1.猫の「社会化期」とは
2.猫の社会化期はいつ?
2-1.猫の社会化期は犬に比べて早い
2-2.社会化期を過ぎても人に馴れないわけではない
3.猫の社会化期にはどんなことをすればいい?
3-1.猫同士の触れ合いをさせる
3-2.人との触れ合いをする
3-3.お手入れに慣らす
4.社会化期を過ぎた猫の場合は
4-1.根気よく少しずつを心掛ける
5.まとめ
猫の「社会化期」とは
猫と暮らしている方にとっては、あまり馴染みのない「社会化期」という言葉ではありますが、犬と暮らしている方であれば、一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
社会化期とは生後間もない期間に、同種の動物や人間を含めたほかの動物、無機物などの相互的な関与により、価値観や規範といったルールを覚えていく期間となります。
人間よりも歳をとるペースの早い猫は社会化期がとても短いため、その期間に十分な経験ができなければ臆病な性格となり、他者との繋がりを持ちにくくなりますが、元々単独行動をする猫にとって社会化する必要はないとも言えますよね。
しかし、人間と共存しながら生活することを選んできた猫にとって、生きるためにはある程度の社交性は必要になりますし、人間と暮らす上でも社会化期に十分な経験をしていないとなれば、心を開けず窮屈な思いをして、極度のストレスを抱えてしまうことでしょう。
最近では保護猫活動が盛んになってきてはいますが、社会化期に十分な社会のルールを覚えられなかった猫のほとんどは、なかなか人に懐かず譲渡に時間がかかってしまうことも事実です。
それぐらい猫の人生(ニャン生)にとって、社会化期は重要となるため、感性の発達する大切な期間を充実させてあげるべきではないでしょうか。
猫の社会化期はいつ?
感情を持つ動物にとって重要性の高い社会化期ではありますが、生後間もなくといっても、どれぐらいの時期が重要なのかを知らない方も多いことでしょう。
猫の社会化期は、いつからいつまでの期間を指すのでしょうか?
◆猫の社会化期は犬に比べて早い
犬の社会化期は生後1~3ヶ月(3~12週齢)頃の期間と言われていますが、猫の場合は犬よりも早く、生後2~9週齢頃の期間がもっとも社会化に適した時期と言われています。
猫も犬も生後1年ほどで、人間の年齢に換算すると20歳前後となるため、大人の仲間入りをする前に、ある程度の社会ルールやコミュニケーション力を高めなくてはいけません。
社会化期は感受期と呼ばれることがある通り、物事を感じ取る能力が長けている期間となるため、できることなら今後のニャン生に必要な情報を、大切な時期にたくさん吸収してほしいと願う飼い主さんも多いはずです。
そのため、ペットショップやブリーダーで子猫を販売する際には、出生後56日を経過していない子猫の販売や展示が、動物愛護法により禁止されています。
出生後目が開き始める2週前後の子猫は、無条件でかわいいですし、生後8週前後の子猫も行動が活発でとてもかわいらしいため、譲渡に適した期間に思われがちですが、猫に必要な社会化期の必要性を改めて考え、猫が猫らしく生きやすいようにしてあげることも、人間の責任と言えるのではないでしょうか。
◆社会化期を過ぎても人に馴れないわけではない
社会化期に適した期間は短く、生後間もなくの早い時期となりますが、その期間を過ぎたからといって、猫がまったく社会性を身に着けないというわけではありません。
適正時期に意識してあげることこそが望ましいと言えますが、その時期を多少過ぎてからでも、学習能力の高い猫はさまざまなことを柔軟に覚えていくことでしょう。
もちろんある程度の価値観が定着する生後半年以上の猫であれば、年齢を重ねれば重ねるほど柔軟性がなくなっていくことも確かなため、人間に慣れてもらうためには早いうちからに越したことはありません。
社会化期を柔軟に過ごせなかった成猫であっても、適度に距離を取りつつコミュニケーションを図ることは可能となりますので、諦めずに猫との関わりを持つ努力をしてあげてください。
猫の社会化期にはどんなことをすればいい?
