ワンちゃんをモデルにするために必要なしつけとは? 【前編】

2016.01.14

ワンちゃんをモデルにするために必要なしつけとは? 【前編】

私が編集や執筆を担当した雑誌や書籍などでは、多くのワンちゃんにモデルになっていただきました。撮影しながら、「このワンちゃん、普段はもっと生き生きしているはずなのに、緊張してしまっていてもったいないな」と思うことも多くありました。そこで、撮影時に気付いた、「ワンちゃんが売れっ子モデルになるためにはどんなしつけが必要なのか」をまとめてみました。

一番大事なのは「ワンちゃんの社会化」


@yuuco16が投稿した写真


ワンちゃんの生後4週齢から15週齢(生後1か月から3~4か月くらいまで)までを社会化期といいます。この時期に、ほかのワンちゃんや人、場所にできるだけ慣らすことが大切です。社会化の方法について、詳しくはペットスマイルニュースの「社会化期に色々な経験をして目指せ!何事にも動じないワンちゃんへ!」「#4 ワンちゃんの社会化について」をご覧ください。ここでは、具体的にどんな社会化が必要かを書いていきます。


ペットオーナー様以外の人に慣らす

撮影は、ペットオーナー様とは別の人間のモデルさんと組んで行うことがほとんどです。このときに、ほかの人に慣れていないと、萎縮してしまって十分な実力が出せません。ペアを組む人間のモデルさんには赤ちゃんや子どもからお年寄りまで様々な人がいますから、あらゆる年代の人に慣れていることが大事です。特に、「子どもが苦手なワンちゃん」はとても多いので、お友達のお子様に協力していただくなどして、子どもには極力慣らしておくといいでしょう。
また、撮影は
・引っ越し中のワンちゃん
・動物病院にいるワンちゃん
など、様々なシチュエーションを想定して行われます。ペアを組む人間のモデルさんが作業着や白衣を着ていることもあるので、様々な服装に慣らしておくことも大切です。


ほかのワンちゃんと仲良くできる


@iloveryu2005が投稿した写真


ほかのワンちゃんと撮影するときはもちろん、待合室で出番を待つときなど、ほかのワンちゃんとお仕事で一緒になる機会は意外と多いものです。そのときに、ほかのワンちゃんに攻撃的な態度を取ってしまうのは論外としても、ほかのワンちゃんが怖くて萎縮してしまい、いつもの実力が出せないワンちゃんを多く見かけました。社会化期に、ほかのワンちゃんとできるだけ触れあわせておくといいでしょう。


自宅以外の場所でもペットオーナー様と一緒なら落ち着いていられる

撮影は、スタジオなどの室内はもちろん、ドッグランやショッピングセンター、森の中、ほかの方の家などでも行われます。経験上、社会化期にいろいろな場所に連れて行ってもらったワンちゃんは、ペットオーナー様と一緒ならどんな場所でも落ち着いていられました。撮影は原則としてペットオーナー様の立ち会いのもとで行われるので、社会化期にいろいろな場所に慣らしておきましょう。


地面が「紙」でも嫌がらない


あこさん(@akopon7)が投稿した写真


雑誌などで使われる写真には「カクハン」と「キリヌキ」があります。「カクハン」は風景などもそのまま掲載しますが、「キリヌキ」は風景からワンちゃんなどを切り抜いて掲載します。この「キリヌキ」はあとからデザイナーさんが切り抜き処理をしやすいよう、「バック紙」と呼ばれる紙の上でワンちゃんを撮影することが多いです。ワンちゃんには紙の上に立ってもらうことになりますが、紙の感触が嫌なのか、紙に乗った瞬間尻尾が下がってしまうワンちゃんを多く見かけました。できれば、社会化期に「紙の上で座る」「紙の上で立って待つ」しつけをしておくといいでしょう。


フラッシュが炊かれても怯えない

スタジオでは、あらゆる方向からフラッシュを炊いてワンちゃんを照らします。このとき、フラッシュの光に怯えてしまい、その後撮影にならないワンちゃんも多くいました。子犬の頃から「室内でフラッシュを炊いて撮影する」ことに慣らしておくと、スタジオでも堂々としていられます。このとき、カメラの内蔵フラッシュをワンちゃんに向けるよりも、外付けフラッシュを購入し、壁などに光を反射させるバウンス撮影をするといいでしょう。バウンス撮影に慣らしておくと、正面ではなく横が光ってもワンちゃんは落ち着いていられます。


ワンちゃんを撮影してくれるフォトスタジオに通う

最近では、年賀状用などにワンちゃんを含めた家族写真を撮影してくれるスタジオも増えました。こうしたスタジオで定期的に写真を撮り、「ほかの人に撮られる」ことに慣らしておくといいでしょう。場数を踏んだワンちゃんは、お仕事のときも堂々としています。

社会化期を逃してしまったら……
社会化期に上記のようなしつけができなかった方も、安心してください。ほかの人やワンちゃんに触ってもらって怖じ気づかなかったらすぐによく誉めておやつをあげるなどすれば、時間はかかりますが様々なシチュエーションに慣らすことができます。ポイントは「動じなかったらすぐに誉めておやつをあげる」「時間をかけて少しずつ慣らす」ことです。前述のフォトスタジオに通い、写真を撮られることに慣らすのも効果的です。

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いかがでしたでしょうか、今回は「社会化期」にまつわるペットモデルのしつけをご紹介しました。次回はもっと実践的なしつけについて書いていきます。
 

【後編はこちら!】→ワンちゃんをモデルにするために必要なしつけとは?

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石原 美紀子

石原 美紀子

青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。


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