猫の顔にある複数のひげはどんな役割があるの?

2022.03.20

猫の顔にある複数のひげはどんな役割があるの?

猫はどこをとって見ても可愛らしく、猫好きの方によって好きな部位が異なるのも面白いところですよね。 中でも猫のひげに興味を惹かれる方はとても多く、長くピンと張っているかと思えば、さまざまな方向に動くこともあり、見れば見るほどその魅力に惹かれてしまう方は多いと言われています。 どの猫ちゃんにも変わらず付いているひげとなりますが、このひげにはどんな役割があるのか、気になったことはありませんか? 被毛よりも長く、猫にとって邪魔そうに見えるひげではありますが、一体どのような役割を担っているのかを見ていきましょう。

猫のひげはどんな役割がある?

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猫の口元にまっすぐ伸びるひげは、猫のトレードマークのようでもあって、とても可愛らしいですよね。

しかし、グルーミングをしているときや食事をしているときなど、明らかに邪魔な位置にあるので、何の役割があってそこに存在しているのか、疑問に思ったことのある方も多いはずです。

私たち人間にもひげは存在しますが、ただ口元を守るだけとなる人間のひげとは異なり、猫のひげは重要な役割を担っています。

被毛と同じようにただ生えているだけのひげなのに、どんな役割があるというのでしょうか?

そして、猫のひげは口元だけでなく、顔の別の位置にも存在しているので、まずはその種類を細かくご紹介していきたいと思います。


猫のひげの種類

一見猫のひげは体毛と大差ないように感じますが、被毛とはまったく別の働きをしています。

口元で主張している長い部分だけが、ひげと思われがちですが、実は猫の顔には5種類ものひげが存在しているのをご存知でしょうか。

まだまだ未知な猫のひげではありますが、顔のどの部分にひげがあるのかをまずは見ていきましょう。

◆眉上毛

猫の顔をよく見てみると、何やら目の上に長い被毛が生えていることに気付きませんか?

実はこれも5種類のうちの1つであるひげとなり、その名称を「眉上毛(びじょうもう)」と呼びます。

人間の眉毛ほど多くは生えておらず、口元のひげほど多くはありませんが、こちらのひげも立派な役割を担っているので、数が少なかったとしても必要不可欠なひげであると言えるでしょう。

◆頬骨毛

口元のひげと同様に思われてしまいがちなのが、顔の奥に数本のみ存在する「頬骨毛(きょうこつもう)」です。

猫の5種類あるひげの中でも重要度は低めですが、猫ちゃんの個体や年齢によって頬骨毛が生えていない子もいるので、見つけられないからといって特に心配は要りません。

判断が難しいひげとなりますが、見つけられたときの喜びはひとしおなので、愛猫が眠っているときなどに確認してみてはいかがでしょうか。

◆上唇毛

猫のひげで一番のメインとなるのが、口元に生えている「上唇毛(じょうしんもう)」となります。

猫を語る上で欠かすことのできない上唇毛は、左右に約16本ずつ、合計で24本程度あるとも言われているようです。

目で見て分かる長いひげはもちろん、ぱっと見では分からないような小さいひげも混じっており、5種類あるひげの中でも重要度が高く、猫にとってなくてはならないひげと言えるでしょう。

◆下唇毛

猫のあご部分に生えているひげは、「下唇毛(かんしもう)」と呼ばれています。

被毛と混同して生えているので分かりづらく、ひげと見分けるのは困難ではありますが、短いながらも重要な役割を担っていますので、猫にとってなくてはならないひげと言えるのではないでしょうか。

猫ちゃんの中にはあごの被毛に混じって、長めの毛(ひげ)が生えている場合がありますので、頬骨毛と一緒に是非観察してみたいひげと言えますよね。

◆口角毛

口角から少し離れた部分に生えているひげを、その名の通り「口角毛(こうかくもう)」と呼んでいます。

猫ちゃんにもよりますが、1~2本程度しか生えていないひげとなるので、頬骨毛との見分けがつかないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、猫の顔にあるひげは5種類となりますが、実は前足の内側にも数本のひげが生えています。


猫のひげの役割

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体のさまざまな部分に生えている猫のひげは、それぞれの名称が分かったところで、今度は各々の役割が気になるところですよね。

猫のひげは別名で「触毛(しょくもう)」とも呼ばれ、根元には神経や血管が通っていることもあり、動かすことが可能です。

被毛とは異なりひげの根元は皮下に3倍も深く埋まっているので、神経や筋肉を通じてさまざまな情報を読み取ることができるとも言われています。

人間は視覚で情報を得る動物ですが、視力の低い猫は視覚で色々な情報を得られない代わりに、体のさまざまな部位を駆使して情報を収集しているのです。

一見お飾りのような可愛らしいひげではありますが、絶対的な役割があるからこそ、猫は神秘的でミステリアスな部分が多く、その魅力に夢中になってしまう人々が居ることにも納得です。

