1.猫に最適な冬の室温は?
1-1.猫にとって最適な冬の室温
1-2.個体差や猫種による違いがある
1-3.温度差にも注意
1-4.寒い時に猫が見せるサイン
2.冬の室温を上げるための暖房器具
2-1.石油ストーブ
2-2.電気ストーブ
2-3.ガスファンヒーター
2-4.エアコン
2-5.こたつ
2-6.ホットカーペット
2-7.ペット用ヒーター
3.冬場は加湿も忘れずに
3-1.適した湿度
3-2.低湿度は猫も風邪の元に
3-3.静電気防止
3-4.水分補給も重要
4.まとめ
【掲載:2021.012.5 更新:2022.10.13】
猫に最適な冬の室温は?
猫は、もともと砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコを祖先とする動物です。このため、基本的には、暑さに強く、寒さには弱いとされています。
◆猫にとって最適な冬の室温
猫にとって適した室温には諸説あり、専門家によって見解が異なることもあります。そのため、適温とされる温度には幅がありますが、一般には18~26℃が適温と言われています。人が快適に感じる温度とほぼ重なるため、飼い主さんが寒く感じるときに暖房を使うようにするとよいでしょう。
これは、あくまで適した室温なので、エアコンなど温度設定のできる暖房器具を使う場合には、室温や猫の様子を確認しながら、適した設定温度を見つけるようにしてみてください。
◆個体差や猫種による違いがある
猫種、年齢、個体の体質によって、寒さに対する適応力は異なります。
一般に、日本猫やアメリカン・ショートヘア、アビシニアンなど短毛の猫種や、スフィンクスのような無毛の猫種は、寒さに弱いです。一方、寒い地方が原産のペルシャやペルシャ、サイベリアンなどの猫種は、寒さに適応していて寒さに強い傾向があります。
また、体が出来上がっていない子猫や、体温調節の能力が低下しているシニア猫、若くて運動量や筋肉量の多い猫では、それぞれ適した温度が異なります。運動量や筋肉量の多い子は比較的寒さに強いですが、子猫やシニア猫、痩せている子などは寒さに弱くなります。
特に子猫やシニア猫の場合、体力・免疫力ともに低いので、より細やかな温度管理をしてあげてください。室温の目安は、通常の快適な温度プラス2~3℃です。
◆温度差にも注意
10℃以上の温度差があると、体調を崩しやすくなります。
飼い主さんが留守の時や就寝する際に暖房を切ってしまうと、寒暖差が10℃を超えてしまうことも。
外出中は寒くなる夕方にスイッチが入るようにタイマーを使うなど、できるだけ温度変化が少なくなるような工夫をしてあげてください。
◆寒い時に猫が見せるサイン
・体を丸める
SNSなどで「アンモニャイト」と称されることもある丸くなった寝姿は、猫が寒いと感じているサインです。
これは、体を小さく丸めることで、逃げる熱を最小限に抑えるためと考えられます。
・毛布などに乗る・潜る
猫は、自分にとって快適な場所を見つける天才と言われています。
愛猫が毛布や布団に乗ったり潜り込んだりしているときは、寒さを感じていると考えてよいでしょう。
・暖かい場所に行きたがる
冬場は暖かい空気が溜まる高い場所や、日の当たる場所で寝ていることが多いです。これも、寒い時のサインです。
・飼い主さんの膝の上に乗りたがる
飼い主さんの膝の上に乗りたがったり寄り添ってきたり、あるいは夜、布団の中に入ってきたりすることが増えます。
また、多頭飼育の場合、猫同士でくっつきあい「猫団子」を作ることもありますね。
・毛を逆立てる
怒っているわけでもなく毛を逆立てているのも、寒い時のサインの一つです。
毛を逆立てることで毛と毛の間に空気を入れ、体の周りに空気の層を作って体温が逃げないようにしているのです。
・水をあまり飲まない
水を飲むと体が冷えるため、水を飲むことを嫌がります。このため、飲水量が暖かい時期より少なくなります。
冬の室温を上げるための暖房器具
いろいろな暖房器具がありますが、それぞれ特徴があり、メリット・デメリットが異なります。
ここでは、暖房器具ごとに、メリット・デメリットをご紹介していきます。
◆石油ストーブ
昔から活用されている暖房器具の一つです。室内全体を暖めるだけではなく、お湯を沸かしたり、調理をしたりできる点で、人が使うにはメリットの多い暖房器具です。また、燃料である灯油は、燃焼時に水蒸気を発生させるため、乾燥を防ぐ効果もあります。
しかし、猫がいる部屋で使う際には、デメリットが多くなります。
被毛に熱を遮断する役割があるため、猫は熱を感知することに対して鈍感です。ストーブの熱で被毛が焦げていることに気づかず、やけどを負う可能性があります。
また、換気をきちんと行わなければ、酸素不足から不完全燃焼となり、一酸化炭素が発生します。人間と同様に、猫にも一酸化炭素中毒になるリスクがあり、命に関わることもあります。
お湯を沸かすことができる分、猫が上に乗るだけのスペースがあります。大やけどを負うかもしれず、大変危険です。
◆電気ストーブ
火を使わないことから、一酸化炭素中毒の心配がなく、猫にも比較的安全な暖房器具と言えるでしょう。
強弱の切り替えができるほか、転倒すると切れるようになっているため、猫がぶつかるなどして倒れても安心です。また、商品によってはサーモスタットや大型のガードがついたものもあり、より安全に使うことができます。
近づきすぎると、被毛が焦げてしまったり、そこから低温やけどにつながったりするリスクがあるので注意も必要です。
◆ガスファンヒーター
近年、使用されることの多い暖房器具の一つです。石油ストーブに比べると、火事になる危険性は低いとされます。温度調節ができ、温風で部屋全体を暖められます。
