猫がはげる主な原因とその対策方法
猫がはげる=脱毛となりますが、猫の脱毛にはさまざまな原因が考えられます。
換毛期のようにたくさんの被毛が抜けているときは正常と言えますが、身体のどこか一部分だけが露出するほどはげている場合は、皮膚トラブルを疑った方がいいかもしれません。
愛猫の身体の一部がはげているときは、以下のような原因がきっかけとなっているケースが多いようです。
◆アレルギー
猫も人間と同様にアレルギーを発症する場合がありますが、食べ物だけでなくノミやダニ、ハウスダスト、花粉などのアレルゲンに対して免疫反応が起こることにより、アレルギー性の皮膚炎が発生してはげができるようになります。
とくに食物アレルギーの場合は顔や首回りといった部位に症状が出やすく、初期症状では皮膚が赤くなりますが、進行していくとはげるだけでなく発疹などの症状が見られます。
かゆみを伴なうため、猫は爪を立てて症状が出ている部分を執拗にかいたり舐めたりするため、潰瘍ができてかさぶたとなり、かさぶたが剥がれ落ちると同時に被毛が抜けるためにはげるといった仕組みです。
また、皮膚に症状が出るだけでなく、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こすケースもあるため注意が必要となります。
アレルギーではげができている場合には、まずはアレルゲンの特定をするようにしてください。
動物病院で調べてもらうようにし、室内ではアレルゲンとなるような物などを置かないようにするような対策をしておきましょう。
◆寄生虫
アレルギーの原因ともなるノミやダニといった寄生虫ですが、ダニの中でも厄介なダニが「ヒゼンダニ」です。
猫の皮膚内にヒゼンダニが寄生すると、「疥癬(かいせん)」といった病気を誘発することがあり、激しいかゆみを伴ない全身を爪で引っかきながら傷だらけとなるため、その部分の被毛が抜け落ちてはげるようになります。
ノミに寄生された場合は脱毛だけでなく、二次的にさまざまな病気に罹患する可能性がある上に、ノミや疥癬は人に寄生する恐れもあるため、早急の対処が必要と言えるでしょう。
ダニやノミなどが原因ではげができているようでしたら、まずは寄生虫の駆除が必須となりますが、駆除をしたあとは猫を外に出さないようにする、駆除剤を用いて予防するといった対策が効果的です。
◆感染症
猫がはげる原因には感染症も挙げられますが、細菌感染や真菌感染を発症した場合には脱毛するようになります。
細菌感染では猫の皮膚に常在しているブドウ球菌が原因となる「膿皮症」、真菌感染では真菌(カビ)が原因となる「皮膚糸状菌症」などがあります。
猫では皮膚糸状菌症の発症率が多く、円形のはげが身体の広範囲に及ぶこともあり、かゆみはそこまでありませんがフケを伴う病気となるため、免疫力の低い子猫、抵抗力の落ちている老猫などは皮膚のバリア機能が落ちやすいく、普段から注意しておくべき感染症と言えるでしょう。
皮膚糸状菌は人間の身体にも付着しやすく、人獣共通感染症(ズーノーシス)としても認識されているため、日常生活の中でお互いに感染しないような対策が必要となります。
はげる原因が細菌やカビとなるときは、室内の掃除を徹底するようにし、常に清潔な状態を保つようにしてください。
広範囲にはげができているようでしたら、患部を毛刈りする、シャンプーをして清潔を保つことも大切です。
◆ストレス
ストレスはたくさんの病気を発症させる原因となりますが、猫はストレスを上手に発散できる術を知らないため、過剰なグルーミングを行うことによって、心因性による「舐性皮膚炎(しせいひふえん)」といった症状を引き起こすケースがあります。
猫にとってグルーミングは清潔を保つだけでなく、不安なときや自分の高ぶった気持ちを落ち着かせるために行う場合があり、その発散しきれない感情がストレスとなって過剰なグルーミングを繰り返すようになるそうです。
グルーミングは主に自身の舌を使いますが、猫の舌にはたくさんのトゲのような突起(糸状乳頭)が生えているため、過剰にグルーミングが行われると皮膚が傷つき、被毛が短くなるだけでなく
はげができるようになります。
心因性の脱毛を起こしている場合には、愛猫が何に対してストレスを感じているかの原因を追究し、改善に努める必要がありますよね。
人間の言葉が喋れない猫だからこそ、日常的にストレスを軽減できる生活環境を整えてあげるべきですし、不満を取り除いてあげられるよう、しっかり愛猫に寄り添いながらの毎日を過ごすべきでしょう。
お留守番の時間が長い、突然の生活環境の変化、トイレ周辺の環境が整っていない、フードに対する選り好みなどは猫のストレスとなりやすいため、日頃から愛猫の様子をよく観察するようにしつつ、ストレスを溜めないような工夫をしてあげてください。
