1.猫の白内障ってどんな病気?
1-1.症状
1-2.原因
2.猫の白内障の治療法は?
2-1.点眼薬
2-2.内服薬
2-3.外科治療
2-4.手術費用はどれくらい?
3.愛猫が白内障かチェックをしよう
3-1.白内障の兆候
3-2.定期的に病院で健康チェックを受ける
3-3.予防するためには
4.白内障にかかりやすい猫は?
4-1.好発品種
4-2.犬に比べ猫は症例が少ない
5.他に気を付けたい猫の目の病気
5-2.緑内障
5-2.網膜剥離
5-3.ブドウ膜炎
6.まとめ
猫の白内障ってどんな病気?
基本的に猫と人間の目の構造は一緒となり、眼球の大部分を占める硝子体を網膜や脈絡膜などが覆い、虹彩が水晶体を支え、その表面を角膜が覆っています。
ただ猫には「タペタム」と呼ばれる、光を反射させる役割を担う組織層が網膜の下にあるので、暗闇でも目が見えたり光ったりするといった、猫特有の特徴を持っているのです。
このような特徴を持った猫の目ですが、人間と同様に気を付けなければいけない病気が存在します。
それは「白内障(はくないしょう)」と呼ばれる目の病気です。
白内障とは眼球の中にある水晶体が、何かしらの原因により変性し、白く濁ってしまう病気です。
正常な水晶体は透明で神経も血管も通っておらず、厚くなったり薄くなったりすることにより、ピント調節をしますので、簡単に言うとカメラのレンズのような働きをしています。
猫がこの白内障を患った場合、以下のような症状が見られます。
◆症状
白内障は水晶体が白濁する病気ですが、初期症状は飼い主さんが猫の目を見ても、変化に気付かないことがほとんどです。
症状が進行して完全に水晶体が白く濁らないかぎり、目視での判断は難しいと言えるでしょう。
なので愛猫が以下のような行動をとった際には、視界が狭くなっているのかと疑ってみてください。
・段差につまずく
・壁伝いに歩く
・暗い場所を嫌がる
・物音に敏感になる
このほかにも瞳孔が常に開いた状態になっていたり、白目が充血していたりすることもあるので、日頃から愛猫の目の状態を観察しておくことも大切ですよね。
基本的に猫は視覚が弱く、聴覚が鋭い動物ですので、重症化するまでは普通に生活を送ることが可能となります。
だからといって白内障を発症しているのにそのまま放置してしまえば、最悪の場合失明することもあるので、早期発見が症状改善の鍵と言えるでしょう。
◆原因
白内障には「老年性白内障」や「若年性白内障」などがありますが、老年性白内障はその名の通り、加齢が原因となり6歳前後から症状が出始め、進行の程度も個体によって異なります。
若年性白内障は2歳ぐらいまでに症状が出始めますが、先天性や遺伝性の素因があると考えられているようです。
そのほかには糖尿病などの内分泌疾患と併発して発症することもありますが、ほとんどの場合は外傷により、水晶体が傷つくことで発症することが多いとされています。
猫同士のケンカや、グルーミングの際に自身の爪で、目を傷つけてしまうこともあるので注意が必要です。
猫の白内障の治療法は?
愛猫に視覚障害や瞳に白濁が見られた場合は、早めに動物病院を受診し、診察してもらうようにしましょう。
そして眼底検査などの結果で白内障と診断された場合は、進行状況により以下のような治療が進められていきます。
◆点眼薬
白内障と動物病院で診断された場合、原則に外科的治療法を行っていきます。
点眼薬などの内科的治療法は、初期段階の白内障にのみ有効で、失った視力を回復させることはできませんし、完治させることも難しいのが現状です。
猫の個体によって手術ができない、進行を遅らせる、合併症の発生を抑制させるために、点眼薬を利用するのが一般的となります。
◆内服薬
点眼薬が難しい場合は、内服薬やサプリなどを投薬することもあります。
目的は点眼薬と同じになり、内科的治療では症状を改善することは不可能なので、症状が悪化している場合は外科治療を行っていきます。
◆外科治療
白内障で白く濁った水晶体を透明に戻すためには、外科治療として手術を行います。
主に白内障の手術は、以下の2通りに分かれます。
・角膜を切開した後、白濁した水晶体を摘出する手術
・角膜に針を入れ、超音波で白濁した水晶体を細かく砕いて吸引する手術
水晶体を取り除いたあとには、眼球内に人口の眼内レンズを入れることにより、再び視覚が戻ります。
◆手術費用はどれくらい?