燃料としてLPガスを使用するものは、一酸化炭素が大量に発生します。猫も息苦しくなりますし、換気が不十分な場合、一酸化炭素中毒の恐れもあります。都市ガスを燃料とするものであれば、一酸化炭素中毒は防止できますが、燃焼による空気の汚れは避けられません。
また、猫が近づきすぎると、被毛が焦げたり、被毛に引火して火事につながったりする危険性があります。
温風を室内に循環させるため、ホコリが舞いやすい点もデメリットと言えるでしょう。
◆エアコン
現在、一番普及している暖房器具と言ってもよいでしょう。
火を使わないためやけどや火事のリスクはなく、高いところに設置されていることから、猫が近づきすぎたり倒したりといった心配もありません。基本的には部屋全体を暖められる点や、細かく温度設定をできる点もメリットでしょう。
デメリットとしては、エアコンの温風を嫌う猫ちゃんも少なくないこと、暖かい空気は高いところに溜まりがちで、人より床に近い猫たちには寒い場合があることが挙げられます。また、一日中使うと電気代がかなり高くなるので、使用をためらう飼い主さんも少なくないでしょう。
暖かい空気と冷たい空気を循環させられるようにサーキュレーターと併用する、気温が下がってくる夕方頃にスイッチが入るようにタイマーをセットするなどすれば、これらのデメリットを軽減できます。
注意したいのが、最近増えている人感センサー搭載のタイプです。猫は体が小さいため感知されないことがあるので、留守番中に使う場合にはセンサーをオフにしておきましょう。
◆こたつ
昔ながらの暖房器具の一つで、部屋全体を暖めることはできませんが、入れば非常に暖まることができます。
猫は、狭くて暗い場所を好むので、こたつの中は非常に快適な空間となります。
しかし、人間用のコタツは猫にとっては温度が高すぎ、中に長くいると、低温やけどや脱水症状になるリスクが高いです。また、閉ざされているため、酸素不足になる場合もあります。
猫がこたつに入ってしまう場合には、空気がこもらないように、また猫が適宜出入りできるように、こたつ布団の一部を上げるなどしておきましょう。
◆ホットカーペット
広い面を暖めることができ、エアコンなどと併用して、室温を高くせずに暖を取ることができます。猫のための暖房には、面で暖める方がよいとも言われていて、ホットカーペットはその点でぴったりと言えるでしょう。
しかし、人用のホットカーペットを使用する場合、必然的に人と猫とで共用することになります。猫の適温に合わせると人にはあまり暖かくなく、人に合わせると猫には温度が高すぎます。猫は熱に対して鈍感なため、同じ姿勢で寝続けることも多く、低温やけどの恐れがあります。
◆ペット用ヒーター
ペット用に開発された暖房器具が販売されているので、活用することをおすすめします。
ペット用の器具は、温度設定が人用より低く、低温やけどや脱水症状のリスクが低いです。また、電気を使う器具につきもののコードを齧ってしまう子も少なくありませんが、ペット用であればカバーされているなど、齧りにくい構造になっているので安心です。
冬場は加湿も忘れずに
猫の寒さ対策には、室温だけでなく、適した湿度に保つことも大切です。
◆適した湿度
適した湿度は人と共通で、50~60%とされています。気温が10℃以上であれば、湿度が高いほど体感温度も高くなると言われているので、暖房器具で室温を上げるとともに加湿も行いましょう。
加湿器が便利ですが、ない場合には、洗濯物や濡れタオルを室内に干すことでも湿度を上げることができます。
ただし、湿度が高くなりすぎるとダニやカビが発生するので、適度な湿度を保つことが大切です。
◆低湿度は猫も風邪の元に
湿度が低いと、雑菌やウイルスが盛んに繁殖します。また、呼吸器の粘膜の乾燥は、ウイルスの侵入を容易にします。
いわゆる「猫風邪」は、ウイルス性の感染症です。加湿をして適度な湿度を保つことで、感染をかなり防ぐことができると言われています。
◆静電気防止
乾燥した冬に、静電気で不快な思いをした経験は誰にもあるでしょう。愛猫を撫でていてバチっと静電気が走り、驚くことも少なくありません。この時には、猫も驚いたり不快に感じたりしています。
飼い主さん、愛猫ともに不快な静電気を防止するためにも、加湿は大切です。
◆水分補給も重要
上述の通り、体が冷えるのを避けるため、寒いと飲水量が減少しがちです。水分不足は泌尿器の病気につながりやすく、また、乾燥からの脱水症状や暖め過ぎによる熱中症のリスクもあります。水分補給がしっかりできるような工夫をしてあげてください。
暖かい場所にも水皿を置く、様々な容器を用意する、ぬるま湯にする、毎日の食事にウェットフードを取り入れるなど、猫ちゃんが水分を補給しやすくなるようにしてあげましょう。
まとめ
猫にとっての冬の適温は、18~26℃と言われています。人が快適に感じる温度とほぼ重なるので、飼い主さんが寒いと感じたら暖房器具を使うようにするとよいでしょう。
ただし、寒さに対する適応力は猫種や年齢、個体差により異なります。温度設定は、愛猫の様子を見ながら調節してあげてください。
様々な暖房器具がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。ご家庭の事情や猫ちゃんの性格などから、適したものを選んでみてください。重視したいポイントは、安全性です。
また、水飲み場やトイレが寒いところにあると、飲水量が減って泌尿器系の病気になったり、トイレを我慢して膀胱炎になったりと健康を損なう恐れがあります。寒くなったら、水皿やトイレを暖かい場所に移したり数を増やしたりしてあげることも大切です。
猫は寒さに弱い傾向があるので、しっかりと寒さ対策をしてあげてくださいね。
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