1.猫のフードは適切な量を与えよう
1-1.その子によって必要量が違う
1-2.子猫
1-3.成猫
1-4.シニア猫
1-5.妊娠・授乳中の猫
2.猫のカロリー計算方法
2-1.猫が必要とするフード量とは?
2-2.RER(安静時エネルギー要求量)
2-3.DER(1日あたりのエネルギー要求量)
2-4.1日あたりの給餌量
2-5.子猫(1歳まで)のカロリー計算
2-6.猫のカロリー計算ができるサイト
3.猫が必要以上にご飯をおねだりする場合
3-1.フードを変えてみる
3-2.ウェットフードを活用する
3-3.少量ずつ小分けにして与える
3-3.ドライフードをふやかす
3-4.動物病院で相談する
4.まとめ
【掲載:2021.05.08 更新:2022.12.28】
猫のフードは適切な量を与えよう
猫にとっても肥満や痩せすぎは、健康のために良くありません。特に、肥満は様々な病気の原因になるので、注意したいですね。
適正な体重を維持するには、適量のフードを与えて、適度な運動をさせることが肝心です。
では、適量のフードとは、何gでしょうか?
◆その子によって必要量が違う
猫にとって必要なフードの量は、その子の体重はもとより、年齢、活動量、避妊・去勢の有無、妊娠・授乳中かどうかなどによって異なります。
◆子猫
子猫の場合は、急速に成長している時期なので、成猫よりも多くのカロリーを必要とします。
生後30日ころまでの子猫は、母乳や子猫用ミルクで育ちます。歯が生え始めたら、離乳食を与え、生後2ヶ月ごろから少しずつドライフードに慣れさせていきます。
子猫は1回の食事でたくさんは食べられないので、必要な量を1日3~4回に分けて与えます。1日1回は体重測定を行い、また子猫の様子を見ながら、食事量を調整していきましょう。
◆成猫
成猫の場合、避妊・去勢の有無や、活動量によって、必要なフード量が異なります。
避妊・去勢手術を受けると、ホルモンバランスの変化や活動量の減少などから、必要とするカロリーは避妊・去勢前より少なくなります。
また、完全室内飼育の猫と外へ出かける猫では、活動量に差が出るため、必要なカロリーにも違いが出ます。同じ完全室内飼育の子でも、たくさん遊ぶ活動的な子と大人しくてあまり動かない子では、やはり必要なカロリーは異なります。
◆シニア猫
シニア期に入ると代謝量が下がるため、成猫期に与えていたのと同じ量を与えると、カロリーが多すぎて肥満になる恐れがあります。
特に、シニア期の初期には、食欲は下がらない一方で、代謝量は減っていくので、注意が必要です。
一方、ハイシニアになってくると、食欲が減り、食べる量が少なくなるので、高カロリー・高タンパクのフードを与える必要が出てきます。
◆妊娠・授乳中の猫
妊娠・授乳中の猫は、子猫の分のカロリーも合わせて摂取しなければならないので、普通の成猫よりかなり多くのカロリーを必要とします。
十分なカロリーを得られないと、子猫の発育が悪くなるので、しっかりとフードを食べさせてあげましょう。妊娠・授乳中専用のフードや子猫用のフードを与えるとよいでしょう。
獣医師さんに相談しながら、フードを調整してあげてくださいね。
猫のカロリー計算方法
◆猫が必要とするフード量とは?
