1.猫に手術が必要となる場面
1-1.避妊手術や去勢手術
1-2.歯周病
1-3.誤飲
1-4.ケガ
1-5.腫瘍
2.猫の手術の費用
2-1.手術内容によって異なる
2-2.猫の手術にペット保険は使える?
3.猫の手術日当日の流れ
3-1.絶食をする
3-2.予約時間を必ず守る
4.猫の手術が終わったら
4-1.エリザベスカラーや術後服を準備しておく
4-2.退院後はしっかりと様子を見る/a>
4-3.後日抜糸など予定がある場合
5.まとめ
猫に手術が必要となる場面
猫に手術が必要となるタイミングは誰も予想ができませんので、どんな場面で手術が必要になるのかを、事前に知っておくことによって心の準備ができるはずです。
手術は日頃の予防で回避できるものでもないので、一般的に手術が必要と言われている場面を順番にご紹介していきます。
◆避妊手術や去勢手術
猫の手術でもっともポピュラーなのが、去勢や避妊といった不妊手術ではないでしょうか。
望まれない命を増やさないためや、発情期のストレス軽減、病気の予防といったメリットがあるので、昨今ではイエネコだけでなく、野良猫(地域猫)にも手術を受けさせることが推奨されています。
避妊手術や去勢手術は、メスは卵巣や子宮、オスは精巣を摘出しますので、動物の本能を阻害するといったイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、寿命を延ばすといった意味合いでも行っておくべき手術と言えるでしょう。
◆歯周病
猫は虫歯ができにくい動物として知られていますが、その反面歯周病といった口内トラブルが起きやすいと言われています。
重症化すると歯が抜け落ち、最悪の場合死亡するケースもあるほど、歯周病は猫にとって身近でありながら恐ろしい病気と言えるでしょう。
猫は身体も小さいので手術の際には細心の注意を払わなければいけないので、費用も高額になることがほとんどです。
歯科領域内の抜歯程度の手術であれば、数万円ぐらいの治療費で済むことがほとんどですが、歯科領域外の手術の場合は10万円を超えることが多いので、日頃から歯のケアを怠らないようにすることが大切です。
◆誤飲
狩猟本能を持ち合わせている猫は、おもちゃなどで遊んでいる際に勢い余って飲み込んでしまうことがありますよね。
嘔吐や排泄物として体外に排出されれば問題ありませんが、誤飲が原因で元気や食欲が低下するなどといった症状が出ているのであれば、早急に動物病院を受診して現状の把握をしなくてはいけません。
とくに誤飲の内容物がひも状のものであれば、腸に絡みついて通過障害などにより壊死を起こし、お腹を開いて腸を切除するといった大掛かりな手術を行うことがあります。
内視鏡手術で取り除ける内容物であれば、猫への負担は多少軽減できますが、誤飲は大掛かりな手術に繋がってしまうことも頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。
◆ケガ
猫は運動神経も良く、高い場所から態勢を整えてジャンプできるため、ケガとは無縁なような気がしますよね。
しかし、そんな柔軟な体をしている猫でもケガを負いますし、交通事故などに遭えば骨折などの大きなケガをしてしまうこともあるでしょう。
表面的な外傷が大きければ、傷口を縫合する手術を行わなければいけませんし、大きな骨を骨折したのであれば、手術によって骨の修復を目的とした治療を行わなければいけません。
いずれにせよ放置はできませんし、ケガの度合いによって麻酔が必要な手術を行う必要性があることを覚えておきましょう。
◆腫瘍
猫の病気でもっとも手術が必要とされる場面と言えば、細胞が異常増殖して塊となった腫瘍の除去ではないでしょうか。
腫瘍には良性のものと悪性のものとがありますが、良性のものでもゆっくりと悪性に変化することがあることから、早期発見時の腫瘍が小さいときに手術で取り除くことが回復への近道です。
もちろん腫瘍の種類によっては、転移の可能性がないと判断されれば、手術で切除せずに薬だけで経過を観察していくような治療が行われることもあります。
全身麻酔ができない子猫や、体力のない老猫などは、手術ができないと獣医師が判断すれば、対症療法を行って症状を軽減させることを目的とした治療が行われることも。
また、猫の乳腺にできる腫瘍は悪性である確率が高く、未避妊の高齢のメス猫に発症することが多いとされていることからも、避妊手術が推奨される所以となっています。
猫の手術の費用
どの猫ちゃんもいつ手術が必要になるかは分かりませんが、飼い主として心配なのは愛猫の体調のほかに、手術費用がどれぐらいかかるかも事前に知っておきたいものですよね。
猫に手術が必要となったとき、一般的にどれぐらいの費用がかかると言われているのでしょうか?
