1.猫は水分をあまり摂らない?
1-1.猫が水分をあまり摂らない理由
1-2.猫が1日に必要とする水分の量
2.猫が水分を補給しないとどうなる?
2-1.慢性腎臓病
2-2.尿路結石症
2-3.膀胱炎
2-4.便秘
3.猫が水を飲みすぎる時は?
4.猫の飲水量の量り方
5.子ねこの水分補給
6.猫に飲ませてもいいもの
6-1.水道水
6-2.ミネラルウォーター(軟水)
6-3.お湯
6-4.湯冷まし
6-5.水道水に竹炭や木炭を入れてカルキ臭を除いた水
6-6.鶏肉や魚の茹で汁
7.猫に飲ませてはいけないもの
7-1.ミネラルウォーター(硬水)
7-2.味つけをした茹で汁
7-3.カフェイン入りの飲料
7-4.花瓶の水
8.猫の水分補給におすすめの方法
8-1.こまめに水を取り替える
8-2.水の置き場所に配慮する
8-3.水飲み用のお皿を変えてみる
8-4.自動給水器を使ってみる
8-5.ウェットタイプのご飯やおやつを与える
9.まとめ
猫は水分をあまり摂らない?
◆猫が水分をあまり摂らない理由
猫は、あまり積極的に水分を摂らない動物です。
これは、猫の祖先が砂漠で暮らしていたため、少ない水分で生きられるように適応したことに由来すると言われています。
そのため、猫は喉の渇きを感じる感覚が鈍くなっているそうです。
しかし、猫も人と同じく、体の60~70%は水分で占められているので、水分を十分摂らなければ、脱水症状など健康に影響が及びます。
◆猫が1日に必要とする水分の量
健康な猫が1日に必要とする水分量は、1日に必要とするエネルギー量 (DER)とほぼ等しいと言われています。
DERは、1.2×70×(体重)0.75という式で計算することができます。
例えば、体重4.0kgの猫のDERは、1.2×70×4.00.75=237.58787…となり、約238kcalとなります。
即ち、体重4.0kgの猫が1日に必要とする水分量は、約238mLです。
このうち10%は栄養素を体内で代謝する際に作られる「代謝水」に相当するので、残り90%に相当する約214.2mLを飲み水やフードから摂取する必要があります。
キャットフードの水分含有量は、ドライフードで10%前後、ウェットフードで75%前後です。
キャットフードから摂取できる水の量を計算して、飲み水から摂取する必要のある水の量を把握しておくとよいでしょう。
猫が水分を補給しないとどうなる?
猫が十分に水分を補給しないと、脱水症状を起こしたり、慢性腎不全や猫下部尿路疾患(FLUTD)などの病気になったりする危険があります。
◆慢性腎臓病
猫がかかりやすい病気の一つで、猫の死因の多くを占めると言われます。
主な症状は、嘔吐や下痢、便秘、体重減少などですが、意外と気づきにくいので注意が必要です。
水を十分に飲ませるほか、定期的な健康診断も重要です。
◆尿路結石症
水分を十分に摂らず、濃度の濃い尿が習慣化すると、膀胱内に尿石ができます。
尿石は、膀胱や尿道を傷つけ、血尿や排泄時の痛みを伴うことがあります。
◆膀胱炎
尿石症を放置すると、膀胱に炎症が生じ、膀胱炎につながる恐れもあります。
血尿のほか、おしっこをする時に呻いたりいきんだりするなど、苦しそうな素振りを見せます。
ひどい場合は、お腹を触られるだけで痛がることもあります。
進行すると尿道閉塞となり、命の危険も生じます。
◆便秘
水分が不足すると、うんちが硬くなり便秘になることがあります。
硬くなったうんちが腸を傷つけて、血のついたうんちが出ることも。
猫が水を飲みすぎる時は?