猫が1日に必要とするフードの量を把握するには、まず、愛猫のRER(Rest Energy Requirement;安静時エネルギー要求量)とDER(Daily Energy Requirement;1日あたりのエネルギー要求量)を計算する必要があります。
次に、1日の給餌量を計算するために、キャットフードの100gあたりのエネルギー量(カロリー)を確認します。フードの100gあたりのカロリーは、パッケージの裏面や側面に記載されていることが多いです。
◆RER(安静時エネルギー要求量)
RERとは、「猫が何もせずにじっとしているだけで消費するエネルギー量」です。お腹が満たされてぼーっとしていたり、ごろんと寝転んでいたりする状態で消費されるエネルギーと考えてよいでしょう。
実は、RERを求める計算式は統一されておらず、推奨する団体によって異なります。また、ペットフード会社によっても、採用している計算式が異なります。
★NRC(National Research Council;全米研究評議会)推奨の計算式
RER=70×体重(kg):体重4kgの猫で280kcal
★一般社団法人ペットフード協会推奨の計算式
・RER=70+30×体重(kg):体重4kgの猫で190kcal
・RER= [体重(kg)の0.75乗]×70:4kgの猫で197.99kcal
190kcalから280kcalまで、大きく差が出ますが、これは、RERが、専門家であっても「だいたいこのくらいが守れていればよい」という目安だからだと考えられます。
獣医師さんがRERの計算式として紹介していることが多いのは、
RER= [体重(kg)の0.75乗]×70
です。
体重(kg)の0.75乗の計算は、そのままでは難しいので、「√」ボタンのついた電卓を使いましょう。
体重(kg)×体重(kg)×体重(kg)を計算して、「√」を2回押し、この結果に、70をかけるとRERを求めることができます。
体重4kgの猫ちゃんの場合、
2.「√」を2回押す(64√√=2.8284…)
3.70をかける(2.8284×70=197.988kcal)
となり、RERは約198kcalとなります。
iPhoneの電卓では、画面を横にすると「√」ボタンが出てきます(2√xという表記です)。
◆DER(1日あたりのエネルギー要求量)
RERは、成猫なのか、肥満傾向なのか、妊娠中なのか、シニア猫なのか…といったライフステージとは関係なく求められた数値です。そこで、次にライフステージに合わせた1日あたりのエネルギー要求量(DER)を求める必要があります。
DERは、その子のライフステージやライフスタイルに基づく係数をかけて求めます。
つまり、
DER=RER×係数
という計算式で求めることができます。
ライフステージごとの係数は、以下の通りです。
ライフステージ | 係数 | 標準体型の成猫(未避妊・未去勢) | 1.4 | 標準体型の成猫(避妊・去勢済) | 1.2 | 活動的な猫 | 1.6 | 肥満気味の猫 | 1.0 | ダイエット中の猫 | 0.8 | 増量中の猫 | 1.2~1.4 | 高齢猫 | 1.1 | 妊娠中 | 2.0 | 授乳中(自由採餌) | 2.0~6.0(子猫の数によっても異なる) | 4ヶ月未満 | 3.0 | 4~6ヶ月 | 2.5 | 7~12ヶ月 | 2.0 |
例えば、標準体型で避妊・去勢済みの体重4kgの猫ちゃんの場合、RERは約198kcalだったので、
DER=198×1.2=237.6kcal
となります。
もし、肥満傾向で4kgの場合は、
DER=198×1.0=198kcal
となります。
◆1日あたりの給餌量
次に、1日に与えるキャットフードの量を計算しましょう。
多くのキャットフードではパッケージに100gあたりのカロリーが、「○kcal/100g」と記載されています。ウェットフードの場合には、1パックや1缶当たりのカロリーが記載されていることもあるので、確認してください。
1日の給餌量=DER÷フード1gあたりのカロリー
です。100gあたりのカロリーが341kcalの場合、1g当たりのカロリーは3.41kcalとなります。
例えば、標準体型で避妊・去勢済みの4kgの猫ちゃんに、341kcal/100gのフードを与える場合、
1日の給餌量(g)=237.6kcal÷341kcal×100=69.6774…
となり、およそ70gが適正な1日のフード量となります。
適切なフード量は、計量カップなどで計るのではなく、キッチンスケールを使って1g単位で量ることをおすすめします。
