猫の爪切り、どうすればいい?必要性とやり方、嫌がる子への対処法

2021.04.18

猫の爪切り、どうすればいい?必要性とやり方、嫌がる子への対処法

爪切りを嫌がる猫は少なくありませんし、難しいと感じている飼い主さんも多いでしょう。爪は猫にとって武器であり、爪切りの習慣はありません。また、体を拘束されるのが嫌だという猫ちゃんも多いです。飼い主さんも、どのように、どこまで切ってよいか不安を抱えているかもしれません。今回は、猫の爪切りについて、爪切りの種類、基本のやり方から、嫌がる猫ちゃんへの対処法までご紹介します。

猫の爪ってどうなってるの?

猫の爪

はじめに、猫の爪の構造について知っておきましょう。
猫の爪は、玉ネギのように何層にもなっていて、外側の古い爪の中に新しい爪が伸びてくるようになっています。
爪の内側の根元のピンク色の部分は、「クイック」(quick)といい、神経と血管が通っています。

◆猫の爪切りと爪とぎの違い

猫は、爪とぎをすることで、最外層の古くなった爪を剥がして、常に新しく鋭い爪を出しておくようにしています。
一方、猫の爪切りとは、爪の外側の鋭い先端をカットすることです。
爪を鋭く保つための爪とぎと、先端のとがった部分を取り除くための爪切りでは、役割が異なります。
本来、爪は、猫にとって獲物を仕留めたり、敵と戦ったりするための「武器」なので、鋭く保つ必要があります。
また、木に登ったり、硬い地面を歩いたりすることで、先端は適度に摩耗していきます。
しかし、室内飼育の猫では、爪を武器として使う必要はなく、先端が摩耗することもありません。
さらに、高齢になった猫は自分で爪とぎができなくなる場合があり、そうなると、爪が太くなって伸びてしまい、歩きにくくなります。
猫の爪切りの目的は、爪の先端がとがっていることで起きる不具合やケガを避けたり、シニア猫の爪をケアしたりすることです。


猫の爪切りの種類

猫の爪切りには、いくつかタイプがあり、使い勝手が異なります。
特徴を押さえて、愛猫と飼い主さん双方に適した爪切りを選びましょう。
また、爪を切られるときの振動や抵抗感は猫の苦痛につながるため、爪切りは切れ味の良い状態を保つようにして、錆びたら交換しましょう。

◆ハサミ型

猫壱 ストレスなくスパッと切れる猫用爪切り

紙などを切る時に使うハサミと同じような形状、構造の猫の爪切りです。
手前の刃先には半円形のくぼみがあり、ここに猫の爪を当てて切ります。
猫の爪切りに慣れていない初心者でも扱いやすく、失敗しにくいタイプです。
子猫や若い猫の柔らかい爪を切るのには向いていますが、爪を切る時に力が均等に加わらないため、爪が割れてしまう可能性があります。
成猫やシニア猫の爪は硬くなっているため、ハサミ型を使うと、爪が割れる可能性が高くなります。

◆ギロチン型

猫の爪切りとして市販されている中で、主流のタイプです。
円状の刃に爪を差し込んで、グリップを握り、爪をカットします。
慣れないと怖く感じることもありますが、力が均一に加わるので、成猫やシニア猫の硬い爪でもスパッと切ることができます。
爪を見やすいこと、カットするときの「パチッ」という大きな音がしないことも特長で、音に敏感な猫ちゃんにおすすめのタイプです。
ギロチン型を使っている獣医師さんは多いので、かかりつけの動物病院で使い方を教わってもよいでしょう。
ただし、巻き爪になっている場合は、丸い穴の刃に爪を差し込むことができないので、使えません。
また、穴の大きさが成猫や小型犬の大きさに合わされているので、子猫は深爪をさせてしまう危険性があります。
様々な商品がありますが、ステンレス製で切れ味の良いものがおすすめです。

◆ピコック型

ハサミ型のように刃を爪に当てて、ギロチン型のようにスパッと切ることができる爪切りです。
ギロチン型と異なり、丸い穴の刃に爪を差し込む必要がないので、巻き爪になってしまった猫ちゃんにおすすめです。
一方、ハサミ型と異なり、カットするときの大きな音が出ないので、爪を切る時の音が苦手な子にもよいでしょう。

◆人間用の爪切りは使える?

