1.猫のエコー検査とは
1-1.エコー検査でどんなことがわかる?
1-2.エコー検査の種類
1-3.エコー検査が必要なとき
2.エコー検査のメリット・デメリット
2-1.エコー検査のメリット
2-2.エコー検査のデメリット
3.猫のエコー検査の流れ
4.エコー検査の注意点
4-1.すべての病気がわかるわけではない
4-2.性格によって実施ができない場合がある
4-3.一部毛を剃って実施する場合がある
4-3.絶食しないといけない場合がある
5.エコー検査を受ける頻度
5-1.若い猫
5-2.シニア猫
5-3.疾患を持っている猫
6.まとめ
猫のエコー検査とは
まずは「エコー検査とは」について解説していきます。
どのようにして検査しているのか、検査で調べられること、検査が必要なときについてみていきましょう。
◆エコー検査でどんなことがわかる?
エコー検査(超音波検査)は、人の耳に聞こえない高周波数の超音波を発信して返ってくる反射波を受診しそれを画像化して映し出すという仕組みになっています。
プローブと呼ばれる機械を、お腹などの観察したい部分にあてることで猫の臓器の大きさや形、動きなどを確認することができます。
特に、動いているものをリアルタイムで観察できるという特徴があることから、心臓の観察に優れている検査です。
さらに血液の流れを見ることができるので、狭窄症や各種心筋症などの心臓の病気や、血管の病気を調べるときにも重宝されます。
心疾患だけでなく、肝腫瘍や胆石症などの肝疾患、消化器の炎症や腸閉塞などの消化器疾患など、使用される場面や観察できる臓器はさまざまです。
腫瘍や炎症、結石の有無、その他さまざまな異変を検査します。
必要に応じて、血液検査や病理検査などをあわせて検査していきます。
◆エコー検査の種類
エコー検査には大きく分けて、胸部エコー検査と腹部エコー検査の2種類があります。
・胸部エコー検査
心臓の動きや心筋壁の厚さ、胸水の有無、心臓病などの確認
血流の異変や速度なども調べられ、また肺水腫のような緊急性のある疾患の迅速な病態判断にも使用されます。
・腹部エコー検査
腹腔内臓器の形や動き、そして腫瘍、結石、腹水の有無などの確認
注意が必要なのは、腹部エコー検査は未消化の食べたものが邪魔をして検査したい部分が見えず、検査できない場合があることです。
そのため腹部検査の場合は、絶食が必要なことがあります。
エコー検査ののちに病理検査を行う場合、検体を検査機関で調べます。
検査部位などによってかかる日数は異なります。
◆エコー検査が必要なとき
先ほどご紹介したような疾患が疑われるときにエコー検査を行いますが、それ以外にも健康診断などで使用します。
定期的に検査をすることで、気づいていなかった病気の早期発見・早期治療につながります。
健康診断ではエコー検査以外にも、多くの場合血液検査や尿検査など他の検査をあわせて行います。
猫は弱みを隠そうとする生き物なので、定期的に健康診断を行うことは猫ちゃんの健康維持と飼い主さんの安心にもつながります。
エコー検査のメリット・デメリット
◆エコー検査のメリット
エコー検査のメリットについて、まずひとつめは猫にとって負担が少ないことです。
体を傷つけることなく検査をすることができるので、猫ちゃんが痛みを感じる心配がありません。
検査内容によって異なりますが、検査時間は5~15分程度と比較的短いので、猫に長時間ストレスがかかってしまうことがないのも安心です。
また基本的には鎮静や麻酔は不要ですし、レントゲンと異なり被ばくの心配もありません。
もうひとつのメリットは、すぐに結果がわかることです。
臓器の状態や異変をその場でリアルタイムに確認することができます。
臓器や血管などを画像として確認できるので、病院によっては飼い主さんも一緒に見ることができます。
もし結石や腫瘍などを発見した場合は、その組織や尿を採取して病理検査でより詳しく調べます。
体調が悪くても隠しがちで、ストレスに弱い猫にとっては、とても利点の多い検査と言えるでしょう。
◆エコー検査のデメリット
エコー検査のデメリットとしては、金属や骨などの硬いもの、そして空気は反射されてしまい確認が困難である、ということがあげられます。
骨や空気の存在を確認することはできますがそれ以上は難しく、そのため肺などの観察にはあまり向いていません。
もうひとつのデメリットは、太っている猫ちゃんの場合、画像が分かりにくい可能性があることです。
これは、太っていると超音波が深い部分まで十分に届かないために起こります。
猫のエコー検査の流れ
猫のエコー検査の流れについてご紹介します。
今回は腹部検査の場合でご説明します。流れはとてもシンプルです。
②観察する部分へアルコールやジェルを塗り、プローブという機械をお腹にあてて検査できます。
