【獣医師監修】猫のおしっこ回数が多い時や少ない時に考えられる異常を解説

2024.09.16

【獣医師監修】猫のおしっこ回数が多い時や少ない時に考えられる異常を解説

猫はおしっこに関するトラブルや病気が非常に起きやすい動物です。自宅でおしっこの異常に早めに気づけると、病気の早期発見・早期治療につながりやすく、重症化を防ぐことができます。今回の記事では、猫の正常なおしっこの回数や、おしっこが多くなったり少なくなったりする原因について解説します。お家の子のおしっこチェックにお役立てください。

猫の正常なおしっこの回数は?

トイレの横にいるマンチカン

◆1日2~3回前後

猫の正常なおしっこの平均回数は1日2~3回前後です。

これはあくまで平均なので、食事に含まれる水分や飲む水の量、猫の年齢などによっておしっこの回数は異なります。

また、猫の体質や環境によってもおしっこの回数は変化します。冬は飲水量が減り、猫も寒くてあまりトイレに行きたがらなくなることもあり、おしっこの回数が少なく、色は濃くなります。

お家の子のおしっこの回数を日頃から把握できていると変化があった際に気づきやすいので、普段から気をつけておきましょう。

この点は多頭飼育の場合、把握が難しいです。それぞれの猫のお気に入りのトイレが決まっていれば、それぞれのおしっこの回数が分かりやすいと思います。

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猫のおしっこの回数が多い

猫と猫のトイレ掃除

猫のおしっこの回数が普段よりも多い場合、何かしらの異常が起きている可能性があります。病気のサインであることも多いので特に注意が必要です。

以下で、猫のおしっこ回数が多い場合に考えられる原因を挙げて注意点を解説します。

◆考えられる原因

猫のおしっこの回数がいつもより多い時に、まず気をつけたいのはおしっこ1回の量です。おしっこの回数が多く、1回にする量も多いいわゆる「多尿」の場合と、回数は多いが1回の量はすごく少ない「頻尿」の場合があります。

普段と変わらない量やいつもより多い量のおしっこを何度もしている場合、多尿になっている可能性が高いです。

例えば腎臓病になると、薄い尿がたくさん出るようになり、同時に水をたくさん飲むようになります。また、薄い量をたくさんするので、尿の量の割に「臭いや色がない」おしっこをします。

猫は加齢とともに腎臓の機能が弱っていくことが多く、慢性腎不全となる猫は非常に多いです。腎臓病の特に初期に、飲水量も尿量も増える多飲多尿という状態になることが多いです。

初期の段階では、多飲多尿は見られても食欲や元気は普段通りであることが多いですが、早めに動物病院で調べてもらいましょう。

糖尿病の場合もおしっこの回数と量が増えて、飲水量も増えます。

糖尿病を発症している猫は、血糖値が高いため、おしっこの中に水分がたくさん含まれるようになり、おしっこの量が増えます。糖尿病も重症化するまでは食欲と元気がいつも通りであったり、食欲はいつも以上にあったりするケースが多いですが、急に重篤化して命に関わってきますので、やはり早めに検査を受けるべきです。

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脳の下垂体から分泌されるバソプレシンが少なくなり、薄いおしっこがたくさん作られてしまう尿崩症という病気も猫のおしっこの量や回数が増えます。腎臓などの内臓に問題がない場合もありますが、おしっこが普通よりも多く出てしまうので、脱水症状を起こしやすくなるので要注意です。

これらの多尿となる病気の場合は、猫の身体で作られるおしっこの量自体が増えているので、何度もおしっこに行く場合に、毎回しっかりした量のおしっこをします。

病気以外の理由では、フードをドライフードから水分含有量の多いウェットフードやパウチに変更した際も、ドライフードの時と比べておしっこの量や回数が増えることがあります。

一方で、膀胱炎で頻繁にトイレに行く場合や尿石症による排尿障害でおしっこがでにくい場合は、腎臓などに異常がなければ一日で出るおしっこの量自体は大きく変わらないです。そのため、おしっこの回数が増えた時に、1回の量は減っていることが多いです。

おしっこの回数が多いが、1回のおしっこ量は多くない場合は、膀胱炎などの泌尿器の問題が疑われます。

猫は膀胱炎や尿石症も非常に起こしやすい生き物なので、こちらも注意が必要です。

特に雄猫の場合は、体の構造上、尿石症などにより尿道閉塞を起こし、おしっこが溜まっていても出せなくなってしまうことがあります。その結果、腎臓にまで負担がかかり、全身の状態が悪くなったり、回復後も後遺症が残ったりするので、膀胱炎の症状だけでも油断せずに早めに対処しましょう。

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◆改善策は?

