猫の肉球は何のためにあるの?その弾力に隠された4つの役割とは

2021.09.11

猫の肉球は何のためにあるの?その弾力に隠された4つの役割とは

猫の体の部位には、惚れ惚れしちゃうぐらい可愛い部位が多いと思いませんか? くりくりお目々、ピンと伸びたヒゲ、長い尻尾、ふんわりとした被毛、ぷっくりとしたマズル(口元)…。挙げだしたらキリがないですよね。 しかし、その中でも忘れてはいけないものが、猫の「肉球」ではないでしょうか。 プニプニとした肉球は、見るも良し、嗅ぐも良し、触るも良しの三拍子揃いなんです! 可愛いだけではない肉球の魅力について、余すことなくご紹介させていただきます!

猫の肉球の役割

お昼寝中の猫

猫の前足と後ろ足の裏に、ちょこんとついている肉球。

生まれつき美しい衣をまとった猫にとってアクセサリーのような、ただただ可愛い装飾品のようにも見えますよね。

この見た目の可愛い肉球は、一体どんな役割を担っているのでしょうか?

◆滑り止め

猫は汗をかかない動物として認識されていますが、実は体の部位によってはしっかりと汗をかきます。

猫が主に汗をかく部位は鼻と足の裏になっており、肉球は汗をかくために必要な部位であることが分かりますよね。

猫の鼻先を指先でちょんと触ると、じんわり濡れてくるように、猫の肉球も触ってみると、しっとりとした感触が味わえます。

急な方向転換や足場が悪い場所でもバランスを崩さず歩けるのは、肉球が滑り止めの役割を担ってくれているからなのです。

◆クッション

滑り止めの役割を果たしてくれる肉球ですが、高い場所に登ったり、ジャンプをして飛び降りたりするときにも肉球がクッションの代わりとなり、衝撃を吸収してくれます。

体積の小さい肉球ではありますが、しなやかな体を支えるためになくてはならない存在と言えるでしょう。

猫が高所から飛び降りても骨折をしないのは、脚にかかる負担を肉球が最小限に抑えてくれているからなので、猫の瞬発力の高さにも納得です。

◆足音を消す

猫が歩くとまるで忍びのように音を立てないので、どうやって歩いているのか気になったことのある方も多いのではないでしょうか。

肉球には弾力があるので、音を消して歩く効果が期待でき、猫は爪も自由自在に出し入れができるので、足音が消せるといった特徴があるのです。

なぜ猫に足音を消す必要があるのかというと、肉食動物であるが故に自分で狩りをしなくては生き抜くことができなかったので、ネズミなどの獲物に気付かれないためにも、このような術を自然と身に着けていったからと考えられています。

生きていくことに必要だったとはいえ、猫の身体能力には驚かされるばかりです。

◆体温調節

猫の肉球は汗をかくと前述しましたが、体温調節にも一躍買ってくれるようです。

全身が被毛に覆われている猫は、私たち人間のように皮膚から滴るような汗をかくことはありませんが、平熱が38度前後ある猫にとって、なぜ体から汗が出ないのか不思議に感じたことはないでしょうか。

基本的に猫はグルーミングをした際に、被毛を湿らせることによって気化熱を発生させ、体温調節をしています。

猫の汗腺は足の裏に集中していることもあり、恐怖を感じた瞬間や、緊張状態が続いたときにじんわりと汗をかくので、体内に溜まった熱を体外に放出できるといった仕組みとなります。

また、自ら肉球を舐めて湿らせることにより、ブラシの代わりにして顔を洗ったり、しっとりとした質感を利用して、物を掴んだりすることも。

猫にとって使い勝手の良い体の部位となっているので、ただ可愛いだけの装飾品ではないことがうかがえますよね。


猫の肉球の名前

とても可愛らしい猫の肉球ではありますが、肉球は正式名を「蹠球(しょきゅう)」と呼び、「掌球(しょうきゅう)=肉球の一部」との混同を避けるために、肉球といった俗称で呼ばれるようになったようです。

肉球は中心部に位置する大きなものと、外側に連なる小さなもので構成されています。

それぞれの名称を知って、肉球に対しての理解をより深めていきましょう。

◆前足

前足

前足にある肉球は、以下のような名称で呼ばれています。

・掌球(しょうきゅう)→中心に位置する大きな肉球
・指球(しきゅう)→5本の指に連なる小さな肉球
・手根球(しゅこんきゅう)→前足のみに存在する肉球

人間でいうと親指にあたる狼爪(ろうそう)部の肉球も指球に該当しますが、ほかの指球と異なってだいぶ小さいことが特徴的です。

手根球は前足のみに存在し、人間でいうと手首部分に存在しています。

その下にある小さな「豆状骨(とうじょうこつ)」を守っているともいわれ、手根球付近には「洞毛(どうもう)=ヒゲのような感覚器官」が生えており、猫が前足を器用に使える理由がうかがえますよね。

