1.猫にぶどうがダメな理由って?
1-1.犬にも猫にもぶどうはNG!
1-2.中毒症状を引き起こしてしまう
1-3.ぶどうの中毒症状
1-4.ぶどうの致死量
1-5.レーズンなどの加工食品は?
1-6.マスカットなどもNG
2.猫がぶどうを食べてしまったら
2-1.すぐに動物病院に連れていく
2-2.動物病院で受ける処置
2-3.自己判断はしないように
3.猫がぶどうを食べてしまわないように
3-1.置きっぱなしにしない
3-2.ゴミなどの処理もきちんと
3-3.保管方法も注意
4.ぶどう以外の猫に与えてはいけないものも把握しよう
4-1.命の危険があるもの
4-2.健康を害するもの
5.まとめ
猫にぶどうがダメな理由って?
秋においしくなるぶどうを楽しみにしている飼い主さんも少なくないのではないでしょうか?
しかし、実は、ぶどうは猫にとって非常に危険な食べ物の一つです。
◆犬にも猫にもぶどうはNG!
近年のアメリカでの研究で、ぶどうが犬に中毒症状を引き起こす危険性が報告されました。
日本でも、ぶどうを食べた後に急性腎不全を引き起こした犬の死亡事例が報告されています。
では、猫にぶどうは危険性があるのでしょうか?
猫と犬は、体の構造や中毒症状を引き起こす危険な食材に共通点が多いことから、ぶどうも猫にとって危険である可能性が指摘されています。
実際に、ぶどうを食べて中毒症状を起こした猫の症例もあります。
しかし、ぶどうの何の成分が犬に中毒症状を引き起こすのかについては、まだ解明されていません。
さらに猫の症例は非常に少ないため、猫にとっての危険性も定かではありません。
◆中毒症状を引き起こしてしまう
猫では、ぶどうによる中毒症状の症例が非常に少ないため、まだ解明されていないことが多いです。
しかし、猫によっては重度の中毒症状を引き起こし、急性腎不全になる危険性があります。
一般的には、ぶどうを食べてから2~5時間以内に中毒症状が現れるケースが多いと言われています。
◆ぶどうの中毒症状
ぶどうによって引き起こされる中毒症状を、具体的に見ていきましょう。
(1)嘔吐や下痢
食べてから2~3時間の間に、嘔吐や下痢が見られます。
(2)食欲不振
嘔吐や下痢と併せて見られる症状です。
(3)元気がなくなる
食欲がなくなった後、元気がなくなり、ぐったりとして動かなくなります。
(4)腹痛
腹痛を起こし、以下のような仕草を見せます。
・部屋の隅や暗いところでじっと動かない
・仰向けや横向きで寝る
・目が閉じ気味になる
・耳が後ろを向く
・口が引き締まる
・呼びかけに反応しない
・いつもとは違う鳴き声
・お腹を執拗に舐める
(5)乏尿(ぼうにょう)
乏尿とは、オシッコの量が減ってしまうことです。
おしっこが出なくなり、体がむくんでいる場合は、急性腎不全を起こしている可能性が高く、非常に重度の中毒症状です。
急性腎不全は、ガンに次いで多い猫の死亡原因です。
◆ぶどうの致死量
ぶどうが犬や猫に中毒症状を引き起こす成分やメカニズムが解明されていないため、正確な致死量は分かっていません。
また、ぶどうの中毒症状については個体差が非常に大きいこともあり、「このくらいまでは大丈夫」という基準はありません。
犬についての研究報告では、生のぶどうで体重1kgあたり3~32g、レーズンで11~30gで中毒症状を引き起こすと言われています。
猫については、一般的に、生のぶどうを体重1kgあたり10g摂取すると中毒症状を引き起こすと言われ、致死量は体重1kgあたり30gと言われています。
巨峰1粒の重さは15~20g程度なので、体重4kgの猫であれば巨峰4粒で中毒症状を引き起こす危険性があるということになります。
しかし、これはあくまで目安に過ぎないので、これより少なくても中毒症状を引き起こす子もいれば、もっとたくさん食べても症状が見られない子もいます。
さらに、気をつけたいのは、果肉より皮の方が中毒の原因となることです。
◆レーズンなどの加工食品は?