◆平衡感覚を保つ

ひげの役割としてもっとも重要なのが、視力の弱さを補って平衡感覚を保つこととなります。

バランス感覚に優れた猫ですが、その感覚にひげが一役買ってたかと思うと、なんとも不思議な感じがしますよね。

ひげがないとまっすぐ立ったり歩いたりすることができなくなってしまいますので、どれだけ重要な役割を担っているかが一目瞭然です。

暗闇といった場所でも猫が活発に行動できるのは、猫の独特な目の構造だけでなく、ひげから得られる情報量も強く関係していると言えるでしょう。

もっともポピュラーなひげである上唇毛が、特に平衡感覚を保つための役割を担っているので、無意味に触ったり引っ張ったりするのは止めてあげてくださいね。

◆通れる場所かどうかを測る

猫の顔に丸く円を描くように生えているひげは、その長さが体の幅と比例しているので、狭い場所を通るときなどはひげを物差しのように利用し、安全に通過ができるかを測ります。

ひげの先端が触れれば瞬時に危険を察知できるので、ひげは障害物を避けるセンサーのような働きをしていることにも驚きですよね。

こちらも上唇毛が大活躍しますが、下唇毛や口角毛も同じ働きをするので、猫にとってなくてはならないひげと言えるでしょう。

またこれらのひげは障害物のセンサー以外にも、視力や聴力では判断が難しい空気の振動さえも、しっかりと察知ができると言われています。

この働きによって獲物を狩ったあとに生死の判断をすることや、温度の変化や風向きさえもキャッチできるので、いかにひげが猫にとって重要な器官であるかがうかがえますよね。

◆目を守る

目の上に生えている眉上毛も、視力の低い猫にとっては重要な役割を持ちますが、基本的には目を守る働きをしてくれます。

猫は動体視力が優れてはいますが、動かないものに対しては判断が難しく、目の前にあったとしても見えていないことがほとんどです。

すぐ目の前に障害物があっても突き進んでしまえば、最悪の場合視力を失うような事故やケガをしてしまう可能性がありますよね。

そのため眉上毛に何かが触れた際には、ひげの根元がまぶたの反射弓(神経経路)を刺激し、猫は反射的に目を閉じるようになります。

この一連の流れがひげによって自然に行われていること自体、やはり神秘的に感じてしまいますし、猫の存在は奇跡とも言えるほど、人間に新しい発見をもたらせてくれることに喜びを感じずにはいられません。

◆感情を表現する

感覚毛とも呼ばれることのある猫のひげは、自身の感情を表現する上でも役立ちます。

神経や筋肉とも繋がっているので、落ち着いているときはひげを広げず折りたたむように後退させますが、怒ったり興奮したりしているときは、外側に向けてひげを付き出すように広げます。

猫自身が命令を出してひげを動かしているわけではありませんが、猫のひげがピクピクと動いているときは、何かしらの情報をキャッチしている証拠です。

これらのことを踏まえた上でひげを観察してみると、今まで気付かなかった視点で観察ができますので、今後猫を見る機会があるときには、この神秘的なひげに注目してみるのもおすすめです。


猫のひげは切っても良いの?

猫のひげは被毛と異なり、産まれた瞬間から備わっている重要な器官となりますので、邪魔そうに見える場合であっても、絶対に手を加えて切ってはいけません。

ひげの先が汚れたり縮れたりしていた場合でも、トリミング的な感覚で切るようなことは止めておきましょう。

前述している通り猫にとってひげは、視力を補うための重要な器官となりますし、感覚毛を切られることによって平衡感覚が掴めなくなり、精神的に病んでしまうことが想定できます。

自然に抜け落ちる分には問題ありませんので、猫に対してひげを切ることや引っ張って抜くなどの行為は、絶対にしないように心掛けておくようにしてください。

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まとめ

猫のひげについて知れば知るほど、その神秘的な役割に感銘を受けますよね。

ぱっと見では被毛が長くて硬く進化した、猫を可愛く見せるためのお飾り的な存在に見えますが、視力を補って平衡感覚を保つための器官であるということに脱帽です。

このような重要な役割を担っているひげだからこそ、もし家の中で愛猫のひげを見つけたときには、大切にお守りとして持ち歩く人々が居ることにも納得です。

生え変わりの季節にはひげを大量にゲットできるチャンスとなりますので、部屋の中をくまなく探して、愛猫の愛しいひげを手に入れてみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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