猫が咳やくしゃみを繰り返す原因は?考えられる病気の症状と予防法

2021.01.24

猫が咳やくしゃみを繰り返す原因は?考えられる病気の症状と予防法

猫も、人と同じように、咳やくしゃみをします。猫のくしゃみは見ていて可愛いですが、飼い主さんとしては病気のサインではないかと心配になりますね。一方、咳は、あまり頻繁に起こるものではありませんが、やはり原因が気になります。実は、くしゃみより咳の方が、より注意が必要だと言われています。今回は、気になる猫の咳やくしゃみについて、原因や考えられる病気、対処法などをまとめました。

猫のくしゃみの原因

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猫のくしゃみは、何故出るのでしょうか?

◆風邪をひいた

猫がくしゃみをする原因の一つが、いわゆる猫風邪です。
猫風邪は、正式には、上部気道感染症と言います。
猫風邪の原因は、ウイルス、細菌など様々ですが、中でも猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルスを病原体とすることが多いです。
また、クラミジアによる感染症の場合も、くしゃみが出ます。

カリシウイルス感染症

症状は、くしゃみ、鼻水、発熱など一般的な風邪の症状ですが、口内炎や舌炎といったカリシウイルス感染症に特有の症状もあります。

猫ウイルス性鼻気管炎

猫ヘルペスウイルスが病原体で、くしゃみ、鼻水のほか、咳や発熱が見られ、結膜炎と同様の症状も現れます。
生まれたばかりの子猫が発症すると、体温の保持ができず、肺炎や全身への感染を起こしやすいです。

猫クラミジア感染症

くしゃみや鼻水のほか、目やにがたくさん出るのが特徴的です。
感染後2~5日で、片目に結膜の充血や腫れ、瞼の痙攣など結膜炎の症状が現れます。
子猫に多く、これらの症状が出た場合、猫クラミジア感染症の可能性があります。

◆鼻炎や副鼻腔炎の場合も

鼻炎

鼻の粘膜が、何らかの原因によって炎症を起こしている状態です。
くしゃみやサラサラとした鼻水が出るのが特徴ですが、進行すると、ネバネバした鼻水になったり、鼻粘膜の出血から鼻水に血液が混じったりします。

副鼻腔炎

鼻の奥にある副鼻腔に炎症を起こす病気で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが特徴的な症状です。
悪化すると、結膜炎や流涙症に進行して、呼吸困難に陥る可能性もあります。
鼻炎に併発することが多いので、鼻炎の症状が出たらすぐに動物病院で受診しましょう。

◆ほこりなどを吸い込んでしまった

人間は、鼻にホコリや異物が入ったとき、これを排出しようと自然にくしゃみが出ます。
猫も同様に、鼻に入った異物を外に出すためにくしゃみをします。
くしゃみが数回で止まり、その後、猫が普段通りに過ごしているなら、そのくしゃみは生理現象と考えられ、問題はありません。
こまめに掃除をして、原因となるホコリなどを取り除き、生活環境を整えてあげましょう。

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猫の咳の原因

くしゃみより注意が必要とされる咳について、詳しく見ていきます。

◆本来猫はあまり咳をしない

くしゃみは、猫もしばしばすることがありますが、一方で咳は、本来、あまり頻繁には起こりません。
したがって、咳が続く場合には、何らかの異常があると考えた方がよいでしょう。
自然に治ると考えて様子見をしているうちに、重症化して、最悪の事態になってしまうこともあります。
猫の様子や行動に異常や変化が見られたら、すぐに獣医師さんの診察を受けましょう。

◆猫の咳は気づきにくいことも

猫の咳は、人間の咳のような仕草ではないため、飼い主さんが気づきにくいです。
「ケホケホ」「フンフン」といった咳であれば気づくことができますが、「ゼーゼー」といったもの、「カハッ」といった吐きたそうな様子のものなど、咳だと気づきにくい場合もあります。

◆猫が咳をしている場合に考えられる病気

咳をしている場合に考えられる病気としては、猫風邪、猫喘息、鼻炎、肺炎、気道内や食道内の異物、肺水腫などがあります。

咳が出る原因となる刺激

咳は、呼吸器に溜まった分泌物や異物を体外に排出して体を守るための防御反応で、呼吸器にあるセンサーへの刺激で出ます。
咳の原因となる刺激には、異物による機械的刺激、化学物質を吸い込んだことによる化学的刺激、炎症による炎症性刺激、温度による刺激などがあります。

気道内異物

気道内に入った異物を、体外に出すために咳が出ます。
咳をすることで異物を排出できれば、咳は治まります。
ただし、小さな異物の場合、末梢気道まで進むと咳が出なくなることがあります。

急性/慢性喉頭炎

急性喉頭炎は、猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルスの急性感染が原因と考えられています。
咽頭と気管の間の部分(喉頭)の粘膜に急性の炎症が生じて、痛みや喉の腫れから、声が出にくくなったり呼吸がしづらくなったりします。
発熱や元気の消失があることもあり、痛みから食欲も落ちます。
これら2つのウイルスは、混合ワクチンに含まれています。
完全な予防はできませんが、ワクチン接種をしておくと症状が緩和される場合があります。
慢性喉頭炎については、ウイルスがどこまで関与しているか、明確に分かっていないようです。