生のぶどうだけではなく、レーズンなどぶどうを加工した食品も危険です。
レーズンの致死量は、体重1kgあたり10~30gとされています。
生のぶどうを好んで食べる猫は少ないですが、パンやクッキーなどの甘いものに惹かれる猫は意外と少なくありません。
レーズンは、パンやクッキー、アイスクリームなどに入っていることも多く、生のぶどうより食べてしまう可能性が高いです。
ぶどうの成分を含んだ「猫用ワイン」と称する商品も市販されていますが、安全性が確認されているわけではありません。
ぶどうを加工したものは、ジュースであっても与えてはいけないと考えましょう。
◆マスカットなどもNG
どんな種類でも、ぶどうは猫にとって危険です。
マスカットは、地中海原産のぶどうの品種です。
他にも「デラウェア」「巨峰」「ベリーA」なども、ぶどうの品種なので与えてはいけません。
猫がぶどうを食べてしまったら
◆すぐに動物病院に連れていく
ぶどうの毒性は、食べてから1時間以内であれば吸収されていない可能性があります。
したがって、1時間以内に吐き出させることができれば、中毒症状を引き起こす可能性が低くなります。
一方、2~4時間で中毒症状が現れるため、猫がぶどうを食べてしまったら時間との勝負になります。
愛猫がぶどうを食べてしまった場合や、上記の中毒症状が見られてぶどうを食べた可能性が疑われる場合には、すぐに動物病院に連れていきましょう。
◆動物病院で受ける処置
動物病院で受ける処置としては、下記のものが考えられます。
・活性炭や下剤の投与
・点滴
・人工透析
ぶどうによる中毒症状は個体差が大きいため、猫によって現れる症状や、その重さが異なり、獣医師が状態を確認したうえで処置内容や治療法が決められます。
◆自己判断はしないように
今はネット上にいろいろな情報があり、猫がぶどうを食べてしまった場合の対処法についても情報を得ることができます。
しかし、これらの情報に書かれている処置は、猫や飼い主さんの体を傷つけたり、他の病気の原因となったりする危険性を含んでいます。
決して、自己判断で行わないようにしましょう。
また、食べた量が少なく、目立つ症状が現れていなかったり軽い症状だったりすると、つい様子を見てしまう飼い主さんもいるでしょう。
しかし、ぶどうによる中毒についてはまだ解明されていない点が多く、致死量も定かではありません。
ほんのわずかな量で、重篤な中毒症状を起こす猫もいます。
自己判断で様子見をすることなく、すぐに動物病院に連れていってください。
猫がぶどうを食べてしまわないように
猫にとって、ぶどうが少量でも危険な食べ物であることをご紹介してきました。
飼い主さんとしては、猫がぶどうを誤って食べてしまわないように、どのような対策を行えばよいでしょうか。
◆置きっぱなしにしない
ぶどうに限らず、フルーツ類をテーブルやキッチンに出しておくことは多いです。
また、パンやクッキーなども、包装されているからとそのまま置いておくことは少なくありません。
しかし、猫は好奇心旺盛であり、鋭い牙や爪で包装を開けてしまうことは十分に考えられます。
ぶどうやその加工品、レーズンを含む食べ物などは、猫が出入りできる場所に置きっぱなしにしないようにしましょう。
◆ゴミなどの処理もきちんと
先にも書きましたが、生のぶどうの場合、果肉よりも皮の方が危険であることが分かっています。
食べ終えたら、皮などのゴミをテーブルやキッチンに置きっぱなしにせず、すぐに蓋つきのゴミ箱に捨てるようにしましょう。
◆保管方法も注意
ぶどうに限らず、食べ物は基本的に、猫が届かない場所に保管するようにしましょう。
器用な猫は、箱の蓋や棚の扉、引き出しを開けてしまうこともあります。
猫が開けられないようなロック機能のついたストックボックスを使ったり、棚の扉や引き出しにロックを取りつけたりして、誤食を防止しましょう。
ぶどう以外の猫に与えてはいけないものも把握しよう
猫にとってのぶどうの危険性についてご紹介してきましたが、ぶどうの他にも猫に与えてはいけないものは非常に多いです。
飼い主さんは、猫に与えてはいけないものを把握して、猫の命や健康を守ることに努めましょう。
◆命の危険があるもの
よく知られている玉ネギなどのネギ類、チョコレート、アルコールのほか、鳥の骨など喉に詰まるもの、人間用の医薬品、毒キノコ、ドッグフードなどがあります。
◆健康を害するもの
・アワビやサザエなど海藻を食べる貝類(紫外線と反応して炎症を起こす)
・イカ(ビタミンB1欠乏症を引き起こす)やするめ(胃の中で膨張する)
・生の豚肉(トキソプラズマ)
・生卵の白身(皮膚炎・結膜炎を引き起こす)、
・香辛料(胃腸炎や内臓障害を引き起こす)
・アボカド(けいれんや呼吸困難など)
・大量のレバー(ビタミンA過剰症)、生レバー(寄生虫や病原体)
・人間用の食べ物
・人間用の牛乳
・大量の食塩・塩水(急性塩中毒)
・マカデミアナッツ
まとめ
ぶどうや、レーズンを含むぶどうの加工品は、犬や猫に中毒症状を引き起こし、急性腎不全に至る可能性が指摘されています。
ぶどうのどんな成分がどのようなメカニズムで中毒症状を引き起こすのかはまだ解明されていないため、厳密な致死量は分かっていません。
また、個体差があるため、たくさん食べても症状の出ない子がいる一方、少量でも重症化する子もいます。
したがって、猫にぶどうやレーズンを与えることは非常に危険であると認識しておきましょう。
ぶどうの毒性は食べてから1時間以内であれば吸収されないと言われていますが、2~3時間で中毒症状が現れます。
愛猫がぶどうを誤食してしまった場合には時間との勝負になるので、自己判断せずに、すぐに動物病院に連れていきましょう。
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