犬も人間と同じでガンになってしまうことがあります。犬のガンにはいくつか種類があり、大きく分けると癌腫と肉腫の2つになります。癌腫は上皮組織に原因がある悪性腫瘍で高齢犬に多く、進行度合いが早いです。リンパ管を通って転移していきます。
肉腫は若い犬がよくなるもので、上皮組織ではない他の組織が原因となる悪性腫瘍です。進行度合いはかなり早く、血管の中を通って転移してしまいます。例えばよく知られている犬のガンですと脳腫瘍があります。他にも骨肉腫、口腔ガン、胃ガン、乳ガン、子宮ガンなど人間とほとんど同じ部位にガンができてしまうのです。
犬のガンの中でも乳ガンはメスだけにできるもので、良性と悪性があります。8歳から10歳頃になるとかかりやすくなります。妊娠していないのにお乳が張っているような感じがあれば早めに診察を受けたほうが良いでしょう。胸やおなかを触られるのを嫌がるようになり、乳頭が腫れてワキの下や足の付け根なども腫れてきます。悪性の場合は体重も減り、食欲もなくなってきます。
良性か悪性かを見分けるのは非常に難しく、簡単な目安としてコブを触った時に動くようであれば良性で、逆に皮膚や筋肉にしっかりとくっついてしまっているようであれば悪性であるという見分け方はありますが、やはりしっかりと検査を受けた上で判断してもらったほうが良いでしょう。
乳ガンに関して言えば遺伝が一つの原因であるともいえ、犬種ですとビーグルやシーズー、ウェルシュスプリンガースパニエルなどは比較的遺伝で乳ガンになりやすいというデータが出ています。犬のガンでも骨肉腫は骨に含まれている組織がガン化した状態のことで、骨髄や骨膜、皮質骨などがその原因となりやすいといわれています。
骨肉腫が発見された場合、その85%は悪性であるとされています。大型犬から超大型犬に発症しやすく、年齢は2歳頃、そして7歳から9歳頃が最も発症率が高いです。メスよりオスが発症する確率のほうが高く、頭蓋骨、下顎骨、肋骨、背骨、上腕の骨、前腕骨の一部、太ももの骨、すねの骨などに症状があらわれやすいです。
骨肉腫になるとその部位にかたい腫れがあらわれ、足をひきずるように歩くようになります。次第に歩くのを嫌がるようになり、運動量も減ってしまいます。原因は骨折や犬種などが関係しているといわれています。犬のガンになっている場合も早めの発見と治療が望ましいので、毎日愛犬の調子をチェックしておきましょう。
どういう治療方法があるのか
犬のガンの治療法はどういうガンなのかによっても変わってきますが、体力があるようであれば外科手術を行います。他には化学療法、薬物療法、放射線療法、免疫療法、代替療法などです。外科手術は腫瘍そのものを取り除くことができますので、腫瘍がかなり大きくなってしまっている時などには良い方法です。
しかし、犬の見た目や運動機能に損傷が与えられる可能性や手術に伴う合併症で亡くなってしまうケースがありますので、手術を行う場合はしっかりと医師と話し合った上で決めなくてはいけません。
化学療法だけでは完治ということはほとんど期待できませんが、ガン細胞の分裂や増殖の抑制にはなりますので、愛犬が生活するための質を最低限維持することはできます。
放射線療法は体内・体外から放射線を患部に照射するというもので、全身麻酔が必要ですし、費用も高いというデメリットはありますが、化学療法よりも効果が高く、手術できないような脳や心臓などのガン細胞にも対処できるのがメリットです。免疫療法は免疫力をコントロールしてガン細胞を攻撃するように仕向けるやり方で、他の治療を終えた後に残ってしまった腫瘍を完全になくすために行うものです。
代替療法というのはマッサージをしたり、動物にも使用可能なハーブの類を利用してみたり、動物にもできる鍼灸などをすることです。早期発見するためには毎日体調をみていることが大切ですが、ガンかもしれないということを見分けるためのポイントを知っておくと良いでしょう。例えば明らかな体重減少、食欲不振などはガンじゃなくても何か病気にかかっている可能性があるので念のために診察を受けたほうがいいです。
そしてリンパの腫れや貧血、触った時にすぐにわかるようなしこりなどがある場合はガンの疑いがあります。その他には原因がわからないけれどずっと継続的にある微熱、ぐったりしている、散歩などに行きたがらない、遊びたがらないなどいつもとおかしいなと感じることがあればやはり診察を受けるほうがいいです。
犬は自分で症状を伝えることができませんから、飼い主がきちんと見ていてあげなくてはいけません。診察してもらって特に何もなかったとしてもそれはそれでいいのです。逆に良かったと安心して暮らせますから、何か変だなと思ったらすぐにでも医者に連れていくくらいの気持ちでいると良いです。
ガンを予防する方法はない?
犬のガンを予防することはできないのでしょうか。動物も人間も一生のうちで一度も病気にかからないという方はかなり稀で、風邪などであれば誰しもがかかったことがあるでしょう。それと同じように犬のガンも完全に予防できるというものはありません。しかしなるべく発症しないように気をつけることはできます。
例えば食事に気をつけてあげることです。犬は肉食動物で犬の祖先がしていた食事は主にタンパク質、脂肪、そして少なめの野菜などです。トウモロコシや小麦などの穀物はどちらかといえば犬にとってはあまり良いものだとは言えません。市販のものでは安くて大量に入っているドッグフードなどもありますが、ほとんどの場合そういうものには化学防腐剤や食紅、人工的な味をつけてあります。
これらには発ガン物質が含まれているといわれて、毎日体に良くないものを摂取しているのと同じとさえいわれています。ドッグフードであっても使う素材などにこだわりのあるものであれば話は別なのですが、できれば毎日の食事は手作り食にしてあげるほうが良いでしょう。
野菜を入れる場合はフレッシュな野菜よりもできれば発酵野菜を与えるほうが良いといわれています。発酵させることで善玉菌の供給源となりますし、消化されやすくなるからです。またよく運動させることもリンパの流れを良くしますので健康でいられる秘訣です。
肥満防止になりますし、免疫力を上げるのにも役立ちます。そして乳ガンや卵巣ガン、精巣ガンなどは早期の避妊手術や去勢手術によって防ぐことができるといわれていますので、愛犬の犬種によってはそういう方法も考えておくのが良いのではないでしょうか。
さらに人間も同じですが、過度のストレスがかかっている状態は犬にとってもあまり良いことだとは言えません。ですから愛犬がストレスを感じにくいような環境作りをしてあげることも大切です。犬はとても敏感で、引越しなどでこれまで住んでいた場所ではない場所に来たというのがわかっただけでかなりストレスを感じてしまい、体調を壊したりします。
ですから、引越しなど違う環境になった時には特に愛犬の様子を気にかけて、少しでも早く慣れることができるようにサポートしてあげるといいでしょう。以前住んでいた家の中と同じような配置でベッドなどを置いてあげるのも良いです。
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