・口元を舐める
犬は顔を舐めるというより相手の口元を舐めようとしています。
それは昔、オオカミやジャッカルなどまだ「犬」という種ではなかった頃からの習性が犬になっても残っているからと考えられています。
まだ犬が野生で巣穴の中で過ごしていた頃、子犬は母犬や群れの他の犬達に守られてお乳をもらってすくすくと育っていきます。
母乳から離乳食になる頃、母犬もお腹が空きますから子犬たちを置いて外へ狩りにでかけます。
子犬たちは巣穴の中で互いにくっつきあって暖を取りながら母犬の帰りをじっと待っています。
母犬が帰ってくるとお腹を空かせた子犬たちは餌をもらいたくて母犬の口元を舐めて催促します。
それが母犬にとって刺激となり胃の中にある食べ物を吐き戻して子犬たちに与えていました。
この半分消化された食べ物が野生の子犬たちの離乳食でした。子犬たちは争って夢中になって食べたことでしょう。
母犬は子犬たちの口の周りについた食べかすを舐めて綺麗にしてあげていました。
この口元を舐める習性は食べ物をねだるのと同時に愛情表現へも結びつき、今も残っています。
またもう一つの野生から残っている習性として、上位の犬へのあいさつでも口元を舐めます。
これは子犬の時の吐き戻しを促す習性が残っているためだと思われます。
自分より上位の犬に対して腰を落とし、下から相手の口元を舐める行為は「あなたより私は小さくて弱いんですよ」というアピールでもあります。
現在では吐き戻しの催促の習性としてはかなり無くなってきたようですが、愛情や、自分は弱いんですよという甘えの気持ちなどで口元を舐める行為は残っているようです。
・基本は愛情から
この犬が持つ本能が今では飼い主である人間の顔を舐める行為へと続いています。
人間は親と同じく自分を守ってくれる存在であり、餌をくれる存在でもあります。
飼い犬となってからは犬達は人間なしで暮らすことが困難になってきています。
人間に対しても「私はあなたより弱い存在なんですよ。守ってください」また「お腹が空きましたよ、ごはんをください」というアピールで顔を舐めたりします。
そして今現在の犬が特に顔を舐める主な理由となるのは「愛情表現」があります。
「私はあなたが大好きです!」
尻尾をプリプリ振って人間の顔を舐めている行為はまさに愛情表現です。上位の者への甘える気持ちが拡大した行為だと思われます。
・犬が慰める?
こんなお話を聞いたことはありませんか?
「うちの子優しいの。私が泣いていたら頬をペロペロと舐めて慰めてくれるのよ」
私の持論ですが、これは犬に「ママ、泣いてるの?可哀想!僕が慰めてあげるよ」という気持ちが犬にあるとは思っていません。
犬はとてもよく人間を観察しています。
「何かおかしいぞ?何が起こったの?」飼い主が泣いていたらそのいつもと異なる状況を察知することは出来るでしょう。
でも私はここは擬人化してはいけないところだと思っています。
犬は飼い主の普段と違う様子に不安になり、飼い主のそばに寄ってきて何が起こっているのか確かめようとしたりするでしょう。
鼻の良い犬は塩分の匂いを嗅ぎつけます。舐めてみるとしょっぱい。
通常、塩分を積極的に摂取することのない犬にとって貴重な塩分を夢中になって舐めとっていると考えられます。
夢も希望もないお話しかもしれませんが、必要以上の擬人化はしたくありません。
犬は犬として考え行動しているのです。
・僕を見て!私を見て!
でも犬には確かに愛情があります。
子犬の口元を舐める、母犬の口元を舐める、仲間同士あいさつで相手の口元を舐める。
このような行動も基本は愛情から来ています。
本能的な「愛情や甘え」の行動から人間の顔を舐めるという行為が生まれていると思われます。
私は多頭飼いをしているので、すべての子に順番に声をかけたり撫でたりしていくのですが、そうしているときに積極的に口元を舐めに来る子がいます。
どうやら「私を見て!私をかまって!」という自己アピールのようです。
たくさんいる犬達のなかで、大人しくしていても自分の順番が来ないかもしれない。そんな風に思うのでしょう。性格もありますが必ず何頭かは積極的に甘えて私の口元めがけて飛びついて来て自己アピールしています。
でも人畜感染症などの問題もありますから、いくら愛しているとは言え犬とディープキスするなど必要以上の過激なスキンシップは避けましょうね!
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