猫は、あまり水を飲みませんが、逆に水を飲みすぎる時にも病気が隠れている可能性があります。
健康な猫が必要とする水分量は、簡易的には体重1kgあたり約50mLとして計算することができます。
水の飲みすぎの目安は、体重1kgあたり約60mLです。
体重1kgあたり100mLを超えると病的であることが多いと言われています。
水をたくさん飲むときは、おしっこの量や回数も増えるので、これを「多飲多尿」と言います。
多飲多尿を引き起こす病気は一つではありません。
膀胱炎や慢性腎臓病のほか、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの病気が考えられます。
猫の飲水量の量り方
病気を予防したり、病気のサインに気づいたりするためにも、日頃の飲水量を把握しておきましょう。
水を用意するときに計量カップできちんと量り、水を替える時に残った水を計量カップで量り、飲水量を計算します。
子ねこの水分補給
生後4週間までの子ねこの食事はミルクなので、別途水を与える必要はありません。
ミルクからキャットフードにシフトしていく離乳期に、水を与え始めましょう。
この時期は、ミルクも飲んでいるため、水分不足はあまり気にしなくても大丈夫です。
離乳期が終わる生後8週ごろから、子ねこ用のキャットフードを本格的に食べ始めてミルクを卒業します。
必要なお水を飲めているか、気をつけてあげましょう。
猫に飲ませてもいいもの
猫に飲ませる水は、どんなものが良いのでしょうか?
猫も好みが様々で、好きなお水もそれぞれです。
愛猫があまり水を飲まないなら、いろいろな水を試してみましょう。
◆水道水
日本の水道水は衛生管理が行き届いており、水質基準も非常に高いので、人もペットもそのまま飲むことができる高品質な水です。
猫の飲み水は長時間置いたままにすることが多いので、残留塩素で殺菌効果が持続する水道水は、衛生面でもおすすめです。
◆ミネラルウォーター(軟水)
残留塩素が気になる飼い主さんや、カルキ臭を気にする猫には、ミネラルウォーターもよいでしょう。
ただし、硬度を確認して、軟水を選んでください。
硬度とは水1Lあたりのカルシウムとマグネシウムの含有量のことです。
日本の一般的な分類では、100mg/L未満のものを軟水としています。
◆お湯
人肌程度に温めたお湯を好む猫も少なくありません。
熱すぎないように、気をつけてあげましょう。
◆湯冷まし
沸騰させたお湯を冷ました湯冷ましはカルキが飛んでいるので、カルキ臭を気にする猫におすすめです。
ただし、残留塩素が無くなる分傷みやすいので、1日以内で水を替えるようにしましょう。
◆水道水に竹炭や木炭を入れてカルキ臭を除いた水
カルキ臭を気にする愛猫には、竹炭や木炭でカルキ臭を取り除いたお水をあげてもよいでしょう。
◆鶏肉や魚の茹で汁
水に猫が好む味をつけてあげるのもおすすめです。
鶏肉や魚の茹で汁を与えたり、水に少し加えてあげたりしましょう。
夏場は、茹で汁を氷にしたものを水に浮かべてあげるのもおすすめです。
猫に飲ませてはいけないもの
◆ミネラルウォーター(硬水)
硬水は、日本の一般的な分類ではカルシウムやマグネシウムの濃度が100mg/L以上の水です。
ミネラルを多く含む硬水は、尿路結石を引き起こす可能性があるので、与えるのは避けた方がよいでしょう。
◆味つけをした茹で汁
茹で汁を与える時は、塩分などの調味料で味つけしていないものを与えてください。
また、甲状腺機能亢進症などで厳密な食事療法をしている猫には、茹で汁自体を与えない方が良いので、気をつけましょう。
◆カフェイン入りの飲料
カフェインを含む飲み物は、覚醒作用、利尿作用などがあり、人が適度に摂取すると良い影響をもたらすと言われています。
しかし、体の小さな猫がカフェインを摂取すると、これらの作用が過度に働き、健康を害してしまいます。
カフェインを含む飲料は、コーヒー、日本茶(緑茶、抹茶、玉露)、紅茶、ココア、ウーロン茶、コーラ、栄養ドリンクなどがあります。
◆花瓶の水
植物安定剤や肥料などを入れている場合、花瓶の水を猫が飲んでしまわないように注意しましょう。
また、猫にとってユリ科の植物は、非常に危険性の高い植物です。
ユリの花を生けた水を飲むと、「百合中毒」を引き起こす危険性があります。
ユリの花や葉はもちろん、花粉を少し口にするだけでも急性腎不全を起こして死に至ります。