猫の社会化期がいつ頃なのかを理解したのであれば、私たち人間はどんなことを猫に教えてあげるべきか、という点も気になるところですよね。
言葉の通じない動物同士ではありますが、下記のような経験が性格形成の上で重要となってきます。
◆猫同士の触れ合いをさせる
社会化期には視力が発達してさまざまなものを目にするだけでなく、猫の反射神経や運動能力にも重要となる聴力や嗅覚も活発に働きだします。
すべての物事が初めての対象となりますし、目に映るものすべてが興味の対象となるため、何が安全で何が危険なのかを、身をもって感じることも大切となりますよね。
そして猫は自分の容姿を鏡で見ることはできませんが、身体の色々な機能を使って、食事や排泄、グルーミングなどを覚えていかなくてはいけません。
母猫や兄弟猫と一緒に暮らしている子猫の場合は、社会化期と離乳期の期間が被ることからも、ほかの猫と触れ合い、ほかの猫を見ながら色々と学んでいきます。
前足の使い方や噛む力加減などを猫同士の触れ合いから学び、コミュニケーションの必要性を学んでいくことで、柔軟で問題行動を起こしにくい性格の形成が可能となります。
また、血のつながりがない先住猫や犬などといった、ほかの動物と触れ合うきっかけがあるようであれば、対面をさせる前に必ず動物病院でワクチン接種を済ませ、安全な状態での接触を心掛けてください。
血のつながりのない相手にも柔軟に接することにより、攻撃性が低く社交的な猫へと育ってくれることでしょう。
◆人との触れ合いをする
社会化期には一人の人間よりも、多くの人間と接することにより、社会性の高い猫に成長すると言われています。
自分より何十倍も大きな人間に対して恐怖心を覚えなければ、生涯に渡って友好な関係が築けますし、人間の言葉や気持ちをしっかりと理解し、同じ空間での共存に対して、お互いがストレスを抱えないような生活を送れるのではないでしょうか。
ただし、単純に不特定多数の人(友人や知人など)を子猫に会わせるという意味ではなく、猫が苦手な人や扱いが雑な人、とくに猫の扱いを知らない小さな子どもには注意が必要です。
社会化期の子猫が人と触れ合い、乱暴な扱いを受けて痛い思いや嫌な思いをすれば、人との触れ合いがマイナスな印象として記憶に残り、人間を避けるようになってしまう可能性もありますよね。
また、社会化期は成長期でもあり、身体のつくりが不完全なので、少しの衝撃でケガをしたり臓器を傷付けたりする危険性も高いため、人に会わせる際には猫の扱いがしっかりと分かっているといった、基本的な情報を把握している方に限定して触れ合うことを心掛けてください。
◆お手入れに慣らす
他者に馴らすことも大切ですが、触れ合うということは、生涯においてとても大切なコミュニケーションとなります。
猫は自分でグルーミングを行うキレイ好きな動物でありますが、ケガや病気の際には自身でお手入れができなくなりますし、飼い主さんが愛猫のかわりにケアをする必要がありますよね。
また、爪切りや耳掃除といった、自身では難しいお手入れも、飼い主さんが行う必要があるため、日ごろから定期的にコミュニケーションの一環としてお手入れをするようにし、触れ合うことに慣れさせてあげましょう。
社会化期を過ぎた猫の場合は
飼い主さんなりに愛猫の社会化期に十分なコミュニケーションを図ったとしても、すべての猫ちゃんが飼い主さんの理想通りに成長するわけではありません。
猫にもそれぞれ個性がありますし、親猫から受け継いだ遺伝や性格もある程度関係してくるため、その個性を活かしてあげることも飼い主さんの役目と言えますよね。
そして、社会化期を過ぎた猫であっても性格形成を諦める必要はなく、猫と真剣に向き合うことにより、ある程度の社会性を持たせることは可能です。
社会化期を過ぎた猫ちゃんに対して、飼い主さんはどのように接してあげれば良いのでしょうか?
◆根気よく少しずつを心掛ける
猫は環境によって性格が変わっていくため、ストレスの少ない生活環境であれば、十分に猫と人間が共存しながら生きていくことができます。
大切なことは強要せず、愛猫のペースに合わせて、少しずつ色々なことを覚えてもらうように心掛けてあげてください。
無理強いをすれば飼い主さんに対しても強い警戒心を持ちますし、何をしても気持ちが伝わらず、そんな関係性にやきもきしてしまう可能性も否めませんよね。
まずは愛猫の現在の性格を尊重し、コミュニケーションが苦手であれば、猫の頭数を増やしたりほかの動物を受け入れたりはせず、来客時には別の部屋に隔離して、無駄なストレスを与えないなどの配慮を心掛けましょう。
そのような行動を繰り返すことにより、猫自身も飼い主さんの気持ちを徐々に理解してくれるはずですので、根気よく少しずつを意識して社会性を身に着けてあげてください。
まとめ
どんな性格の猫ちゃんであっても、その性格がその子の個性となるため、唯一無二のかわいさがありますよね。
そんな中でも飼い主さんが猫の社会化期の重要性を理解しておけば、その時期にどんな体験をするかによって、協調性の高い性格に近づけることが可能となるのです。
社会化期を過ぎた猫はどんどん警戒心も強くなり、人にも慣れにくくなることからも、充実した社会化期を過ごすことこそが、生涯に渡って良好な関係を築けるとも言えるのではないでしょうか。
もし社会化期を一緒に過ごせる猫を迎い入れたのであれば、その大事な時期を無駄にするようなことはせず、1日1日を大切にしながら安全で安心できる環境を整えてあげるようにしましょう。
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