体の色々な部分を痒がったり、目の周りや背中などの皮膚に発疹ができたり、かゆみのあるところが脱毛したりします。
ノミアレルギーの場合には、腰からお尻にかけてかゆみなどの症状が出る場合が多くなっています。
◆2位 膀胱炎
猫の膀胱炎は、膀胱に炎症が起きて、尿が出にくくなったり、尿の色がおかしくなったり、外陰部から出血したりする病気です。
トイレによく行くようになったり、尿の量が減ったり、トイレの姿勢をするけどおしっこがなかなか出ないなどの症状があります。
原因は、細菌や真菌が膀胱内に侵入して繁殖したり、尿結石で膀胱の膜が傷つけられたことで炎症が起きたりすることが考えられます。
自然に治ることもありますが、再発することも多い病気です。水をよく飲めるようにして、トイレを清潔に保つ必要があります。
◆3位 下痢
子猫で最も多く見られた下痢は、成猫になっても注意が必要です。
猫は環境の変化などでストレスを感じやすいので、引っ越しや模様替え、同居の人間や猫の増減、フードの切り替えなどをきっかけに下痢をしてしまうことも珍しくありません。
変化は仕方のないことですが、なるべく猫に負担をかけないように工夫をしてあげることが大切です。
◆4位 尿石症
猫の尿石症とは、猫下部尿路疾患のうちのひとつで、尿道結石などで尿道が詰まり排尿が少ししかできないか、全くでなくなるといった症状が出る病気です。
猫下部尿路疾患は、膀胱と尿道に関係している疾患を総称した言葉です。これには尿結石のほか、尿道炎や膀胱炎も含まれます。
尿石症になって排尿がほぼできないか、全くできないようになると、急性腎不全を起こして、尿毒症になるおそれもあります。
尿石症の原因ははっきりとわかっていませんが、体内のミネラルバランスが取れていなかったり、尿の値がアルカリ性と酸性のどちらかに偏っていたりする場合に、結石ができてしまうことがあるようです。
◆5位 胃腸炎
下痢の原因の一つとなる胃腸炎は、嘔吐も症状として加わります。
原因はストレスの他、傷んだ食べ物や異物を食べてしまうことによるものなど様々ですので、猫の食べるものや生活環境をしっかり整えるよう注意をしましょう。
老猫の保険金請求が多い病気のランキング
高齢の7歳以上の猫の保険金請求が多い病気のランキングです。
◆1位 腎臓病
老猫の最も保険金請求が多い病気は腎臓病です。老猫が腎臓病にかかりやすいはっきりとした理由はわかっていませんが、血液中の老廃物をろ過し尿として排出する役割の「ネフロン」の数が加齢とともに喪失することが関係しているとも言われています。
腎臓は赤血球の生成や血圧の調節などの働きをしているため、貧血や高血圧などの症状が出てきます。そして、失った腎臓の昨日は再び回復することがありません。
猫の腎臓の病気は、早期発見し、重症化する前に対策することが大切です。老猫の年齢になったら半年に一回の動物病院での健康診断を心がけ、普段から何か変化がないかチェックするようにしましょう。
◆2位 腫瘍
腫瘍は、悪性のものをガンと呼んでいます。猫が高齢になってくると、腫瘍ができることが多くなってきます。
猫の腫瘍ができる病気としては、皮膚腫瘍、消化器の腫瘍、メス猫であれば乳腺腫瘍などが多くなっています。
腫瘍ができると、しこりやこぶのようなものが出来て、進行してくると膿を持ち、破裂して膿がもれてくることもあります。
また、元気がなくなり、食欲不振、下痢、嘔吐なども見られるようになります。
老猫に多いのは、腸管や腸間膜のリンパ節に腫瘍ができるものです。食欲が落ちて体重も低下し、嘔吐や下痢も見られます。
治療しなければ命に関わる病気のため、早期発見と早期の治療が大切です。
◆3位 心臓病
心臓病にも種類がありますが、猫でよくみられるのは「肥大型心筋症」で、これは左心室あたりの心筋が厚くなって大動脈へ血液を送り出す力が弱まり、左心房に滞留した血液で心臓が肥大したように見えることから「肥大型」といわれています。
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝性と考えられていてメインクーンやアメリカンショートヘアなどに多くみられるようです。
肥大型心筋症になると、体を少し動かすだけですぐにハァハァと息切れするようになり、ぐったりとうずくまるようになります。また、血流が悪くなることで血管内に血栓ができ、麻痺や歩行困難、最悪の場合死に至ることもあります。
◆4位 膀胱炎
膀胱炎は、成猫の傷病ランキングにも入っており、ずっと気をつけたい病気です。
膀胱に炎症が起きて、尿の状態(色)が悪くなったり、尿が出にくくなったり、外陰部から出血したりします。細菌や真菌が原因のこともあれば、膀胱に傷がつくことが原因の場合もあります。
高齢になった猫は、足腰が弱って早く動けず、トイレまでたどりつく前に排尿してしまうこともありますが、膀胱炎で排尿困難で動き回ったすえに粗相している場合もあります。
◆5位 歯周病
歯石がついて細菌が繁殖し、口臭の原因になったり、歯肉が炎症を起こすことを歯周病といいます。
年を重ねた分だけ歯石が蓄積し、歯がぐらついてよだれが出て、最悪の場合抜歯が必要となることもあるようです。
最も有効なのは歯磨きをすることですが、口元を触られるのを嫌がる猫ちゃんも多いため歯磨きおやつなどを上手に使いましょう。
その他に気を受けたい猫の病気
今回ランキングに入った病気の他に、猫が注意したい病気として以下のようなものがあります。
◆寄生虫
猫に寄生する虫は、ノミやダニといったよく耳にするものはもちろん、瓜実条虫や回虫、マンソン裂頭条虫など体内に入ってしまうものまで様々です。
虫がついてしまうと刺されてかゆみを伴ったり炎症を起こしたり、体内で悪さをして下痢や嘔吐の原因になったりします。
特に外と家の中を行き来している子や、元野良猫でおうちへ迎え入れた子、子猫を拾った時には虫のチェックも必ず行いましょう。
◆糖尿病
糖尿病は、インスリンが不足したりうまく活動しなかったりすることで、糖分を体内に取り込めなくなることで全身に色々な症状が出てくる病気です。
食事をとっても体重が増えず、下痢や嘔吐をし、歩行がおかしくなってくる猫もいます。
治療が適切にされないと、昏睡状態に陥ったり、腎臓障害など他の病気を併発したりすることもあり、命にかかわります。
ストレスを感じないようにすることや肥満を防ぐことが、糖尿病の予防につながります。
まとめ
猫のかかりやすい病気のランキングで特に気をつけたい病気は、子猫であれば下痢、成猫は下部尿路疾患、高齢猫は腎臓病などの内臓の病気です。
また、異物誤飲は飼い主さんが気をつけることで防ぐことができますし、定期的に健康診断を受けさせることで、病気の早期発見ができます。
病気にならないよう、ワクチンで予防できるものはしておき、猫にストレスがかからない環境を整えてあげることが大切です。
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