【シッポの振り方は千差万別】
犬がシッポを振っているから喜んでいるに違いない、と考えるのは早計です。それほど喜んでいなくともシッポを振ることもありますし、相性の良くない相手やすでに何度も会っている相手にも、犬はシッポを振ります。シッポを振っていたので近付いたら嚙み付かれた、などという例もあるくらいです。では、犬の気持ちを理解するのにはどうしたら良いでしょうか?
そのためにはシッポの振り方にもいろいろあることを知るべきでしょう。シッポを激しく振っているときとゆっくりと振っているときでは、犬の感情表現は違っています。素早く振られているときは興奮の度合いが高く、興奮度MAXといったところです。逆に狭い幅でゆっくり振られているときは、相手に挨拶をするときが多いようです。
シッポをゆっくりと大きく振るのは、犬同士が遊んでいる最中に見られますが、これは仲良く一緒に遊ぼう、というサインに使われます。遊びがエスカレートしてケンカになりそうになっても、どちらかがこのサインを出すことで、感情が抑制されて再び遊びモードに戻ります。
腰と一緒にシッポを大きく振るときは、自分より優位にある相手に見せる動きで、甘えやへりくだり、喜びなどが一緒になった感情表現です。ペットショップのトリマーに預けておいて、暫くしてから受け取りに行くと、良くこんな仕草を見せます。
腰を落とし、床を掃くようにシッポを大きく振るのは、相手に対して最大限の敬意と従順を示しているときです。飼い主の顔を舐めたり、じゃれついたりと、愛情いっぱいの仕草で甘えたりもしますので、飼い主からしてみれば最も愛おしく思える瞬間かもしれません。
シッポを水平に突き出しているときは、犬が緊張しているかどうかでその意味合いが違ってきます。近くで何かが起きたり、遠くから誰かが近付いてきたときなどに、この仕草をします。シッポがピンと伸びていない分、威嚇や恐怖心などは含まれていません。それにひきかえ、緊張を伴ってシッポが水平に突き出されている場合は、犬同士でオモチャやエサをめぐって対立していたり、主導権争いなどをしているときです。ですが強い敵対心や攻撃性はなく、あくまでも警戒心の範疇にとどまっています。
【カワイイシッポのご紹介】
最後に最も犬らしい仕草、愛らしいシッポの動きをひとつ紹介します。
やんちゃな性格の犬ですと、日に何度も犬を怒鳴りつけることがあると思います。ときにはかなり強く叱り付けることもあるでしょう。そんなときに珍しい犬の仕草を見ることができます。後ろの足の間にシッポを巻き込んでしまのです。何とも滑稽で可愛いポーズです。これは「服従」の気持ちを表そうとする犬独特の仕草なのです。
日本語の慣用句に「しっぽを巻く」「しっぽを巻いて逃げる」というものがあります。争いや競争に負けて、すごすごと逃げるときに使う表現で、口語体でも文語体でも日常的に良く使われています。この「しっぽ」というのは、いうまでもなく「犬のしっぽ」のことです。
犬が服従の表現をするとき、しっぽを後ろ足の間に巻き込む癖があることから、この表現が生まれたとされています。飼い主に怒られ、意気消沈して元気がないながらも、服従の気持ちを見せようと、こんなポーズをするのでしょう。
こんな風に、しっぽを観察するだけで犬の気持ちの変化が良く分かります。しっぽを観察するということは、犬の心理を把握する上で極めて重要なポイントになります。エサをあげるとき、散歩に行くとき、室内で遊んでいるとき、飼い主は注意深く犬のしっぽを見て、愛犬の心理を的確に知るように心がけましょう。
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