猫をモチーフにした妖怪は存在する?起源や種類が知りたい!!

2024.06.01

猫をモチーフにした妖怪は存在する?起源や種類が知りたい!!

日本では妖怪が漫画やアニメにも登場することが多く、身近な存在として親しまれていますよね。 そんな妖怪の中には猫がモチーフになっているものも存在し、猫好きの方であればいくつか知っているといった方も多いのではないでしょうか。 猫の妖怪にはどのような種類があり、なぜ日本では猫の妖怪が親しまれているのかなどを深堀してみました。

猫の妖怪の起源

猫又のイラスト

「妖怪(ようかい)」の存在を当たり前のように認知している方は多いと思いますが、実際に姿を見たことのある方はいらっしゃらないはずです。

しかし、私たち日本人にとって妖怪は、見たことがなくても身近に感じている方々がほとんどではないでしょうか。

もともと妖怪とは「化物(ばけもの)」とも呼ばれ、かつては人間に恩恵をもたらしていた神が、時代が移るにつれて人々の信仰心が失われてしまい、その結果妖怪として立ち現れたと言われています。

日本には自然崇拝の信仰が古い時代からあり、「アニミズム」といった信仰心を自然と持ち合わせていますよね。

あらゆるものに魂が宿ると考え、形のないものや目に見えないものまで信じられる心を、誰しもが持っているといっても過言ではありません。

そのような信仰心の中で災厄が起きれば、日々信仰している良い神霊ではなく、悪い神霊がもたらした出来事だと捉えるようになり、人間の力を超越した恐怖を感じる存在として、妖怪は語り継がれるようになったと考えられるのではないでしょうか。

妖怪の中にはいくつか猫の妖怪も存在していますが、はっきりとした起源は分かってはいないものの、鎌倉時代の書物に猫の妖怪が登場しており、かなり古くから語り継がれていたことがうかがえます。


猫の妖怪の種類

猫の妖怪を思い浮かべると、いくつか挙げられるといった方も多いのではないでしょうか。

日本と海外ではどのような猫の妖怪が存在するのか、みていきましょう。

◆日本の猫の妖怪

化け猫と猫又のイラスト

日本でもっとも有名な猫の妖怪は、年老いた猫が妖怪化する「化け猫」ではないでしょうか。

その中でも有名な化け猫の言い伝えが、佐賀の鍋島で起こった化け猫騒動となります。

佐賀藩の2代目藩主だった「鍋島光茂(1657~1700)」は、碁の名人である「龍造寺又七」を城中に招き囲碁に興じていましたが、連敗した光茂が激昂して又七郎を惨殺してしまいました。

又七郎の母親は息子の死を嘆き、その怒りや悲しみを愛猫に語り自害をしましたが、自害した母親の血を舐めつくした飼い猫は姿を消したのち、城内に忍び込んで光茂お気に入りの側室に化けて、夜ごと光茂を苦しめたといった言い伝えが残っています。

もちろん脚色されている伝説となりますが、猫が人に化けて人間を脅かすといった話は、当時の人々にとても恐れられていたに違いありません。

次に、化け猫とよく似て老猫が化けて妖怪になる「猫又(ねこまた)」も有名です。

大きな特徴としては尻尾が二股に分かれていて、二本足で立ち歩きながら人間にも化けるといった能力を持ち、そのほかにも「人間の言葉を理解する」「人間に呪いをかける」「人間を食い殺す」などの能力があると言われていました。

猫又は愛玩動物(ペット)として飼われていた猫が化けて妖怪になったものと、野生の猫(野良猫)が化けて妖怪となる猫又の2種類存在していますが、性格は多種多様で人間に悪さをする凶暴な猫又も居れば、穏やかで人間(飼い主)に恩返しをする猫又も居ると言われていたようです。

鎌倉時代の書物などにも猫又は登場しており、「古今著聞集」や「明月記」などが有名です。

また、化け猫や猫又のボス的な存在となる「猫?(ねこしょう)」も、日本の妖怪の一種となり、人間を凌駕する知識や強力な能力を持っています。

尻尾は三股に分かれていますが、普段は三つ編みのように束ねているため妖怪には見えません。

猫?になるまでには30年以上の年月がかかると言われていますが、現代の猫たちは20年以上生きる子たちも多いため、いつか猫?になってずっと傍にいてくれたら嬉しいものです。

◆海外の猫の妖怪

猫の妖怪は日本古来のものではなく、海外にも存在しています。

とくに日本は中国の文化をさかんに取り入れていたため、現代でもさまざまなものが根付いていますよね。

化け猫や猫又のルーツとなっているのが中国の「仙狸(せんり)」と言われており、タヌキではなくヤマネコを意味しているそうです。

長い年月と修行をおこなうことにより、神通力を身に着けて美男美女といった人間に化けつつ、相手の生気を吸い取るといった能力を持ち合わせています。

そのほかにも仙狸と同じように美男美女に化ける「金華猫(きんかびょう)」は、中国の金華地方に伝わる猫の妖怪となり、人に3年以上飼われた猫が月の光からエネルギーを吸収し、人間に化けて出会った人々を魅了するといった力があるようです。

