猫の目はなぜ暗闇で光るの?構造や視力についても知りたい!

2023.11.15

猫の目はなぜ暗闇で光るの?構造や視力についても知りたい!

猫の身体には魅力的な部分が多く、じっと見ているだけでもその造形美に惚れ惚れしてしまいますよね。 その中でも猫の目はビー玉のように透き通っていて美しく、暗闇で光るといった特徴を持っており、吸い込まれそうな瞳に心奪われてしまう方も多いのではないでしょうか。 このように印象的な目を持つ猫ではありますが、なぜ暗い場所で光るのか、どのような構造をしていてどんな特徴があるのかなどを見ていきましょう。

猫の目が光るのはなぜ?

目が光っている猫

夜の街中で野良猫に出会ったときや、スマートフォンなどで猫の写真を撮ったときなどに、目がキラリと光っていて驚いたことはありませんか?

夜に行動をする性質を持った多くの動物にとって、暗い場所でも目が光ることはとても大事で、暗闇でも安全に行動をするためには必要不可欠な機能となります。

猫の目が暗闇でも光って見えるのは、網膜の裏にある「タペタム(輝板)」と呼ばれる層の存在が大きいようです。

このタペタムに光が反射することによって、猫の目は暗闇でも光るようになるといった仕組みとなります。

◆猫の目の構造

猫の目全体図

猫の目は人間の目の構造とよく似ており、働き方にも大きな違いはありません。

しかし、人間にはない機能などを猫の目は多く持っていますが、まず挙げられるのが猫の目には白目がないという点です。

瞳孔の周りに色づいている部分を虹彩(こうさい)と呼びますが、子猫のときはメラニン色素が少ないことから色が青く、成長して色素が多くなってくると黄色や緑色などへと変化していきます。

猫は下まつげがが無いかわりに、瞬膜(しゅんまく)と呼ばれる第三のまぶたがあり、瞬膜の色が白いために白目と勘違いする方も多いですが、目に異物が入ることを防ぎ、涙を目の表面に行き渡らせる役割を担っているようです。

◆タペタムの役割

目の構造

暗い場所で目がキラリと光る特性を持つ動物に備わっているタペタムは、人間にはない細胞層となり、わずかな光を反射させて視神経に届けるといった働きをします。

人間の目は眼球の硬い壁となる網膜と強膜の間に、脈絡膜(みゃくらくまく)という層が存在し、脈絡膜を透過することによって光を吸収するのに対し、猫の場合は網膜と脈絡膜の間にタペタムが存在するため、網膜を透過した光をタペタムで反射させ、取り込んだ光を網膜に戻します。

タペタムがこのような働きをすることによって、わずかな光量であってもその量を2倍にし、暗い場所でも目の働きを失うことがありません。

◆光が強く反射する条件

猫の目に備わっているタペタムは、光を反射させることによって光の量を2倍にしますが、そのような働きのほかにも、猫の網膜にはグアニンと呼ばれる物質がたくさん含まれています。

この物質がタペタムを構成しつつキラキラと光るため、少しの光でも増幅されて強い光となっているようです。

◆明るい場所でも目が光ったように見える時

タペタムの反射により暗闇でも光って見える猫の目ですが、明るい場所でも猫の目が光ったように見える場合は、どのような現象が起きているのかも気になるところです。

基本的に光の量が多い昼間や明るい場所では、すべての光を取り込んでしまうと目を傷つけてしまうため、瞳孔を狭めて調節をしますが、明るい場所でも瞳孔が開き、光っているようであれば、目の病気などを患っている可能性も否めません。

猫の眼球は大きなカーブを描いているため、異物の混入や衝撃などで傷がつきやすくなっています。

目の表面に何かしらのダメージを負った際に、瞳孔の調節ができなくなったり眼圧が高くなったりすれば、明るい場所であっても目が光っているように見えるため、数日経っても回復の兆しが見られない場合には、動物病院を受診するようにしてください。

また、猫風邪を患った際に結膜炎を併発するケースは多いですが、この病気が引き金となって眼圧が一時的に変化している場合や、瞳孔を開閉する散大筋と括約筋の働きが鈍くなった場合にも、目の奥が光って見えることがあるようです。


