元気いっぱいの猫ちゃんだからこそ気をつけたい「怪我」
性別や生活環境、年齢、個体差などで、元気の度合いは異なるかもしれませんが、アメリカンショートヘアは基本的に活発な性格です。
一緒に暮らすと、元気いっぱいの明るい様子が見られるかと思います。昔、ネズミを捕獲していた当時のハンターの血が騒ぐのか、毎日が狩りのような気分なのかもしれません。
元気で健康なのは安心できる一方、動きが多いので「いつ怪我をするか…」とハラハラドキドキな部分もありますよね。運動量も多く、怪我をする確率は高いかもしれません。
起こりやすい怪我や、その対策について見ていきましょう。
◆どんな怪我が起こりやすいか
家の中は、外のように事故に巻き込まれるリスクがないように思えます。しかし、室内でも「落ちる」「ぶつかる」「溺れる」などによって、怪我をすることがあります。
社交性が高いアメリカンショートヘアは、さまざまなものに興味を示します。猫はそもそも体が柔らかい生き物なので、人間が通れないようなちょっとした隙間でも、潜り込んでイタズラすることもあるでしょう。
単なるイタズラで済めばいいですが、落ちたりぶつかったりと怪我をして痛い思いをするのはかわいそうですね。
◆怪我を防ぐ対策とは?
アメリカンショートヘアの怪我を防ぐ対策は、なんと言っても猫目線で生活環境を整えてあげることでしょう。
・家具やキャットタワーを安定させる
身軽で運動神経が良いため、背の高い家具にもヒョイっと飛び乗ることがあります。
そんなときに危ないのが、グラグラするような不安定な家具。楽しく遊んでいる最中に落下すると危険です。
家具の設置は安定性を持たせ、猫が乗っても大丈夫か確認しておきましょう。
また、猫の上下運動に効果があるキャットタワー。アメリカンショートヘアの筋肉質な体型、アクティブな動きに耐えられるような、安全なものを選んでくださいね。
・浴槽や洗濯機の水に注意
浴槽や洗濯機に入っている水で溺れるというリスクもあります。
猫は水が苦手なので自分から積極的に水のなかには入ろうとしませんが、「浴槽の縁で滑って入水」「洗濯機を除いていたらうっかり落ちた」というケースも考えられます。
水を張っていると溺れるかもしれないので注意が必要です。水を抜いておくのも予防策のひとつです。
また、浴槽や洗濯機の蓋を閉めるのはもちろんですが、脱衣室や浴室に入れないようにドアを閉め、水場に近づけないことが大事です。
・感電を防ぐため電気コードをチェック
コンセントに繋がっている電気コードへのイタズラにより、感電の危険があります。ヤンチャなところがあるアメリカンショートヘアなので、電気コードを興味本位でかじると大変ですよね。
電気コードに直接触れないようにコンセントカバーやコードカバーをかけたり、電気コードに通電しないように、使わない時にはコンセントから電気コードを抜くのもいいですね。
飼い主さんが出かけるときには、猫ちゃんにケージのなかでお留守番してもらうのも危険予防になるでしょう。
◆外への脱走対策
家のなかでもアメリカンショートヘアの怪我のもとになる要因はたくさんありますが、外に出すと、それ以上に怪我のリスクが増えるので注意しなければなりません。
特に多いのが、自動車に接触して起こる事故です。好奇心旺盛なアメリカンショートヘアが、何かを見つけて急にダッシュして巻き込まれてしまうケースも考えられます。
また、猫や犬など、他の動物達とのケンカが起きて、怪我をするかもしれません。
愛猫に少しでも長生きしてもらうには、完全室内飼いが大事です。ドアや窓などを通じて脱走を試みる好奇心旺盛なアメリカンショートヘアもいるので、脱走対策を施しておくようにしましょう。
肥満&ヤンチャから引き起こされる「関節疾患」
アメリカンショートヘアは元気なので、関節疾患にも注意が必要です。そして「肥満」が引き金になっているケースが多いでしょう。太り過ぎだけでも不健康ですが、それがきっかけとなって関節への負担がかかってしまうので注意が必要です。
