1.猫が油を舐めてしまった!これって大丈夫?
1-1.少量の油であれば問題ない
1-2.お皿に残った油などは舐めさせない
1-3.少量であれば便秘解消などの効果も
1-4.「化け猫は油を舐める」って本当?
1-5.大量に与えてはいけない
2.猫が舐めても問題ない油
2-1.サラダ油
2-2.エゴマ油
2-3.オリーブオイル
2-4.バター
3.猫に油を与えるリスク
3-1.おなかを壊すことも
3-2.肥満につながる可能性
3-3.猫には危険な油もある
4.猫が油に興味を持たないような工夫を
5.まとめ
猫が油を舐めてしまった!これって大丈夫?
◆少量の油であれば問題ない
猫がサラダ油やオリーブオイルなどをうっかり舐めてしまったことはありませんか。
ちょっと心配ですが、少量であれば大きな問題はないと思われます。
一般的に、飼い猫に主食として与える「総合栄養食」のキャットフードの中にも、油(脂質)が適量含まれています。キャットフードのパッケージを注意深く見ると、原材料として「魚油」や「大豆油」や「鶏脂」といった表示がされている場合があります(ご自宅のキャットフードをチェックしてみて下さい)。
肉食動物である猫は、犬や人間よりも多くの割合の「タンパク質」や「脂質」を必要とします。油(脂質)も猫にとって大切な栄養素の一つであることは、間違いありません。
ただし、総合栄養食のキャットフードを与えているにもかかわらず、それとは別にわざわざ油を与えてしまうと、せっかくの栄養バランスが崩れてしまい、肥満や病気の原因になってしまいます。脂質の過剰摂取には、くれぐれも注意しましょう
◆お皿に残った油などは舐めさせない
猫の体に良くない食材などが含まれているかもしれないため、人間の食事に使ったお皿やフライパンなどの調理器具に残っている油を舐めさせてはいけません。その中には、猫に有害な物質が含まれている可能性があります。
例えば、以下のような食品です。(※猫に与えてはいけない食材は、他にもあります。)
- 長ねぎ、玉ねぎ、にら…猫の赤血球を破壊し、貧血や血尿を引き起こす恐れがあります。
- 生のエビ、イカ、貝類…中毒症状を起こす恐れがあります
- 加工肉…塩分を多く含んでおり、腎臓に負担をかける恐れがあります。
人間にとっては「ほんの少し」と感じる量であったとしても、猫にとっては大きな影響があります。食べ終わった食器は、すぐに下げることを心掛けたいですね。
◆少量であれば便秘解消などの効果も
近年、ペットの健康に対する意識の高まりとともに、様々なサプリメントが市販されています。その中には、植物から抽出したオイルで作ったサプリメントもあります。被毛、関節、血管などの健康維持に効果があるとされているようです。
また、猫にオリーブオイルを少量与えると、便秘解消効果があるとも言われています。
ただし、便が出ていないからといって、すぐに油を与えて良いというわけではありません。
その症状が、単なる便秘なのかどうかは、専門家でなければ判断できないからです。何か、他の病気の前兆である可能性もあります。
健康増進のためにサプリメントやオリーブオイルを与える際には、自己判断せず、獣医師に相談の上で適量を与えるのが安心です。
◆「化け猫は油を舐める」って本当?
