猫にトウモロコシを与えてもいい?栄養もあるけど与える時には注意が必要

2022.05.06

猫にトウモロコシを与えてもいい?栄養もあるけど与える時には注意が必要

夏には、茹でたり焼いたりしてトウモロコシを食べる機会が増えます。飼い主さんの食べるものに興味を示す愛猫は多く、トウモロコシも例外ではありません。実際ネットを検索すると、トウモロコシを食べる猫の動画が見つかります。しかし、本来肉食動物である猫にトウモロコシを与えてもいいのか、気になる飼い主さんも多いでしょう。今回は、猫とトウモロコシについて、栄養素や与える際の注意点を含めてご紹介します。

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【目次】
1.猫にトウモロコシを与えても大丈夫?
2.トウモロコシの栄養素
 2-1.キャットフードにおけるトウモロコシの表記
 2-2.炭水化物はエネルギー源
 2-3.ビタミンB群は欠かせない栄養素
 2-4.カリウムは高血圧を防ぐ
 2-5.ダイエットに効果的なのか
3.猫にトウモロコシを与える際に注意すること
 3-1.薄皮や芯は与えない
 3-2.加熱をする
 3-3.アレルギーに注意
 3-4.缶詰は与えない
 3-5.ポップコーンは手作りならOK
 3-6.葉っぱやひげは大丈夫?
 3-7.与える量
4.穀物アレルギーの猫
 4-1.症状と対処法
 4-2.グレインフリーとは
5.トウモロコシを使った猫用レシピ
 5-1.コーンスープ
6.まとめ

猫にトウモロコシを与えても大丈夫?

まず結論から言えば、基本的には、猫にトウモロコシを与えても問題はありません。
実際、キャットフードの多くはトウモロコシを原材料に含み、動物病院で販売されているものでも使用されていることがあります。
しかし、本来肉食動物である猫にとって、必要な食べ物ではありません。
また、猫の消化器官は短く、植物である穀類や野菜を消化する能力が低いので、与える量や与え方には注意が必要です。


トウモロコシの栄養素

トウモロコシ

本来肉食である猫のフードに、穀類であるトウモロコシが含まれているのは何故でしょうか?
そこには、トウモロコシの成分や栄養素が関係しています。
トウモロコシ(スイートコーン)に含まれる主な栄養素としては、下記のものが挙げられます。

    ●炭水化物
    ●ビタミンB1、B2、B6
    ●ビタミンC
    ●ビタミンE
    ●ナイアシン
    ●葉酸
    ●パントテン酸
    ●カリウム
    ●マグネシウム
    ●リン
    ●脂質
    ●たんぱく質
    ●食物繊維

◆キャットフードにおけるトウモロコシの表記

キャットフードの原材料としてのトウモロコシは、下記のように様々な表記をされています。

とうもろこし
コーン
コーングルテン

トウモロコシを砕いてでんぷん(コーンスターチ)を製造する際の副産物で、タンパク質(グルテン)の溶液を濃縮、脱水、乾燥させたもの。

コーングルテンミール

「ミール」(meal)とは粉状のものを指し、コーングルテンミールはコーングルテンを粉状に加工したもの。
キャットフードには、主なタンパク質源として使用されている。

コーンフラワー

「フラワー」(flour)とは粉のことで、コーンフラワーはトウモロコシを粉状に小さく挽いたもの。

ホミニーフィード

ホミニーフィード(Hominy feed)とは、ひきわりトウモロコシ(コーングリッツ)やコーンフラワーを製造した時の副産物。胚芽、皮などを含む。

◆炭水化物はエネルギー源

炭水化物は糖質と食物繊維からなり、トウモロコシに含まれる主な栄養素です。
肉食動物である猫は炭水化物の消化は苦手ですが、小動物を食べていた野生時代には獲物の内臓などから少量の炭水化物を摂取していたと考えられています。
糖質はエネルギー源として利用される重要な栄養成分であり、食物繊維は胃腸の働きを助けます。

◆ビタミンB群は欠かせない栄養素

ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン(ビタミンB3)、葉酸(ビタミンB5)、パントテン酸(ビタミンB9)は、水溶性のビタミンB群です。
ビタミンB群は、代謝や神経伝達物質の生成に関与する「補酵素」で、酵素が働くために必要です。
免疫機能の維持や体の成長に欠かせない重要な栄養素で、疲労回復効果もあります。
特に葉酸は、細胞分裂に重要な役割を果たしており、成長期の子猫や妊娠中の母猫は積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンBは、トウモロコシの粒の中にある「胚芽」という部分に多く含まれています。

◆カリウムは高血圧を防ぐ

カリウムには、細胞内の浸透圧の維持や細胞の活性の維持、筋肉の収縮や神経伝達を助けるという働きがあります。
体に含まれる過剰な塩分(ナトリウム)を体外に出す効果があり、血圧を下げる代表的な栄養素とされています。
カリウムが不足すると、脱水や食欲不振などの症状が現れ、重症化すると不整脈や心停止に至ることもあります。

◆ダイエットに効果的なのか

トウモロコシは植物なので、細胞の一つ一つにセルロースでできた「細胞壁」を持っています。
セルロースは食物繊維であり、肉食動物である猫は消化することができません。
食物繊維は水を含むと量が増し、便の排泄リズムを整え、腸内に便が長時間残ることを防ぎます。
かさ増しされるので低カロリーのキャットフードを作ることができ、体重管理に役立ちます。
このため、キャットフードにトウモロコシを使っている商品が多いのです。
また、ビタミンBやカリウムには、肥満防止や利尿作用が期待できます。