◆後ろ足

後ろ足

前足の肉球とは異なり、後ろ足の肉球には以下のような呼称がつけられています。

・足底球(そくていきゅう)→中心に位置する大きな肉球
・趾球(しきゅう)→足底球の外側に連なる4つの肉球

前足と後ろ足とで名称が変わるのは何ともユニークですが、器用に動かせる前足の肉球とは異なり、後ろ足の肉球は至ってシンプルです。

肉球がデザインされた猫雑貨や猫グッズなどは、趾球が4つのものがほとんどなので、後ろ足の肉球をイメージして作られているのかもしれません。


猫の肉球の色

世間一般的な肉球の色のイメージといえば、ピンク色を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

確かにイメージ的にはピンク色がしっくりくるのですが、実際猫の肉球を見てみると、猫の毛色に合わせて肉球の色も異なることが分かります。

猫の肉球はメラニン色素量が大きく関係していて、色素量によって色見が決定すると言われており、毛色が白い猫ほど肉球はピンク色に、毛色が黒い猫ほど黒くなるといった法則があるそうです。

猫の肉球は大きく分けると、以下のような色味に分類されます。

・ピンク色(乳白色)
・あずき色(グレー)
・黒色
・ミックス

肉球の色

白猫や茶トラといった色素の薄い猫は、乳白色のような淡いピンク色の肉球を持つ子が多く、白い毛の割合が多い三毛猫なども、キレイなピンク色をした肉球の子が多く存在するようです。

グレーのようなあずき色の肉球を持つ猫の毛色は、グレーの毛色をした猫種や、シャムなどの耳や手足だけにポイントがある猫種に多く見られます。

黒い肉球持つ猫はイメージ通りの黒猫や、キジトラやサバトラといった濃い毛色をした猫ほど肉球の色素も濃く出るようです。

そして白をベースとした被毛に別の毛色が混ざっている子は、肉球もまだら(ブチ)柄となり、唯一無二感のある肉球を持ち合わせています。

毛色によって肉球の色や模様もそれぞれですので、色々な毛色の猫の肉球を観察してみるのも面白いですよ!


猫の肉球のお手入れ

猫の足

肉球は猫の皮膚よりも厚く、年齢や環境によって柔らかさが変化していくといった不思議な特徴を持っています。

子猫の肉球はびっくりするほど柔らかいですし、凹凸の少ない室内で暮らしている家猫の肉球に比べ、外猫(野良猫など)は硬い場所や熱のあるコンクリート、凹凸の激しい地面に足底が触れるので、環境に順応して肉球も硬くなっていくそうです。

できることならすべての猫ちゃんが、柔らかい肉球を持てるような、優しい世界になってほしいものですよね。

「家猫のプルプルな肉球を維持したい!」「外猫の硬くなった肉球を柔らかくしたい!」といった場合には、どんなお手入れ方法が効果的なのでしょうか?

◆肉球クリーム

完全室内飼いの猫ちゃんであれば、自身でグルーミングをした際に肉球のお手入れも欠かさないので、これといった飼い主さんによるケアは必要ないとも言えるでしょう。

ただし、肉球のプルプル感を維持させたい場合や、乾燥によってひび割れが生じている場合などは、肉球専用のクリームを塗ってケアをしてあげてください。

ネット通販や量販店でも簡単に手に入りますし、日常的なケアは猫ちゃんとのスキンシップにも繋がるのでおすすめです。

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◆毛のカット

猫の手足の裏に存在する肉球ですが、その周囲には短い被毛が生えていますので、肉球をケアするついでに、被毛も一緒にカットしてあげましょう。

とくに長毛種の猫ちゃんは、肉球の間に生えてくる毛も長いので、グルーミングの際に煩わしさを感じる子も少なくありません。

被毛を放置したままにしておくと、肉球の役割である滑り止めやクッション効果を発揮できない上に、床の上などで歩いた際に滑りやすくなってしまうので注意が必要です。

愛猫に怪我をさせないため、そしてプニプニの肉球を維持する目的でも、日常的なケアは有効なので。定期的な被毛のカットを心掛けましょう。

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まとめ

猫の体で好きな部位を聞かれたときに、肉球と即答する方は多くいらっしゃると思います。

それぐらい猫の肉球には魅力が溢れ、唯一無二の部位として確立されているといっても過言ではありません。

見た目の可愛さ、柔らかい触り心地、香ばしいニオイと、どこをとっても欠点がないからこそ、日頃からお手入れをして美しい状態を保ってあげたいものですよね。

そして様々な役割を担っている肉球は、とても繊細で敏感な部分でもあるので、むやみやたらに触るようなことはせず、適度なスキンシップと正しいお手入れ方法を心掛け、可愛らしい肉球を守ってあげるようにしましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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