③エコー画面では液体は黒く、結石などは白く映ります。
※場合によっては検査しやすくするために一部の毛を剃ることがあります。
検査時間は内容によって異なりますが、5分~15分くらいになることが多いようです。
エコー検査の注意点
エコー検査を受ける場合の注意点についていくつかピックアップしてご紹介します。
動物病院によって多少異なる部分もありますので、詳細は獣医師さんに確認しましょう。
◆すべての病気がわかるわけではない
エコー検査は臓器の大きさや形、動きなどを確認します。
エコー検査ですべてがわかるわけではなく、前述のとおり金属や骨などの硬いもの、そして空気は反射されてしまうため、存在を確認することはできてもそれ以上は困難です。
体の中に残っている未消化のご飯が邪魔をして観察したい部分が見えなかったり、太っている猫ちゃんの場合深い部分が見えづらかったりすることがあります。
膀胱や子宮などの部位は、まれに見えないこともあるので再検査をする場合があります。
◆性格によって実施ができない場合がある
エコー検査は5~15分程度、お腹を上に向けておとなしく寝転んでいてもらう必要があります。
そのため怖がりや警戒心が強い猫ちゃんなど、性格によっては難しいことも。
猫が暴れてしまう場合は、安全のために鎮静や麻酔を行うこともあります。
検査内容によっては難しいですが、おやつをあげながらエコー検査をしたという猫さんもいるんだとか。
「うちの猫、大丈夫かな」と不安に感じる場合は、獣医師に相談してみましょう。
また検査が終わったあとはごほうびのおやつをあげるなど、少しでも検査に対する嫌悪感をやわらげてあげましょう。
◆一部毛を剃って実施する場合がある
エコー検査の際、場合によっては一部の毛を剃ることがあります。
毛を剃るのは、画像を見やすくするためです。
毛を剃るかどうかは検査内容や検査場所によっても異なりますので、気になる場合は、事前に動物病院に相談してみましょう。
◆絶食しないといけない場合がある
エコー検査の際、体の中に消化されていないご飯が残っていた場合、それが邪魔をして観察したい部分が見えないことがあります。
そのため検査をする臓器によっては、絶食しなければならない場合があります。
絶食が必要かどうか、絶食は検査の何時間前からか、などは病院によって異なりますので、詳細は検査を行う動物病院に確認してみましょう。
エコー検査を受ける頻度
猫は体調不良を隠そうとする習性があります。
そのため飼い主さんがどれだけ気をつけていても、普段の生活の中で異変に気づけないこともあります。
そんな愛猫の健康維持の一環として、定期的な健康診断は病気の早期発見につながります。
早く発見できれば、それだけ治療しやすくなる場合が多いです。
また特に異常がなかった場合でも健康なときのデータとして今後比較するのに役立つこともあります。
今回はエコー検査を含めた健康診断を受ける頻度についてご説明します。
各ご家庭のライフスタイルや、猫ちゃんの年齢や状態によっても、適切な頻度は変わってくると思いますので、かかりつけの獣医師やご家族と相談してみてください。
◆若い猫
子猫から成猫は、年に1回程度を目安にするといいでしょう。
若いときは気づいていなかった先天性の疾患が、健康診断で見つかるということもあります。
そういった意味でも、一度やっておきたいですね。
◆シニア猫
シニアの猫は、半年に1回程度を目安にしましょう。
3~6歳:成猫期
7~10歳:中年期
11~14歳:高齢期
15歳以上:後期高齢期
猫のシニア期は11歳以降にあたります。
ただ、7歳から10歳の中年期から徐々に老化の兆候が現れてきます。
愛猫の様子をみて、かかりつけの獣医師に相談しながら健康診断の頻度を検討しましょう。
◆疾患を持っている猫
疾患を持っている猫の場合、かかりつけの動物病院の指示に従って受診するようにしましょう。
定期的な健康診断を行うことは、異変に気づきやすいのはもちろん、飼い主さんの安心感にもつながるので大切ですね。
まとめ
今回は猫のエコー検査についてご紹介しました。
エコー検査は猫への負担が少なくその場ですぐ確認ができる、とても有用な検査のひとつです。
また健康診断は、病気の早期発見と早期治療にとても重要な役割を果たします。
定期的に動物病院に行くことで、獣医師さんに愛猫の普段の健康状態を把握してもらえますし、飼い主さんが普段気になっているお手入れなどのちょっとした相談もすることができます。
大切な愛猫に長く健康にすごしてもらうため、健康管理の一環としてエコー検査などの健康診断を検討してみましょう。
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