わざわざ猫用のものを買うより、人間用の爪切りを使いたいという飼い主さんもいるかもしれません。
結論から言えば、使えなくはありませんが、使わない方がよいでしょう。
人間用の爪切りの形状は、平べったい人間の爪の形に合わせて作られており、円柱状の猫の爪には適していないからです。
人間用の爪切りを使うと、爪を挟む角度が難しく、縦に挟むと爪が割れてしまうことがあります。


猫の爪切りの方法

猫の爪切りのやり方について、ステップごとに解説していきます。

◆爪はどこまで切ればいい?

前足では爪の中のピンク色の部分の少し手前まで、後ろ足は先端のとがった部分を2mmほどカットするだけで十分です。

◆爪切りは後ろから

猫の爪切りは、後ろから行うのが基本です。
猫を後ろから抱っこして、膝に座らせて切るとよいでしょう。
抱っこが嫌いな猫ちゃんの場合は、うつ伏せに座っているところに、そっと覆いかぶさるように包み込んであげて、切りたい爪の肉球だけを触って切りましょう。

◆後ろ足から切る

猫にもよりますが、後ろ足の爪から切り始める方が切りやすい場合が多いようです。

◆親指も忘れずに

猫の指は、前足は5本、後ろ足は4本あります。
前足の親指(狼爪)は他の指とは離れているため、爪切りを忘れがちなので、気をつけましょう。

◆外側から順番に

猫の体の外側にあたる小指から切っていきます。
狼爪は嫌がる子が多いので、最後にしましょう。

◆肉球を押して爪を出す

猫の爪は、力の入っていない状態では指の中に引っ込んでいます。
爪の下には腱が付着していて、腱が筋肉に引っ張られると、爪は滑車のように飛び出します。
そのため、爪の根元部分を上下から指で挟むようにして押すと、自然と爪が飛び出すのです。
猫の爪切りの際は、肉球の上下を挟むように軽く押さえて、爪を出します。
猫は、足先を触られることを嫌うので、強く押さえないように気をつけてあげてください。

◆深爪に気をつけて切っていく

上述の通り、猫の爪の内側には、神経と血管が通っています。
猫の爪切りの際、この部分の深さまで切ってしまうと、痛みと出血があります。
後ろ足の爪は、血管が分かりにくいうえ、前足よりも先端に近いところまで通っているので、深爪しやすく注意が必要です。
猫の爪が黒っぽくて見えにくい場合には、懐中電灯などを当てて透かして見るといいでしょう。
もし血管まで切ってしまったら、爪の先をガーゼか布で5~10分ほどしっかり押さえて止血します。
それでも血が止まらない場合は、動物病院で診てもらってください。
ペットショップなどで止血用のパウダーが市販されているので、念のために用意しておいてもよいでしょう。

◆無理にすべての爪を切ろうとしない

一度の爪切りで、全ての爪を切ろうとしなくても構いません。
猫が嫌がるそぶりを見せたら一旦やめて、時間を置くか日を変えて、爪切りを行うとよいでしょう。


猫が爪切りを嫌がるときには

◆2人で行う

猫を押さえる人と、爪を切る人の2人で行うと、爪切りがしやすくなります。
押さえる人が、猫の足を片手でしっかりと持ち、切る人に差し出すようにします。
反対の手で、頭や顎など、その子が好きな個所を撫でてあげてリラックスさせましょう。
爪を出すのは、切る人が行います。

