猫が毛玉を吐く原因は?
猫は一日の大半を眠って過ごしますが、起きている時間には暇さえあればグルーミング(毛繕い)をして過ごすことがほとんどです。
このグルーミングの際に舐め取った毛が塊となったものを「毛玉(ヘアボール)」と呼びます。
◆飲み込んだ毛を排出するために吐く
通常猫が飲み込んだ毛は、胃から腸を通り便となって体外に排出されますが、飲み込んだ毛の量が多いと、その毛は体内に溜まってしまい、毛が絡まり合い毛玉となっていきます。
特に年に2回ある換毛期の季節や、長毛種の猫ちゃんを飼われているご家庭では、飲み込んだ毛を便から排出しきれず、毛玉を吐く原因となってしまいます。
◆猫は毛玉ができやすい毛質
猫の毛は毛根から先端にかけてささくれのような状態となっているので、一度抜けた毛が体にくっついたままになってしまえば、別のささくれ状態の毛に引っかかってゆきます。
それらの毛が擦れたりもつれたりすることによって、どんどん毛玉が増えていってしまうことでしょう。
他にも猫の皮膚には体臭や油分を分泌するアポクリン汗腺があるので、この分泌物がさらに毛と毛を絡まりやすくする働きをしてしまいます。
自然と毛玉が出来やすい体質な上に、綺麗好きな猫の性格が相乗して、どんどん体内に毛玉が蓄積してしまうという悪循環に陥ってしまっているのです。
その溜まった毛玉をうまく便で排出することが出来なければ、消化されない毛を口から吐くしか方法がないと言えるでしょう。
加齢やストレスで吐くこともある猫ですが、多くの場合は体内に溜まった毛玉を体外に出すために吐いています。愛猫が吐いたあとは毛玉がないか、普段からチェックをしておくのも良いかもしれません。
◆猫にとって毛玉を吐くことは自然な行為
もし愛猫の嘔吐物に毛玉が混じっていなかったり、便にも毛玉が混じったりしていないのなら、体内に毛が蓄積されてしまっている可能性が高いです。
猫が毛玉を吐く現象は生理現象であると考えられ、野生で生活していたころの名残とも言われています。
自ら獲物を捕らえて食べる、という行為をしていた猫にとって、獲物の毛や骨は異物としてみなされ、消化できない物は吐き出すことが日課となっていたのだとか。
このような習慣が日常的に行われていたのだとしたら、毛玉を吐く行為は病気ではなく、猫にとっての正常な行為であることがうかがえます。
猫の毛玉がお腹にたまるとどうなる?
考えるべきは毛玉が猫のお腹にたまって排出できなかった場合、どのような事態に陥ってしまうかということですよね。
毛玉がお腹にたまってしまうと、猫はどうなってしまうのでしょうか?
◆毛球症になる
グルーミングをして塊となった毛が胃で留まり、吐き出せない状態が続いてしまうと毛球症という病気になります。
毛球症を患ってしまうと、毛玉を吐き出せないという症状の他、胃の中でたまってしまった毛が粘膜を刺激したり、胃から腸への出口を塞いで胃腸の働きを悪くしたりします。
毛球症は、換毛期の猫たちや長毛種の猫に見られることはもちろん、ストレスなどでグルーミングの頻度の多い猫や、吐く力が弱い高齢の猫に見られることも多いです。
排便や嘔吐で吐き出せる毛玉(人間の親指程度)であれば、ほとんどの場合は無症状となりますが、胃の中の毛玉の量が限界を超えてしまうと、食欲不振や下痢、吐き気の頻度が多くなってくることも。
吐き気はあるのに吐けない状態は、猫ちゃんにとっても過酷で辛い状況であることに違いありませんよね。
毛玉を吐くことが出来ずに腸に流れてしまえば、腸閉塞を引き起こし、緊急性を要します。その場合、腹部に痛みを伴いますので、飼い主さんに触られると痛がります。さらに重症化してしまえば、腹膜炎を起こして一気に元気をなくしてしまうことでしょう。
◆便秘になる
毛球症を患うと、便秘を併発してしまうことも多いです。あまり水を飲まない動物である上に、毛玉も出来やすいとなれば、常に便秘のリスクが隣り合わせにあると言っても、過言ではないですよね。
毛球症から腸閉塞を引き起こしてしまったのであれば、便秘の原因となっている毛玉を取り除くしかありません。薬やサプリ、浣腸などで毛玉や便を除去できれば問題ありませんが、症状が悪化していれば外科的治療が必要となってきます。
麻酔のリスクや愛猫の体への負担を思うと、たかが便秘と軽く考えることが出来ませんよね。
便秘が原因で吐く回数が増えることもあるので、注意が必要です。
日頃からしっかりと排便をしているのかを観察することも大事ですし、どれぐらいの頻度で便意をもよおしているのかを知っておくことも大切ではないでしょうか。
猫が毛玉を吐く時の対策法
グルーミングが日課である猫にとって、毛玉は切り離して考えることは出来ません。猫が毛玉を吐く頻度が多ければ、飼い主さんは普段から何かしらの対策をしてあげるべきであると言えますよね。
猫が毛玉を吐く時には、どんな対策が有効的なのでしょうか。
◆猫草を与える
毛玉の対策として、猫草を与えることも有効的です。猫草とは、猫が口にする植物の総称を指しますが、野菜を好んで食べない猫にもこの猫草は一役買ってくれます。
