犬たちの社会
基本的に犬は群れで生活する動物ですから、犬の生活には「社会」があります。
その中でも特に注目すべきなのは犬たちの人間関係ならぬ「犬関係」です。
どうやらうちの犬たちはほぼ年功序列を保っているようです。
誰が教えたわけでもないのに、新入りの子は年長の犬たちには敬意を払っています。
そして年齢の近い子たち同士でよく遊んでいます。
一番のちびの子犬は基本的に皆に「許されている」立場にあります。
多少やんちゃなことをしても本気で怒る犬はいません。
もしやりすぎて年上の犬たちに怒られたとしても「キャンキャン!」と泣けば母犬が飛んで行って間に入ります。
犬たちの社会での礼儀さえわきまえていれば、大きなケンカは起こりません。
そこに人間は介入しません。
順位は人間がつけるものではなく、犬たちが犬たち同士の遊びやふれあいの中で作っていくものだからです。
犬のあいさつ
まず犬達は互いにあいさつをします。
相手のお尻の匂いや身体の匂いを嗅ぎあいます。これで相手の情報を得るのです。
よく知られていますが、犬がお散歩のときにあちこち匂いを嗅ぐのも情報を収集するための行動です。
犬にとっては匂いというのは人間が言葉を交わすことと変わらない、いえそれ以上に大切なものなのです。
匂いを嗅げば相手の性別や身体の大きさ、年齢、性格など大抵のことは理解してしまいます。
お互いの匂いを嗅ぎあった後に尻尾を振って身体を低くして遊びに誘うようなポーズをしてすぐに仲良くなれる場合もありますし、性格から極端に臆病だったり、社会に適合していない犬の場合は挨拶も出来ずにいきなりのケンカになることもあります。
自分の急所であるお腹を見せて「私はあなたより弱いのです。攻撃しないでください」と最初からケンカを避ける犬もいます。
この匂いの嗅ぎあいは頻繁に行われています。相手が何歳くらいか、妊娠しているかヒート(発情)が来ているか、身体が弱っているかそうでないかなど、情報は刻々と変わるものだからです。
そして相手の情報を得るとあいさつをしたり、お尻を追いかけまわしたり、遊び始めたりするのです。
・相性の良し悪し
犬たちにも相性はあります。
どうしても気に入らない、気が合わないという相性やいつも2人で仲良く遊んでいるような仲の良い相性もあります。
もし2頭で飼っていて相性が悪いとなるとこれは難しいことになります。
近づくと怒る、その程度で済めばいいですが流血沙汰の噛み合いになってしまうと別々に分けて飼うなどの対策を講じなくてはなりません。
相性の悪い者同士が離れていられる。それだけのスペースを犬に与えることも必要になってきます。
こればかりは人間が介入出来るものと出来ないものがあります。
犬の社会化が出来ていないため、他の犬にまったく慣れていない場合は慣らす練習をすることで解決出来ることもあります。
でも本当に生まれつき相性が悪いという事も、まれにあるという事は忘れてはいけません。
弱い犬 強い犬
一緒に同じ場所で過ごしていても性格が個々に違いますから、どうしても他の犬と仲良くできない臆病な犬は立場が弱くなり順位的には下のほうになります。
そういう犬は身体が小さい、弱いなどハンデがあることによって自分を守ろうと他の犬に吠えたり牽制したりします。逆に最初から「降参です!」とお腹を見せて無駄な争いを避けようとする犬もいるでしょう。
年齢がある程度いっていて、落ち着いていて大らかで性格の強い健康で身体の大きな犬が上位になります。
うちの犬達では最高齢の13歳のメスが最上位になっています。
この子は私が最初に飼ったパピヨンで頭数も少ないときから一緒に生活しており、飼い主の愛情をたくさん受け、プライドも高く私から見ても自信にあふれています。この子には皆があいさつをしています。
一番下は言うまでもなく5ヶ月の子犬です。子犬は群れで育てる習性が残っているためか、子犬がやらかす無礼は大抵の大人は見逃してくれています。あまりにも失礼が過ぎると怒られていますが、まだ母犬が守ってやっている立場でもあり、子犬に必要以上に厳しくする犬はいません。
我が家の犬達
我が家には小さいながら犬達が遊ぶための庭があります。そこで犬達を放しているといろんな事が見えてきます。
仲の良い子は仲の良い子同士対等の立場でよく遊んでおり、マイペースで一人で居たい子は一人でいます。
一人で居るからと言って仲が悪いわけではありません。自分の仕事(地面の匂いを嗅ぐ事)に夢中なのでしょう。
たまたま上位の犬のお尻の匂いをしつこくチビが嗅いでいたりすると「しつこい!」と怒られています。
子犬があまりにも好き勝手にふるまって失礼があると大人が怒って「そこまでしてはいけない」と教えています。
我が家の犬達は遊びの中や普段の生活の中で自然と順位が生まれ、ケンカも無く穏やかに暮らしています。
そういう姿を見ているとやはり多頭飼いの楽しさを改めてしみじみと感じるのです。
飼い主はそういった犬達の様子をその上から眺めている立場にあります。
群れの中で解決できない問題や皆を統制するのが飼い主の役割です。
飼い主は群れの一員というわけではなく各犬にとって上位でなければなりません。
そのためには個々の犬達ときちんと信頼関係を結び、日ごろから躾をきちんとしておくことが大切です。
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