「化け猫は油を舐める」という言葉を聞いたことがありますか。その昔、猫が行灯の油を舐める様子が、「化け猫」のように見えたことから、このような言い伝えが生まれたそうです。
昔は、現代のような「キャットフード」などはもちろん存在せず、人間の食事の食べ残しを食べていたと考えられます。当時の日本の食事は、米などを中心とした脂肪分の少ない食生活でした。動物性脂肪、タンパク質、ビタミンは不足しており、肉食動物の猫にとっては、とても満足な食事とは言えませんでした。
当時は、もちろん電気などはなく、夜間の室内の照明器具は「行灯」(あんどん)が広く用いられていました。その燃料には、菜種油や、より安価な鰯(いわし)油が使われていたそうです。そこで猫は、動物性脂肪と魚のにおいを求めて、行灯の油を舐めるようになったとのでは言われています。
栄養の豊富なキャットフードがあり、各家庭に電気の通っている現代の猫では、まず考えられないことですね。
◆大量に与えてはいけない
油を大量に舐めてしまった(または、飲んでしまった、かぶってしまった)と言う場合は、嘔吐や下痢などの体調不良を起こす可能性があります。すぐに症状が出ていなかったとしても、安全のために動物病院を受診した方がよいでしょう。
そのような事態にならないためには、油を猫の手の届くところに置かないよう、普段から飼い主さんがしっかり管理することが望ましいですね。
猫が舐めても問題ない油
もし猫が油を舐めてしまっても、少量であれば大きな問題はないと思われます。以下は、それぞれの油の種類ごとの一般的な説明です。
人間が日常的に摂取していたり、健康増進効果がうたわれている油でも、猫にとっては思わぬ悪影響をもたらす場合もあります。人間と猫では、体の仕組みや必要な栄養素が異なることを、しっかり理解することが大切です。
◆サラダ油
精製された植物油のことです。名前の由来は、1920年代に、サラダなどの非加熱料理でも使える油を「サラダ油」と名付けて販売したのが一般化したとされています。原料は、サフラワー(ベニバナ)、ぶどう、大豆、ひまわり、とうもろこし、綿実、ごま、菜種、米に限定されています。揚げ物やドレッシングなど、調理用として一般的に広く使われています。
◆エゴマ油
「荏胡麻(エゴマ)」から作られる油です。その名前から「ゴマ」の仲間と思われがちですが、しその仲間です。いわゆる「ごま油」とは別物です。サバやイワシなどの青魚に多く含まれているオメガ3系脂肪酸「α-リノレン酸」(不飽和脂肪酸)を豊富に含み、動脈硬化の予防や血圧を下げる作用があることから、近年「健康オイル」として注目されています。
◆オリーブオイル
オリーブの果実から作られる油です。ギリシャ、イタリア、スペインなどの地中海地方で多く使われています。「オレイン酸」(不飽和脂肪酸)を豊富に含み、血液中のコレステロール値を下げる作用があることから、「健康オイル」として注目されています。
◆バター
牛乳から分離したクリームを固めた製品です。パンに塗ったり、お菓子の材料などに使われることが多いです。主成分は乳脂肪分です。
猫に油を与えるリスク
◆おなかを壊すことも
適量の油は、便秘の解消になることもありますが、一方でおなかを壊す原因になります。
また、不飽和脂肪酸の取りすぎにより、黄色脂肪症(皮下脂肪や内臓脂肪に炎症が起き、発熱などが現れる病気)を引き起こす恐れがあります。ちなみに、猫にサンマやイワシなどの青魚を与えすぎてはいけないのも、これと同じ理由です。
◆肥満につながる可能性
油の主な成分は脂質です。繰り返しになりますが、総合栄養食のキャットフードにも必要量の脂質は含まれています。その上で、さらに油を与えると、脂質が過剰になってしまい、肥満に繋がる可能性があります。日常的に舐める習慣は付けさせない方がよいでしょう。
◆猫には危険な油もある
・精油(エッセンシャルオイル)
アロマテラピーなどに用いられる精油(エッセンシャルオイル)は、植物由来の成分を高濃度に濃縮したものです。人間にとっては、大いにリラックス効果をもたらしてくれるものですが、猫の肝臓には、この成分を分解する機能がないため、中毒を起こす恐れがあります。
エッセンシャルオイルを摂取して、猫が死亡したという報告もあり、大変危険です。必ず、猫の手の届かない場所に保管しましょう。また、猫が出入りする可能性のあるお部屋の中でアロマを焚くのは控えた方がよいでしょう。
猫が油に興味を持たないような工夫を
飼い主さんが気を付けていても、少し目を離したすきに、猫が油を口にしてしまう可能性や、容器を倒してしまう可能性はゼロではありません。できるだけ、猫が興味を持たなくなるように工夫しましょう。
<例>
- 料理に使う油は、普段から、猫の見えないところに保管しておく。
- 人間の食べ物を欲しがらないように、猫の食事を先に与える。
- 食べ終わったお皿や使い終わった調理器具は、すぐに洗う。
まとめ
猫がサラダ油やオリーブオイルを舐めてしまっても、少量であれば、おそらく大丈夫です。
しかし、大量に舐めてしまった場合や、体調不良を起こした場合は、すぐに病院に連れて行った方がよいでしょう。
普段から、油を猫の手の届かない安全な場所に保管するのがおすすめです。人間が食事をした後のお皿に残った油には、ネギ類などの猫にとって有害な物質が含まれている可能性がありますので、舐めさせないように注意しましょう。
猫の便秘解消のためには、少量の油を舐めさせるのが良いという情報もありますが、自己判断ではなく、事前に獣医師に相談してからの方が安心です。脂質の過剰摂取は、肥満や体調不良の原因になりますので、油を習慣的に与えることは避けましょう。アロマテラピーなどに用いるエッセンシャルオイルは、猫には危険ですので、絶対に近づけないようにしましょう。
この記事を大切な猫の健康と安全のために役立てていただければ幸いです。
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