◆内分泌障害
ホルモンの異常といった内分泌障害が起きている場合にも、はげるといった脱毛症状が見られることがあります。
「副腎皮質ホルモン」や「甲状腺ホルモン」の異常は、オスメスともに注意が必要となりますが、エストロゲンが過剰に分泌される「性ホルモン」は、メス猫の発症率が高くなっています。
生殖器や肛門周りにはげができるため、飼い主さんも気付きにくい脱毛と言えるでしょう。
◆栄養不足
猫の健康的な皮膚や被毛を保つためにも、高品質なたんぱく質の摂取が必須となりますが、食事から十分なたんぱく質の摂取ができない場合は、栄養不足となって被毛はやせ細り、皮膚にもハリがなくなって抜け毛に繋がっていきます。
もちろん猫にとって必須栄養素はたんぱく質だけではありませんが、1日に必要な栄養を十分に摂取できなければ、はげができるだけでなくさまざまな病気を誘発してしまうことでしょう。
栄養が不足した際にも被毛がはげることがあるため、被毛にハリが無い、細くなったと感じたときには、現在与えているペットフードを見直しても良いかもしれません。
昨今ではたくさんの総合栄養食といったフードが販売されていますが、含有されている成分には大きく幅があるように、猫ちゃんの嗜好や体質などによって相性の良いフードも変わってきます。
年齢や体重、体質に合わせてフードは選ぶようにし、愛猫が喜んで食べてくれるようなキャットフードを与えるようにしましょう。
猫がはげたときのチェックポイント
愛猫に被毛が生えていない部分を見つけたとき、脱毛を起こしているのかどうかが心配になってしまいますよね。
抜け毛が多いと感じた際には、皮膚の状態をまずは確認するようにしてください。
皮膚が赤くなっている、かさぶたができている、フケが出ている、ジュクジュクしている、ノミやダニに寄生されている様子が見られる場合には、はげる原因になりやすくなっています。
また、皮膚の状態を確認すると同時に、被毛の状態も確認しておきましょう。
細くてハリがない、ツヤが無く乾燥している場合も、はげる原因となりやすいため注意が必要です。
他には、はげができている箇所が一部なのか広範囲なのか、円形なのか大量に抜けているかの確認も大切ですし、かゆみが出ているのか、元気で食欲があるのかなどもヒントになります。
また、換毛期のシーズンにはどれぐらいの被毛が抜けるかなども把握しておくと、そのシーズンが来た際に慌てずに済みますよ。
猫のはげを早期発見するため
愛猫にはげができているかを早期に発見するためには、日常的に以下のようなことを心掛けておくと安心です。
◆定期的なブラッシング
ブラッシングは愛猫とのコミュニケーションツールになる上に、皮膚や被毛の状態を確認できるため、脱毛を心配している飼い主さんにおすすめのケア方法となります。
長毛種の猫ちゃんの場合は週に数回のブラッシングが必要となりますが、短毛種の猫ちゃんは週に1回ぐらいを意識しつつ、ブラッシングをするようにしてください。
ブラッシングはマッサージ効果もあるため、血行を促進しつつ新陳代謝を促してくれますし、スキンシップを図りながら体調の変化に気付きやすくなります。
◆健康チェック
飼い主さんによる皮膚や被毛のチェックなども大切となりますが、はげの原因は素人判断では難しいこともあるため、健康を維持するためにも定期的に健康診断を行うようにし、愛猫の健康状態を確認するようにしてください。
現状の健康状態を把握することによってはげの原因を追究できますし、的確な治療や予防を行うようにしていけば、健康的な皮膚や被毛を取り戻せるはずです。
まとめ
愛猫の被毛がはげるようなことがあると、何が原因ではげてしまったのかと不安に感じてしまう飼い主さんは多いはずです。
猫がはげる場合にはさまざまな原因が考えられるため、素人判断では難しい場合もあります。
そのため、どのような要因ではげる可能性があるのか、はげができている際にどのような対策をするべきかを事前に知っておくことにより、飼い主さんの気持ちに余裕ができるのではないでしょうか。
愛猫の健康的な皮膚や被毛を守れるのは飼い主さんだけとなるため、日常的に愛猫にはげができていないかを確認するようにし、脱毛対策をしていくようにしましょう。
– おすすめ記事 –
・ライオンみたいな猫4選!詳しい猫種や似ている部分をご紹介! |
・猫の歩き方の種類や特徴をご紹介!猫が音を立てずに歩ける理由とは |
・短毛種の猫ってどんな猫?飼育の際に気を付けるべきポイントはある? |
・猫のしっぽが太い?ボワッと膨らむのは「猫のサイン」 |