なんとなく胃がムカムカするときに、意識的に食べることによって吐き気を促すことを知っているかのように、猫は猫草をよく口にします。
猫草を食べることによって胃が刺激されて、毛玉を体外に出す働きをしてくれますし、食物繊維も摂取することが出来れば、便秘や下痢などの便のトラブルも改善することが出来るでしょう。
もちろん猫の中には全く興味を示さない子も居ますが、食べてくれるようであれば、家に常備しておいても良いかもしれません。
◆こまめにブラッシングをする
猫がグルーミングで被毛を舐めとってしまうことが原因なら、飼い主さんがその原因を断つ努力をすることも必要となってきます。
普段からブラッシングをしてあげることによって、口から摂取してしまう毛の量を減らすことが出来ます。
特に長毛種の猫ちゃんは毛を舐めとる行為自体が苦手なことが多いので、ブラッシングを怠ると体内に入らずとも毛玉が出来やすくなってしまいます。
ブラッシングにはマッサージ効果も期待出来ますので、ストレスを溜め込みやすい性格の子にもピッタリです。
◆毛玉対策用フードを与える
毛玉を吐く量が多い、頻度が多いなどと感じるようなら、普段のペットフードを毛玉対策用のフードに変えてあげるのも良いでしょう。
毛玉対策用のペットフードは、食物繊維が豊富に含まれている商品が多いので、食べるだけで毛玉を体外へ出す手助けをしてくれます。
ただ猫の体質によっては豊富な食物繊維が下痢を引き起こしたり、蓄積された毛の量が多かったりすると、便秘になってしまうことも。
毛玉対策用の商品に切り替える際は、必ず食べたあとに具合悪そうにしていないか、排便は出来ているかなどの確認を怠らないようにしてあげましょう。
◆毛玉対策用サプリを与える
毛玉対策用のサプリも色々な種類の商品が販売されていますので、是非試していただきたいおすすめの商品でもあります。
毛玉対策用のペットフードや、飼い主さんからのブラッシングを嫌がる子は存在することでしょう。
そのようなとき、毛玉ケアを怠ってしまいがちになってしまいますが、サプリであればおやつとして与えたり、毎日食べているフードに混ぜたりして与えることが出来るので、とても便利ですよね。
毛玉対策用のサプリは油分を含んでべたつく商品が多いので、飼い主さんの負担にならずに与えやすいサプリを選ぶようにしましょう。
猫の毛玉対策におすすめのサプリ
毛玉対策は気になったときにするだけでなく、愛猫に苦痛を与えないためにも日々のケアが必要となってきます。
日々の対策として飼い主さんの負担にならないサプリをご紹介させていただきます。
◆スッキリン
歯みがき粉のようなチューブタイプのサプリは、飼い主さんの指先につけて与えることが出来るので、コミュニケーションにもなっておすすめです。
飲み込んでしまった被毛をやわらかくして、便と一緒に排出してくれる働きをしますので、猫ちゃんに負担がかかりません。
猫が好むやわらかい甘味のする麦芽味なので、おやつとしても与えることが出来るのは、飼い主さんにとっても嬉しいですよね。
週に1~2回程度の頻度であげるだけなので、ご褒美目的で常備しておいても良いかもしれません。
◆毛球クリーン
ペースト状の味のついたサプリが苦手な子には、ペットフードに混ぜて与えられるサプリも販売されています。
いつも食べているドライフードや缶詰に混ぜられる微顆粒タイプなので、薬やサプリが苦手であっても気付かず食べることが多いですよ。
ウェットフードにも違和感なく混ぜて与えることが出来るので、歯の弱い高齢の猫ちゃんにもおすすめです。
◆サプリを食べない子にはおやつもおすすめ
サプリを与えようとしても、なかなか食べてくれない猫も中にはいると思います。
そんな子には毛玉ケア用のおやつを与えるのも一つの手です。
ただし、毛玉ケアになるからと言っておやつをたくさん与えすぎてしまうと肥満の原因になってしまう場合もありますので、与える量には気を付けてくださいね。
猫の毛玉対策まとめ
猫と一緒に暮らしている以上、毛玉の問題はどうしても避けて通ることが出来ませんよね。猫はよく吐く動物だと認識していたとしても、やはり愛猫の吐く姿は出来ることなら見たくないものです。
毛玉が体内にたまって排出出来なければ、下痢や便秘、そして毛球症になってしまいますし、吐かないようにするために飼い主さんが出来る範囲で、何かしらの対策をしてあげなくてはいけません。
舐めとる毛の量が多いのなら、猫草やブラッシングなどで対策して、飲み込む被毛の量を減らすことも可能です。
それでも嘔吐の回数が減らないのなら、被毛をやわらかくする薬や、ペットフードに混ぜて与えるサプリなどを、使用してみるのも良いかもしれませんよね。
沢山の商品が販売されていますので、愛猫の性格を考慮しながら、選んでみてはいかがでしょうか。
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