◆軟骨が擦り減って関節を動かすのが痛くなる
体重が大きな負担となり、関節周辺が炎症を起こす病気です。本来、関節と関節の間には、「軟骨」というクッション材のようなものがあり、痛みなく関節をスムーズに動かせるようになっています。
ただ、肥満で関節が変形すると、骨同士が直接ぶつかり、クッション材が上手く機能せずに痛みをともないます。曲げ伸ばしすると痛いため、関節をかばうような歩き方をするようになります。
ひどくなると、「歩きたくない」「動きたくない」と痛みに負けて、運動量が減ります。「太って関節疾患を起こす」「痛くて動きたくない」「運動量が減る」「痩せない」と悪循環に陥るでしょう。
◆関節疾患を防ぐためには…
第一に「太らないように」と、飼い主さんが肥満防止の意識を持つことが大事です。
・おやつをあげ過ぎない
・運動してカロリー消費をする
運動不足にならないように遊んであげるというように、「食」と「運動」の管理を徹底しましょう。
アメリカンショートヘアは、一人遊びも得意なので、一緒に遊んであげられないときに自分だけで遊べるように、猫用おもちゃやキャットタワーもおすすめです。
また、体重も日頃からチェックしてあげましょう。アメリカンショートヘアの平均数値となる4~7キロを参考にし、大幅に上回るようなら肥満の可能性があります。
体重の数値だけでなく、体つきを見たときに「ウエストがない」というのも要注意です。
好奇心旺盛ゆえに注意したい「誤飲・誤食」
アメリカンショートヘアは、ハンター精神が備わっていてヤンチャ傾向にあります。好奇心が旺盛なので、誤飲や誤食に気をつけなければなりません。
◆猫が食べてはいけないものは多い
人間にとって「美味しい」という食べ物でも、猫にとっては命取りになるものも多いです。探求心から、美味しそうなニオイにつられて、こっそり食べてしまうかもしれません。
また、人間の薬、ボタン、タバコ、ボタン電池、ネックレスなど、多くの家庭でお馴染みのアイテムも猫に取っては危険なものばかりです。
◆予防策は?
まずは、猫にとってNGな食べ物を知ることです。人間の食べ物は、基本的には猫に不要なもの。猫がこっそり食べられないようにしましょう。
また、タバコの吸い殻は猫がいる空間に置かない、人間の薬は容器に入れて猫の手に届かないところに置く…など、猫から遠ざける配慮が必要です。
外出するときには、猫の誤食や誤飲を防ぐ意味でも、ケージに入れてあげるのも対策のひとつと言えるでしょう。
ケージを使うことに関しては、「窮屈そう…」「自由にできなくて可哀そう」というマイナスイメージもあるかもしれません。動きを制限するので、運動量の多いアメリカンショートヘアにとっては、ケージ内はストレスという考えもあります。
ただ、安全を確保できる点ではとても効果があるものと言えます。愛猫にケージを使わせるかどうかは飼い主さんの判断になるかと思いますが、「短い時間限定で」「ちょっと大きめのものを準備する」「帰宅したらたっぷり遊んであげる」など、ケージのデメリットを補てんできるような対策も同時に考えておくといいかもしれませんね。
また、猫用おもちゃを誤飲するケースもあるので、与えるときには「簡単に壊れないか」「小さな部品がついていないか」なども確認しておきましょう。
アメリカンショートヘアがよくかかる病気
次に、アメリカンショートヘアがよくかかると言われている病気について見ていきましょう。
◆心臓の病気~肥大型心筋症~
人間同様に、猫ちゃんの心臓も全身へと血液を送り出す働きをしています。本来、正常な心臓の場合、体の隅々まで新鮮な血液を送ることができます。
しかし、肥大型心筋症になると、心臓の壁が分厚くなり、血液の循環が上手くいなかなくなります。入ってくる血液に対し、体に送り出すためのポンプ機能が落ちてしまい、血栓が起こってしまうのです。