◆洗濯ネットを使用する

洗濯ネットに入れたり、バスタオルでくるんだりすると、大人しくなることが多いです。

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◆ごほうびを与える

爪切りをする前に、ご褒美のおやつを与えて、猫の気を逸らしておきます。
猫の関心がおやつに向いている間に、手早く爪切りを行いましょう。
少しずつおやつを継ぎ足していくと、猫の気をひきやすいです。

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◆寝ぼけているときなどを狙う

猫が熟睡している時や、寝ぼけている時などリラックスしている時に、少しずつ切ってもよいでしょう。

◆おうちで行うのが難しい場合

様々に工夫をしても、どうしても爪切りを嫌がって暴れるような猫ちゃんの場合、動物病院やプロのトリマーさんにお願いするとよいでしょう。
動物病院での爪切りの料金は、500円~1,000円程度が多いようです。
また、病院などに行くことがストレスになる子の場合、ペットシッターさんに家に来てもらい、爪切りをしてもらうのも一つの方法です。
日ごろから、ペットシッターさんに来てもらって、猫が慣れるようにしてあげるとベターです。


猫の爪切りの頻度

◆前足

前足は、特に爪とぎで尖っているので、およそ3週間から1ヶ月に1度爪切りを行いましょう。
子猫は爪が伸びるスピードが速いので、1~2週間ごとのペースで必要かもしれません。
シニア猫は、爪とぎが不十分になりがちで、爪が太く硬くなりやすいので、2週間に1度くらいがよいでしょう。
こまめに爪の状態をチェックしておくとよいですよ。

◆後ろ足

後ろ足は、前足ほど尖りにくいので、少し頻度を落としてもよいでしょう。


猫の爪切りを行わないとどうなる?

◆巻き爪

シニア猫など爪とぎが不十分な子の場合、古い爪が残って巻き爪になります。
巻いた爪は、肉球に刺さって、痛みや炎症を引き起こすことがあります。
また、歩き方や関節に問題が出ることもあるので、注意が必要です。

◆飼い主さんや同居猫が怪我をする

猫同士がケンカをした時に、爪がとがっていると、血が出るほどのケガを負う危険性があります。
また、猫がじゃれついたり、飼い主さんの膝などの上でバランスを取ろうと踏ん張ったりした時に、爪が刺さり、傷になることもあります。

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◆感染症のリスク

猫の爪がとがっていると、引っ掻かれたときに傷ができやすく、細菌の侵入口になってしまいます。
猫の爪にバルトネラヘンセラという細菌がついていた場合、「猫ひっかき病」になる可能性があります。
猫ひっかき病の症状は、患部の発赤、リンパ節の腫れ、全身の倦怠感、関節痛などです。
パスツレラ菌がついている場合、「パスツレラ症」になることがあります。
パスツレラ症になると、噛みキズや引っかき傷などが数時間程度で腫れて赤くなります。
抵抗力が弱い人や糖尿病などの基礎疾患を持つ人は、重症化して命にかかわることもあります。

◆引っかかって折れてしまう

家具やカーテン、カーペットなどに爪が引っ掛かり、猫自身が爪を折ってしまう危険性があります。
折れてもまた生えてくる場合もありますが、爪が死んでしまうこともあり、その場合、動物病院で抜去する処置が必要です。


まとめ

猫の爪切りは、ブラッシングなどと同じく、大切なケアの一つです。
定期的に行うよう、習慣づけましょう。
爪切りを怠ると、飼い主さんにケガや感染症の危険があり、また同居猫にケガをさせることもあります。
爪切りを嫌がる猫は多いので、最初は足先に触れることに慣れさせることから始めるとよいでしょう。
日ごろからスキンシップを取っておくと、爪切りがスムーズに行えますよ。
また、無理に1度で全部の爪を切ろうとせずに、1本ずつ日を変えて切っても大丈夫です。
どうしても切らせてくれない猫ちゃんなら、動物病院などプロの方にお願いしてもよいでしょう。
愛猫との信頼関係を壊さないよう、飼い主さんと猫ちゃんにとって一番良い方法を見つけてくださいね。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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