美男美女に化けなかったとしても、猫好きの方であれば猫に魅了されっぱなしとなるため、猫が妖怪であってもその可愛らしさは健在とも言えるのではないでしょうか。


猫の妖怪と日本文化

窓の外を見る猫の浮世絵

猫の妖怪がなぜ日本に文化として根付いていったのか、という点を考えてみると、やはり猫は人間にとってとても身近な存在であったことが分かりますよね。

実際に見たことがないのに、猫の妖怪が存在すると考えられてきた時代が古くから在り、いかに人間が猫を特別な生き物として捉えていたかもうかがえます。

そのため猫の妖怪はどこか愛嬌があり、悪さをしても憎めないといった特別感があります。

それぐらい猫という動物は、人間にとって今も昔もなくてはならない存在であると言えるのではないでしょうか。

◆浮世絵にも登場する

江戸時代から明治時代にはたくさんの絵師が活躍していましたが、さまざまな浮世絵や書物にも猫の妖怪が描かれています。

古くから日本では長く生きすぎたものは、怪力を宿すといった民間信仰が広まっていましたが、日本を代表する動物であるキツネやタヌキ、ヘビなどに混じって猫がそのような力を発揮するのは、どこか異色のように感じる方も多いのではないでしょうか。

猫は日本土着の動物ではなく、海外からやってきた容姿の美しい動物として、圧倒的なオーラを放っていたに違いありません。

その姿に魅了された絵師たちが猫をそのまま描くだけでは飽き足らず、擬人化して浮世絵や書物に残してきたとすれば、現代でも猫の妖怪が広く知れ渡っていることにも納得です。

◆日本の各地に化け猫伝説が残されている

化け猫は日本各地で言い伝えが残っており、前述してある鍋島の化け猫伝説もその一つです。

佐賀県の鍋島を筆頭に、日本には「三大化け猫伝説」があると言われていますが、「福岡県の有馬」「愛知県の岡崎」といった土地の伝説が残されています。

漫画の先駆けと言われている浮世絵だけでなく、江戸時代にはすでに歌舞伎でも化け猫伝説は演じられており、その伝説は言い伝えとなって現代にも残りつつ、現代でも聖地として町おこしにつながるといった発展ぶりを見せているようです。


猫の妖怪と現代の生活

猫又の女の子イラスト

「恐怖」「おぞましい」といったイメージが根付いている妖怪ではありますが、現代では猫の妖怪に対してそのような嫌悪感を抱いている方は少ないはずです。

なぜなら猫をモチーフにしたもの全ては「可愛い」「美しい」「かっこいい」などと形容されることが多いですよね。

このようなことからも現代で、猫の妖怪は以下のようなイメージが定着しているのではないでしょうか。

◆現代における猫の妖怪のイメージは?

怪猫として語り継がれてきた猫の妖怪ではありますが、土地によっては「化ける」といった悪いイメージを、「変化」や「進化」するといった柔軟なイメージとして捉え、猫の妖怪までも愛でるような文化が発展しています。

妖怪であろうがなかろうが猫は可愛いですし、もし自分の愛猫が妖怪になってまで長くともに一緒に暮らせるとしたら、誰しもが妖怪になってくれることを望むのではないでしょうか。

このようなことからも現代で猫の妖怪は、とても身近な存在としても感じられますし、嫌う理由がないほど親しみやすい存在として受け入れられているとも考えられます。

◆漫画やアニメにも登場する猫の妖怪たち

猫は神秘的な容姿をしているだけでなく、独特の特性が特別感を増し、妖怪になったとしても不思議ではないと考えられてきたのかもしれません。

「暗闇で光る目」「形を変える瞳孔」「人間にこびない性格」「鋭い爪や牙」「しなやかな尻尾」「音を立てない歩行」「並外れた運動神経」などは、猫特有の特徴とも言えますよね。

たくさんの特徴があるからこそキャラクター化しやすく、現代ではさまざまな漫画やアニメにも猫の妖怪はたくさん出てきています。

親しみやすい容姿や擬人化しやすい特徴を持ち合わせた猫は、どんなに時代が移り変わっても人々から愛され続けていくことでしょう。

有名な猫キャラクター25選!アニメやディズニーで人気な猫の名前は? 有名な猫キャラクター25選!アニメやディズニーで人気な猫の名前は?


まとめ

日本にはたくさんの妖怪についての言い伝えがありますが、その中でも猫の妖怪はさまざまな伝説が残っており、とても人気が高いですよね。

恐ろしいものの象徴として語られる妖怪なのに、可愛さが残るどこか憎めない猫の妖怪は、現代でも根強い人気を誇っていると言えるでしょう。

こちらの記事では日本だけでなく、海外での猫の妖怪を一部ご紹介させていただきましたが、まだまだたくさんの逸話や別の妖怪も存在していますので、気になる方は是非チェックしてみてくださいね。



– おすすめ記事 –

・「黒猫が横切ると不吉」と言われるのはなぜ?
・全国の猫神社7選!猫をモチーフのお守りや御朱印も紹介!
・「猫は三年の恩を三日で忘れる」は本当?猫に忘れられることを防ぐには?
・【面白ねこ雑学】幸運のかぎしっぽと呼ばれる尾曲がり猫!その原因は長崎にある!?


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


記事に関するお問い合わせはこちら