◆手術内容によって異なる
猫の手術費用は、手術の内容によって大きく異なる上に、動物病院は自由診療となるので、一概にどれぐらいの費用がかかるかと明確なことが言えません。
もっとも猫のポピュラーな手術として知られているのは、去勢や避妊手術となりますが、一般的に去勢手術の平均的な費用は15,000円前後、避妊手術は30,000円前後となっています。
このような不妊手術は、地域によって申請をすれば助成金が支払われることもあるので、望まれない命や多頭飼育崩壊に繋げないためにも、知っておきたい制度と言えるでしょう。
不妊手術費用を目安にすることも一つの手段ではありますが、病気やケガの内容によって、入院費や薬代、通院費用なども上乗せすると、高額になることは一目瞭然ですよね。
飼い主さんが費用を払えないとなると、助かるはずの命も助けられなくなる可能性がありますので、それらを想定した上で動物の飼育をしていかなくてはいけません。
猫が病気やケガをした場合には、適切な治療を受けさせてあげるためにも、獣医師さんから説明を聞いておき、どれぐらいの費用がかかるのかを留意しておきましょう。
◆猫の手術にペット保険は使える?
猫の医療費は公的な医療保険が無いので、費用が高額になることがほとんどですが、ペット保険に加入していた場合、補償が受けられることがあります。
ペット保険会社によって補償を受けられる内容は異なりますが、加入しておくことによって、急な出費を軽減できると言えます。
猫ちゃんがシニア期に突入したのであれば、ペット保険の見直しや加入を検討してみてはいかがでしょうか。
猫の手術日当日の流れ
実際に愛猫が手術を受けると決まったとき、飼い主さんとしては心配で落ち着かないかもしれませんが、愛猫を不安な気持ちにさせないためにも、冷静に手術日当日を迎えたいものです。
手術日当日を迎えるにあたって、どのような流れで動物病院までの時間を過ごせば良いのでしょうか?
◆絶食をする
手術当日は、絶食が基本となります。
猫にとっては慣れない場所で知らない人たちに拘束され、痛い注射(麻酔)をされるわけですから、ストレスが溜まらないわけがありません。
極度の緊張状態で手術前後に嘔吐することもあるので、胃の中を空っぽにしておく必要があります。
また、飲水に関しても制限がある場合もあるので、必ず食事や飲水可能時間を確認し、無事に手術が行えるように絶食絶飲時間を守るようにしましょう。
◆予約時間を必ず守る
手術日には動物病院側でも時間を調整し、万全の態勢で手術の準備をしてくれることでしょう。
そのため予約時間は必ず守るようにし、時間に余裕を持って行動をするように心掛けてください。
手術前には手術ができるかの最終チェックや、手術に必要な処置を行うことが一般的ですので、時間ギリギリになってしまえば、準備をしてくれている動物病院側に迷惑がかかってしまいます。
出掛ける直前に愛猫が体調を崩すなどの非常事態時には、速やかに動物病院に連絡し、獣医師の指示に従って行動するようにしてくださいね。
猫の手術が終わったら
無事に手術が終わったあとに、入院の必要がない場合は、自宅に愛猫を連れて帰り、飼い主さんが経過観測を行わなくてはいけません。
その際には以下のようなことに注意して、回復への手助けをしていきましょう。
◆エリザベスカラーや術後服を準備しておく
手術後は猫自身が切開した傷口を舐めたり引っ掻いたりしないように、エリザベスカラー(保護具)を利用して、傷口が開くことや化膿することを予防していきます。
猫ちゃんによってはエリザベスカラーとの相性が悪い子も居ますので、そのような場合には術後服を準備しておくと安心です。
◆退院後はしっかりと様子を見る
傷口が完全に塞がるまでは、少なからず痛みを伴いますし、保護具を使用していることによってストレスを溜めてしまう子も多いことでしょう。
とても敏感になっているはずですので、術後はしっかりと愛猫の様子を見てあげることも大切ですよね。
急にたくさんの食事を与えたり、たくさん遊んで激しい運動をさせたりすることは猫ちゃんへの負担となってしまうので、獣医師さんの指示のもと、落ち着いて過ごせるような環境づくりを工夫してあげてください。
◆後日抜糸など予定がある場合
傷口を糸で縫っている場合には、後日抜糸を行わなくてはいけないので、再度動物病院へ愛猫を連れていく必要があります。
通常1週間~10日ぐらいで抜糸を行いますが、その期間は傷口を猫が舐められないように保護具を使用し、シャンプーなどをすることは控えておきましょう。
万が一切開箇所に炎症などが起きている場合には、すぐに動物病院に連絡し、獣医師の指示に従って行動するようにしてください。
まとめ
愛猫が急な病気やケガで手術を要する場面に直面したとき、飼い主さんはきっと動揺してしまうことでしょう。
しかし、いつどの猫ちゃんがそのような事態に陥るかは、事前に知る術はありませんので、いかに普段から心の準備や費用の工面をしておくことが大切となってきますよね。
とくに手術が必要となった場合には、愛猫への負担はもちろん、術後のケアも必要となってきますので、何よりも飼い主さんが落ち着いて対応していかなくてはいけません。
愛猫の寿命を延ばし、負担を極力軽減させてあげるためにも、日頃から健康の管理を怠らないようにしてください。
そして手術が必要になった際には、信頼できるかかりつけの獣医師さんなどに相談し、しっかりと説明を聞いて納得した上で、手術日当日を迎えるようにしましょう。
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