人間と猫の視力の違い

細かい違いはあれど構造が似ている人間と猫の目ではありますが、視力や見え方にはどのような違いがあるのかをご存じでしょうか。

猫の視界や視野を知ることにより、普段猫がどのような世界を見ているのかを理解できるため、双方の違いを簡単にご紹介していきたいと思います。

●人間の視力

私たち人間の視力は人それぞれではありますが、片目で1億個以上ある視細胞が光の刺激を信号として変換し、脳に映像を伝えて物質を捉えるようになっています。

視細胞には錐体(すいたい)と桿体(かんたい)と呼ばれる2種類の細胞があり、錐体細胞が明るい場所での色を認識しますが、暗闇ではその働きが低下するため、桿体細胞がその働きを補い、色の区別ができないかわりにわずかな光を感知して、暗い場所でも物の形を捉えてくれるようです。

●猫の視力

取り込んだ光を2倍にできるといった特徴を持つ猫ではありますが、大きな目でどんな世界を見ているのかも気になるところですよね。

猫は視細胞が人間の6~8倍ほどあると言われており、そのことから7分の1程度の光量であれば、物を見ることが可能となるようです。

しかし、視力は人間の10分の1程度しかなく、視界のほとんどはぼやけている状態となりますが、動く物を認識する動体視力が長けており、視力の弱さをしっかりとカバーしています。

そして色彩を見分ける視細胞も人間の6分の1程度しかないため、私たちのように色づいた世界が見えているわけではありません。

猫が認識できる色は青や緑、それらの混合色のみとなりますが、猫が生きる上で色彩感覚は必要性が低いため、進化の過程で発達しなかったと考えられています。


夜行性の猫ならではの特徴とは

猫の目

猫は正確に言うと夜行性動物ではなく、「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」に分類されますが、明け方や日没直後の薄暗い時間帯に活動が活発となるため、基本的には夜にまとまった睡眠をとるのではなく、分散させて寝たり起きたりを繰り返しています。

もちろん現代を生きるイエネコたちは、飼い主さんの生活のリズムに合わせて暮らしているため、飼い主さんの眠る夜の時間帯には熟睡し、飼い主さんに構ってもらえる明るい時間帯には活発になる子も少なくありません。

猫の祖先は自ら狩りをして生活をしていましたが、薄明薄暮性となったのは餌となる小動物などが、その時間帯には目が利かなくなって動きが鈍くなることが大きく関係しています。

また、視力が低くても暗い時間帯に行動ができるのは、以下のような特徴の影響が考えられているようです。

◆目の大きさ

猫の目は顔のサイズに対して大きな目を持っていますが、この大きな目も暗闇では必要不可欠といった働きをしています。

目が大きい分瞳孔のサイズも大きくなりますが、その分取り込める光の量も増えるため、暗い環境でも効率良く光を吸収し、行動することが可能となるようです。
 
そして人間よりも視野が広いため、動く物を広範囲で捉えることができます。

身体が小さくてもさまざまな機能や身体能力を持っているため、視力の低さは猫にとって何の問題もないと言えるでしょう。

◆瞳孔の大きさ

猫の目の特徴として、瞳孔の大きさにも注目しなくてはいけません。

猫の瞳孔は縦長のアーモンドのような形をしていて、明るい場所では縦に細長くなり、暗い場所ではまん丸に大きく変化しますが、この瞳孔はカメラに例えると「絞り(F値)」のような役割を果たしています。

絞りとはレンズから入ってくる光を調節する機能となり、大きく開けば光を取り込む量も増えて明るくなりますし、小さく絞れば光を取り込む量は少なくなって暗くなるといった仕組みです。

猫は行動をする際にしっかりと光量(明るさ)を感知し、それに合わせて瞳孔を変化させています。

この機能は明るさだけでなく、対象物をより鮮明に捉えるためにも使われるようです。

たとえば、虫などを見つけたときや、猫じゃらしなどのおもちゃで遊んでいるときには、興奮して明るい場所でも瞳孔が大きくなりますよね。

これは光を多く取り込むことにより、獲物をピンポイントで捉えられるようになるため、それだけ夢中になっている証拠です。


まとめ

コロコロと表情を変える猫の目はとてもかわいらしく、ずっと見ていたとしても飽きませんよね。

そして明るい場所や暗い場所で行動をするためにも、瞳孔から取り込む光の量を計算しながら猫は生活しています。

猫の表情や行動を見ていると、とても視力が低いようには見えませんが、猫の見ている世界には色が少なく、ぼやっとしたような景色であることに、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

しかし、それらの視力を補えるほど、猫の目の機能は充実していますし、優れた動体視力を持っているからこそ俊敏な動きも可能となるため、猫の目から見える世界がどんな景色なのか興味が沸きますよね。

光に敏感であることは確実なので、私たちが過ごしやすい環境であっても、猫はストレスを抱えている可能性が高いため、薄暗くて落ち着けるような場所に寝床は設置し、極力ストレスを与えないような環境づくりを心掛けていきましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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