1.人間が作り出した容姿は様々な欠陥があるのです
ブルドックの愛嬌のあるつぶれた顔は、極端な短頭になり頭蓋骨も短くなっています。これが、ブルドックの最大の死の原因となっています。色んな呼吸器系疾患や発熱を引き起こしているのです。呼吸器系疾患をまだ幼いうちに発症してしまうと、5歳以上まで生きられない可能性が非常に高くなっています。
また、この頭蓋骨の形によりブルドックの子犬は母親の産道を通ることができないので、出産の時は帝王切開するしかありません。しかもブルドックは自然に交尾することができないので、約80%が人工受精なのです。
だぶついた皮膚もしわなどによって皮膚病にかかりやすくなっています。
人間が作り出したブルドックは、このような欠陥が出来てしまったのです。
2.ブルドックの遺伝子はほぼ同じ?!
2016年7月末、ブルドックの遺伝子を解析した結果が発表されましたが、この結果が驚くことに、ブルドックの遺伝子が全てほぼ同じだったと言うことがわかったのです。
北米、ヨーロッパ、アルゼンチンで暮らす健康なブルドックと病院で入院中の様々な疾患をもつブルドック、計139匹のDNAを調べた結果、ゲノムがほとんど同じだと言うことがわかりました。普通なら違う場所に住んでいて、しかも健康か疾患を持っているかにもよってゲノムは異なるのは当たり前の事なのですが、ブルドックの場合はわずか68匹の集団からしかなっていないのです。昔はもっとたくさんの遺伝子があったようですが、人間の意図的な交配により、68種類しかいなくなってしまったということです。ブルドックの遺伝的多様性は非常に低いのです。このまま人間がどんどん交配をしていくと、いずれブルドックは絶滅してしまうのではないのでしょうか。
ゲノムの中でもイヌの免疫系を制御する領域に厄介な多様性の欠如があることも発見されました。健康なブルドックでも疾患をもつブルドックでも、何の違いもなかったということです。このまま人間の都合によりブルドックの交配を続けていけば、さらに多様性はなくなってしまいます。