猫にトウモロコシを与える際に注意すること

ポップコーン

◆薄皮や芯は与えない

トウモロコシは一粒ひと粒、セルロースでできた薄皮に覆われています。
薄皮は、消化できないほか、喉に詰まる可能性があるので、猫に与える場合には取り除くか、細かく刻んで与えましょう。
また、芯は、栄養がないうえ、消化に良くありません。
かじっているうちにかけらを誤飲してしまうと、喉に詰まることや腸閉塞になることがあるので、おもちゃ代わりに芯を与えることはやめましょう。

◆加熱をする

人間でもトウモロコシを生で食べることはありませんが、猫に与える際も決して生で与えないようにしましょう。
ひげは消化しにくいので丁寧に取り除き、しっかりと加熱します。
茹でる時には、塩などで下味をつけたりしないようにしてください。
トウモロコシは、もともと塩分が高いため、味つけをすると塩分過多になります。
また、粒のままより、すり潰したりペースト状にしたりして与える方が消化には良いです。

◆アレルギーに注意

トウモロコシは、イネ科の植物で「世界三大穀類」の一つです。
猫にも食物アレルギーを発症する子がおり、特に穀類に含まれるタンパク質「グルテン」はアレルギーの原因物質(アレルゲン)となりやすいです。
食物アレルギーのある子にトウモロコシを与えると、皮膚トラブルを起こしたり、深刻な下痢や便秘を起こしたりする可能性があります。
少量を与えて様子を見るか、あらかじめ動物病院でアレルギー検査を受けておきましょう。
与えた後にかゆみや皮膚トラブルが見られた場合には、アレルギーの可能性があるので、動物病院を受診することをおすすめします。

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◆缶詰は与えない

缶詰には、食塩が添加されているため、猫に与えると塩分が過剰になります。
缶詰に限らず、加工された食品は猫にとって塩分が多すぎるので、与えないようにしましょう。

◆ポップコーンは手作りならOK

市販されている人間用のポップコーンは、油で揚げて塩やバターで味つけされているので、猫にとっては油や塩分が多すぎます。
ポップコーン用のトウモロコシ(ポップコーンビーンズ)を、フライパンで炒って手作りしたものを少量与える分には大丈夫です。
歯に挟まって歯周病の原因になることがあるので、歯磨きをするようにしましょう。

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◆葉っぱやひげは大丈夫?

トウモロコシの葉っぱやひげを、猫草の代わりに与える飼い主さんもいるようです。
葉っぱやひげには有毒な成分は含まれていないので、与えること自体は大丈夫ですが、猫草に比べて硬くて消化しづらいです。
また、葉っぱには農薬やカビがついている可能性があるので、与えない方が無難です。

◆与える量

トウモロコシは猫に与えても大丈夫な食材で、栄養も豊富です。
しかし、含まれる塩分や糖分が高く、消化も良くないので、与える際には少量に留めておきましょう。
与える量は猫自身の体重によって変わりますが、目安としては1日1~2粒からスプーン1杯程度です。


穀物アレルギーの猫

先に書いたとおり、猫にも食物アレルギーがあり、特に穀物アレルギーの子は少なくありません。

麦

◆症状と対処法

穀物アレルギーの主な症状は、下痢や嘔吐、深刻な便秘のほか、かゆみや皮膚トラブルです。
発熱したりだるそうにしていたりすることもあり、脱毛や外耳炎、膿皮症を発症することもあります。
これらの症状は、アレルギー以外でも現れることがあるので、動物病院で診断を受けましょう。
穀物アレルギーへの対処法は、アレルゲンである穀物を与えないことです。
獣医師さんの指導の下、除去食や療法食を与えましょう。

◆グレインフリーとは

近年、穀類アレルギーの猫が増えていることから、「グレインフリー」のキャットフードが増えています。
「グレイン」とは穀物のことで、グレインフリーとは原材料に穀物を含まないことを意味しています。

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トウモロコシを使った猫用レシピ

トウモロコシはそのものに甘みがあるので、大好きという猫も少なくありません。
薄皮を細かく刻み、加熱したトウモロコシを使った猫用のレシピもあるので、活用してみましょう。

◆コーンスープ

コーンスープのイラスト

市販のコーンスープは、塩分が含まれているので、猫にあげることはできません。
しかし、スープ自体は猫の水分補給にピッタリですので、猫用に作ってあげてもよいでしょう。
飼い主さんも一緒に食べられるので、おすすめです。

材料

●トウモロコシ       2本
●昆布           1枚
●水            1リットル
●かつお節         少々

作り方

1⃣  昆布を一晩つけておく
2⃣  トウモロコシを電子レンジで柔らかくする
3⃣  みじん切りにしたトウモロコシを、昆布のだしに入れる
4⃣  軽く沸騰したら、昆布を取り除く
5⃣  トウモロコシが柔らかくなるまで煮込み、かつお節をトッピングする

*飼い主さん用には、塩少々で味をととのえます。


まとめ

見つめる猫

猫は、本来肉食動物なので、穀物を含む植物を消化する能力が低いです。
世界三大穀類の一つであるトウモロコシも、猫にとっては消化の悪い食べ物なので、与え方には注意が必要です。
必ず加熱し、薄皮は取り除くか、細かく刻んで与えるようにしましょう。
また、穀物アレルギーが発症することがあるので、与えた後には様子を見てあげてください。
塩分や糖分を多く含むので、与える際はごく少量にとどめます。
目安としては、1日に1~2粒からスプーン1杯程度です。
甘みのあるトウモロコシを好む子には、少量であれば、よいオヤツになるでしょう。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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