動物病院によっては外科的治療を行う設備が整っていないことも多いので、手術ができない場合には、眼科専門医の居る動物病院を紹介されることが一般的です。
このようなことからも白内障の手術は難易度が高く、治療費も高額になることが多いと言われています。
病院により多少の差はありますが手術費用は1眼あたり、25万円前後(入院費なども含む)が目安となりますので、いかに普段から目の健康状態をチェックしてあげられるかが重要となってきますよね。
愛猫が白内障かチェックをしよう
愛猫の美しい瞳を守ってあげるためにも、未然に白内障を防ぐことはとても大切です。
飼い主さんはどのようにして、愛猫が白内障であるかのチェックをおこなうべきなのでしょうか。
◆白内障の兆候
白内障を事前に予防することは難しいですが、先天性や遺伝性の素因があることや、ある程度の年齢で発症リスクが高くなることからも、普段から意識しておくに越したことはありません。
そして元々視力が良いとは言えない猫ですが、白内障を患い症状が悪化するにつれて、視野が狭くなったような行動をとるようになるので、そのような行動を見逃さないことが大切です。
普段から愛猫のことをよく観察し、白内障の兆候を見逃さないようにしましょう。
◆定期的に病院で健康チェックを受ける
白内障は早期の発見が重要となるので、定期的な健康診断と併せて、眼科検診を受けるのも効果的です。
健康診断のオプションに含まれていることもありますが、動物病院によっては含まれていない場合もありますので、定期的な健康チェックを受けて、病気の兆候がないかの確認をしてあげてください。
◆予防するためには
猫の白内障は外傷が原因となることが多いので、猫が目を傷付けないような対策が必要となってきます。
猫の爪を定期的にケアし、猫の生活スペースである部屋の中を片付け、常日頃から危険を減らすような工夫をしてあげてください。
このようなことを意識することによって、白内障を患うリスクを軽減できるので、飼い主さんは責任を持って、愛猫の健康を守ってあげるようにしましょう。
白内障にかかりやすい猫は?
白内障は先天性や遺伝性でも患う可能性の高い病気ですので、猫種によっては一緒に暮らすと決まった時点で、気を付けておかなければいけません。
白内障を発症しやすいと言われているのは、以下の好発品種となります。
◆好発品種
好発品種とは病気が発生する頻度が高い品種のことを指しますが、先天性で白内障を患う可能性が高い猫種として報告されているのは、以下の種類となります。
・ペルシャ
・シャム
・ヒマラヤンなど
◆犬に比べ猫は症例が少ない
猫の白内障は犬に比べると、発生する症例が少ないとも言われています。
犬は猫と比べて若年性の白内障を発症する確率は高いですが、猫ではまれと言われており、猫の白内障の原因は外傷によるものがほとんどです。
だからといって若い猫は白内障を患わないといった確証もありませんので、普段から予防対策をして、愛猫に辛い思いをさせないように心掛けておきましょう。
他に気を付けたい猫の目の病気
猫は白内障以外にも、気を付けておかなくてはいけない目の病気がいくつかあります。
目の異常や視覚障害を感じた場合には、次の病気にも注意してみましょう。
◆緑内障
眼球の中の水分(房水)が何かしらの原因により排出できなくなり、目の眼圧が高くなって、視覚障害などを引き起こす病気が「緑内障(りょくないしょう)」です。
白内障と同じく予防が困難な病気となるので、愛猫を失明させないためにも早期発見が重要となってきます。
◆網膜剥離
視覚的な映像を神経に変換して脳に伝える働きを持つ網膜が、剥がれて取れてしまう病気を「網膜剥離(もうまくはくり)」と呼びます。
網膜剥離を発症させるきっかけとして、慢性腎不全や甲状腺機能亢進症の合併症と言われている、高血圧症が原因となることが多いようです。
進行した白内障や緑内障からも併発することがあるので、注意が必要な病気と言えるでしょう。
◆ブドウ膜炎
眼球の虹彩、毛様体、脈絡膜を合わせた総称をブドウ膜と呼びますが、この中の一部、もしくは全体に炎症が起きる病気が「ブドウ膜炎」です。
ブドウ膜には血管が多いため、ブドウ膜以外に血液の流れに関係した原因があることも多く、ほかの臓器に起こった炎症などにより併発することがあります。
そしてもっとも気を付けるべきなのが、「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)」が原因でブドウ膜炎を患った場合です。
突発的にブドウ膜炎を発症した場合は、まずはこの病気を疑ってみましょう。
まとめ
生きていく上で重要な五感の一つとなる「視覚」に異常が起きてしまえば、生活に支障が出てしまいますし、見えないことへの恐怖が強くなっていきます。
この感覚は人間だけでなく、猫も一緒になりますので、そのような不安を与えないためにも、目の病気には普段から気を付けておきたいものです。
そして今回ご紹介した猫の目の病気である白内障は、初期症状に気付きにくく、症状が進行してしまえば外科的治療が必要な病気となりますので、猫に患わせたくない病気と言えるでしょう。
猫によっては別の病気を患っている場合や、高齢の猫などは、手術自体を受けられないこともあるので、普段から愛猫の様子をしっかりと観察をしてあげてください。
早期発見が鍵となりますので、愛猫の健康を守るためにも、定期的に健康診断を受けて、現在の健康状態を把握しておくようにしましょう。
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