ただ、肥大型心筋症になったからと言って、すぐに症状が起こるわけではありません。無症状のまま時が過ぎ、重症になって苦しみを見せることが多いようです。
・苦しいような呼吸をしている
・元気がない
・吐く
というような症状が見られると、肥大型心筋症の可能性があるかもしれません。
肥大型心筋症は、親からの遺伝的なケースが多いため、未然に防ぐのは難しいことでしょう。
しかし、病院への定期健診、ちょっとした異変も見逃さないなどで、少しでも早めの対策に繋がります。
◆腎臓の病気~急性腎不全~
腎臓の機能が落ちるのが腎不全という病気ですが、急激に起こるのが「急性腎不全」、緩やかに病状が進むのを「慢性腎不全」と言います。
慢性の場合、初期症状はあまりなく、進むにつれて「水をたくさん飲む」「尿の回数が増える」と気付くかと思います。
急性の場合は、短期間で急激に症状が悪化するため、「嘔吐する」「尿が出ない」「下痢をする」「けいれんする」「食欲が落ちる」と、目立つ症状が出てくるようになるでしょう。
腎不全の予防で大事なのが、水分補給。猫ちゃんは水分をあまり取らない傾向にありますが、いつでも飲める新鮮なお水を用意してあげましょう。
◆腎臓の病気~多発性のう胞腎~
多発性のう胞腎は、遺伝的に発症する腎臓の病気です。「のう胞」が多発することで、腎臓への負担が大きくなるでしょう。長い期間をかけてのう胞の数が増え、腎障害もひどくなっていきます。
遺伝性の疾患のため、「これをすれば絶対防げる」という防止策はありません。多発性のう胞腎を発症する遺伝子を親から受け継いだ場合、発症する確率が高まります。
飼い主さんができることは、「尿の回数が増える」「食事をしたがらなくなる」「嘔吐する」など、多発性のう胞腎の症状を早めに見つけ、少しでも負担を軽くできるように早期治療をしてあげることです。
◆泌尿器の病気~尿路結石症(尿石症)~
腎臓で作り出した尿が通る“尿管”という通り道に、尿のスムーズな進行を妨げる“結石”ができます。結石の大きさはさまざまで、尿管をすり抜けられるような小さなものなら、尿と一緒に出ていきます。
しかし、尿道を傷つけてしまうかもしれません。大きい結石の場合、尿道を通り抜けられずに詰まることもあるでしょう。
結石が尿を塞ぐため、「頑張っても尿が出ない」「尿をしようとすると痛がる」「尿管が傷つけられるので血尿が出る」と、これまで普通にできていた排尿が困難になってきます。同時に、元気がなくなって、食事もとらなくなるケースも見られるかと思います。
体質も関係していますが、水分不足で尿路結石が起こることが多いでしょう。猫が水を飲めるように工夫することが大事です。
また、尿路結石症を引き起こさないように、綺麗なトイレを準備し、猫に排尿を我慢させないようにしてくださいね。
まとめ
筋肉質の体格と好奇心が旺盛な性格から、アメリカンショートヘアは、怪我、誤飲や誤食などが心配です。
家の環境を整える、留守番時にケージに入る、外に出さないなどで、リスクを防ぐ対策を考えるべきでしょう。
また、運動量が多く食欲もあるので、ちょっと太りやすい猫ちゃんです。肥満が原因で関節疾患になると、「元気で明るいアメリカンショートヘア」が痛みのために、しょんぼりと動きが鈍くなるかもしれません。
病気に関しては「いつもと違う症状」が早期発見の手がかりです。動物病院を受診する際に、愛猫の健やかな成長を記した育児日記のようなものがあれば、診断の大きなヒントになることもあります。
「いつもよりも尿が多いな」「いつもよりも食欲がないな」「いつもよりも元気がないな」など、小さなことでも異変に気付けるように愛情に細やかな目を向けてあげましょう。
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