おしっこの回数が普段より多い場合、上記のように病気のサインであることが多いです。腎臓病や糖尿病などは命に関わる病気で、膀胱炎なども重症化すると腎臓に問題を起こすので、おしっこの回数が多い場合はあまりいつまでも様子を見ずに早めに動物病院を受診することをおすすめします。

また、腎臓病や糖尿病などの場合、同時に飲水量も増えているはずです。飲水量も日頃から意識して把握しておくと、症状が出始めた時にすぐわかります。毎日計測することは大変でも、容器に入れる水の量を一定にして、交換時にどのくらい残っているか把握しておくだけでも効果的なので、是非取り入れてみてください。


猫のおしっこの回数が少ない

ケージの中にいる三毛猫

猫のおしっこの回数が少ない場合も要注意です。ストレスなど精神的な問題の場合と、内臓の異常による場合があります。以下で、考えられる原因と注意点を解説します。

◆考えられる原因

猫が高齢や病気などの理由で弱っている場合におしっこの回数減るのは非常に危険です。食事量や飲水量が減っていて元気がないようだと、脱水を起こしてきていて尿が少なくなっているのかもしれません。こうした場合は、早めに点滴などの治療が必要となりますので、すぐに動物病院を受診しましょう。

また、腎臓病などの猫のおしっこが急に減る場合も、脱水によるものが多いので注意が必要です。

トイレで排泄の仕草はしているのに、おしっこやうんちが出ない場合もあります。膀胱炎でおしっこを溜めることができずに、おしっこがほとんど無いにも関わらずトイレに入っている場合もありますが、危険なのは実際におしっこを出せなくなっている状態です。

尿石症などで尿道が閉塞していて、膀胱内にはおしっこがたくさん溜まっているのに出すことができないケースが雄猫は多いです。膀胱は過度の緊張でひどく炎症を起こし、加えて腎臓などにも負担が掛かってきます。食欲や元気もなくなり、吐き気が表れることもあり、命に関わってきます。

治療後も腎臓や膀胱へのダメージが残ることが多いので、重症化しないうちに診察を受けておきましょう。

トイレで排泄の仕草をしていても何も出ていない場合、おしっこでは無くうんちが出ない「便秘」となっていることもあります。うんちが普段通り出ているかということにも気を配っておきましょう。

精神的な問題でおしっこの回数が少なくなる場合もあります。トイレの片付けが出来ていない場合やトイレの位置が洗濯機の近くなど大きな音がする場所などにある場合、猫が気持ちよく排泄を出来ず、トイレの回数が減ることがあります。

多頭飼育の場合は、他の猫の排泄物の臭いで、トイレに行きたがらなくなり、おしっこの回数が減ることもあります。

フードをウェットフードからドライフードに変更した際もおしっこの回数が減ることがあります。これは、フードに含まれる水分量が減るためです。

また、冬場は活動量が減り、飲水量が減ることでおしっこの回数が減ることがあります。

このようにおしっこの回数が減る場合、様々な原因が考えられます。

おしっこの回数が減ることに加えて、食欲や元気までなくなる場合は特に注意しましょう。また、高齢の猫や腎臓病や糖尿病や尿石症などの病気がある場合も、早めに動物病院へ相談してください。

◆改善策は?

もともと持病がある猫や、高齢な猫、食欲や元気までなくなっている猫は、すぐに動物病院を受診してください。脱水を起こしている場合は早めに輸液などが必要になります。

精神的な理由でおしっこの回数が減っている場合は、トレイの位置や材質、個数を変えてあげましょう。猫によってはお気に入りの猫砂でないとおしっこをしたがらない場合もあります。

また、猫に適したトイレの個数は、生活している猫の数プラス1個です。1匹で飼っている場合も2つ以上のトイレを用意してあげましょう。トイレは常に清潔に保ち、おしっこやうんちはすぐに片づけましょう。

そして、トイレは人通りの少なく、静かな場所で、なるべく食事の場所から離れたところに設置してあげてください。

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おしっこの状態にも注意

◆正常な色

正常なおしっこの色は薄い黄色です。
猫砂の場合は色がわかりづらいこともありますが、血尿や、薄すぎたり、濃すぎたりしないかという点に注意しましょう。

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◆正常な量

猫が1回でする正常なおしっこの量はおおよそ体重1㎏あたり50mlです。3㎏の猫であれば150ml程度になります。これよりも極端に少ない場合や多い場合は上述したような異常が考えられるので、早めに動物病院を受診してください。


まとめ

今回の記事では猫のおしっこの回数について解説しました。
猫はおしっこ関係のトラブルを非常に起こしやすい動物です。病気のサインであることも多いので、異常に早めに気づけるように日頃から気を付けてチェックしておくことをおすすめします。

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