気管支瘻(ブロンコレア)

慢性の肺疾患で、サラサラした分泌物が大量に出てきます。
間質性肺炎、猫の突発性肺線維症、腺がん、気管支腺の増生などの複合が、主な原因と考えられています。
増生とは、刺激を受けることにより特定の細胞の数が過剰に増え、組織や器官が大きくなることです。
気管支廔がよく見られる猫種は、アメリカンショートヘアロシアンブルーで、オスが約6割を占めます。

猫喘息

アレルギー性の呼吸器疾患です。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)は、ハウスダスト、タバコ、花粉、芳香剤、揮発性の化学物質などです。
気管支に起こった炎症により気道が狭くなり、咳以外に「ゼーゼー」といった呼吸をするようになったり、重症化すると呼吸困難を起こしたりします。
年齢にかかわらず発症し、重症化すると命の危険もあります。
一度発症してしまうと完治は難しく、アレルゲンを突き止めて接触を避けることが大切です。

肺炎

細菌性気管支肺炎は、末梢気道から肺胞の中で細菌感染が起きて、肺炎になる病気です。
咳だけではなく、元気や食欲がなくなる、熱が出るなどして、呼吸回数が増えます。
主な原因は免疫力の低下で、子猫や高齢の猫、FIVのキャリアの場合に発症のリスクが高くなります。
誤嚥(食べ物や胃の内容物を誤って飲み込むこと)による誤嚥性肺炎や、寄生虫やアレルギーによる肺炎もあります。

肺水腫

毛細血管から肺胞の中へ、血液の液体成分が過剰に漏れ出て溜まる病気です。
苦しそうな呼吸、浅い呼吸の繰り返し、口を開けて呼吸する、横になることができずに座ったまま動けなくなる、血液の混じった液体を吐き出すなどの症状があります。
呼吸困難を引き起こすこともあり、重症化すると命にかかわることもあります。
心臓病が原因の「心原性」、心臓病以外が原因の「非心原性」があります。

気管・気管支・肺の腫瘍

腫瘍が気道を圧迫することで、咳が出ることがあります。


猫の咳とくしゃみの違い

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くしゃみは生理現象として起こることも多いですが、咳の場合、病気によるものが多いので、より注意が必要です。
そこで、咳とくしゃみの見分け方についてご紹介します。

◆どうやって見分ける?

くしゃみは、「クシュッ」とか「プシュン」のような音が出ます。
典型的な咳の症状は、顎を前に伸ばして、少し舌を出します。
喉の入り口が反応して咳が出る場合、非常に激しく、息を深く吸い込むことなく、いきなり咳が出ます。
この時は、床に首やお腹をこすりつけるような体勢になります。
また、咳と似ている症状に「逆くしゃみ」があります。
逆くしゃみは、鼻から急速に空気を吸い込む生理現象です。
空気を吸い込むときに細い鼻腔に勢いよく空気が通るため気道が狭くなり、「ブーブー」「ガーガー」というような音が出ます。
音が鳴っている時は息を吸っている時なので、胸が大きく広がって見え、咳と見分けることができます。
しかし、中には咳かくしゃみか見分けがつきにくい場合もあります。自分で判断が難しい場合は、動画を撮影して動物病院を受診した際に獣医さんに見てもらうのが確実でしょう。


猫が咳やくしゃみをしていたら

猫が咳やくしゃみをしたときの対処法について、ご紹介します。

◆他にどんな症状があるか見ておく

咳もくしゃみも、他の症状が見られず、すぐに収まるようなら、まず問題ありません。
しかし、何度も繰り返したり何日も続いたりする場合には、病気のサインであることも少なくありません。
病気の場合、咳やくしゃみの他にも症状が出ることが多いので、注意深く見ておきましょう。
注意したい症状は、

・食欲がない
・熱がある
・吐く
・呼吸の変化(呼吸がおかしい、お腹だけで呼吸しているなど)
・痰などが出る、痰に血が混じっている
・よだれが出る
・舌や肉球の色の変化

などです。

◆なるべく早く病院に連れて行く

咳やくしゃみが数回で止まる場合、咳やくしゃみの後にも元気、食欲があって普段通りに過ごしている場合には、様子を見てもよいでしょう。
しかし、咳やくしゃみが続く場合は病気のサインの可能性があるので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
咳やくしゃみの様子を動画に撮って持っていくと、獣医師さんに状況を伝えやすいのでおすすめです。
また、咳やくしゃみ以外にどんな症状があるのかを伝えられるようにメモをしていくとよいですね。


まとめ

猫も咳やくしゃみをしますが、生理現象で特に問題のない場合と、病気が原因の場合があるので注意が必要です。
特に、咳はめったに出ないので、くしゃみより注意が必要となります。
愛猫が咳やくしゃみをしていたら、様子をよく観察して、他の症状がないか確認しましょう。
咳やくしゃみの原因となる病気は、猫風邪や猫喘息など様々です。
病気によっては、重症化すると命にかかわるものもあるので、咳やくしゃみが続く場合には、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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