ユリ科の植物は、部屋に置くこと自体をやめましょう。
猫の水分補給におすすめの方法
猫があまりお水を飲まない場合の対策についてご紹介します。
猫によって水を飲まない理由は様々なので、いろいろと試して愛猫に合ったものを探してあげてください。
◆こまめに水を取り替える
人と同じく、猫も新鮮なお水を好みます。
水はこまめに取り替えて、常に新鮮なお水を用意しておいてあげましょう。
1日に数回取り替え、その都度必ず器をきれいに洗います。
また、他の猫や犬が口をつけた水は、唾液が混じりニオイがついているので、飲まない猫もいます。
多頭飼いをしている場合は、ペットの頭数以上の器を用意しましょう。
◆水の置き場所に配慮する
基本的には、フードのお皿と並べて置き、食事のついでにお水を飲めるようにしておきます。
猫は、嗅覚が優れているので、トイレのニオイがすると食事も水も摂らなくなるため、トイレから離れた場所に置きましょう。
また、猫のお気に入りの場所や、よく通る通り道に何ヶ所か水を置いておくと、水を飲む機会が増えます。
◆水飲み用のお皿を変えてみる
猫は、ヒゲが器に当たることを嫌い、ヒゲの当たる器では食事を取らなかったり水を飲まなかったりします。
一度嫌になった器では飲まなくなってしまうことが多いので、器を変えてみましょう。
縁の広い器に水をたっぷり入れると、ヒゲが器に触れにくくなります。
また、猫によって器の素材の好みも様々です。
陶器、ガラス、セラミック、ステンレスなど、様々な素材の器が販売されているので、いろいろ試してみるとよいでしょう。
・ハッピーダイニング 脚付ウォーターボウル ハイタイプ 猫柄 シリコン付き
猫の飲みやすさを考えた高さで、自然な体勢で水を飲むことができ、シニア猫や病気の猫でも楽に水を飲むことができます。
ボウルの縁には返しがあり水が飛び散りにくく、電子レンジや食洗機に対応しているので、飼い主さんにも優しい器です。
陶磁器製で温めたスープも冷めにくく、お湯を好む猫にもおすすめです。
内側に目盛りがついているので、飲水量を把握しやすいのもポイントです。
・ヘルスウォーター にゃんマグ 緑系
ペットが水をたくさん飲むようになるという「ヘルスウォーター」シリーズの中でも、猫の飲みやすさを追求した器です。
器の上部は広くヒゲが当たりにくくなっており、水の量が少なくなっても飲みやすいよう底の直径が小さくなっています。
内側に段があり、「縁飲み派」の猫でも鼻先が器に当たりにくく、水面が低くなっても飲みやすいです。
内側の段は、水の量の簡単な目安になるので、飲水量の把握もできます。
◆自動給水器を使ってみる
猫は、流れる水に興味を示すことも多いです。
自動給水器は、水に流れがあり、循環・濾過されるのでいつもきれいな水を飲むことができます。
・ピュアクリスタル コパン 猫用 ホワイト 950ml
水を舐める飲み方に適した形状で、背面が高めになっているので水が飛び散りにくく、愛猫にも飼い主さんにも優しい自動給水器です。
フィルターが食べかすや被毛、ホコリをキャッチして、いつもきれいなお水が飲めます。
停電などで水の流れが止まっても溜まった水を飲める安心設計です。
◆ウェットタイプのご飯やおやつを与える
ドライフードだけを与えていると、水をあまり飲まない子は水分不足になります。
ウェットフードを併用すると、水分補給がしやすくなります。
水分含有量が多いペーストタイプやゼリータイプのおやつも販売されているので、活用するのもおすすめです。
・健康缶パウチ 食事で上手に水分補給
猫の体液に近いミネラルバランスと、体液の浸透圧に近くなるように成分濃度が調整されたウェットフードです。
効率的に水分と電解質を補給できます。
・チャオ 猫用 ちゅ~る 水分補給 まぐろ (14g×4本)×5袋セット
猫の体液に近いミネラルバランスに調整されていて、効率的な水分補給をサポートする「ちゅ~る」です。
まとめ
猫は、祖先が砂漠で暮らしていたため、少ない水分で生きられるように適応してきました。
このため、喉の渇きを感じる感覚が鈍いと言われています。
猫があまり積極的に水を飲まない場合、脱水症状や慢性腎不全、猫下部尿路疾患などになる危険性があります。
愛猫の好みの水や水入れを探して、日頃から十分な水分補給ができるようにしてあげましょう。
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