◆子猫(1歳まで)のカロリー計算
子猫の月齢ごとに、1日の必要カロリーを簡易に計算する式もご紹介しておきます。前述の通り、カロリーはあくまで目安として、体重や様子を見ながらフードの量を調整してください。
月齢 | カロリー計算式 | 2ヶ月 | 体重(kg)×210kcal | 3ヶ月 | 体重(kg)×200kcal | 4ヶ月 | 体重(kg)×175kcal | 6ヶ月 | 体重(kg)×135kcal | 9ヶ月 | 体重(kg)×100kcal |
◆猫のカロリー計算ができるサイト
猫のカロリー計算についてご紹介してきましたが、RERの計算が複雑で、「√」ボタンのある計算機がなければ難しいですね。
そこで、体重を入力して、ライフステージを選ぶと、DERを計算してくれるサイトをご紹介しておきます。
フードのカロリー量が分かっていれば、フード量の計算もできるので、ぜひ利用してみてください。
猫が必要以上にご飯をおねだりする場合
適正な1日のフード量を与えていても、食いしん坊の猫ちゃんは、ゴハンやオヤツをおねだりしてくることも多いでしょう。可愛くおねだりされると、つい何かしらあげてしまう飼い主さんも少なくないと思われます。
しかし、それではせっかく適正なカロリーを計算した意味がありません。
そこで、ごはんをおねだりする猫ちゃんへの対処法をご紹介します。
◆フードを変えてみる
市販されているキャットフードには、避妊済み・去勢済みの猫ちゃん用、ダイエット用、シニア用などライフステージに合わせたものがあります。
避妊・去勢済の猫ちゃん用やダイエット用のフードは、カロリー量に対して腹持ちがよくなるように調整されているので、おすすめです。
特に、食物繊維が多くて腹持ちの良い、サツマイモや玄米が使われているフードがおすすめです。
ダイエット用フードの選び方のポイントは、以下の3つです。
□最低でも30%程度のタンパク質が含まれているフード
□適度な脂質が含まれるフード
□低炭水化物のフード
◆ウェットフードを活用する
ウェットフードは、水分が多いため、一般に100g当たりのカロリーはドライフードに比べて低いです。そのため、同じカロリーでも、ドライフードより分量が多くなります。
そこで、ドライフードとウェットフードを組み合わせて与えると、猫に満腹感を与えることができます。
例えば、1日にドライフードと1缶のウェットフードを与える場合、まず1日のDERからウェットフードのカロリーを引きます。残りのカロリー分は、ドライフードを数回に分けて与えます。
◆少量ずつ小分けにして与える
ゴハンとゴハンの間が長いと、空腹感を感じやすくなります。通常、成猫であれば1日2回でよいのですが、ゴハンを欲しがる猫ちゃんには、1日分のフードを3回以上に分けてあげるとよいでしょう。食事の回数が増えることで、空腹感を感じる時間を短くすることができます。
仕事などで日中留守にする飼い主さんは、自動給餌器を利用してみるとよいでしょう。
◆ドライフードをふやかす
ドライフードをふやかすことでかさ増しをして、満腹感を与えるのも一つの方法です。
◆動物病院で相談する
愛猫が必要以上にゴハンをおねだりする場合には、動物病院で相談することをおすすめします。
特に、ダイエットを行う場合には、適正体重を知るためにも、かかりつけの獣医師さんに相談して、適切なダイエット法やおすすめのフードを紹介してもらうとよいでしょう。
まとめ
猫が1日に必要とするカロリーは、RER(安静時エネルギー要求量)とライフステージに合わせた係数から求めることができます。
RERの計算式は、RER=[体重(kg)の0.75乗]×70 です。RERにライフステージに合わせた係数をかけたものが、DER(1日あたりに必要とするカロリー)です。
1日あたりのフード量は、DERと与えるキャットフードの100gあたりのカロリーから求めます。通常、ドライフードのカロリーは、パッケージに「○kcal/100g」として表記されています。
フード量は、DER÷フード100gあたりのカロリー×100で求めることができます。
しかし、猫それぞれに、適切なカロリーすなわちフード量は異なるので、計算で求められた給餌量を目安として、愛猫の体重や様子を見ながら調整してあげてくださいね。
愛猫は、自分で体重管理をすることができません。フードの量を管理して、適正な体重を保ってあげられるのは飼い主さんだけです。本記事を参考に、愛猫に最適なフード量を与えてあげるようにしてくださいね。
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